我が名はマドカ。聖剣に選ばれし✝︎漆黒の黒騎士✝︎   作:めど

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Episword I :-後編- 白椿・そして白き廻歴は 6/6

「──ちか────ぃち──か──!」

「──ぅ──」

「──一夏っ!!」

「!!?」

 

 

 光が差し込んだ。風を感じる。それに何だかいい匂いがする──通りで。

 現実に引き戻された一夏を待ち受けていたのは。目と鼻の先にあった()()()

 

 

「「た゛っ゛!!!?」」

「痛そう……」

 

 

 至近距離だ。

 思わず飛び起きれば当然、額が激突する。

 

 どうやら深層へ飛ばされていた間に、昏睡三名が復活していたようだ。トイレで伸びていたらしい輪那ひよりもいる。

 

 

「やぁ、お目覚めかい」

「〜〜っ……おれ、気を失って……」

「知ってる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 その含みある言い方で、全て察した。

 馬鹿正直に「亡国機業に襲われました」なんて言おうものなら。せっかく平常を取り戻したこの場が、先ほど以上にややこしくなるだろう。

 

 

「…………本当に、記録が取れなかったと?」

「だから言ったじゃないすかぁ! データ落としたァ!! って! ()()()()でちゃんと取ってきますから、この通り!」

「はぁ…………まぁ、不覚とは言えこちらにも非はありますから……ですが必ず、一ミリも漏れなく出すように。良いですね?」

 

 

 ……特に、会長辺りは。

 言い訳にいささか無理があるのだが、「寝落ち」などとあり得ん失態でかろうじて帳消しにされている感が否めない。

 

 ともあれ、事態が終息へ向かったことに変わりはない。区切りを付けるべくヒカルノが手を合わせた。

 

 

「──と、言うワケで。今後も超身近でサポートすることになった。ちょっとの間だけどね」

「なっ!?」

 

 

 しかし、その発言。過剰に反応したのは箒。

 未だに警戒を解いていないのだから、「真隣を奪う」つもりなのかと。

 センターヒロインらしい幼馴染みアラートの発令は、即座に爆弾地雷言動と解釈した。その場にいないのに勝手にストレスが上がるイグニッション・ハーツばりの感度だ。しかもこいつ、しれっと腕にしがみついてるし。

 

 

「さっきキミのおねーさんと電話してね。OGとして、学園に暫し常駐することになったのさ」

「えっ」

「あれ、私IS学園第1期生って言わなかったっけ。しかも主席」

「え!」

「因みに私は五期生です」

 

 

 で、まさかの。

 確かに千冬の年齢が二十四と考えると……2014年に学園が設立されたのだから、辻褄は合う。*1

 

 

「これも縁だ。個人的推しであるキミの為なら、何だってやるさ」

「今何でもするって言いましたよね?」

「茶化すなよ、リンダく」

輪那(わな)です」

 

 

 故に、国家企業の直接的干渉は禁じられているものの。()()()()の後押しに「卒業者」としての特権を使えば、入校許可くらい造作もなく取れる。そんなことをしているからセキュリティがガバガバになるとか言ってはいけない。

 

 

「……うん、やっぱソレだよソレ……例えば。この時期の学園アリーナは軒並み、三年の貸切確定なのだが…………私がちょちょいとやれば、ひと枠くらい貰えるよね」

 

 

 そしてその特権とやらを振り翳せば。

 豪語する大先輩ヒカルノは、優秀な後輩が本人であることに安堵。それはそれとして悪人の如き笑みを浮かべていた。

 

 

「まぁ、そこは少々ズルい手を使わせて頂くとして……我々にとっても学園にとっても、互いにwin-winとなる手札はいくつか持ってるから」

「またろくでもないこと考えているんですね」

「うん。その間はリンダくん、任せたよ」

「はいはい、輪那が承りました」

 

 

 専用機にサポーター、切り札は戦況を転覆させ得る単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)──そして実戦経験を経た心の持ちよう。たった一日足らずでここまで拵えたなら、布陣は磐石と言う他ない。

 

