我が名はマドカ。聖剣に選ばれし✝︎漆黒の黒騎士✝︎ 作:めど
簪
迷いを捨て、覚悟を決め……ネット小説を読む時は、部屋を明るくして離れて読んでね……。
ヒカルノ
ただでさえ文字数多いのにまだハードル上げるの!? ……とまぁ、今回は後半もあらすじやっちゃうよん。
467機存在する強大なISの力を巡り、我が国を含む世界は日夜、天下分け目の混沌を極めていた──!
簪
仮面ライダービルドの桐生戦兎は、北都の
ヒカルノ
簪ちゃんストップ!
ストーップ!!
簪
……違う?
ヒカルノ
違うよ!! BGMも止めて!
……んんっ! そんな中、唯一の男性操縦者織斑一夏は、倉持が誇る最高最善最新最強の専用機『白椿』と共に、クラス代表決定戦に挑むのでありました!
修行の成果を見せる時だよね!
簪
……正直、一週間だと稼働時間が全然足りない。
一応BT対策も有線兵器で練習したけど、勝手が違い過ぎるから。あまり意味ない。
ヒカルノ
辛辣!
でもなんやかんやで一夏くんはマドカちゃんとのコンビネーション抜群なんだよね。ついでに最強の単一仕様能力『零落白夜』を発動させ、セシリアちゃんに一発お見舞い!
……だがしかしbut however! ベクターキャノンでスターライトブレイカー的な砲撃を、ぶっ放した!
簪
これ、やっぱり詰んでる……。
ヒカルノ
ま、まぁ、そう言わずに見届けようじゃないの!
ここからどうなる、決着の後半戦!
簪
……目覚めよ、その魂。
「ポップコーン、コーラはいかがですか〜今なら110弱円で販売してま〜す」
「108円をそんな言い方する奴嫌過ぎんだろ」
「114円かも知れないだろ(近代の誤用)」
「これ指摘したら淫夢厨ってバレるかな」
「軽減税率ネキすき」
全く救いようのない観客席。
無論、公でこんな汚い言霊を流布するのは恥ずかしいことである。良い子のみんなはしないようにしようね。
「……で、決めた?」
「当たった人にケーキ奢りね」
「ケーキ!!!」
その一方、数少ない正気のトリオこと。岸里、谷本、のほほんさんは学生らしい賭けに興じていた。
勝負の場なら醍醐味と言っていい議題は、「誰が勝つか」、なのだが……
「「「せーの」」」
「織斑くん」
「オルコットさん」
「せっし〜」
「そこは『まどっき〜』じゃないんかい」
そこに無ければ無いですね。
とでも言わんばかりに、「誰よりも退場を望まれた女」ことマドカ=ウォヴェンスポートの名前は挙がらない。そりゃそうか。
「わたしは常に、つよい者の味方なのだ。ケーキのためならぁ〜手段も〜問わな〜い……ぇへへぇ……」
「「えぇ……」」
ケーキを頬張る己の姿を勝手に想像しては、勝手に涎を垂れ流すのほほんさん。
菓子を天秤に掛けて、いとも容易くマドカを裏切った女だ。しかしそれは、如何なる秘匿でも菓子を生贄にすれば大抵全部吐いてくれることの裏返し。諜報役としては最悪の欠点だ。
「じゃあ織斑くんvsオルコットさんの一騎討ちですが」
「っぱ千冬様の弟でしょ。相性最悪かも知れないけど……何だかんだ決めてくれそうな気しかしないっすね。主人公補正的な」
「ほんとそうよねぇ……あーあ、すっかり男前になっちゃって……」
「うんうん、おりむーは漬けめんなんだよねぇ」
「ネタ古いな、って……」
「「誰!?」」
そんな中、背後から乗り掛かったツインテールの少女。念のため、谷本ではない。
この場で唯一、制服ではない私服姿だ。首にサングラスまでぶら下げて、まるで旅行帰りのような格好。恐らく一夏を指した言動なのだが、頬をほんのり赤らめている。
「ん? アタシのこと知らない? さてはアンタらモグリね」
「侵入者、大発見! 良いよねゆっこ、親方に連絡させて貰うね」
「親方って誰だよ」
「あー、
板切れを見せてやると、確かに刻まれた「1年2組」の文字。
IS学園の生徒に間違いない彼女は、そして宣言。挑戦状を叩き付けるように。
