そこは見知らぬ世界でした……なのorz   作:dslprojecter

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なんか出たorz

園部優花は洋食屋《ウィステリア》の《看板少女》である。

園部優花は《一途な夢見る乙女》である。

園部優花は天職《投術師》である。

園部優花は《魔法少女》である。

……そんな園部優花は《愛人》であるべきなのだろうか?

それは世界の中心と謂われた場所、迷宮都市《オラリオ》

都市の中心にはダンジョン、更にそのダンジョンの上には《バベル》と呼ばれる天空を突き抜け世界を見つめる塔があった。

《オラリオ》の街並みは《バベル》から東西南北に延びるメインストリートを中心に栄え、街は今日も喧騒を奏でている。

 

「よし、今日も安く買えた。このまま頑張ろうっっ」

 

栗毛のポニーテールを靡かせ、拳を握りしめる少女。切れ長の瞳に勝ち気な雰囲気を滲ませつつも、その内面は夢みる乙女17歳《園部優花》

さて、園部優花は何故、地球では無く、地上に降臨した神々の居る世界、迷宮都市《オラリオ》に居るのか?

ソレはハジメが光輝を探しにシンクレア王国に転移した日、暇つぶしがてら異世界《トータス》の森の中を散歩中、一匹のウサギを見つけた事から始まった。

 

優花は散歩をしていた。

かつて死んだと思っていた南雲ハジメとの邂逅と清水幸利の死、様々な事を自分だけの頭の中で整理する。気分転換も兼ねて《ウルディア湖》の畔を一人、もやもやとした気分のまま歩いていた。

空は少し雲がかかっては居たが、青空が見えていた為、肌寒くは無かった。

湖の畔に学生服で散歩をしている憂いを帯びた美少女が一人、ここがかつての日本であるならばナンパの一人も出てくるのであろう。

ふと湖の近くの森を見つめた際に、白いウサギを見掛けた。なんとなくも南雲ハジメを想起する様な気がしたので、優花はそのウサギを眼で追い掛けてみた。

突如、そのウサギは何故なのか理解出来ないが、湖へと飛び込んだ。

優花は慌てて近くまで走って行ったのだが、ウサギは浮かんでは来ない。

《死》という実感が未だに薄れる事が無い優花にとって、衝撃を隠す事など出来る訳は無かった。

そうして涙を流していた優花の前に、湖から一人の妖精がウサギを掲げながら出てきた。

 

「貴女が落としたのは、この金のウサギですか?それとも此方の銀のウサギですか?」

 

訳がわからない、優花は内心焦っていたが、そこは夢見る乙女である。

 

「いえ、私が探しているのは白いウサギです」

 

湖の妖精は微笑みと共に片手を掲げた

 

「真実を語る乙女よ、暫の間、夢を与えよう」

 

「えっ、何?」

 

妖精の片手から光が溢れんばかりに輝き、優花は眩しさの余り、片腕で光を遮ったのだが、優花の意識は徐々に途切れていった

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

優花は樹の根元で安らかな休息をしていた。そよ風が優花の頬を撫でる。

そこは快晴であるが、異世界《トータス》とは漂う空気や雰囲気、風景が違っていた。妖精に魔法を掛けられた(?)優花は、目覚めと共に驚愕した。

先ず湖が無い、周りを見渡せば見知らぬ高い塔が見える、なんだか知らないが人種も違って見えた。

とりあえず見えている塔へと向かうことへ決めた。塔へと近づくにつれ、高い城門も見えてきた。長い行列に紛れ城門へと向かう事に決めた優花。行列に並びながら近くの商人の様な格好をした人物を呼び止める。

 

「すいません、ここはなんという都市ですか?」

 

優花は不安ながらも期待を込めて尋ねてみた。

 

「迷宮都市オラリオだよ」

 

細面で少し痩せぎみであるが、どこか気の置けない商人風の男性はそう答えた。

優花は初めて聞く都市の名に戸惑いを覚えつつも《ウル》は何処の方角だろうかと思案した。

聞いた事の無い都市の名、見た事の無い天を貫く高き塔にしっかりした城壁、よく周りを見渡せば行列に混じっている人種にしても同様であった。

なんだか耳が尖って地球で言うところのエルフの様な者、背丈が低いが体格はがっしりとしていて此れもまたドワーフの様な者、犬や猫の様な耳を持ち尻尾がある者。

優花の違和感は盛大にアラームを鳴らしていた。

 

「すいません、ウルはどの方向ですか?」

 

「ウル?何ですか、それは?」

 

「いや、ウルなんですが?」

 

「ウルが何なのかわからないのですが?食べ物でしょうか?それとも人でしょうか?」

 

男性は真剣な顔で訊ねてきた。

此処にきて優花は少しずつではあるが、理解したくない現実を突き付けられたかの様に感じ顔が青醒めていく。まさか……と。

 

「すいません、此処はトータスですか?」

 

「?……オラリオですが?」

 

男性は優花を訝しみつつも現実を突き付ける。呆然とする優花を尻目に男性は列へと並び直し、立ち尽くす優花の心中は荒波に呑まれていた。

……くぅぅぅ……

事態を慌ただしくも頭の中で整理しつつ、優花は空腹を感じていた。空腹の音が漏れていないか、恥ずかしさで頬を火照らせながらも周囲を見渡したが、城壁に並ぶ雑踏に欠き消されていた事に安堵し、気を取り直しオラリオに続く行列に並び直した。

 

「そう言えば朝から何も食べてなかったかも」

 