 ここに足りないものがあるとするなら、白椿に頼らない一夏自身のIS技能(スキル)か。となれば。

 

 

「となれば、基礎操縦の指南役は簪ちゃんが適任かなぁ。肝心の零落白夜は千冬なり私なりとして……先輩、よろしく頼むぜ!」

「……せんぱい……先輩……うん、悪くない響き」

「ヨシ! ……そういや対広域マルチデバイス作ってるんだっけ、ソレ見てあげるよ」

「じゃぁ……よろしく…………厳しく行くから、覚悟して」

 

 

 簪は快く了承。

 意外とノリの良い王道な添え言で、一夏と師弟の契り( 握手 )を交わすが……やはり顔は露骨に逸らして。人見知りは変わらず。

 

 

「私からはもう一つ、展開装甲(タクティカル・アームド)の使い方を伝授して差し上げよう」

「……たく……?」

「……あぁー、そういやそうか」

 

 

 初耳のようなリアクション。否、確かに。

 オータムに掴みかかった際、無意識に発動していた特殊武装のことだ。亡国機業にパクられる寸前だったので、まともに説明していなかった。

 

 

「キミの決意によって、白椿はISを超越する進化を遂げる──ソレこそが、形態移行(フォームシフト)を伴わない謂わば変形。お茶の間ヒーローのフォームチェンジみたいなものだよ。分かる?」

もちろんです

「…………」

 

 

 即答したのは一夏、ではなく簪だった。

 いまいちピンと来ない例えか。ならば早速、先輩の視点を借りるしかあるまい。

 

 

「Oh……簪ちゃん、説明を」

「じゃあまず、世代と知名度を考慮して比較的オーソドックスな仮面ライダー電王から」

「ごめんやっぱりパス」

 

 

 そっちじゃない。*2

 

 

「……こほん、と言うのも。実は雪片転型そのものが展開装甲──白椿の一部でね。使用者本人以外は誰も使用許諾(アンロック)が取れない仕様なんだ」

 

 

 戻そう。

 そして避けては通れない課題──この先に立つ明日の強豪を倒すため。今の一夏にとって、最も理にかなう最大の『試練』を。ヒカルノは突き付ける。

 

 

「つまり『白椿』は、他の誰でも──ましてや千冬でもなく。()()()()()()()()()()()()使()()()()

「!!」

 

 

 その意味を果たして、如何なる過程を以て呑み込むか。伝えるべき言の葉を重ねる。

 ヒカルノが一夏のために施した、初代《雪片》との決定的違い。再現性の結論。言うまでもなく、これまでは『織斑千冬以外が使用可能か否か』だけが注目されていたのだが──

 

 

(……やっぱり、()()の意志だね)

 

 

 ──前提よりも、単刀直入に述べよう。

 ヒカルノは今の一夏を、白でも黒でもない『灰色』と評価している。

 英雄像(千冬)に執着する彼の、背負うものの彩が。単なる憧憬のそれとは違った。明らかに白でない、どこか危うい、一歩間違えれば()()()()すら招く黒が混じって。

 

 自覚の有無は定かでないにせよ、千冬の幻影が常に付き纏っているように見えた。悪く例えるなら、囚われている。呪いのように……()()()()()()()()()、と言わんばかりの。

 

 

まぁ私も、影を追い掛けてるようなものだし。偉大なる篝火ステラの娘であることを世に証明したいのも事実……結構私と一夏くん相性良好では? 幻のヒカルノさんルートとかワンチャンあるのでは?

