風になる   作:猫タクシー

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設定の都合上、急ぎ足ではしょってる所もありますがそこは勘弁してください。‪
( •̥ ˍ •̥ )‬
今回は少し短いです。


第6話

 

 

 

 なんて体たらくだ。その言葉に尽きる。

 

「何やってんだ。バカかお前らは」

 

 あれではまるで小学校の昼休みだ。お団子サッカーは小学生で卒業したんじゃなかったのか。

 迅はおもわずチームメイトにそう言いたくなった。

 

「なんで今突っ込んで行った」

「……点を取ったやつが一番えらいんだ。俺は間違ってない」

「そ、それにお前()が言ったんじゃねぇかよ。自分がゴールを決めるために好きに動けって」

「時と場合を考えろよヘタクソ。まだ始まった直後にお前らがあの位置でボールを奪ったとして、そこから確実にゴールを決める自信はあったのか?」

 

 彼らがひしめき合っていたのはセンターサークルの少し外に出たところ。ゴールを決めた俺が言うのもなんだが、普通に考えればゴールまで1人で突破するには少し長すぎる距離であった。

 

「俺が言ったのは、常にフィールドのどこにいてもまず第一にシュートのことを考えろって意味だ」

 

 FWという選手の役割上、彼らは戦場(フィールド)に突如として発生するチャンスをものにするため、常にアンテナを張っておく必要がある。

 

「お前ら腐ってもアイツ(絵心)に選ばれてここに来てるんだろ。自分の役割(ポジション)くらい全うしろ。その役割を果たした上でゴールを決めろよ。小学生でもできるぞこんなの」

「ちょ……迅さん、言い過ぎっすよ」

「いや、そうでもないみたいやね」

「え?」

 

 迅の少し棘のある言い方にあんまりだと指摘する七星だが、氷織はその言葉による効力を、しっかりと理解していた。

 

「好き放題いいやがって……」

「チクショウ、やってやるよ!」

 

 ただでさえ士道の傲慢な振る舞いに振り回されていたところに、迅からの罵倒により選手たちの不満は爆発した。

 チームメイトたちの胸中に再度、熱い闘争心が芽生えはじめる。しかしそれはさっきまでのがむしゃらな自己中(エゴ)ではなく、一転して静かなる闘志(エゴ)

 されど侮るなかれ。虎視眈々(こしたんたん)獲物(ゴール)を狙う一人一人のその目は確かに、飢えた(ハイエナ)のように氷織の目に映った。

(たった1回のプレーでこのチーム(僕ら)の心に火をつけよった……。やっぱキミ(迅クン)、頭一つ抜けとるわ)

 

 笛がなり、試合が再開される。

(まずいぞ……。あっちのチームはもう連携が取れ始めてきている)

 

 事態の深刻さに気づいたのは、チームXのDF。大してこちらのチームは一向に仲間割れを繰り返している。

 

(アイツだ。あの11番が、あのチームの核だ)

 ボールを持った迅に向かって彼らは一斉に群がる。

 

「俺1人に群がったらダメだろ」

「しまった」

「ナイスパスっす、迅さん」

 

 ポン、っとボールをスペースの空いたサイドに放ると七星がそこに走り込んでくる。トラップしてすぐに七星はシュートを放ち、追加点を決めた。

 

 

 

 

 

 時間はあっという間に過ぎ去り、試合は後半へ突入。前半では1点取られたものの、後半には迅と氷織が1点ずつ返してスコアは現在4ー1。正直に言ってこの試合、もう負けはない。

 チームは即興ではあるが、上手く連携してボールを奪取し繋いでいる。もう少し練習すればそれなりに形にはなってくるだろう。

 元々FWだけのチームだ、何点取られても気にしない。取られてもすぐに取り返すという超攻撃的戦術がこのチームの特徴だ。こうして観察してみると、チームの中でもある程度その人物の長所、言わば武器が見えてくる。

 

 例えば氷織のパスやロングキックの精度はチームZの中でも群を抜いている。七星は他人との連携を得意とし、パスをもらうためのオフ・ザ・ボールにおける位置取り(ポジショニング)にはとても助けられている。

 

 そうこうしていると、氷織からのロングパスが飛んでくる。

 いいパスだ。後回転(バックスピン)がかかったトラップしやすいボール。

 

「とう♪」

「げ」

 

