飽きるかしんどくなったら唐突に更新が途切れます。
ウマ娘要素皆無なので原作はウマ娘ではなく競馬
ウマ娘要素が入ったら原作ウマ娘に変わるけどそこまで続かないと思う
「競馬行かんか?」
「競馬っすか?」
レギュラーシーズンも終わって契約更改シーズン、早々に契約をまとめ終えた俺は、OBの笹木さんに呼ばれての食事会にてそんなことを言われた。
「そうそう、興味あるけどきっかけが無いーっちゅうのを小耳に挟んでなぁ。今度うちの馬が走る日があるけん、来んか?この日なんやけど」
「12/22っすか。ファン感も終わってますしテレビ収録も無いんで構わないっすけど……うちの馬ってことは馬主やってるんすか」
「引退して少し経ってからな。馬券買って楽しむのもええけど、自分の馬の応援するのもまたオツなもんやで」
競馬。
ギャンブルという側面が強いが単純な娯楽としても面白いらしく先輩やOBでハマってる人も多いとはなんとなく聞いていたが、馬主と言うんだろうか?自分の馬を所有している人までいるとは知らなかった。
「自分の馬っすか。考えたことも無かったっすわ」
「結構もらっとるんやろ?馬主になるだけなら、まあ書類は面倒やけど割とハードル低いんよ。ワイも馬主生活長くなってきて多少は顔が利くし、色々サポートしたるで」
「まあ、考えときますわ。とりあえず12/22っすね」
「おう!んじゃあ時間と場所は……」
馬主。馬主ねぇ。
そりゃOBの前なので否定するようなことはしないけれども、まあ正直食指が動いてないのは、現時点ではしゃーないと思うんよ?
「……面白いっすね、競馬」
「せやろ?」
それが覆されたのは、実際にそれを目の当たりにした中京競馬場でのことであった。
我ながら中々に単純ではあるが。
昼前に集まり、ビールを飲みつまみを食べながら、そして笹木さんから色々と競馬の基礎を教えてもらいながらの観戦。何やらいつもの自分とファンの立場が入れ替わったような立ち位置だが、純粋に観戦し応援することの楽しさというのは久々に知ったものだった。
それに「100円単勝だけでいいから買っとき」と言われ適当に買った馬券は紙屑になったが、なるほど金を使ったかそうでないかでは熱の入り方も違う。
……自分のファンも球団のファンも、球場に来てくれる時には金を払って来てるのだなと、改めて思い知った気分である。別に手を抜いていたつもりは無いが、観客をがっかりさせないようにせないかんというのを心に誓ったところで、先輩の馬の出走レースの時間となった。
「失礼しますー」
「失礼します」
「おや笹木さん、こんにちは」
「こんにちはー」
連れてこられたのは馬主席と言われるらしい特等席。その名の通り馬主となっている人のみが入れるのだが、事前の招待申請があれば部外者でも入れてもらえるそうだ。
「笹木さんこんにちは、そちらの方はプロ野球選手の……?」
「そです。駿、挨拶せぇ」
「駒場駿太(こまば/しゅんた)です、お初にお目にかかります」
「申し遅れました、わたくし茶台ファームスタッフの春日藤人(かすが/ふじと)と申します。よろしくお願いします」
「駒場は競馬に興味あるってんで、馬主仲間増えへんかなーと誘ったんですわ」
「もしなったら改めてよろしくお願いします」
「こちらこそ、新たな同士は歓迎させていただきますとも」
藤さん以外にも挨拶を済ませ席に付く。〇〇会社の社長とか代表取締役とか普通に名乗ってくるから心臓に悪いわ。
馬主席には各席に専用のモニターが設置されているのだが、やはり前の方にいて出来るだけ近くで見たいという人の方が多いようだ。
「馬主ゾーンにはこの馬主席の他にも専用の食事処とか、さっき他のレースで見に行ったパドックでも専用のスペースもあるんやが、まあそこは自分で体験してほしいかな」
「色々と特典っちゅうか、専用の待遇があるんすね」
「馬主あっての競馬やからな。そろそろ始まるわ。俺の馬が走るで!」
樅の木賞、ダート1700m。
教えてもらった先輩の馬はスタート直後から集団の後ろ側に付けた。
「追い込みっちゅー最後の直線で一気にごぼう抜きにする馬やからあの位置でええんや」と語った言葉通り、コーナーを回った所から猛然と加速した。
「行けー!」
「差せ!差せ!」
「逃げろ逃げろお前なら行ける!」
「抜け抜け抜け抜け!」
いい歳をして地位も持っているはずの大人が、鬼気迫る顔で真剣に、そしてまるで少年のように楽しそうに、自分の馬を応援している。
その雰囲気は中々に新鮮だ。
「かーっ!駄目か!6着!」
「でも確かに終盤の追い上げすごいっすね」