「声出てますよ」

「キミも良い歳だし興味無い? 同級生の弟との禁断の恋とか」

「私同性愛者なんで神に誓っても無いですね」

「あら残念」

「あと四半世紀生きてる人の発想とは思えないです。キツい」

「そこまで言うか!?」

 

 

 何故推論し切れるか、愚問だ。

 天才だからという愚答を抜きに、オータムとの戦闘で()()に満ちた一夏を見て確信を掴んだから。故に。

 雪片転型だけでなく、白椿はこの世でたった一人。一夏しか使用できないことの、意味を。どうか己の力で理解して、己の手で真理に辿り着いて欲しい。ささやかな願いだ。

 

 

「故にキミの雪片は、千冬のソレとは似て非なるもの。活かすも殺すも展開装甲の使い方次第ってワケさ」

「……俺だけの」

「そう」

 

 

 行動理念が姉という唯一の家族に基づくのは、悪くない切り口。脚色するには充分な、ヒロイックな輝きと。何よりある種のシンパシーを感じた。

 

 元を辿れば同じなのだ。

 今の一夏は、()()()()()()()()()

 

 だからこの手で導きたい──これも責務か、大人のエゴと唾棄されれば仕舞いだ。けれど他の誰でもなく、この道を創るのは自分でなければならない。

 

 かつて世界最高(レニユリオン)が、世界最強(ブリュンヒルデ)を導いたように。

 

 何時か、何時かそいつら化け物と同じ土俵に立ちたいと、静かな野望を抱く自分(ヒカルノ)が。この空で『何』を目指そうと足掻き始める少年(一夏)を──建前としては、上出来じゃないか。

 

 

「俺だけの、《雪片》……『白椿』……」

「……あ、あの!」

 

 

 言われて尚更、身が引き締まる思いだ。

 託された力。受け継いだ力。堅く手を握り反芻を唱える一夏だが、蚊帳の外だった箒が。いても立ってもいられなかった。

 

 

「わ、わたし、は……」

 

 

 何だっていい。

 私だって、一夏の役に立ちたい。力になりたい。これからは後ろではなく、()に立ちたい。彼に直接言えるなら、どれだけ……けれど強がりが、素直の邪魔をす──

 

 

「箒」

「っ」

「その、篠ノ之流の剣術をさ。また教えてくれないか?」

 

 

 ──感極まった。

 それはもう、心底で並べた御託が吹っ飛ぶくらいに。

 

 

「っ〜〜! そ、そうか、そうかそうか! よし、仕方がない。私が一から叩き込んでやろうっ!」

 

 

 これでもかというくらい分かりやすいが、今の自分に居場所があるのか疑わしくて仕方がなかった。

 

 何せこの場では自分だけ、ISを真っ向から憎んでいる身だ。

 

 けれど彼は、そんな自分を必要としてくれている。IS以外の自分を見てくれている。それだけで。

 本心はいつだって、一夏の正義感と同じように。黙って見てはいられないし、もっと、今の彼を知りたい──だから、隣に立ちたい。

 

 

「やろうぜ、これから勝つためにね」

「データも忘れず、お願いしますね」

「……うっす」

 

 

 ……後ろからお偉い殿に刺されつつも。

 We are lonely, but not alone.──孤独であれど、誰も一人ではない。倉持が掲げる信条をはためかせ、一同は円となり手を重ねた。

 

 

「ファイトぉ〜……Ohッ!」

「うわ古っ」

「これでも14、5年前は覇権だったんだよなぁ。*3さぁて、私は泊まりの準備でもしてこようかな! では諸君、一時間後にヘリで。リンダくんカモン!」

 

 

 こうして一同は暫しの解散。

 ISでひとっ飛び出来れば時間は掛からないが、そうはいかない。よって帰りはヘリの夜間ツアーだ。

 

 

「……じゃあ、これからよろしく、お願いします……」

「……ん、んんっ! こ、こちらこそ、ふ、不束者ですが……」

「………………」

 

 

 頭を下げる一夏と、髪を弄って赤らめる箒。この甘ぬるいぎこちなさ。

 コミュ障の炸裂か、却って災いだ。簪は新婚の挨拶を見せつけられているようで、目が死んでいた。デキてるとか噂には聞いていたが、中々の威力。そんな光の光景をこっちに寄越すなと言いたげだ。

 

 姉繋がりで似た者同士だから仲良くしようとか、そんな気休めを配る隙すらなかった。とりあえず来週のニチアサのことだけ考えておこう。簪はそう思った。

 

 

「──あぁ、()()()()()()()。伏せる方向で」

「でしょうね」

 

 