「何時か
中国代表候補生、
前年の公式戦後期にて突如現れた彼女は、常軌を逸するセンスのみで。僅か半年で
「ねぇ! アタシもポップコーン頂戴! キャラメルで! あとコーラ! ……サイズ? そりゃ一番デカいのに決まってるでしょ」
「「もう馴染んでる」」
ギャラリーとして居座る彼女も。
言うまでもなく、
2019年に経営破綻したオルコット・エンタープライズは英国破産法第10項、通称Section X*1適用の申請に基づき民事再生計画を実行。
その際にIS開発部門の提携先にして最大のスポンサーであった当社の支援を受け、一連の再建プロセスを完了させた。
ただし継続的支援の絶対条件は二つ。
「セシリア・オルコットを『スターリー・ブルー・インクラッドの』代表パイロットとして国家代表候補に選出」。
そして、「BT計画に関する全ての権限を移譲」。
……因みに代表のモルガン・ル・エルメリーナは、
故アーサー・オルコットの元カノ。
| 『悠長に紹介してる場合じゃないんだって! アカンこれじゃ完全に死ぬゥ!』 |
「ぐ、……! あぁ、ッ……!!」
六連の蒼き門から放たれ、黄昏を穿つ柱となった決戦砲。
正確無比のレーザービット速射を経て、大気中に分散したありったけの活性化BT粒子を一点に掻き集め。その塊を叩き付ける。
要は序盤でバカスカ撃ちまくって出てきた残りカスを再利用。頃合いを見てブッ放すだけという、極めてシンプルでエコロジーで、無駄のない美しい発動プロセスだが。
その強大且つ圧倒的な、空間圧縮破砕作用はISの多重障壁を簡単に吹き飛ばす。
| 『ウ゛ワ゛ァーーッ!? ダメダメダメ! めちゃくちゃミシミシいってる! ガバガバになるってッ!!』 |
『なんという威力! これがオルコットの切り札なのかッ!! 零落白夜との真っ向勝負に出たが、レーザーと呼ぶには余りにも巨大過ぎる!!』
『おー、丸ごと吹き飛ばし作戦か。考えたねぇ』
『あのアホ、だーから言わんこっちゃない……』
「ドバーッと出してきた!!」
「キャノン砲〜!!(レ)」
「オラのギャリック砲とソックリだッ!?」
「F.C.O.H(太い長距離狙撃砲が織斑くんに入っちゃった)〜!!」
因みにこうも汚い声が沸きまくっているのは、このクソデカビームの飛沫が拡散して観客席のシールドにまで直当たりしているから。
まさに、顔面発射のド迫力を体感しているのだ。
『さて、この戦況……篝火博士に伺いたい所ですが』
『厳しいよ、一夏くんは。セシリアちゃんのゲームメイクは完全に対暮桜を意識した……と言うか
『零落白夜対策で逃げろって言った人誰でした?』
『私だね』
全然対策されてんじゃねぇか、というツッコミはさておき。
『お気付きの子もいるだろうけど……そう、これが無敵と呼ばれた零落白夜の弱点──実は対艦・対国クラスの大規模攻撃相手だと確実に自滅する』
『!』
『ビッグバンアタックは捌けるけどかめはめ波は無理、そんな感じさ』
散々打つ手なしと言われてきた競技性蹂躙兵器にも、一応形になる対策は存在するらしい。
やはり
『白騎士事件のミサイルなんかが良い例で、2341発を零落白夜で捌くのは理論上不可能。じゃあなんで織斑千冬の時代に露呈しなかったというと、
『あっ、ふーん……』
『タックルの対策を全部タックルで潰すような人なんでね。そもそも単一仕様無しで勝ってる試合の方が多いし』
現に、白椿の各部装甲は零落白夜の庇護下においても亀裂が走っている。
いくら全てを無力化する一太刀と言っても、条件は二点。
一つ、対象は
二つ、対象を
それが出来なければ零落白夜は途端に。ただの自爆スイッチと化す。
そして戦場における発動シチュエーションは、単純な話では済まない。ひと振りが届かない点も在れば、一太刀で捌き切るために膨大な
と、その時。
「──えッ……!」
「見ましたわね……ふッ、ですがお気遣いなく」
