あなたが選ぶ競争馬の道   作:6LD

7 / 26
7/25新潟1800(!!!!) 88
10/2阪神1800(!!) 129
11/28東京2000(!) 57
12/25中山2000(!!) 43
それなりに割れましたが10月にズレましたね。



三人称視点の練習という名の閑話。
全然レースしねーなこの小説。

※この小説には現実の人物をモチーフとしたキャラクターが複数出演していますが、あくまでもモチーフであり思考や言動などは筆者の考えたものとなっています。
モデルとなった人物の思考その他とは一致しているとは限らないということを念頭に置いて閲覧をお願いします。


イベント:怪我と向き合うということ

4月某日。

駒場は池尾調教師と相談の下、サイレントロードに騎乗予定だった関の下へお見舞いへ向かっていた。

病室の前でノックを3つ。

 

「どうぞ」

「お邪魔します」

 

がらりと扉を開ければ、個人用の広い病室。純白のベッドにはテレビで何度か見たかもしれないトップジョッキーが、少し青白い顔で寝転がっていた。

 

「初めまして、駒場駿太です」

「こちらこそ初めまして、関稔です。こんな姿ですいません」

「いえいえ、お気になさらないでください」

 

「競馬というのは去年本格的に見始めましたが、思った以上の迫力ですね。安田記念でのウオッカには痺れました」

「あの騎乗は最後は馬の力だけで勝ったようなものですよ、ウオッカが自分で道を探し出して切り抜けたんです」

「なんと、それはすごい……利口な馬だったんですね」

「そうですね、子供にも期待してしまいます」

 

「そうだ、この前の登板テレビで見ていましたよ」

「そうなんですか、負けた試合だから少し恥ずかしいですね」

「何分病室ではやることが無くて……この歯痒さは初めてですね」

 

30歳の野球選手と41歳の騎手。

年齢も離れているはずの二人の会話は、本人たちの思っている以上に弾んだ。

しかし本来、そんな話をしにここに来ているわけではない。

池尾の「駒場さん、そろそろ……」という言葉に居住まいを正した駒場は本題を切り出す。

 

「関さん」

「はい」

「サイレントロード号に乗れますか?」

「……」

 

サイレントロードの新馬戦は現状7/25を予定している。

関が怪我をしたのは3/27。

そして出された診断結果は全治半年。

当然、このまま行けば7月末の新馬戦には間に合うはずもない。

 

「……体調次第ですが、復帰は5月を予定しています」

「なんですって?」

「日本ダービー。ヴィクトワールピサでの騎乗依頼をもらっているので、そこを目途に復帰する予定です」

「……全治半年って言っていましたよね」

「はい」

「失礼な物言いをしますが、治るとお思いですか?」

「……それを言われると、ちょっと弱いですね」

 

苦笑を一つ。

 

「ですが、それでも……ダービーに出たいです、僕は」

「関さんは歴代騎手の中で一番日本ダービーを勝っている騎手だと聞いています。それでもですか」

「はい。一度でも多く出たい。一度でも多く勝ちたい。僕にとってのダービーは、そういうものです」

「なるほど……」

 

うーむ、と天井を見上げ思案する駒場。関はその真意を測りかねていた。

 

「……」

「駒場さん?」

「関さんがサイレントロードに乗りたいと言っていたと、池尾さんから聞きました。それは本当ですか?」

 

唐突な質問。

 

前提として、いい馬に乗りたいというのは騎手全てが持ちうる思いだ。馬主との関係などもある以上当然口になど出すはずが無いが、血統だけは良い駄馬よりも重賞クラスで勝ち負けできる馬に乗る方が単純に身入りやキャリアの面で大きい。

ただ何より、勝利そのものが嬉しいからだ。重賞でなら、GⅠでなら、そしてダービーでならなおのこと。

 

その上で、サイレントロードという馬の力は。そしてサイレントロードに乗りたいという願いは本物だ、と関は改めて返答した。

 

それを聞いて駒場はまたも考え込み、そして。

 

「……もし」

「?」

「もし診断通りの半年間の療養を経ず……いや違うな、全治する前に復帰するなら、私はサイレントロードに関さんを乗せることはありません」

「そっ……理由を聞いてもいいですか?」

 

思わず声が出そうになったのを堪え問いを返す関。

その目を正面から見つめ返し、言葉を続けた。

 

「私は野球選手です」

「? はい」

「野球選手は、怪我とは切っても切り離せない関係です。僕はその辺のケアを一番の優先としているので幸いまだ大怪我をしたことは無いですが、先輩、OB、別チーム、怪我によって泣く選手を嫌というほど見てきました。