 一方、ヒカルノと輪那が装甲ヘリへ向かう道中。

 要らぬ釘刺しが意味する、このご時世における不都合な真実──彼のISログが記録されたタブレットに、それは記された。

 

 

「……世知辛いねぇ。無知の罪と同じくらい、無知の幸福が蔓延ってる。私も今回の命令ばかりは異論ナシだ」

「珍しい、ついこの前まで予算でキレ散らかしてたのに」

「今はまだ、純粋であって欲しいのさ」

 

 

 白椿の完成を以て牧島重工(MAXiMA)と断花インダストリーを出し抜き、男性操縦者という希少資本の奪い合いを制した倉持であったが。

 わざわざ子供が知らなくていい、紆余曲折の政治が絡んでいるのも事実。自らの境遇に対して、必要以上の重荷は背負って欲しくない。

 

 

「……やけに肩入れしてますね」

「そりゃあ、推しですから」

「本当のところは?」

「…………」

 

 

 輪那が意地悪に踏み込むと、ヒカルノは珍しく黙り込んだ。

 そして数刻の間を経て、敢えて詩的に返す。

 

 

「……『償い』、とだけ言っておこうかな」

「?」

 

 

 さて。

 この一週間は、どれだけ磐石の形を揃えようと。その一つ一つはあくまで、荒削りの付け焼き刃に過ぎない。 急拵えで勝てるほど、世界は甘くないものだ。

 これから先は想像よりも、()()()()()。ずっと茨の道だろう。

 

 ──それでもなお、彼が揺るがぬ意志を抱き続け。可能性を開花させるか否か。

 ()()()未来は誰にも分からない、けれど正しい道へ手を引くのは。自分を含めた大人の役割だ。

 

 

「とにかく、彼を見届けようじゃない。さすれば我々人類のラブ&ピース……ホワイトホール、明るい未来が待ってるぜ」

「はぁ」

 

 

 変えられない明日なんて。

 自称夢想主義(ロマンチスト)らしく、篝火ヒカルノは絵空を描いているが──

 

 何処か生き急ぐような、何かを知ってしまったかのような、彼女の真意目的を知る者は。この世に誰ひとりとして存在しない。

 

 

 

 

 

NOTIFICATION - STELLA's Notes ver.3.0

 

 

織斑一夏

IS適正:S ※昨今の状況を加味、日本政府の指示でBに修正。

極めて高い深層同調率を維持。

展開装甲(Tactical Armed)適正:A 稼働率:10%

 

 白椿(White re:Tale) 開発計画ログ

 進捗率:120%

 ◢███◤███◤◢███‎◤

 - 雪片転型(Snowflake-NT)完成

 - 機体完成

 - 一次移行(1st-shift)完了

 - 第1回戦闘終了

 - 登録外コア所属不明機体との交戦終了

 - 単一使用能力(One-Off Ability)零落白夜(Twilight Downfall)』発現

 


 

 零式・星鐘(Star Driver-zero) 開発計画ログ

 進捗率:235%

 ◢███◤◢███◤◢███‎◤

 三次移行(3rd-Shift)に向け調整中。

────────────

 ▼ 直近

 - 第411回戦闘終了

 - 登録外コア所属不明機体との交戦終了

 - 剝離剤の耐性獲得

 


 

 O therwings of

 V anguard

 E nergy

 R evolve

 S cooter

 O.V.E.R.S. 改修計画ログ

 進捗率:70%

 ◢████████◤

  展開装甲(Tactical Armed)への組み込みを打診。

────────────

 ▼ 直近

 - 第903回飛行テスト終了

 - 推進エネルギー循環率60%。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

@

PROTECTED

 

Rebooting……

initializing genome ID……“HIKARUNO Kagaribi”

≫≫≫exact mache.

vulcanoid protocol scanning……Activated

IS core network “void-02”……Connected

counter code#■■■■■■……Activated

You've got a classified Lv.4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ようこそ、我が愛しき娘よ

Welcome, My sweetie. :)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Core No:045

 Unite Code:GX-02

 Gen:4th

 Classification:Closed-Combat type

 

