あなたが選ぶ競争馬の道   作:6LD

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長い会話文が多く若干くどめ。難しいね。

アンケートがありますのでご協力をお願いします。(※終了しました)
結果によって今後の主人公となる架空競争馬が変化し、それにより以降の展開も変化します。
選ばれなかった馬は以降本編に出てきません。

※史実ではこの年の時点で既に引退している種牡馬の仔が出ます。



馬主になる、達成!

さてシーズンも終わり際、いつもよりは少し頑張った投球で勝ったり負けたりを繰り返しながらチーム最下位が確定した10月。

9月末の登板を終えオフ入りを告げられた自分は笹木さんに連れられ、10/14開催のオータムセールというものに顔を出していた。

 

「本当はブリーズアップセールがええんやろうけど流石に4月後半にっちゅうのは無理やしな」

「シーズン序盤ですしねぇ」

 

前日入りしてホテルで宿泊、翌日朝からホテルから直通のシャトルバスで現地へ。

シャトルバスは馬主や競馬関係者限定のものになっているようで、当たり前ではあるが一般の人というのはいない。なんとなくわかってはいたが、動く金が本当にでかいんだなと感じる。

 

「現地に着くまで90分くらいあるやろうから、ほいこれ。前言っとった希望に沿って良さそうな馬にアタリを付けといたから、読んどいてくれや」

「いやあ何から何までありがとうございます」

「ええんやええんや。どうせ現地で直接見るまで当てにならんからな、参考程度のもんや」

 

自分の希望としてはまず「安めに買えそう」。高額な良血馬であるほど走る可能性は高いとこれまでのデータで示されているものの決して確実ではない以上、最初から高額馬に手を出すリスクはかなり高いと見ている。所謂穴馬で条件戦での掲示板及び一着、そしてあわよくばオープン入りを狙うのがいいという考えだ。

そして「頑丈だと良し」。「無事是名馬」と格言にもあるし、あまり勝てなくても長期間走ってくれれば嬉しい。自身の預託料+αを稼いでくれれば十分といったところだろう。

 

ついでに、今回は一頭だけ買う予定。慣れていない馬主業で何頭も諸々を管理できる気はしないので、再来年くらいまではとりあえず年1頭くらいとしている。

 

「まあセリにも色々あって、このオータムセールで数千万とか億とか乗る馬はほぼほぼ出てこーへんからな」

「そうなんです?」

「〇〇が〇億円!なんてニュースが出るけど、あれは夏のセレクトセールっちゅう厳選された良血馬しか集まらんセールやからな。海外からの注目度が高いのもそこやし、セリ取引で活躍する馬も大体はそこ発や。最近やとディープインパクトとかな。

んでオータムセールっちゅうんは年内最後の1歳馬セリや。セレクトセールや8月にやってるサマーセールと比べると、まあどうしても期待値は落ちる分出す方も買う方も敷居も低いっちゅう感じや」

「売れ残りとかもいるんですかね」

「セレクトセールだって全部が全部売れる訳とちゃうしな。セレクトセールでの相場なら買いたくないけどこっちでの相場なら買いたい、なんてのもおるやろ」

 

などと雑談をしながらカタログを捲っていく。

事前にチェックを付けてもらっていたのは15頭。◎をつけてもらったのが3頭、○をつけてもらったのが12頭。

◎をつけてもらった馬について、笹木さんに聞いてみることとした。

 

 

 

 

 

1.イクノディクタスの08(牡) 鹿毛 星

父:ナイスネイチャ

母父:ディクタス

生月日:4/16

 

 

「ナイスネイチャって馬はなんとなく知ってますわ、親父がファンだったんすよね。確かブロンズコレクターだったとか」

「そうやな。90年から96年までと長い間走って、GⅠでは最終的に一回も勝てなかったんやけど、その世代のトップに届かないながらも賢明に走り続けた姿が好きって人は多いなぁ」

「なるほど」

「母親の方のイクノディクタスっちゅーのもざっくり同じ世代の馬で、こっちもGⅠにこそ届かないものの50戦、しかも怪我無く走り続けた「鉄の女」って言われとる女傑や」

「よくわからないんすけど、50戦って凄いんです?」

「メインで走る距離次第やけど、一般的な競走馬が年8戦くらいを目安にしてるなぁ。デビュー年となる2歳戦は早デビューしたとしても半年しか無いって考えると、ざっくり4年半で50戦は相当多いで。しかも毎年8戦ってわけじゃなくて、確か年16回走ってた年とかあったはずやし」