ふと、セシリアの表情が見えた──目を疑った。
取るに足らない相手とはいえ、BTを二人相手に六基も同時操作……しかも並列で、思考を酷使した超集中の弊害か。この一週間で、使い物になるよう仕上げてきたのたが。
「やはり、四基以上はまだ……ですが
時に、完璧な流れに拘った戦術シナリオセンスを評され。『ミス・パーフェクト』の二つ名を授かったセシリアだが。
彼女は生まれながらの天才ではない。
ルーキーと呼ぶには余りにも華々しい戦績の裏で、苦渋の泥と屈辱の煮え湯を幾度も啜った身だ。ブルー・ティアーズの資格者選抜も一度脱落しており、BT適正も当初はC。
今に至る全ては、その血の滲む努力によって綿密に構築されてきた。まるで、空想上の白鳥の水かきを文字通りに実行するが如く。
──青は藍より出でて藍より青し。
──氷は水より出でて水より寒し。
青藍氷水。それが彼女の、覇道を歩むために必要な美学だった。
例え壊れようとも、立ち上がらなければならない。誰にも屈しない。勝ち続けなければならない。常に強く、美しく、優雅で在るがままに──かつて全てを失った彼女の、ただ独り残ったオルコットの、使命なのだ。
| 『やっぱ無茶してんじゃねーかこの女ァ! イカレてる!!!』 |
「でも、そうでもしないとッ、この世界で勝てないってことなんだよ、なァッ……!!」
そんな誇り高き彼女に、織斑一夏は「負けたくない」と願う。
勝たなければならないのは、彼とて同じ。今この状況さえ突破出来るなら、「かも知れない結末」に。手が届く可能性がある。だから、諦めたくない。
纏う鎧が吹き飛び瓦解していく中でもなお、ただ直向きな勝利を欲していた。
残りシールドエネルギーは199を下回り。
「……名残惜しいですが、そろそろ終わりの時が──」
「だが残念だったな、織斑一夏はやらせんぞ!」
「!」
またお前か。
待っていたと言わんばかりに、マドカが介入。こちらもシールドエネルギー残り僅かだが、何たるしぶとさ。
プロミネンス・コートで己と一夏の周囲を覆い尽くし、ノクターンの威力減衰を測る。この女、
「あとはこの私が引き受けよう。その
| 『何だろう、勝手にクソダサい名前付けるのやめてもらって良いっすか』 |
「どうしてっ、何度も俺のことを!!」
「何故か、愚問だな……君が特別だからだッ! そしてやはり我が組織に相応しい!!」
| 『いや答えになってねーよ!』 |
この期に及んで
意図的に頭を混乱させようと仕向けているようにしか見えないが、所詮は茶番である。もはや知性の冒涜だ。
「今こそ我が幻魔心眼、
| 『ありません』 |
ドレイン要素なぞ何処にもないが、その性能だけは本物だった。
差し出した右腕に全てを集約させ、プロミネンス・コートを変成。砲身の如く展開された七枚の多重円環によって──
「ぅぉぉぉぉぉおッ〜!!
| 『嘘だろ……』 |
「…………」
──ダサ過ぎる雄叫び。が、なんとノクターンを
『えぇ……ミュ、ミューゼル、なんかよく分からない防御壁を展開して、織斑の窮地を救ってしまったぁ……レイン様、これは……』
『いや、オレも知らん……』
この最悪の横槍、アホのロー・アイアスを以て、恐らく最大の見せ場であった激突は不完全燃焼で終わってしまった。観客はお通夜、絶望である。
「さて、これで一人脱落だな」
等の本人、戦犯は完全に勝ったつもりだった。
懲りずに振り翳すフェンリル・ブロウから黒焔を吹き出し、それまで盾にしていたプロミネンス・コートをも纏わせ。その人差しと親指で、決着来たれりと狙いを定める。
「ん? ……ふッ、その程度のプロテクトで私を縛ろうなどと!」
実に、7秒足らず。片手間だった。
封印された
「刮目せよ。これが私の必殺──
──
ミューゼルの偉大なる魂を此処に具現化した、闇を切り裂く闇の光の刃。幻魔界最強の剣士の証。
その究極大必殺剣で、白椿にも負けない最高速で! セシリアに突撃して!!
