アニメ,ゲームにハマり様々な方の作品を見て筆を取ってみました。
少しの暇つぶしにお楽しみください。
ウマ娘ー
その存在がいつから,歴史上に現れたのかは定かではない。
人と近く,遠い者。
人に近しい見た目をしながらも,五感も身体能力も遥かに凌駕するウマ娘。
共に暮らし,時には争いー良くも悪くも永く,深い切っても切れない関係性を築いてきた別種の存在。
古代,近代,そして現在。
時は流れ,人の文化や流行が変わる中,彼女らの存在価値も大きく変わった。
人を遥かに凌駕する身体能力は,全力で走れば時速50キロは超える。その身体能力を存分に発揮できる最高のステージが〝ウマ娘レース〟である。
見目麗しい彼女らがその身体能力を。闘争本能を。勝利への飢えを。たった1席の王座に居座るために全てを剥き出しにして走る〝レース〟
そして,栄光を掴んだ一握りの実力者のみが立つことを許される〝ウィニングライブ〟
他にも,ウマ娘のアイドルーウマドルー達によるメディアへの進出。引退後もその身体能力を生かして格闘技に進出するものもいる。
今や,彼女らは世間から〝偶像化アイドル〟といっても過言ではないだろう。
そして,彼女らを支えるのもまた人である。
この世界は,基本〝人〟と〝ウマ娘〟で回っている。
さて,ここで問いかけたい。
果たして本当に,この世界にはこの2種しかいないのだろうか?
なぜ,亜人ーデミヒューマンとも言える存在が〝ウマ娘〟しか認識されていないのだろうか。
遥か神代まで遡れば彼らは存在したのだ。
半神,人狼,エルフ,吸血鬼,雪女,サキュバス,デュラハンー
全て〝フィクション〟?
ゲームや小説だけの話?
ふむ,確かに一理ある。
私も実際に見たことはないからね。
それでは逆に聞きたい。
いつから君たちは,その頭の中にある情報だけが世間一般で言う,〝当たり前〟だと思っているのかね?
〝事実は小説よりも奇なり〟だよ。
バツン、とテレビの電源を切る。
くだらない。あぁ実にくだらない。
たまたま目が冴え,リビングの机に置いてあったリモコンを手に持ちチャンネルを回していたそんな時だ。
ウマ娘という世間一般で誰もがそのレースを,存在を見たことのある〝種〟について適当な弁論を上げる番組に指が止まり,眺めていた。
だがウマ娘から亜人種ーデミヒューマンの存在を話し始めた時点で一気に興味がなくなった。
何が亜人は存在するだ。何が〝事実は小説よりも奇なり〟だ。
そんなもの,存在するに決まっているだろう。
顔を手で拭い,テレビの上の時計にを向ける。その針が2時を回ろうとしていた時だ。ポケットの中から〝ポコン〟と電子音が鳴る。
(こんな時間に誰だ。)
気怠げに端末を取り出すと,画面にはメッセージが1つ浮かんでいる。
「こんな夜だ。どうせ起きているのだろう?」
こちらが起きていることを見越したような台詞に小さく笑い,彼に通話を掛ける。
コールオンが2回。メッセージを送ってきた相手はそれに応じた。
「やぁ,こんばんは?おはよう?どっちでもいっか。」
「こんばんは,でしょう世間一般だと。」
深夜とは思えないハッキリとした声の主に,小さく笑みを浮かべながら挨拶を返す。向こうは笑いながら「ごめんごめん」と謝ってくる。
相変わらずの元気な様子に小さく笑みを溢す。少しは眠そうに話したらどうなのだろうか。
「で?何の要件ですか。」
「ん,あぁ。仕事だよ仕事。」
そう返す相手の声色は笑い混じりな様子から一転して,真剣なものに変わる。
「ウマ娘の存在は知っているな?無論その価値も,歴史もだ。」
「は?」
「あぁ,馬鹿にしているわけじゃない。念の為だ念の為。」
知らない方がおかしいだろうという質問。そして先程のテレビの内容も思い出し思わず口に出てしまった言葉に向こうは宥めてくる。
「知っていますよ。ライブ,レース,格闘技,ラジオ,テレビ,アイドル業。他にもウマ娘関連の仕事や運送業…人間以上の身体能力を持つ彼女らの種は今も昔も世間から欠かせないものですから。」
そうだ。今やウマ娘はただの種ではない。この世間の経済を大きく回す巨大な歯車と言っても過言ではない存在なのだ。
そんなことは誰もが承知している事実であり,今更問いただされるものではない。そんなことを考えていると相手はこう返す。
「じゃあ彼女らには莫大なお金が掛けられていることも知っているね?」
「…学費やイベント,レースの開催費用ってことで?」
「そんなありきたりな事で電話などするものか。分かっているのだろう…ウマ娘という名の商品売買だよ。
まぁ平たく言えばコレクターに買われているという事だ。それも高額でね。」
淡々と話しているその声は低く,電話越しでさえも背中が凍るような重圧を感じさせる。
少しの間が空いたあと,相手は再度口を開く。
「…今やウマ娘業界において,スター性のある者や素質のあるものほど高額な値がつけられている。地方,都心問わずだ。
まぁ,それがプロスポーツ界などでいう契約という名文のものならいいさ。しかし,今回はそうではない。ゲロ以下の腐った精神を持つ金持ちたちが自分の私欲を満たすためだけに,〝ウマ娘〟という名の〝宝飾品〟を身につけ,自己満足に浸るだけだ。人権もクソもない。
お前はまだ若いが…能力的にもピッタリだと判断した。」
というか私が命じた。
「強引すぎませんかねぇ?」
「うるさい。」
もうやだこの暴君…仕事できる上に物理的にも勝てた試しがないのだから,これ以上は何を言ってもダメだろう。
ハァ,と溜息を溢し,頭を抑えながら口を開く。
「いつからですか?期間は?場所は?任務内容は?」
「任務開始は1週間後から。内容と期間は明日…ではないな。今日の昼頃に迎えに行こう。そして場所についてだが、有名どころだ。お前も何度か耳にしたことはあるだろう?」
日本ウマ娘トレーニングセンター学園
通称〝トレセン学園〟だ。