「他の馬の倍っすか、そりゃすげぇや。そんな馬同士なら高くなりそうなもんすけど」

「まあ結局のところGⅠ勝ってない馬同士の子供やからどうしてもな、これまで産んだ他の子供も成績はさっぱりやし、両親とも歳も食ってるしな。

血統は別にすこぶる悪いってわけじゃないんやが」

「そうなんです?」

「あーと、競走馬の配合の基礎ってまず近親相姦するかしないかなんよ」

「近親相姦っすか」

「そうそう。新しい馬を作るにあたってすごいざっくり言うと、強い馬と強い馬同士を掛け合わせると強い馬が産まれやすいって話なんやけど、なら強い馬Aの子孫と強い馬Aの子孫同士で掛け合わせりゃええんとちゃうか、ってのがインブリードって配合や」

「なるほど、理屈はわかりますわ」

「詳しくはないんやけど、その同じ親となる強い馬Aの血が濃すぎると奇形が発生したりとか、DNA?かなんかに異常が出やすいらしくて難しいらしいんよ」

「なるほど、確かにありそうな話っすなぁ」

「んでこのインブリードによる影響を抑えつつその強い馬の優秀な遺伝子をなりやすいって言われとるのが4×3……ようするに父親か母親のどっちか側の曾曾祖父か曾曾祖母と、もう片親側の曾祖父か曾祖母のバランスっちゅうわけや」

「実際どうなんです?」

「科学的に解明されたわけや無いけど、実際この4×3のインブリード……奇跡の血量とも言われとるんやが、このインブリードで活躍した馬がいる事はマジやな。古くは60年前から、最近やと2002年にダービーで勝ったタニノギムレットっちゅうのがグロースタークの4×3、2006年に皐月とダービー2007年に天皇賞春と秋に勝ったメイショウサムソンっちゅうのがノーザンダンサーの4×3やな」

「ははあ、実際の事例があるんすね。んで、この仔馬もその奇跡の血量ってやつなんです?」

「おう、メイショウサムソンと同じノーザンダンサーの4×3やな。まあとはいえあくまでも奇跡の血量ってのはそういう理論があるってだけで、実際4×3にすりゃ必ず強い馬が産まれるってわけじゃあない。

単純にこれまでの他の子供が活躍してないナイスネイチャとイクノディクタスじゃあ、いくら奇跡の血量って言ってもまあ買い手はほぼ付かないやろな。

何の因果か生まれた日付がナイスネイチャと同じやし、ファンがおうたら買うかもしれんくらいや」

「なるほど……」

 

 

 

2.インナモラータの08(牡) 鹿毛 流星

父:トウカイテイオー

母父:サンデーサイレンス

生月日:5/1

 

 

「一応ノーザンの4×5やが、まあほぼインブリードの影響は無いな。父はナイスネイチャと同じ時代にGⅠを4勝した歴史的名馬や、同じレース走ったことも何度かある。

現役時代に強くても産駒が走らないってのはよくある事やが、このトウカイテイオーにはどうしても血を繋ぎたいって執念持っとる輩がいるんよな」

「そうなんです?ってか、こっちも他の子供は成績駄目なんすね」

「まあそりゃ、値段が安い馬ってのは相応の理由があるもんや。

トウカイテイオーは父親のシンボリルドルフってのがクラシック三冠っていう3つの一生に一度しか出れんGⅠレースを全部無敗で勝っとる歴史に残る馬で、テイオー自身も無敗のまま2つ勝っとるんよ」

「最後の1つ負けたんすね」

「いや、2つ目のダービー勝った後に怪我が発覚して、挑むことすら出来んかったんや」

「あら……」

「その後もレースに出て勝って負けて骨折って、レースに出て負けて勝って骨折って、ってなったら流石にもう引退やなって空気になってたんやが、怪我で丸一年レースに出てないトウカイテイオーは年最後の有馬記念っちゅうGⅠレースで勝って奇跡の復活を遂げたんや」

「すげぇ馬だったんすね」

「そやろ、まあその後もう一回折って今度こそ引退になったんやが」

「あらぁ」

「んでまあその後種牡馬入りして最初は期待を集めたけど、産駒は全然走らんでもう終わった血ってことで人気は無くて、でもどうにか血を繋げたがってるっちゅうわけや」

「なるほど。ちなみに母親の方はどんな馬なんです?」

「競走馬としての実績は皆無と言ってもいいくらいやが、父親がサンデーサイレンスだから選ばれたっちゅう感じやな」

「えーと、母親のお父ちゃんがってことっすか」

「そうそう、競馬界やと流行の血っちゅうのがあるんよ。

10年前くらいまではさっき言ったノーザンダンサーってのの血が色んな形で色んな馬に血が流れてたんや。お祖父ちゃんがノーザンダンサーで父親がその息子のどれかって感じでな。

んでここ10年くらい圧倒的な人気を持っとるのがこのサンデーサイレンスっちゅう馬や。

子供の稼いだ金額ランキングはここ10年くらいずーっとサンデーサイレンスで、まあどいつもこいつも強い上に数が多くてあっち見てもこっち見てもサンデーの息子孫って感じやな」