「せやろ!初めての勝利の時もあんな風に後方からダーッと猛然と追い上げていったんや!能力はありそうだから勝ってほしいんやが……ああそうや、遠藤さんおめでとうございます」
「ありがとうございます、2連勝ですから期待してしまいますね。そちらの馬も……」
なるほど。自分の玩具を自慢し合うような子供っぽさと、贔屓を応援する熱量と、馬を……選手を全力でサポートする大人の真剣さが混じり合った、本気の「遊び」。
「……おもろいやん」
「ん?どないした?」
「いやあ、なんでもないっす」
その後笹木さんに馬主になるための書類集めしてるとこですって連絡をしたら「まあいうてハードル高いしまずは一口馬主から」と言おうとしてたらしく酷く驚かれた。
そういうのがあるなら先に言ってくれっちゅう話やわ。
というか勢いでやっちゃったけど監督にはどうやって説明したらええんやろか。
マスコミにも説明せなならんし。
バイソンズ駒場、馬主になる
1:名無しさん、プレイボール! ID:9gtCYYh35
オリオン・バイソンズに所属する現役野球選手の駒場駿太選手(28)が、JRAの主催する中央競馬において馬主になるための申請準備を進めていることがわかった。
「これと言った趣味を持たずオフの過ごし方に難儀していたのですが、先輩に誘われた競馬を見て色々思うところがあり、馬主になることを決めました」とのこと。
気になるのは当然本業である野球との兼ね合いではあるが、「あくまでも野球が中心。監督や首脳陣の皆さんには色々交渉をして納得してもらったので、趣味程度に抑えて楽しもうかなと思います」と語った。
今後は順調に行けば10月2週に行われるオータムセールにて1歳馬を購入し、本格的にレースを見守るのは来年以降となる予定。
「僕も馬も応援してくださると嬉しいです」と、地味ながらも先発ローテーションを支える右腕は笑顔で語った。
2:名無しさん、プレイボール! ID:aDxX4Nx4L
何言ってんだこいつ
3:名無しさん、プレイボール! ID:z98d3uimM
まず野球の方をですね
4:名無しさん、プレイボール! ID:49WDE5AG8
引退してからってのは聞いたことあるが、現役プロ野球選手でってのは初か?
5:名無しさん、プレイボール! ID:3Bi5UhVga
貯金作ってから言えや
6:名無しさん、プレイボール! ID:LmuXUdg7e
無駄に金もらってるだけはある
7:名無しさん、プレイボール! ID:MT8Ch6ssF
しゃ、借金も無いから……
8:名無しさん、プレイボール! ID:MpUGQXXBg
1年間ローテ守ってイニング食ってあの防御率なら十分いい投手って散々言われとるやろ
9:名無しさん、プレイボール! ID:NewBp2XYW
駒場欲しくない球団おらんやろ
10:名無しさん、プレイボール! ID:9gtCYYh35
エースは平之なのは間違いないけど駒場も無くてはならんよ、フロントからもちゃんと評価されてその分の年俸もらってるわけだし
11:名無しさん、プレイボール! ID:G46C8mceU
にしたってもうちょい抑えて欲しかったのはあるけどな
しかし馬主か、競馬よく知らんのだがどうなん
12:名無しさん、プレイボール! ID:ZtiaR8z6d
まあ追いかけてるぶんには面白いよ
去年はダイワスカーレットとウオッカのくっそ強い牝馬が熱かった
13:名無しさん、プレイボール! ID:QcQQNhT7S
馬主誘ったのって誰だろ、大魔王か?
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駒場駿太(架空)
野球選手兼馬主。高卒10年目の先発ピッチャー。現実でも出来るのかは知らないがこの次元では出来る。
ローテの真ん中に登板して6~8イニングを平均3失点で抑えて中継ぎを休ませるのが仕事。怪我も貯金も借金も作らずにシーズンを終える。
座右の銘は"即断即決"。
笹木さん
野球選手を引退してすぐに馬主になった。他に解説者とかもやってる。
元ネタは大魔神。ただしあちらと違い今話の時点で馬主10年目くらい。
また今話で描写されたレースは元ネタがあるが、現実のものとは年代が違う。
春日藤人(架空)
茶台のスタッフ。この後馬主登録のサポートの為に茶台に連絡を取った駒場の担当となり、調教師や騎手の紹介及び仲介を行うが本編には不要な描写なので特にその辺の言及は無し。
名前の元ネタはフジキセキ。
オリオン・バイソンズ
序盤低迷したものの監督がシーズン中に変わり終わってみればAクラス。CSは2連敗。
元ネタはちょっと前11連勝してた球団。