PROFILE
風早 迅
HEIGHT:176cm
WEIGHT:70kg
WEAPON:???
◇◇◇ 青い監獄
バスに乗せられた俺たち一行は、寮に向かうこと以外何も伝えられず、山を越えた先にあるそこへと連れていかれた。
バスから降りるとケータイや財布等の荷物は全て回収され、1人1人に
「299のZ、か」
スーツにはご丁寧に、番号が振らていた。ここに集められたのは全部で300人。
まさかとは思うが、嫌な予感がするな。
「もしそうだとしたら、舐められたもんだ」
以前の俺は、他人からの評価などあまり気にするほうではなかった。しかし、いざこうもあからさまに順位づけをされたとなると、不満を感じるのも事実だった。
まぁ本当のところ、この番号になんの意味があるのか分からないし今はいい。大事なのはこれからだ。
「それじゃあ1人ずつ制服のアルファベットの部屋に入り、着替えて待機してください」
マネジャーのような女性に言われた通り、俺は施設に入り迷路みたいなコンクリートの壁を進んだ。
てっきり最新の施設とか言うもんだから、芝生のグラウンドとかをイメージをしていたが、そんなものは見当たらない。
ようやくして、ドアにZとでかでかと書いてある部屋を見つける。
部屋に入ると、既に先約がいたようで何人か集まっていた。
相部屋か。あまり好きじゃないんだが。
その中には、見覚えのある顔を見つける。
「迅!よかった……知ってるヤツが一人もいないかと思ってたよ」
「遠藤か。俺もお前がいて安心した」
「僕のことも翼でいいよ」
「いいのか?」
うん! と元気そうに翼は返事をする。何気なく彼の肩を見るとそこには"289"と書かれていた。
「おお!すげぇ!あの遠藤翼さん!?本物だべ」
部屋の中に座っていた1人の男が勢いよく立ち上がり、俺たちに話しかけてくる。
300……俺より下ってことは予想が当たってれば、コイツが最下位か。
突如話しかけてきた男に、遠藤は少々苦笑いを浮かべた。
「七星っす。高1っす。よろしくっす」
「うん、よろしく!」
「凄い訛りだな」
「あーすんません! 訛り出ちまうのはスルーでお願いします」
どこかの田舎の人なのだろうか。聞いたことがない訛りで喋る彼は、俺に訛りを指摘されて少し恥ずかしそうだ。
少し、軽率だったか?
「そちらさんは?」
「風早 迅、高2だ。よろしく」
「じゃあ迅さんも先輩だっペ!よろしくっす」
またも出てしまった訛りにあ、という顔をした七星だったが、俺も遠藤もスルーしたおかげか安心したようだった。
「一体何が始まるんだろうね」
「さあ、皆目検討がつかないな」
「楽しみっすね」
とここでブゥン、という音と共に部屋に設置されていたモニターが切り替わり、眼鏡の男の顔が映し出される。
"着替えは終わりましたか。才能の原石共よ"
それは
"今同じ部屋にいるメンバーはチームメイトであり、高め合うライバルだ。お前らの能力は、俺の独断と偏見で数値化されランキングされてる。ユニフォームに示されている数字が、それだ"
ここまでは予想通り。見渡して見ればこの部屋には、既に11人が揃っている。
つまり下から数えて11番目である289位の遠藤が、この部屋で1番強いということ。
そして、この順位はおそらく変動する。
"そのランキングは日々変動し、トレーニングや試合の結果でアップダウンする。そしてランキング上位5名は無条件で6ヶ月後に行われる大会──―
U20
「!へぇ」
その場にいた全員が、その言葉に少なからず動揺したのがわかった。
"ここで勝ち上がるために必要なのはエゴだ。今からその素質を測るための入寮テストを行う"
さぁ、"オニごっこ"の時間だ。
そして突如、天井の一部が開きサッカーボールが放出された。
"制限時間は136秒。ボールに当たったやつがオニとなり、タイムアップの瞬間にオニだった1人が
絵心はそれだけ言い残すと、画面が切り替わり、タイマーがセットされる。画面には大きく、"七星 虹郎"という名前とONIという文字。
