イクノディクタスの08(牡) 12
インナモラータの08(牡) 7
エスペラーダの08(牝) 2
馬体見るまで決めない(次話まで保留) 26
慎重派が多いですね、やはりというか当然というか
セリや馬の肉体的特徴については参加したり直接見たわけではないのでネットで調べながらの執筆になるのですが、思っていたのと違うというのが感想
金持ちの集まるコミケというか。
「着いたか」
「賑わってますね」
約1時間半のバスの旅を経て、たどり着いたのは静内という町のセリ会場。
流石は北海道というべきかかなり広い公園のような場所に、いくつもの露店。セリというだけあってピリピリした雰囲気なのかと思いきや、思ったよりも談笑が多く和やかな雰囲気だ。
お祭りというか、一大イベントといった感じか。
とりあえず受付で購買者登録を済ませる。セリで「〇〇番の方お買い上げありがとうございました」などと聞くが、その番号をもらうためのものである。
「買ったのが誰かとか、実際のとこどうでも良い気もするんすけど」
「長い間馬主やったり毎年複数頭買うような大馬主になったりすると、例えば序盤にあの馬主があの種牡馬の仔で粘ったから他の仔も吊り上げられそうとか、セリにも色々読み合いとかあるんよ」
「うわぁ」
そしてすごく目立たずひっそりと配られている測尺表という冊子。これが実は一番重要である。
これには馬の体長、胸囲、脚の太さ、そして生産者による最低落札希望価格が記載されており、これを見てその日一日の予算配分や狙い目の馬を決めていくわけだ。
「ま、言うても体長何㎝とか数字だけ見てもわからんやろうから、実際は馬見て決めるんやけどな」
「値段が見る点すか」
「これまでのデータで良さげな数字っちゅうのはあるけどな。実際に馬見ながらの方がええ、まあまだやることはあるけどな」
測尺表を手にじゃあ馬を見に……と思いきやまだ見るものがあるようだ。
次はレポジトリ、ようするに健康診断らしい。
「牧場だとそこまで大がかりな、レントゲンとか内視鏡とか見れんからな。ここで初めて検査ってことも多いんや」
「あーそういう……」
「まあもちろん素人じゃ見てわからんから会場にいる獣医とかに見てもらうんやが、長く見続けてるとわかるようになるらしいで」
試しに自分で見てみたが、まあやはり何もわからないので素直に獣医さんに頼ることにした。
その結果。
「インナモラータ08の右前脚飛節に、OCDの症状が見えますね」
「おーしーでぃー……?」
「成長の過程において関節の軟骨が壊死して、骨軟骨片が剥がれてしまった状態です。人間でも小中学生の育ち盛りにおいて時折発見される障害ですね。
インナモラータ08の症状はごく軽微に見える上臨床症状も無いため気にするほどでは無いでしょう」
「ふーむ」
「現状色んな国の調査では臨床症状が無いならそのままでも運動能力には問題ないっちゅう調査結果が出とるが、まあ気にするなら頭に入れといたほうがええな」
さて、朝8時に起きたはずがいつの間にやらお昼前。セリはなんというか、お金持ちがゆったりと談笑しながら札束で殴り合うのを想像していたのだが、朝から各所を移動して何かして移動して何かしてと、結構な忙しなさ。
因みに昼飯は、なんと購買者登録をすれば無料で食える。北海道名産の屋台もあるんだが、なんとも豪勢なものだ。
笹木さんはサマーセールで必要分の馬を購入したため今回買う予定は無く自分は狙い目の馬が少なく比較的遅めの出品番号だから余裕があるが、1頭目からセリに参加したり何十頭も目星をつけているような馬主は大変そうだ。昼をゆっくり食べる時間も無いだろう。
というか、2つ隣のテーブルで数人の馬主がカレーとお茶を高速で流し込みながらどの馬を買うか激論を交わしている。血走った目でちょっと怖い。
「……まあ、飯のタネやからな。ちょっとでも良い馬を探すのに必死なんや。特にセリ開始すぐの番号っちゅーのはそのセリの目玉なことが多いからな」
「会場の熱気を上げるためとか、そういうことっすかね」
「そやなぁ……ん?あ、池尾さーん!こっちですー!」
そして自分たちは早めの昼飯をゆっくり食いながら何をしているかと言えば、調教師さんを待っていたところだ。