──マドカは突如、
『あっ』
『あっ』
『……だーかーら、言ったのに……!』
そう、これこそが。
マドカ=ウォヴェンスポート・ミューゼルに世界最弱の烙印を叩き付け、Meusel Materialの地位を常に揺さぶり、アメリカ合衆国が世界中からバッシングされ続けた諸悪の根源。
ほぼ全ての試合において。
このクソ馬鹿はソリッド・フレア最大稼働状態の瞬時加速による自爆で、自主退場を余儀なくされていた。
……しかもあれだけ使わせないようロックまで掛けてあったのに、ハッキングで即突破してくるとは。試合で活かせないその小賢しさだけは一級品だ。
「……げほ、げほっ! ええぃッ、今回も失敗したか……しかし丈夫なISだな。まだ一応闘え──」
「──貴方の阿呆面には心底うんざりさせられた」
火だるまの中、マドカは手を払いながら御託を並べる。
残りシールド・エネルギーは7。ギリギリで冷却システムが作動。この期に及んで超低乱数を引いたのか、何故か生存していた。
しかし、だからどうしたという話だ。
セシリアはわざわざ量子変換から取り出したハンカチで、鼻先を拭いながら。
「いいやまだだッ、君が丸腰ならまだ、終わってな」
「一体誰が、何時。全力を出し切ったと?」
ズタボロのフェンリル・ブロウを向けるが、全ての所作は間もなく全部チリとなる。
あの時、ノクターンは完全に相殺されたのではなく──
こいつが直後に自爆特攻してくることなんて、世界中の誰よりも知っている。
だから戦うことに意味を見出せないのだ。
「この聖戦を踏み躙る貴方という存在は、未来永劫に不要。故に」
絶望を通り越し何の感情も湧かない右手を挙げると、マドカの頭上と又下を挟む二基のBT。
全てのBT粒子を吐き出した訳ではない。
つまり必要最低限のBTレーザーを一発放つくらい、別に造作もない。
「あっ」
「“
排絶と共に、その手は降ろされた。
皮肉にも必殺剣とやらは。
自らの尽くを滅ぼし焼き殺すための、零落白夜に鼻で笑われる程度の逆刃と化し。
盛大に大自爆した隙を見逃さず、セシリアがくれてやったBTによって串刺しにされた。
「知ってた」
「あほくさ」
「これで一人脱落だな(自己申告)」
「蟹刑事かな?」
マドカ=ウォヴェンスポート・ミューゼル、専用IS完全分解により
負け惜しみと言わんばかりに、アリーナ一面を黒き硝煙が覆う。あれだけ無駄なエネルギーを使い果たしてオーバーロードまでさせたのだから、散り際も大袈裟になるのは自然の摂理。
『……えー、ということで、レイン様……またいつもの負け方でしたが……』
『あいつやっぱしばくわ』
『まぁ展開装甲の使い方は、割と目を見張るものがあったんじゃない? 開発者の私が保証してあ・げ・る、からさ?』
この後、地上に突き刺さったマドカは直ちに地下通路へ
──が、そのデカ過ぎた硝煙を突き破って。
「──らあぁぁぁぁッ!!!」
| 『いけえぇぇぇえええ!! 差せえぇぇぇえええ!!!』 |
競馬か。
零落白夜を再度発動させた一夏による霞の構え、突貫。今度は
大量の
「!?」
| 『おィ! なんでYO! 動くと当たらないだろォ!?』 |
「ここまでわたくしの予想を超えたこと、褒めて差し上げます。ですが──」
回避する猶予も、距離も無かった筈だ。
……たった一つの対策を除いて。
「──
| 『何ィーッ!?』 |
あろうことか、会得すれば代表候補生とも渡り合える期待値を齎す
超高濃度熱源反応をセンサーで捕捉した刹那。僅か0.5セコンドの
つまり、
「しまッ、!?」
「わたくしの強さは貴方の1000%。ケタが違う」
再度の
BTレイピア《インターセプターⅡ-Conducter-》が、白椿の翼を貫いた。