「お、俺っすか!?」
「なんだよコレ…。これがテスト? こんなの全然サッカーでもなんでもないじゃないか……!?」
いきなり始まった不可解な
「おい、自動ドアも開かねぇぞ!」
「どうなってるんだ…コレ」
この部屋から出ようと試行錯誤するものの、一向に出られる気配がない。そして、チームメイト達は徐々に七星から遠ざかり始めた。
それにしても、オニごっこか。なかなか面白いことを考えるな。
サッカーにとってオニごっこというのはただのお遊びとして切り捨てるには、あまりにも早計な話だ。
オニに捕まえられないように相手をよく見てステップを踏み、スピードの緩急をつけて逃げる。
それは、DFとのマッチアップにおいていかに捕まえられないように、いち早くゴールを目指せるかということにも繋がるからだ。
実際、このオニごっこのルールをサッカー用に改変したものをトレーニングに取り入れているチームを見たことがある。
かと言って、このようなルールでやるのは初めてなわけだが。
そうこうしているうちに意を決したのか、七星が動き始める。
「300位……。底辺の俺が鬼だっペか」
その顔つきはもう既に、
「ちょ、待てよ!アイツの言ってることマジで信じんのか!?日本代表ってハッタリに決まってんだろ?」
「でも、マジだったらどーすんっすか?俺はやるっすよ」
ボールを前に構え、重心を低くし、走り出すスタートの体制に入る。
この試合で俺たちのサッカー人生が、変わる。
「行くべ!!」
ボールを勢いよく前に蹴りだし、加速する。ある程度まで近づいたところで──―
「おっと」
「ありゃ」
しかし、ジャンプして避けられる。闇雲に狙ったところで当たる可能性は低い。
なら狙うのは──―
「おい!!ちょっ、こっち来んなってバカ!!」
「俺が先にいただろうがボケ!!お前がどっか行けや」
「いただきだべ!!」
網で魚を追い込むように、巧みに相手を角に寄せ集まったところに、ぶち込む。
「っぶね!?」
「テメェ、今俺の事押したろ!?」
「クッソ!当たらねぇべ」
またもやすんでのところで避けられる。しかし、やってみるとわかるがこれが意外と難しい。
ましてや、相手は
そろそろいいか。
「ハァ、ハァ……。まだまだ」
「おい、七星」
「なんすか……迅さん。悪いっすけど、仲良くなったからって手加減とか──―」
「変わってやるよ」
え?と間抜けな顔を晒している七星に続ける。
「俺、もう帰りたい」
「え……いいんすか?」
「あぁ」
俺は七星からボールを奪い取るとブゥン、という音とともに画面が俺の名前へと切り替わる。
「じ、迅!?」
「いいんだよ、遠藤。俺は最初からここに来るつもりはなかった。別に、俺のサッカー人生が終わる訳でもないしな」
「で、でも……」
「いいじゃんかよ!! 本人がやるって言ってるんだから」
狙われ続けたチームメイト達から野次か飛ぶ。
「ええんやない? 誰も損しないわけやし」
「同感だな。無理して争う必要も無い」
チーム内からオニの生贄が出てきたことにより、少し余裕ができたからだろうか。安心し始めるチームメイト達。
「また今度あったら戦おう、遠藤」
「迅……」
俺の決心が伝わったのか、それ以上は何も言うまいという遠藤。チーム内にも、このままゲームが安心して終わるという雰囲気が流れる。
彼らの中でも、彼の中でもこの試合は俺がオニで終わり。そういう結末で終わるシナリオが今、完成した。だが──―
「おいおい待てよ、勝手に終わらせんなって」
やはり動くか。
そう、この試合においてスタートしてから1歩も動いてないなかった人間が俺と、もう一人。
「せっかくこんな楽しい
コイツはこの試合中ずっと俺たち一人一人の動きをよく観察していた。もちろん、俺も含めて。
だから気づいた。
「俺と遊ぼうぜ♪パーマ野郎」
「これは地毛だ、日サロお化け」
現実というのはそう上手くはいかない。
すいませんm(> <*)m何度も書き直してたらつい投稿が遅れてしまいました。
これから基本的に自分は日曜と月曜に投稿する予定です。