「ああ笹木さんこんにちわ。駒場さんは直接では初めましてですね。
調教師の池尾泰弘(いけお/やすひろ)です。よろしくお願いします」
「初めまして、駒場駿太です。よろしくお願いします」
今日馬を見てもらい、また買ったウマを預かってくれることになっている調教師さんだ。
予め茶台の藤さんが紹介してくれたのだが、長らく調教助手として勤めていたことからか腕が良いと評判で、かつ調教師としてのデビューは2004年と最近で「馬主の初めての馬」を請け負った事が無いことから、その経験を得るために承諾をしてくださったそうな。
まだ管理している馬が少ないというのもあるが既に最高勝率調教師というタイトルを得ているそうで、期待のホープと呼ばれているらしい。
そんな人に馬を預けられるというのは随分な幸運だ。
「じゃあ馬出してもらおか」
挨拶を済ませいよいよ実際の馬を見に行くことに。なんだか少し緊張してきた。
会場の隣の厩舎エリアのスタッフさんに声を掛けることで馬を出してもらう。当然ながらこの時点では自分の馬では無いのでお触りは厳禁だ。
「こちら、278番のイクノディクタス08です」
「ありがとうございます」
イクノディクタスの08。
体高は152㎝、馬体重は445㎏。希望価格は100万円。
「なるほど、俺にはわからんっすね。なんとなく毛並が綺麗だって思うくらいっすわ」
「素人目に見て毛づやが綺麗ってのは重要な事やで。毛づやってのはきちんと栄養が足りてて健康で元気ですって証拠やからな」
「この年齢の馬体としては普通の大きさですが、その割に肉体が若いように見えますね。調教次第ですが肉体が出来上がるには少し時間がいりそうです」
「ずいぶん大人しいというか、従順な馬やな。こういう馬は折り合いは問題ないやろうが、闘争心に欠けないか心配になるな。まあ1歳だしまだまだわからんが」
「こちら、315番のインナモラータ08です」
「ありがとうございます」
インナモラータ08。
体高は149㎝、馬体重は423㎏。希望価格は150万円。
「さっきの馬よりちっちゃいっすね」
「いうても平均サイズやと思うで、今後の成長次第やな」
「この時期にしてはトモの形がいいですね、運動量が多かったんでしょうか。腰の筋肉も十分ですし、早い段階から走りそうです」
「歩き方を見るにバネがありそうやな、もしかしたらテイオーのバネを継いどるんちゃうかこれ?そう考えると軽微なOCDも納得いくが……」
「こちら、351番のエスペラーダ08です」
「ありがとうございます」
エスペラーダ08。
体高は150㎝、馬体重は428㎏。希望価格は100万円。
「なんか、なんとなくほっそりしてる気がしますね」
「の割に馬体重は平均だから、育ちきったら480とか行くかもしれんなぁ」
「脚の形はダート向けですかね、馬体重が伸び切ればダートや芝の重馬場で好走しそうです。親が欧州血統同士ですし洋芝を走らせても面白いかもしれません」
「体の作りは全体的に短めの距離の方が向いとると思うが、その割に胸がでかいな。肺が大きいと見るなら距離適性広そうか?」
その他12頭の〇印の馬も見て回ったが、どうにもピンと来ないというコメントを2人からもらったので、やはり◎印の3頭から選ぶことにする。
さて、どの馬を選ぶべきか……。
池尾泰弘
自身も調教師である父親の厩舎で腕を磨いた。キャリアは若いが腕は一流
「偶然にも」◎印の3頭のうち2頭の母が彼の元管理馬
馬の特徴
事前にある程度適性などを決めてあり、それに合わせた身体的特徴を後付け
いうても素人が調べた範囲での記述なので合っているかは未知数
アンケート
今話のアンケートは前話での得票数を加え「ません」
今話のアンケート結果のみを参照します
期間は7/5 12:00まで
馬名募集
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=263443&uid=360038
活動報告にて競走馬の名前を募集します。軽い気持ちでご参加ください。
これURLの貼り方あってますかね
どの競走馬を本命の購買対象に選びますか?
-
イクノディクタスの08(牡)
-
インナモラータの08(牡)
-
エスペラーダの08(牝)