リハビリに苦しみ、やっとの思いで復帰しても以前のような成績を残せなくなる選手も。

そして、焦りから治療をそこそこに早く復帰して、そのまま翌年に戦力外として放り出された選手も」

「……」

「焦って早い復帰をしてその後いい成績を残した選手というのを自分は知りません。

競馬をスポーツと考えるのであれば、騎手だって同じはずです。焦って復帰したところでそれまでのパフォーマンスが出来るとは思えません。

そんなボロボロの騎手を、折角の初めての馬には乗せたくないです」

 

無音が部屋に充満する。

池尾も、視線を落とした関も、そして自身の主張を伝えた駒場も、何も言わない。

 

沈黙を破ったのは、駒場だった。

 

「新馬戦に挑む日付を、遅らせようと思っています」

「駒場さん」

「池尾さん、勝手なことを言うのをお詫びします。

関さんがきちんと快復したら、乗せたいと思っています。ですが無理して復帰するなら乗せません。

まだ新米馬主である自分がこういうことを言うのは少し傲慢ではあるのですが……選んでください、関さん。今年のダービーを選ぶか、サイレントロードに乗るか」

「……ずるいな、その2択は。わかりました、では……」

 

 

 

 

 

 

 

関稔、復帰は年明けを目途に

 

1:1番人気の名無しさん ID:xNnmexnTA

 落馬負傷で休養中の関稔騎手(41)=栗東・フリー=が4/20、自身のブログにおいて、ヴィクトワールピサで予定していた日本ダービー騎乗を断念、また他に入っていた騎乗予定も全てキャンセルし、年内は治療に専念することを明らかにした。

「色々な関係者様方と念入りな話し合いを行いましたが、大事を取りしばらくは馬に乗る事はお休みとさせていただくこととなりました。経過が良ければもう少し早くに復帰するかもしれませんが、基本的には年内は騎乗せず、2011年の明けから騎乗を再開するつもりでいます」

「皐月賞とダービーについては特に乗りたかったレースの2つですし、1番人気になるくらいの馬。乗ってクラシックに挑めなかったのは悔しい。急な乗り代わりで大変だとは思いますが、石田君とヴィクトワールピサには僕の分も頑張ってほしい」と語った。

 

 関は3月27日の毎日杯で落馬により負傷。左鎖骨遠位端と腰椎横突起骨折、右前腕裂創と診断され治療を行っていた。

「欲を出さず、可能な限り元の状態で復帰できるよう調整していきます。」早ければ7月の函館での復帰も叶いそうだが、時間をかけての完全復帰を目指すようだ。

 

2:1番人気の名無しさん ID:P9R3adJXY

年内騎乗無しか

 

3:1番人気の名無しさん ID:yEgGzf6bY

落ち方やばかったもんなぁ

 

4:1番人気の名無しさん ID:NR6aSjKw9

まあこれはしゃーなし

 

5:1番人気の名無しさん ID:gtUE6G5Kf

ここ数年調子悪かったし、ちと不謹慎だがいい感じにリフレッシュして帰ってきてほしいね

 

6:1番人気の名無しさん ID:ZNSNnYxbT

どうだかなぁ、もう歳だろ?

 

7:1番人気の名無しさん ID:x2zV8ny25

まあそろそろ引退を考える時期ではあるわな

 

8:1番人気の名無しさん ID:wKjTeJM2H

もう全盛期の力は無いしな

 

9:1番人気の名無しさん ID:V8wiz764j

案外これをきっかけに引退もあるのかも

 

10:1番人気の名無しさん ID:9ZEbrKPNT

やめーや縁起でも無い

 

11:1番人気の名無しさん ID:8Rf7ex57c

もう歳だしなぁ

 

12:1番人気の名無しさん ID:B8e3P7DBP

いうて今引退されると後継スターがいないんよな、マルコかセドリック?つっても外人だし

やっぱ華があるよ関は

 

13:1番人気の名無しさん ID:Seiuw5gED

古馬王道制覇を達成したのがおるじゃろ

まああっちもそろそろおっさんに片足突っ込んでるけど

 

14:1番人気の名無しさん ID:m6nPtthM5

竜田がまたGⅠ取る姿見てぇよなぁ

 

 

 

 




>怪我と向き合う
詳細は省きますが、プロット制作中選ばれた馬次第でレジェンドが乗ると決まってからやりたかった展開の一つ
ぶっちゃけこれの為に主人公をスポーツ選手にしたみたいなところは半分くらいある


次話は多分いよいよ新馬戦です

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