これまでにないくらい、歓喜に満ちた表情だった。そうだ、これこそが、セシリアの望んだ聖戦。
蝶のように舞い、蜂のように。余りにも疾き刺突。何れも必殺が未遂に終わった新参者或いは愚か者へ、手本を見せるかのようだった。
| 『ホワァーッ!!? 何じゃあのビームサーベルはァ!? てかテメェ様は何故に近接戦を仕掛けてる!?!?』 |
セシリアはこうなる事を予測して、如何なる状況であろうが関係なく。
「二人きりの
最早それは、死刑宣告。
織斑一夏は、ひどく蒼ざめた。
彼女に勝たなければ前に進めない。そうでなければ、『最強』でなければ。姉の名誉も、
唯一のチャンスであった零落白夜を連続で失敗した焦り、そして周囲の光景が、徐々に。まるで己に対して、冷ややかな眼差しで突き刺すように見えた。
あの時みたいだ。
血が繋がっているからと期待されて、記事にも取り上げられて、けれどISを起動出来ないと宣告された。
周りの大人たちの、呆れたような、失望したような、あの時と同じ。
鼓動が、呼吸が、滴る汗が速くなる。彼を構成する全てが、着実に乱れ始めた。
今になって両手が、震えている。一夏の奥底に眠る『本心』が、意思に反して蠢き始めたか。
そんなことは許されないというのに。
「もう一度、っ、もう一度だけッ、隙を──」
| 『……駄目だよ一夏』 |
「え、ッ!?」
零落白夜発動限界まで、残り一回。
しかし、
| 『瞬時加速は初見殺しの一度しか通用しない……一度見られたら、二度目は無いんだよ……しかも零落白夜も、あんな意味不明なステップされたら空振りで終わっちゃう……ごめん私のせいだ、こんなハズじゃないのに……!』 |
「そん、な……!!」
『どうした織斑、何やら様子が変だぞ?』
『ほう、そういうことか』
『何も理解してねーだろ……って、なんでいるんだよ!?』
先ほど退場したマドカだったが、実況席に侵入していた。復活だけは早い。
なお、髪の毛はチリチリである。
『えー……と、ま、まぁ、せっかくなんでマドカちゃんにも実況に参加してもらいましょう! 敗戦のインタビューもありますし……やけに、焦げ臭いですが』
『にしてもタフだね、君』
『フッ、それ程でもない。で、織斑一夏だが……』
『秘策があるか、本当に為す術がないか……どっちかだと思うよ』
限りなく、後者だ。本題に入る。
ヒットアンドアウェイによる一撃必殺が環境支配した背景から、編み出された技だ。ドラッグマシンが如く直線移動しか出来ない弱点を利用し、そのままカウンターで勝敗が決まることも少なくない。
ましてや零落白夜のような一撃必殺を端から搭載したISとなれば、初見であろうがタイミングが見え見えだ。
「……けど……ぉ──俺は──」
| 『……一夏?』 |
「だけど俺はっ、──千冬姉の、絶対英雄の、弟だからッ!!」
従って一夏、白椿の切り札及びこれ以降全ての戦術はセシリアにとって無意味な茶番と化した。
残念ながら、『
「ぅぅぁぁああああああッ!!」
| 『ま、待って一夏! 今のままじゃ──えっ、アシスト効いてない!? 何で!!?』 |
我武者羅に雪片を振るいセシリアに接近するが、ひらりと躱され。BTはまだチャージ中か、けれど決め切れない。
残りシールド・エネルギーは120。今の状態だと、瞬時加速か零落白夜の二択。ただし何れも見切られている。
もっと早くに同時使用を選ぶべきだったか。
あの時もっと早く、
後悔、慚愧、自己嫌悪が。ぐちゃぐちゃになって押し寄せるが、結果論だ。
| 『上だよ一夏っっ!!』 |
そうこうしている内に、天を舞うセシリアが。
視界から外れた。
次の一撃が来る。
一か八か、その前に零落白夜を発動しようとしたが──BTが囲っていた。
