そこは見知らぬ世界でした……なのorz   作:dslprojecter

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上には上があって、下には下があるvol.2……なのorz

ミュウは現在、ハジメ謹製アーティファクトの四点結界に守られていた。

コレはミュウ自身も知らなかった事だが、ミュウの危険察知レベルに応じて、ハジメがミュウに渡したアーティファクトもレベルが上がるというものだ。

四点結界とは『触るな、この変態!』という十字架が普段は持つだけに限られているが、ある一定の危険レベルに達した時にだけ、本来の性能を発揮し自動起動で守護をするクロスビットであった。

また現在、ミュウの右手に握られている黒剣も危険レベルによって自動で性能を発揮する仕様だ。雫には及ばないものの千刃ならぬ十刃黒刀だったりする。そんなむぅらまさであるから、雫の技のひとつである絶断という技に近いモノが出来ても仕方ない。所詮、名剣であろうと『全てを切り裂く至上の一閃!』には敵わないのだ。

 

ミュウは現在、非常に居た堪れない感情を抱いて立ち尽くしていた。何故なら目の前の金髪美少女アイズお姉さんが剣を地に置き、両手を地につけ項垂れていた。お互い承知のうえでの対戦ではあったがソレはあくまでも命のやり取りをするのではなく、切磋琢磨してお互いの技量を高め合うためであった。

 

「……修理費」シクシク

 

「…………」

 

アイズ、美人のお姉さん台無しで泣いていた。

周囲の団員たちは言葉を掛けれなかった。そんななかミュウはアイズに声を掛ける。

 

「アイズお姉さん、パパに頼んでもっと良いの創って貰うの。ミュウもお願いするの」

 

「…………」

 

アイズの視線が地面からミュウへと向かう。

ミュウはアイズに朗らかに微笑む。

 

「……ホント?創ってくれるの?」

 

「ハイなの。ミュウは嘘を言いません、なの。ミュウに嘘を付かせる事が出来たら大したモノなの。お姉さんが思っている以上のモノが創れるハズなの」

 

コレには聞いていた団員だけでなく団長のフィンも驚いた。

 

(もし本当ならコレを機会にミュウ君達に取り入ってアイズだけでなく、ロキ・ファミリア全部に魔王謹製の武具が加われば一段も二段もランクアップできる。悪い取り引きじゃない。ただなぁ、ゴブニュはともかく、ヘファイストスがそんのモノを放置する訳もないしねぇ。ヴァリス換算で幾らのモノが出来るんだろうか。アイズ、僕達の為にも更に追い縋るんだ)

 

などと内心では計算高いフィン。だが相手は魔王である。危険を勘案しつつも、こうなれば良いなぁと思案していた。

実際は一段も二段もランクアップどころか、この世界では太刀打ち出来ないシロモノが出来上がる訳なんだが。あと何気にフィンの下心がエグい。

 

「……分かった。なら貴女のパパを待ってる。それまで違うのを使う。すぐ出来る?いつ来るの?」

 

「ハイなの〜、必要ならミュウもお手伝いするの。いつ来るのかはわかりません、なの」

 

(アイズ、そうじゃない。ココは受け入れつつも更なる一手を……)

 

アイズとミュウはお互いに頷きあい、フィンは笑顔ではあるが内心で地団駄を踏んでいた。

 

☆☆☆☆☆

 

対戦後、ミュウ達は団長であるフィンからとりあえずお茶でも飲まないか、と誘われた。けしてお菓子に上等なお菓子に眼が眩んだわけではないと言っておく。

で、上等なお菓子がコレ。

 

「どうぞ、美味しいですよ」

 

「「…………」」

 

目の前に置かれていたのは、じゃが芋の山だった。この世界の上等なお菓子っていったい。因みにじゃが丸くんにあんこを載せてバターが置いてあるだけのシロモノだった。命名、じゃが丸くんあんこバターらしい。

地球のお菓子が恋しい2人であった。

 

「ちょっと調理場へ行きたいんですが良いですか?」

 

優花はフィンに尋ね了解を貰い、いそいそと料理場へ向かって行った。残されたミュウは頑張って優花お姉ちゃん、と優花を応援していた。

 

「ミュウくん、少し話をしたいんだが良いかい?」

 

「ハイなの〜」

 

フィンからそう言われたミュウは二つ返事で笑顔で応対する。聞かれて困るモノは何ひとつないのだ。

 

「とりあえず紹介しよう。僕の名前はフィン・ディムナ、ロキ・ファミリアで団長をやっている。キミがさっき対戦したのはアイズ・ヴァレンシュタイン、幹部の一人だよ。で、彼がガレス・ランドロック、彼女がリヴェリア・リヨス・アールヴ、どちらも副団長だ」

 

ミュウはフィンを見てから、ガレス、リヴェリアと目線を移動し、おもむろにリヴェリアに引っ付いた。

 

「……ママなの」

 

「!!」

 

これにはリヴェリアも驚いていたが、幼い子からの親愛の情を無下にも出来ずされるがままになっている。

 

「リヴェリアが気になるのかい?」

 

「……ママに似てるの」

 

「そうか、なら私に甘えるがいい」

 

リヴェリアはミュウを撫でつつ、幼子をあやしていて、フィンとガレスはニヤニヤしていた。そこへいきなり扉が勢いよく開け放たれた。

 

「異世界っ子が来とるんやろ、見に来たで〜、何処や〜」

 

ミュウは驚きつつもリヴェリアから離れようとはせず、胡乱な眼差しだけ向けた。そこには細身で絶壁、ショートの赤毛女性(?)が居た。

 