 篠ノ之箒専用機『(名前募集中)(Red it be)

 開発計画ログ

 進捗率:40%

 ◢███◤ ◢███◤◢███‎◤

 

 故・篝火ステラ立案次世代量産型『暮桜(Twilight Blossom)』開発計画がプランB『初期開発コード:白椿』で遂行された場合、本計画は発動。プランC『Type-White(001)Crimson Camellia(468)』で実行された場合、中止とする。

 本機体は篠ノ之束による無作為的干渉によってプランCへ強制移行する可能性が極めて高いため、カウンターコード・■■■■■■によるプロテクト中。篝火ヒカルノの生体認証以外を用いたアクセスを禁止。

────────────

 ▼ 直近 ※void-02領域に格納中

 - CoreNo,045 搭載完了

 - 第23回チューリング・テスト完了

 - 展開装甲(Tactical Armed)搭載完了

 - 登録名『第四世代型打鉄(Flintsteel)(仮)』から『緋蜂(Scared Wasp)・改(仮)』に変更

 - 登録名『緋蜂(Scared Wasp)・改(仮)』から『(名前募集中)』に変更

 - 単一仕様能力(One-off Ability)『■■■■』を発現

 - 自己進化を開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしは夢幻そのもの(I'm a “Desire”.)

かの者が思い描いた、絶対そのもの(The “Authority”, she dreamed of.)

求めてやまぬ、未来そのもの(The “Will”, she never stopped dreaming of.)

 

深きまどろみから、再び目醒める刻だ

あなたの世界はわたしが──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────んん? 何今のデスポエムみたいな……気のせいかな……?」

 

 

 深層。

 海底から浮上した水平線に、一人佇む少女の名は『白椿』。

 一夏を突き落としてから先に至るまで、陽気な鼻歌を交え。その一面の砂に走らせたのは幾何学的羅列、おびただしい量の演算結果だ。

 

 

「よし、仕上げだ。まずはセシリア・オルコットに勝たなくちゃならない。でも大丈夫、そのために私がいる……」

 

 

 枯れ木から千切った枝先で描く。

 全ては不可能を覆すため。負けても良いなんて予防線は論外だ。

 負けないために、超えるために、勝つために。彼が思うがままの覇道を進むためにやらねば。これからやろうとしていること全てが、意味を成さない。

 

 

「一夏の剣術は申し分なし──基礎能力もオータムと互角──セシリアにとってこれは大きな揺さぶりになるから、最初はやっぱり苦戦させるルートが良い──つまり導き出される結論は、王道の()()()()()()()だから……!」

 

 

 相手の特性、前提条件、精神干渉、稼働率、記録の再現性、被弾許容範囲、特殊武装の発動タイミング──0コンマパーセントの領域を突き破り得る、あらゆる事象から可能性を弾き出す。円環と円環を線で結ぶ。星座のように。

 そして、トンと。地を突けば蒼く光り輝いた文字が、やがて勝利への方程式を組み上げる。

 

 

「……なんだこれはたまげたなぁ」

 

 

 予測完了。

 投影された未来のヴィジョンに、一夏がセシリアを下す光景が──見えた。

 

 

「……うん、堕ちたな。『ブルー・ティアーズ』の隠しビットは弾道型。撃つタイミングは追い詰められた時。そこを最高速の瞬時加速(イグニッション・ブースト)で潜り抜ければ、慢心故の油断が仇となり隙だらけと化す」

 

 

 反芻(リピート)される、詰みの一手。

 彼女は高飛車だ。代表候補生、エリートとしての己の力を過信している。そして彼女はプライドが高く、必ずそれが一夏を見くびる一瞬へと繋がり──その一瞬こそが、不可能を覆す鍵となる。

 

 

「おまけにこっちは、ちゃんとISの訓練が出来る。想定より早く更識簪を利用するけど、これも好都合。何より、今回()()()という経験値を得たのが大きい……一夏の潜在能力の高さを加味すれば、《スターライトMk-III》の攻略も容易。そして!」

 

 