「躊躇いましたわね?」
読まれていた。
一瞬を縫ったセシリアによる、踵落としが炸裂。
「ぐあああああッ!!」
| 『一夏ぁぁッ!!』 |
鋼脚の鉄槌により地上へ墜ちた一夏を、BTが追い掛ける。
先のは飽くまでブラフ。そして今この瞬間を以て。確実に仕留め切る六発分のチャージが終わってしまった。
「ですが楽しい戦いでしたわ……
それでは、“
──パチン。
どれだけ足掻こうが、
どれだけ対策しようが、
どれだけ経験を積んでいようが、
全て想定の範疇で。
全て先に読まれて。
全ての一手を潰されて。
何もかもが、セシリア・オルコットの思いのままだった。
放たれた弾丸は決して止まらない。そして一度放てば必ず的を貫く魔弾のように、運命は絶えず収束する。故に、
だから最初に記した。
最初から勝てる試合ではなかった、と。
──けれど、
結末が同じであれ、その
ところで。
『魔弾』は七発。その内六発は必ず、自分の意図したところへ望むがままに命中するが……最後の一発の行き先だけは、悪魔が仕向ける。なんて逸話があるらしい。
──
わたくしを更なる高みへ至らせる!!──
「!?」
初めて、セシリアの表情が『歪んだ』。
白椿の装甲を突如、
──廻歴は、急転した。
Rebooting……
initializing genome ID……“ICHIKA Orimura”≫≫≫exact mache.
vulcanoid protocol scanning……Activated
IS core network “void-02”……Connected
──俺じゃ勝てないなら──
全武装耐久50%排除
各部強化装甲及び時結晶装甲排除
単一使用能力発動エネルギーに変換
具現維持制限解除 予備エネルギー解放
深層に、裂け目が生じた。
そして深層に広がる海が、空が。彩を失う。
展開装甲 最適化を開始
Void-02領域にアクセス
コアナンバー001のフラグメント・マップをラーニング中
プロテクト作動中
現在 1 件以上の不明なプログラムが既にインストールされています
プロテクトを解除するとシステムに深刻な異常を及ぼす可能性があります
織斑一夏は、大敵を打破するために。
ラーニング完了
Void-02領域にアクセス
最大出力形態に無段階移行中
システムに深刻な異常が発生しました
スペックの大幅ダウンが予測されます
実数値:第一世代のカタログスペック相当
機能停止まで展開装甲が使用不可になります
単一仕様能力『零落白夜』の発動制限が解除されます
| 『な、何が起きて……えっ?』 |
Do we do this thing or Not?
──深層同調率、0%──
『織斑一夏』を諦める。
一夏の姿が消えた。
何処へ──後ろだ。
誰もが唖然として言葉が出ないか。変化は劇的に訪れた、が。
「……その姿は……」
『ほう……まるで、
冷たい金属音。通常、ISが自己退化することなどないのだが。
そこに、『鈍色』がいた。
新たに形成された装甲はまるで、操縦者に染まり切っていない──
そう。一人しかいない。
「──っ、来る──!?」
ヴゥ゛ン ──────
抜刀。
大地の破裂、大気の爆発を握り潰したかのような、歪曲音の刹那。また消えた。
そしてブルー・ティアーズの片翼が
「────!!」
「────、
遂に有効打を与えた、この一撃を以て。
朱き瞳が、黒い炎纏う灰となった。
蒼き零落白夜が、赫となった。
それ即ち。
| 『いち、か……? ね、ねぇ! 一夏っ、聞こえてる? ……まずい、まずいまずいまずい!! 一夏返事してッ!』 |
| 『おいお前か犯人ァ! 何余計なことしてくれとんじゃ!!?』 |
これより織斑一夏が取る全ての挙動は、