「おおぅ、この子やな。よろしゅうな、ワイがロキや。ここの主神やっとる。あんたがミュウちゃんやろ?」

 

「神なの?」

 

「異世界のコト聞きたいねん、ミュウちゃん、ちょっとおハナシしよか」

 

「どんなことですか、なの」

 

「どないな事でも良いねん、聞きたいんやわぁ」

 

「ロキ、とりあえず僕が先に話をしてたんだが」

 

神と聴きエヒトを思い出したミュウは朗らかな笑顔の裏側を感じ取り、ちょっとだけ警戒をしていた。フィンはロキに呆れていたが、似たような事を話したいため忠告程度に収める。

 

「じゃあ、ミュウは南雲ミュウです、なの。さっき居たのは優花お姉ちゃんなの」

 

「なんやて、もう一人居たんか」

 

「煩いぞロキ、大人しくしろ」

 

ミュウの自己紹介でロキは一喜一憂し、それをリヴェリアに諌められる。ロキの言動には毎回、苦労をさせられている為フィンもガレスも黙っていた。

 

「神は地上で何をするんですか、なの」

 

「そんなん決まってるわ、騒いで酒呑んでときたま地上の子らにファルナを与えるだけや」

 

「穀潰し、なの」

 

「かはっっ」

 

「〜〜〜〜」

 

「がはははっ、言われたなロキ」

 

ミュウの辛辣な言葉がロキを抉る。胸を抑えながら涙目でフィン達に助けを求めたが、フィンは軽くスルーしリヴェリアは静かに苦笑し、ガレスは豪快に笑った。

 

「と、とりあえずやな。異世界の事聞かせてーや、聞きたいねん」

 

ロキは復活も速かった。まぁ、この世界の神はエヒトとは違うの、とミュウは感慨に浸る。

 

「じゃあパパの事でも話します、なの」

 

何気にこの世界の住人がパパ(魔王)の事を気にしているらしい、と考えていた。

 

「パパの名前は南雲ハジメなの。奥さんが8人いるの」

 

「なんやて?8人、羨ましい」

 

「ミュウちゃん、ロキは相手にしなくて良いから続きを頼むよ」

 

「ハイなの」

 

ロキは涙を流して悔しがっていたが、フィン達は無視して先を促す。

 

「パパの正妻はユエお姉ちゃんなの。あとはシアお姉ちゃん、ティオお姉ちゃん、香織お姉ちゃん、雫お姉ちゃん、愛子お姉ちゃん、リリィお姉ちゃん、レミアお母さんなの」

 

「じゃあミュウちゃんはパバとレミアさんとの子供なのかい?」

 

「ミュウとパバは血が繋がっていないの、でも大好きなの」

 

「ふむ、とりあえず続きを聴こうか」

 

それぞれ家庭の事情がある為、フィンは深く追及はしなかった。

 

「パバは格好いいの。ユエお姉ちゃんは綺麗で最強なの。シアお姉ちゃんは優しいけど超ツヨイの。ティオお姉ちゃんは変態さんだけど、いざとなったら頼れるの。香織お姉ちゃんはちょっとアレだけどユエお姉ちゃんと仲良しなの。雫お姉ちゃんは苦労人だけど師匠なの。愛子お姉ちゃんはパパも尊敬する女神様なの。リリィお姉ちゃんはスルーされるけど王女様なの。レミアお母さんは優しいけどたまに怖いの」

 

とりとめの無い拙い言葉であり、微妙に気になる単語も聞いたがスルーして静かに聞くことにした。

 

「優花お姉ちゃんはパパの事好きなの、愛人さんなの。料理が超上手いの」

 

「優花お姉ちゃんってさっき調理場へ行った子かな?」

 

「ハイなの」

 

「〜〜〜〜」

 

その時、ちょうど調理場から戻ってきた優花がこの言葉を聞いて真っ赤になって立ち竦んでいた。やり場のない怒りは全てハジメにやろう、と決めた瞬間だった。

 

「あっ、優花お姉ちゃん戻ってきたの。真っ赤になってどうしたの、なの?」

 

「いえ、なんでもないわ。ハイ、ミュウちゃん、コレあげる」

 

差し出されたモノはこの世界には無いホールドケーキだった。物珍しそうにフィンを含め皆が凝視してた。

 

「皆さんにお裾分けなの、食べてみてね、なの」

 

取り分けられたケーキを手掴みで豪快に食べるガレス、小分けにして食べるフィン等を見てミュウはにんまりと目を細めた。どーだと言わんばかりである。

 

「なんやコレ、メチャ美味いやんか。優花ちゃんゆーたか。ウチのファミリアに来んか」

 

「いや、流石にミュウちゃんと離れたくないんで勘弁して下さい」

 

「ならミュウちゃんも一緒にどーや?」

 

「ヘスティア様が可哀想なので無理なの、ヘスティア様は良い神様なの」

 

「ウチかて良い神様や、どや?嘘やないで」

 

「ミュウ達居なくなったらヘスティア様一人なの。エンドウにはさせないの」

 

「?エンドウ?なんやソレ」

 

「エンドウはアビスゲートなの」

 

「ミュウちゃん、とりあえず遠藤をディスらないの」

 

意味がわからないロキと意味が分かる優花であった。対照的な二人を見つつ、フィンはひとつ訊ねてみた。

 

「ミュウちゃん、いや優花君でも良いか。何故、ミュウちゃんのパパは神殺しをしたんだい?」

 

この世界は神だらけだ。異世界の魔王の逆鱗に触れたら、この世界の神が消滅してしまう。フィンにとっては生殺与奪を握られている様なモノだった。

 

「それは……」

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