「ははあ……それはなんか、おもろなさそうですな」

「馬を作る側からしたら稼ぐため、そして大手だと強い馬を作るための一番いい動きをしとるんやが、見とる側からしたらまあおもろないかもな。

んでそのサンデーのめちゃめちゃ多くいる娘の1頭がこのインナモレータやな。まあサンデーの血欲しさにって感じやわ」

「母親の実績が無くても血だけ欲しいってことっすか」

「せや。まあ現役時代の成績が悪くても血統が良ければ繁殖に使われるのが競馬の常やし、実際それで実績残した馬も多いしな。

三冠取ったナリタブライアンの母親とかも、血統はそれなりやったが現役時代2勝くらいしかしてなかったはずやし」

「なるほどなぁ」

 

 

 

3.エスペラーダの08(牝) 鹿毛 曲流星

父:メイショウドトウ

母父:フサイチペガサス

生月日:4/2

 

 

「父親は現役時代GⅠ1勝……いうても実質6勝くらいしとる外国産まれで輸入されてきた馬やな。これも父は強いけど産駒は走ってないパターンや」

「実質ってなんです?」

「メイショウドトウは成長が遅めで本格的に重賞戦線に参加したのは4歳。3歳の時はパっとせんくて、条件戦勝ち上がってようやくオープン入りしたけどオープン初戦は惨敗やったんよ。

それが年明けたらいきなりGⅡ2着で、休養挟んでGⅢも勝利と、人っちゅうか馬が変わったかのように勝ち始めたんや。

んでそこから順調にGⅠ戦線に参加したんやけど、そこにはテイエムオペラオーっちゅう同い年の馬鹿ほど強い馬がおったんや。別名を世紀末覇王っちゅうんやが」

「強そうな異名っすねぇ」

「古馬王道っちゅう5つのGⅠがあるんやが、テイエムオペラオーは日本競馬史上唯一その5レースを1年の内に全て1着取った馬なんよ」

「バケモンやないすか」

「バケモンやで、それを成し遂げたのが2000年……丁度20世紀最後の年やったから世紀末覇王って言われとるわけやな。

んでそのテイエムオペラオーが1着になったGⅠで5回2着になったのがメイショウドトウや」

「はー、ってことはもしオペラオーがいなかったらそのメイショウドトウが世紀末覇王だったんですかね」

「2000年の最初の古馬王道GⅠは出られなかったからそういうわけやないんやが、もし単純にオペラオーがいなかったらと考えると2000年にGⅠ4個取ってたバケモンやな。2000年にオペラオーいなくてドトウが出てたレースは2、1、3、1、1着で、オペラオー以外はほぼほぼ虐殺しとったし。

んでまあオペラオーに5回連続2着の負けをした後にようやくオペラオーにGⅠで勝って、その年にオペラオーと一緒に仲良く引退したわけや」

「んで子供がそんな成績残してないから安いと」

「そういう事やな。現役強くても子供が強くないから血が途切れそうっちゅうのは、寂しくもあるけどそういうもんやからしゃーないな。

んで母親の方も外国産馬やな。血統はかなり良いんやが怪我して全然走れんかった馬で、これが初の子供や。

せっかくの良血なんやからもう少しいい血付けてやれば良かったんじゃ?とは言われとるが……まあ買い取った輩の趣味やろなぁ」

 

 

 

「とまあ、こんな感じやな。まあ浪漫に寄った感はあるけど、どれも古馬戦線で戦った馬が父親やし怪我さえ無きゃそこそこ長めに楽しめるやろ。強いて言うなら言った通り2番目の候補は父親が怪我がちだったことを考えると体質面で若干不安なくらいか。

もちろん他の候補に上げた馬狙ってもええし、そもそも現地で直接見てみんとわからんことだってぎょうさんある。

そこら辺は現地で待ってる先生とまた相談やな」

「うっす」

 

安い馬でとりあえず体験したい、というのを言い出したのは自分だが、思った以上に夢と現実を突きつけられた気分だ。

さて自分が選ぶ馬は……。




駒場駿太
シーズンを終えいつも通りの成績に落ち着く
競馬の知識を蓄えながら野球に精を出す二足の草鞋

笹木さん
一見万全なサポートをしているように見えるが、実は経営が苦しい牧場が生産した馬を体よく買わせようとしている
それでもちゃんと牧場からの評判がいい馬を選んではいるが自分で買う気は無い

アンケート
7/1の12:00が期限

種牡馬
ウマ娘の☆1・☆2、☆3、育成未実装の中でそれぞれサイコロを振って決定
牝馬側はd6で1が出たらイクノディクタス、2~4でサンデー産駒、5~6でその他
最初のネイチャが1発で1出してカノープスてぇてぇってなった

どの競走馬を本命の購買対象に選びますか?

  • イクノディクタスの08(牡)
  • インナモラータの08(牡)
  • エスペラーダの08(牝)
  • 馬体見るまで決めない(次話まで保留)
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