そこは見知らぬ世界でした……なのorz 作:dslprojecter
ロキは焦っていた。
(なんやアノ破壊力は、天から星を降らしいくつもの太陽まで作るやと。あり得ん、たとえ神で在ろうと彼処までの事は出来へん。しかも天界にも行き来が出来、異世界への移動も可能なんぞ、神の御業でも無理や。こんなん魔王や魔神であろうと無理や、超越神と言わざるを得へん。ヘスティア〜、ワレの理解以上にヤバい案件やんけ。いっぺんアイツをドツキ倒したるっ)
こうして意図せずヘファイストスとロキという最強タッグの見解が一致し、ヘスティアは無駄に二神のヘイトを稼いでいた。
対してフィン達はと言えば、超常を超えた破壊力や兵器に目新しさを覚えるも、コレが魔王だけの実力と言っていた優花の言葉に絶望していた。魔王単体でコレである。それに匹敵する実力を持つ正妻のユエやシア達という戦力まで居ると言うこと。何れそんな魔王軍団が必ずミュウ達を迎えに来るという得も言われぬ恐怖と現実。先ほどの映像を見た後でミュウ達に対して居丈高な対応など取れる筈も無いのである。そうフィンの脳裏には下手に出てミュウ達をヨイショする以外、手が無かったのである。揉み手は何処の世界でも共通の営業手段だった。
「え〜、凄いモノを見せて貰いましたが、幻影とかなんかじゃないですよね?」
何故かヘコヘコしている卑屈なフィンがそこに居た。ミュウや優花に対して敬語と揉み手である。ロキ・ファミリア団長の矜持は何処いった。
流石にリヴェリアとガレスは、そんなフィンを胡乱な目で見ていたが、見たくは無かったのでスルーする事を決めた。アレはいつもの団長じゃない団長という違うナニカだと。
「実際の過去映像ですよ」
優花、もう少し違った言葉があるだろう。項垂れるフィン、あまりにも自分の理解からかけ離れた戦闘映像に理解を放棄したガレス、そんな二人に呆れたリヴェリアがそこに居た。ロキは自棄酒をかっ喰らっていた。ロキはもう少し神としての威厳を持った方が良いんじゃ無いのか?
(違う、考えを改めるんだ。コレはミュウくん達に巧みに交渉すればロキ・ファミリアが他を抑えてオラリオで君臨出来る他、ボクが本当の英雄になれるかも知れない近道だ。実際、アイズにはミュウくんを通してだが魔王謹製の武器が与えられる筈だ。やれば出来る、やらなければならない。俺はフィン・ディムナ、ロキ・ファミリアの団長だ、やってみせる!)
フィンの団長としての矜持が再燃、卑屈な揉み手団長が消え失せた瞬間ではあるが、魔王謹製の武器頼みの思考は英雄なのか?と疑問を呈するトコロではある。
「突然ですまないがミュウちゃん、優花くん。もし、まお…南雲氏の兵器を欲しいと言ったら購入出来るものなのかい?お金に糸目は付けないんだが……」
「みゅっ?」
ミュウは今までの表情を改め、フィンを見つめる。その瞳は全てを見透かすかの如く澄みきっていた。優花はミュウの生い立ちや過去をハジメ達から聞かされて居たため、ミュウの判断に任せる事にした。
「だんちょーさん、人生は過去から未来へ繋がってるの。未来から過去へは行けないの。楽しちゃダメなの」
なんとも奇妙な返答が返ってきた。優花は思う。偶にだがミュウには違うモノが見えているのではないかと。それはミュウが『友達』と称している妖怪(?)達からも伺える。
そんなミュウが「楽しちゃダメ」と言うのだから、それが真実なのだろう。フィン達には悪いのだが南雲謹製の道具は得られないだろうと確信した。
但し、今、現在でもミュウが引っ付いているリヴェリアにだけはおそらくではあるが物凄いモノが渡る事も確信していた。