あなたが選ぶ競争馬の道   作:6LD

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はい、次走決め話です。
感想返し出来てなくて申し訳ないです。ちゃんと全部ありがたく読ませていただいております。

東スポ杯を勝利し、クラシックの有力馬として数えられるようになったサイレントロードの次走は如何に。

後書きに追記しました。



東スポ杯2歳Sで5着以内、達成!

「はい駒場です……はい……はい……ああ種牡馬入りの……。

いや流石にまだそういうの考えてないので……はい……いやおたくでもう10件目くらいで……引退前には決めるんでかけてこないでもらっていいですかね……はい……失礼します……」

 

 

 

 

「って感じでもう引退後の話の電話がかかってきてて……流石に気が早すぎないかと思うんですけどね」

「どこも有力な種牡馬の獲得には必死ですから……」

 

東スポ杯が終わり例の如く栗東トレセン池尾厩舎にお邪魔させてもらった。

 

種牡馬。

ようするに競走生活を終えた馬が、その血を残すために繁殖を行う仕事に就くというもの。

優秀な血を残すためという都合、多少の例外を除けば現役生活で優秀な成績だった馬がその任につく。

多いと年100頭で済まない程の牝馬と交配するそうだ。健康に悪そうだがどうなんだろうかそこら辺。

 

「まあ種牡馬とかはいいんですよ、次走の話ですね。サイレントロードはどうです?」

「見てもらった方が早いですね、行きましょうか」

 

 

 

 

「おおサイレントロード!あいも変わらず可愛えやっちゃなこいつぅ!」

『るひー』

「ほれほれ林檎な。こんくらいで勝ってくれるなら安い出費やわ」

『ぶるるぅー』

 

しゃくしゃくと差し出したりんごを咀嚼するサイレントロードを横目に池尾さんが話を切り出す。

 

「レース後には肉体的又は精神的な疲労でばててしまう馬もいるのですが、現状1ヶ月半で2レース行っても目立った疲労は見られませんね。若さでしょうか、タフな馬です」

「それはいいことですね。まだ何レースか走らせてもいいんでしょうか?」

「はい。ただあくまでも疲労のみを考慮したものです。父であるトウカイテイオーもそうですが、母インナモラータ……これは父の厩舎に所属し、調教助手であった私の管理馬だったのですが、現役時代9月にデビュー、11月までに4戦し骨折。その後オーナーの意向で繁殖入りしています。

父もそうですが母の方もそこまで頑丈という訳ではありませんでした」

「なるほど……」

「4つの課に渡ってたくさんのスタッフが競走馬そのものを。十年単位のデータを用い、馬場の改善を。JRAは、トレセンは、様々な手段を用いて競走馬の怪我を少しでも無くし、競走馬が走りやすい環境を整えています。

証拠に、というほどではありませんが年々少しずつ競走馬のタイムは縮んでいき、それは競走馬がレースとして走りやすい環境になっていっていることを意味しています。

……ですがそれでも、競走馬の怪我、骨折、そして予後不良という悼ましい事故は起きます。

どうしても体質というものは遺伝してしまうこともありますので、そこを考慮して次走を決めてもらえればと。

レントゲンなどで確認していますが、現状怪我の兆候は幸い見られていませんとはお伝えしておきます」

 

なるほど。

ようは、俺自身がどこまでサイレントロードの体質……というよりは脚を信じるかどうかか。

あとはまあ、俺の財布を潤したいかどうか。

はてさて、次走はどうするか……。

 

 

 

1.12/19阪神 朝日杯フューチュリティS(GⅠ) 芝1600m

GⅠ。ようするに一番上の階級のレース。

それそのものも何種類もあって、これは2歳牡馬が出場できる唯一のGⅠだそうだ。

会場は中山。未経験のレース場だが、不利って程ではないらしい。

「直線が短く、坂の多いレース場です。阪神1800や東京1800に比べて瞬発力よりも持久力が試されますが、2戦共に見せた早め抜け出し競馬には脚質も合っていて有利と言えるでしょう」とのこと。

となれば相手関係だ。サイレントロードと同じく重賞級のレースで通用する馬が出てくることは必至ともなれば、特に枠順次第ではかなり不利なレースになるかもしれない。

 

また、そもそもとしてここを勝つ意味は自分の懐事情以外にはぶっちゃけそんなに無いそうだ。

「東スポ杯での収得賞金がありますから、ここから1戦もせずとも3月に行われるクラシックトライアル……ようするにメインイベントたる3歳GⅠの前哨戦ですね。上位何着かまでに3歳GⅠ皐月賞の優先出走権が与えられます。

ここに参加するだけの収得賞金は既に足りているので、そういう意味では朝日杯FSに参加する意味はありません。

距離も1600と少し短く、現に私の管理馬であるドリームジャーニーはここを勝ちましたがクラシック本番では結果を残せませんでした。

参戦するのであれば現時点での他有力馬との完成度の違いを確かめるためとなりますが、クラシック本番まで4ヶ月以上ありますからひっくり返る可能性は十分にあります。

その他には後にマイル路線を視野に入れるなら、という形でしょうか。トウカイテイオーも春の天皇賞(3200m)を5着としていますから、長距離を捨てる選択肢もあるかもしれません」

 

 