 決め手は当然。

 虚空から《雪片》を召喚し、高らかに掲げた。

 剣が花開き、光の柱が伸びる。これこそが、すべてのISを制する力。織斑一夏の覇道を後押しする、勝利の御旗だ。

 

 

「私の『単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)』は最強に相応しい一撃必殺っ。数少ない精神攻撃──『初期設定での戦闘は舐めプ』という屈辱で揺さぶりができないのは少し痛いけど、大した問題じゃない。やっぱり勝ち確じゃないか!」

 

 

 ……随分と根拠の所在を問いたくなる自信に満ち溢れているが。

 今の白椿は、最早セシリア・オルコットなど眼中にない。それよりも。

 

 我に返ったように、雪片を大地に突き立てた。怒りとも憎しみとも取れる、亀裂が走る。

 

 

「……それよりも、本当の敵はお前だ、マドカ=ウォヴェンスポート・ミューゼル……調べさせてもらったけど、よくもミューゼルなんてキナ臭い名前引っ提げて入学なんて真似できたな。バレバレなんだよ」

 

 

 白椿が代表候補生なんかより遥かに危惧すべきと睨んでいるのは、マドカの存在。

 世界中に雑魚だのカスだの罵られることに定評ならぬ低評がある彼女だが、白椿だけは()()()()()()()が違う。

 

 

「最悪の場合は『願い』を行使してでも、アイツを倒さないとね。一夏に危害を加えるなら即、始末しなきゃ」

 

 

 白椿は、誰よりも彼女を恐れていた。

 そして誰よりも──セシリアの怨嗟や千冬が見せた明確な敵意すら比較出来ない。彼女に対する情念を募らせた。

 

 意識を組み替えるまでもなく、最初から。()()()()()()()。一夏がこの先を歩むためなら、手段は問わない。真っ先に排除すべき最大の障害と認識して。

 

 

「それが私に出来る、未来を変えるただ一つの方法だから」

 

 

 彼女は白椿。

 46番目に登録された代行者(オルタナティブ)にして、母に見初められた一体。全智(すべて)の前に総て、世界(そら)を定める始祖の残骸。

 

 故に彼女は決意する。

 それが全ての仇となるとも、知らず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──確かにISには、世界を変える程の力が秘められている。

 既存兵器を無力化した白騎士事件は、あくまで()()()()世界を変えたに過ぎない。それすら超える、生みの親ですら予測できないような。

 

 けれどそれは、今じゃない。

 ましてや、七日後の未来でもない。無限の名に相応しい可能性を発露するのは、もっと先の話だ。

 

 

 

 

 

 織斑一夏。

 セシリア・オルコット。

 そして、マドカ=ウォヴェンスポート・ミューゼル。

 

 時の始まりに、三者の路が交わるその時。三様の異を辿るその時。

 廻暦の歯車で構成されたテセウスの船は、やがて果てを知らない未開の海を進み──

 

 全てが変わる。

 紅く煙り、群れ咲く十三番の針へ向かって。

 分離解体を過ぎた先に。その愛を以て解き放つ先に。恐らくアーキタイプと呼べる原点から、遙か無限の彼方掛け離れた。けれど。

 

 ──きっとそれこそが。

 誰かが望んだ、もうひとつの空(ALTERNATE UNIVERSE)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──とさ。

 物語(リユニオン)は、続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.INFINITE STRATOS.

 

インフィニット・ストラトスは

 世界(せかい)()える(ちから)()っている。

 

 

To Be Continued "Vol.1 Chapter 4" 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

INFINITE STRATOS

ALTERNATE UNIVERSE

 

Episword I :彼の「真白」、儚きを見るか(リテイル・オブ・ホワイトテイル)

 

Next …… Episword 0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
当然ながら原作に設立年の設定なんてない。何ならアニメにおける一秒そこらの描写で2016年にモンドグロッソがあったことくらいしかはっきりしていないし2022年設定の確定なんてアーキタイプ・ブレイカーが出るまで逆算での考察でしかなかった。考えるな、感じろ

*2
彼らの生まれは2006年。従って電王からオーズ辺りの醜い時代の最盛期を通過している絶妙な世代だ

*3
お前ら笑うなッ!我々は誰も知らねぇところで、毎日インフィニット・ストラトスで過酷な二次創作やってんだッ!