 俺の戦場(フィールド)に突如として、異物が舞い降りる。

 士道は着地と同時に、地面を蹴りあげ跳躍。リズムをつけ、左足で放った二段蹴りシュートは、敵のゴールに吸い込まれた。

 そして、試合終了の合図が鳴る。

 

 

 

(TEAM Z)1(TEAM X)

 

 

「借りは返したぜ」

 こちらのスキを伺って俺にやり返すただそれだけのために、ずっと待っていたのか。

 

「一生休んでてもいいぞ」

「安心しろよ。こっからは俺がメインだ」

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 それから俺たちはチームY、チームWと対戦した。結果は完勝、とまではいかず何点かは取られたものの、いずれも大きな得点差をつけて勝利した。

 今のところの得点数争いでは俺が6点、士道が7点と一歩リードされている状況。士道の得点力から考えても、最低でもあと3点は欲しいところだ。

 

 また試合の合間に俺たちは、チームで内でいくつかトレーニングを始めた。簡単なチームの方針と、それに見合った連携や動きの確認も含めてその練度を高めていく。

 もちろん、アイツは参加していない。

 

「んまーい!」

 

 そして現在、俺たちは食事をとっている。得点した点数に応じて支給されるポイントと交換出来るシステムを使って、俺たち3人はステーキを食べていた。

 

「ほのままいへははふほうふね」

「コラ、物を食べながらしゃべらない」

 ゴツン、と七星の頭に拳骨を落とす氷織。

 

「油断はするなよ七星」

「わかってるっすよ」

 イテテ、と頭を押さえながら七星は言う。

 

「俺やっぱもっと点とりたいっす!そうすれば迅さんにも追いつけるべ」

「僕も負けてられへんからね」

「なんかアドバイスとかないっすか?」

「そうだな」

 

 最初の試合から七星は1点、氷織は2点しか得点できていない。さすがに2人の中にも焦りが見え始めてきているようだ。

 

「打つなら必ず決めろ。シュートを外したら死ぬと思え」

「えらい物騒やね」

「ていうか余計に打ちにくくなったべ」

 

 3人の笑い声が食堂に響き渡った。

 

 

 

 

 

 残すところあと一試合、ついにその時がやって来た。

 敵はこちらと同じく未だ無敗のチームV。

 身体(フィジカル)精神(メンタル)共に問題なし。チームでやれることは全てやってきた。あとはただ勝つのみ。

 今、勝負開始の幕が切って落とされる。

 

「行くぜ」

 先陣をきるのはやはりこの男、士道 龍聖。抜群の身体能力とパワープレイで敵陣をドリブルで突き進んでいく。

 しかしさすがはチームV。今までのどのチームよりも、連携と統率ができている。今までと同じようには突破させてくれない。

 

「出せ」

「お、いいとこいんじゃん」

 

 ここで士道は一旦、パスを選択。受け取った迅は持ち前の足技で相手を交わしていく。しっかり食らいついてくるDFをいなしながら、自分を追い越し走る七星に向けて裏パスを放つ。

 

「よっしゃ、行くべ!」

 

 ややサイド側に抜け出した七星はドリブルを開始。中には士道と迅の2人。縦に行くと見せかけて中に切り込み、シュートを狙おうとするが。

 

 

「「俺に出せ」」

 

 

 その気迫に気圧されて、気づけばセンタリングをあげていた。ボールはややゴールに向かっていく軌道で士道のもとへ。

 士道はDFより一足早く跳躍(ジャンプ)する。それにより自分の方が先に触れると確信するDF。

 が、ボールは先に士道の頭に当たりゴール。

(俺の肩を利用して、滞空時間を伸ばしたのか……!!)

 

 

(TEAM Z)(TEAM V)

 

 

「良いクロスだったぜ、へアバンド」

「いや、俺はシュート撃ったつもり……」

「おい。次は俺にくれよ」

 

 いきなりの先制点に盛り上がるチームZ。反対にいきなりの失点を許したことで、1度気を引きしめ直すチームV。

 

「ゴール前での能力値(パラメータ)全振りの触覚と、技術(スキル)だけは1級品の天パ。ほんでどっちも守備とゲームメイクは二流と。だいたいVTR(モニター)で見たとおりやな。はいはいインストール」

 

 そして、まじまじと2人を観察する男がここにひとり。

 

 

「ほな、アウトプットといこか」

 

 

 

 

 

 

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