世界が違う、金銭も無い、仕事も無い、着替えの服も無い、寝る場所すら無い。優花の頭の中では様々な事が過っていたが、とりあえず住み込みのバイトをしなければ生き抜く事すら出来ない。問題は山積みであるが彼方へと投げ捨て小さく気合いを入れ直す。僅かではあるが生きる気力が湧いてきていた。

どのくらい待ったのであろうか、長かった行列が徐々にではあるが減ってゆき、優花の番になった。

 

「……次、お前はオラリオに何の様があってきた?」

 

城壁の門番は腰に剣を携え、高圧的な態度で言い放った。優花はそれに内心不快に思いながらも、騒動を起こす気は無かったのでスルーする事にした。

 

「とりあえず仕事を探しに来たんだけど?何処に聞けば早いのか教えて?」

 

「ふむ、地方の者か。それならばギルドに行けば案内してくれるかもしれん。ギルドへ行け」

 

「ギルドって何処にあるの?」

 

「あの塔にあるよ。頑張れよ、お嬢ちゃん」

 

「ありがとう」

 

門番は塔を指し示し、意外にも優花に声援を送った。優花はそれで気を持ち直し、軽く謝礼をしつつ遥かな塔を目指し門をくぐった。城壁の中いやオラリオは雑多な人種の坩堝であった。エルフ、ドワーフ、小人、猫人、犬人、褐色の見るからに眼を背けたくなる女性達。トータスとは全く違う空気が其処にはあった。空腹ではあったがギルドに行けばなんとかなるかも知れない、と一縷の希望を胸に優花は歩きだした。

 

メインの通りを歩きかなり時間が経過していたが次第に見えてきた塔は、聳え立つというのを通り越して先端が見えなかった。近くを歩いていた女性を捕まえギルドのある場所を尋ねる。ようやく場所を確認出来た事で安堵の溜め息を優花が溢した。

 

「ふぅ、なんとかなりそうなら良いんだけど」

 

独りごちたが気合いを入れ直し、受付へと向かった。ギルドのカウンターには何人かの職員と思しき女性達が、これまた長くはないが行列を作っている様々な人達の要件を片付けていた。優花は行列の最後尾だと思われる場所へと並び順番待ちの列に並んだ。

 

「お次の方、どーぞ」

 

優花の番だ。目の前に居る職員を正面から見据えてみた。髪は肩に掛からないくらいのボブカットで眼鏡を掛けていた。耳の端は少しだけ尖っていて日本の定義でエルフだと見受けられる。服装は白いワイシャツで襟首を立て、紺色のベストにグレーのネクタイと執事の様な雰囲気が醸し出されている。翠色の瞳は穏やかで全体的に優しさが滲み出てきていた。性格が身体の内から出ている感じで親身に接客をしてくれそうであった。優花はエルフとは知り合った事は無いが、仲良しになれそうな気がしていた。

 

「少し聞きたいんですが、此処ら辺で仕事が出来る処は無いですか?出来れば住み込みで……。若しくは手っ取り早く金を稼げる様な事があれば教えて下さい」

 

「仕事ですか?何処かの眷属には成られましたか?」

 

「眷属?なんですか、それ」

 

「えっ?」

 

目の前の職員は明らかに動揺していた。それもそうであろう、この世界では神々の眷属となり恩恵を貰う、それが当たり前だからだ。むしろこの世界では常識であり知らない者は居ない筈なのであるのだから。職員の様子が未知なるモノを見るかの様に明らかに変わっていった。

 

「少々、お話をお聞かせ願えませんでしょうか?此方の方へ来て戴けますか?」

 

職員は優花を柔らかく促す様に、されど逃がさないかの様に案内をした。優花はそうとは知らず促されるままに案内に付き従い、近くにある個室へと向かった。案内されるまま個室に入り、椅子に座らせられる形となった優花は身動ぎをし慣れない椅子に落ち着かなかった。

 

「改めて宜しくお願いします。私の名はエイナ・チュールと申します。失礼ですが貴女のお名前を聞かせて戴けませんか?」

 

軽く会釈を踏まえ笑みを浮かべた表情は同性である優花であっても動揺を隠せずにいた。優花は居住まいを正し会釈を返した。

 

「私は園部優花と言います。住み込みの仕事で食事付きの場所、若しくは手っ取り早くお金を手に入れられる仕事を探してます。分かりづらくてすいません」

 

「ソノベユウカ……面白いお名前ですね。私の知る限り聞いた事の無い名前ですが、どちらからお越しでしょうか?」

 

「うっ……」

 

優花は此処にきて目の前に居るエイナ・チュールという職員に明らかに疑われている事を理解した。確かに園部優花などという名前は日本、延いては地球にしか存在しない、トータスでもそうであった名前だからだ。失敗を隠そうとしたが既に遅く、誤魔化そうとも考えたが逆に教える事で助言を貰ってみる方が後々にも頼れるかもと思った。

 

「実は異世界から来ちゃいましてー、なので仕事いやお金と寝床を下さい。あははははっ」

 

「はっ?」

 

おどける様な感じではあるが、この際なので色々とぶっちゃけてしまった。エイナ・チュール(以下、エイナ)は面を喰らった顔をしたが持ち直し話を切り出した。

 

「貴女が眷属の事を知らないのも理解出来ました。神々が居るんですからこんな事も有るかも知れないですし」

 

「理解出来ちゃうんだ?!ってか神々が居るって何?!」

 

エイナの発言で逆に優花が驚かされた。

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