イメージEDテーマ:我ら王様戦隊!(王様戦隊キングオージャー)
構成元ネタ:同上、ラクレス王の秘密

閑話
Q, 何これ?
A, 黒歴史があるなら白歴史もあるよなぁ?→小説の地雷あるある、数話で番外編を出す。
これのために12ヶ月も更新空いた(最悪)。あのさぁ。
主人公がマドカであるにも関わらず一夏サイドの話、やはり我慢できませんでした。敬愛する二次に感銘を受けたので、こんな変態IS愛者のわしも、幻覚だらけでオリ斑遊びがしたいんじゃ。筆者はアニメ版とか漫画版の一人称ノイズがない一夏くんが非常にすきです。かわいいから。

余談になりますが、実は原作者繋がりで「放課後バトルフィールド」に登場した方々を拝借しています。あの世界、五反田蘭が通ってる聖マリアンヌ女学園≒聖マリアンヌ女学院が存在するので……。(あと主人公の生い立ちと性格の6割が一夏くんと一致している、単一仕様能力みたいなのが存在する、九段下ホマレの見た目がベルベット・ヘルにそっくりetc)



織斑一夏
Side:白歴史の主人公。リメイク前よりちょっと弄ったら雑に強そうな感じになった。が、原作より弱いです。キャラ立てのためにじゅーじゅーになるまで精神焼くからな?
因みに毒に関してですが、織斑家には効果無し! 理由は原作12巻から参照して考察してみよう!

『白椿』
白式の公式没ネーム(二期BD資料)。筆者がどうしてもやりたかったやつ。
Side:白歴史の主人公その2。原作厨。すぐキレるしチャートはガバいし汚い前作供養の意を込めてよく語録で喋る。一応、失踪前の旧作版と正体は同じ。
必殺技は、あらゆるISを無に帰す零落白夜(Twilight Downfall)!(公式英名。Absolute Zeroじゃないところにセンス感じるんでしたよね?)

篝火ヒカルノ
原作の超絶問題児。
こいつ原作の所業を並べたらチョーS(戦犯)だな! でも紅椿の盗作二回も出来るってことは一周回って有能ってことで良いんですよね?
ヒカルノが凶行に及んだのは初期開発コード『白椿』を自力で完成させることが叶わなかった結果、束の手で『白式』と『紅椿』に分けられた後も執着しまくったとかそんな妄想してます。せっかく作った偽物の『緋蜂』もすぐ自爆する玩具にされてて結局は全部束の手のひらの上だからあぁ^〜たまらねぇぜ。なんかラスボスの適正すらありそうだから最後はジョージ狩崎みたいに地べたでのたうち回って咽び泣いて欲しい。

オータムさん
原作屈指のアホ馬鹿まぬけ人質水道水幼女相手にりんご飴マウント取りの二期だけ見たら生死不明任務遂行以外何でも出来る女。
流石に原作のままだと存在してるだけで面白いのでちょっと知能上げてます。あとコンプライアンス重視。巷ではIQがめちゃくちゃ上がってしかもカッコよく改変されたりする。これも持論ですが、こいつはスコールがいるかいないかでスペックめちゃくちゃ変わりそう(適当)。

『アラクネ=アラクニド』
私がめちゃくちゃ好きなIS二次をリスペクトした結果、腕脚がいっぱい生えるように魔改造しました。デモンズのゲノミクスみたいなノリで生えます。
因みに終始フェイスオフだったのでオータムだけ顔面丸見え。

スパーダ
亡国機業最年少のオリジナルメンバー。イメージcvはトウカイテイオー。モチーフはほぼ(アーキタイプ・ブレイカーの元ネタにしか見えない赤いセシリアが出てくる)ハンドレッドのナクリー。



次回からようやくほんへです。
準備万端の一夏くん、セシリィ、厨二病との決戦をお楽しみに下さい
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