2.12/26中山 ホープフルS(オープン) 芝2000m

皐月賞と同会場同距離。

1800→1800と来ているので、クラシック戦線を見据え今のうちに2000mを経験させるという意味でGⅠを蹴ってこちらに。

「同週のGⅢ、R-NIKKEI杯も2000mですがそちらは阪神です。現状問題無いとは思っていますが輸送+距離延長でのパフォーマンスを見たいというのもあります」

 

 

3.1/22京都 若駒S(オープン) 芝2000m

年明け後のオープン戦。輸送の心配の少ない2000m。

東スポ杯でのパフォーマンスを見て輸送の問題は無いと見るなら、2000m挑戦はここでも問題無い。

また、トライアル前に1戦するというなら、関騎手の復帰が年明けであることを考えればここを選んで慣れてもらうというのもいい。

「ここを通るなら、トライアルでは弥生賞かスプリングステークスで中山に行くべきでしょう。スプリングステークスは1600戦線を戦っていた馬がクラシックのために弾みをつける、もしくは現在は2000mを超えると長そうだが経験を積めば2000mを走れると思われる馬が使うレースという印象です。もちろん他の理由もありますが、本命は弥生賞ですね。

もちろんここから休息を挟んで皐月賞へ直行というのもありです」

 

 

4.3/6中山 弥生賞(GⅡ) 芝2000m

5.3/19阪神 若葉ステークス(オープン) 芝2000m

6.3/20中山 スプリングステークス(GⅡ) 芝1800m

上であげたクラシックトライアルレース。そこへの直行路線。

前述のように参加するだけの収得賞金は問題無い。なのでここで優先出走権を得る前提で年内及び年明けを放牧して過ごし、2月頭辺りに厩舎に戻してレース勘を戻すように調整。そして出走、という形。

というか、そもそも東スポ杯を制した時点で皐月賞を賞金順の抽選で弾かれることはほぼ無いことから、ここへの出走はあくまでも本番に向けての叩き台ということになる。

現在11月、ここから4月末の皐月賞を狙うには間隔が空きすぎるので、レース勘を取り戻すために使うという形だ。

 

「放牧するのであれば、どこか大きな牧場にアポイントを取ってお金を出して預かってもらう形になるでしょう。

もしくは、サイレントロードの生まれた牧場の方へ戻すというのもいいですね。そこはオーナーさんの方で相談してもらうという形になります」

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……」

「ようするに、皐月賞トライアル及び皐月賞を目標として、そこまでに1戦するかどうかです。

一応、皐月賞に直行という線も無くは無いですが……そこまでに空く期間の長さを考えると、休ませるだけというのはレース勘などの問題を考えると少々怖いかと」

「皐月賞……」

 

皐月賞、2000m、3歳のみが参加できるGⅠの中でも、所謂三冠レースと呼ばれる権威のある3つのレースのうち最初の1戦。

……自分の初めての所持馬がそんな場所に出走出来るどころかその中でも有力な馬として数えられているのは、なんだか変な気分だ。いいんだろうか。

これも運が良いといえばその通りなのだが。

 

「まあ、いいや。とにかく次走ですね。朝日杯以外の1600m戦というのは無いんですかね?」

「ありますがレースの格の都合、朝日杯に比べて出る理由が少ないですね。

朝日杯より間隔を空けたいのであれば1800や2000といったレースでクラシックを目指す方がいいかと。

2000を超えたレースに距離不安があれば別ですが、そうでは無い訳ですから」

「ふぅむ……」




>種牡馬
先に言ってしまうと多分この種牡馬選択肢が最後の選択肢です

>インナモラータ
実は史実にも存在する00年生まれの馬。父サンデーサイレンス、母父はシアトリカル。
シアトリカルはBCターフで凱旋門賞馬に勝つなどGⅠ6勝をあげた名馬。有名どころだとヒシアマゾンやヒシピナクルの父。
インナモラータは現役時代4戦0勝で引退というところまでしか情報が手に入らなかったので大胆に捏造。
4戦後骨折し引退、零細牧場に売却され繁殖生活。資金難から種付け料の低いトウカイテイオーの種を付けられたという流れ。
どうして骨折した牝馬に骨折した牡馬を付けたんですか(猫)

>GⅢR-NIKKEI杯
正式名称ラジオNIKKEI杯2歳ステークスであり、後のGⅠホープフルステークス。84年独自グレードの重賞競争として創設、2010年(文中の年代)から正式にGⅢR-NIKKEI杯となり、2014年から開催を阪神から中山に移しGⅡホープフルステークスに昇格。そして2017年にウマ娘ファンにはマックEーンでお馴染みGⅠホープフルステークスへと昇格という流れ。
そして選択肢2のホープフルステークスは中山2000の同名のオープン特別競走であり、こちらは88年に施行され13年に廃止された全く別の競争。
後者は現在のホープフルステークスと比較して距離も会場も開催週も名前も同じですが前身はあくまでもR-NIKKEIの方です。マジ?

>アンケート
投票は8/15の12:00までとさせてもらいます。

次走はどれを選びますか?

  • 朝日杯FS(!!!!)
  • ホープフルS(!!!!)
  • 若駒S(!)
  • 弥生賞(!)
  • 若葉ステークス(!)
  • スプリングステークス(!!!)

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