参考にする資料が……資料が多すぎる……!
非常に描写が薄味です。どうにか慣らしていきたい。
アンケートはまた次回です。本当は今話に入れたかったのですが脳みそが死んでる。
「聞いたか?関さん年内は乗らないってよ」
「聞いた聞いた、早く良くなってほしいね」
「うちの厩舎でも何頭か騎乗予定いたよな?」
「アップカントリーとかエアラフォンとかそうだな。あと、サイレントロードもそうじゃなかったか」
「あーそうか。新馬戦も乗れないもんな。代わりに誰乗せるんだ?」
「どうだろなぁ、下手な騎手乗せてもやる気出さないんだろ?」
「誰か有力なの捕まえられりゃいいけど、クラシックや新馬戦もあるし中々難しそうだよなぁ」
「関さんが早めに治ってくれりゃいいんだけど」
「無茶言うない」
『……』
「流石に10月は無理か」
『そうやね。怪我は順調に治っていってるけど、入院中に増えた体重を戻したり落ちた筋肉を増やしたり、そもそもぶっつけで馬に乗るのも怖いのでどこかのタイミングでトレセンにお邪魔させてもらって、調教で勘を取り戻してから復帰という流れになるやろし』
「なら代わりに騎手探しとくから、予定通り年明けから乗ってくれ」
『わかった』
電話を切り思案。代わりの騎手。
言うは易しだが探すは難し、色々試すしかあるまいが。
……。
ふむ。
頼めば乗ってくれるベテラン、心当たりはある。下手という訳ではないし、十分な戦績もある。
勝率は良いとは言えないが騎乗依頼を断らない分出走数が多いというのもあるし、負けと言っても掲示板や奨励金範囲内とそれ未満では差がある。
それにまだ未出走馬だ。年末まで2~3走して経験を積ませ、年が明けてから関を乗せて仕上げていけばクラシックは十分間に合うはずだ。
とりあえず連絡を取ってみるか。
バイソンズ駒場購入の競争馬、いよいよデビュー
1:名無しさん、プレイボール! ID:rNBJcMWDw
「新馬戦」(10/2、阪神)
オリオン・バイソンズに所属する現役野球選手の駒場駿太選手(30)が購入したサイレントロード(牡、父トウカイテイオー、栗東・池尾)がいよいよ初陣を迎える。
母は現役時代4戦0勝と戦績こそ無いが血統は良好。調教助手の渡辺は「秘めたる力はある。騎手との意思疎通さえ上手く行けば間違いなく大きなところを取れる」と高評価。
調教に4週に渡って乗り続け新馬戦でも騎乗を予定している幸秀幸騎手は「素質は高いが難しい馬。上手く気持ちが上がってくれれば」と言葉を濁す。
強い調教ではやる気を出さないということで調教タイムは平凡だが、その力を本番で発揮できるか。
駒場は今期24試合に登板し9勝8敗、165と1/3回を投げ防御率4.26。
2:名無しさん、プレイボール! ID:FdnMAySHZ
いよいよデビューか
3:名無しさん、プレイボール! ID:7KBuTQGit
なんだかんだ楽しみにしている自分がいる
4:名無しさん、プレイボール! ID:sCrLM4jEQ
まあ勝てるとは思ってないけど、幸のコメントは気になるな
5:名無しさん、プレイボール! ID:hmY2zyEkT
テイオー産駒とか買わん(買わん)
6:名無しさん、プレイボール! ID:6kCBJTu8N
期待薄だけどまあ100円くらいなら買いもありかなぁ
7:名無しさん、プレイボール! ID:EVeJsRf7c
騎手との意思疎通さえ出来れば勝てる(どうせ意思疎通は出来ない)
8:名無しさん、プレイボール! ID:THRhcMCs3
まあ応援馬券だけかな
9:名無しさん、プレイボール! ID:pR7TgWCSw
ワイ檻党、せっかくだし諭吉をぶち込むことを決意
10:名無しさん、プレイボール! ID:jyKAg7zXp
鞍上幸なのか、ほんとタフだなあの人
11:名無しさん、プレイボール! ID:n7YEVRLff
>>9
正気に戻れ
12:名無しさん、プレイボール! ID:QhJh9pRck
幸好きだけどどうにもな
13:名無しさん、プレイボール! ID:JXpGc3iLk
まあそういう意味でも応援馬券よね
14:名無しさん、プレイボール! ID:Uf6PREX4K
あの人何鞍乗るねん
15:名無しさん、プレイボール! ID:jYgwfhW9X
鞍上幸なら一応馬券に絡めるのもありか
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「お~いこっちやこっち!」
「ああ笹木さん、来てくださってありがとうございます」
「ははは、ええねんええねん」
10/2、阪神競馬場。
無事にオフとなった自分は笹木さんをお誘いし、サイレントロード号のデビュー戦を観戦しに来ていた。
「いやぁ遂にデビュー戦たぁ感慨深いなぁ」
「短いようで長かったっすね」
「わかるわー、待ち遠しいというかな」
会場こそ違うが前回と同じく馬主席へ。
新馬戦は早い時間……今回だと昼間の12時頃にスタートするため、挨拶や昼食などを考えるともっと早い時間から競馬場に入らなければならない。
発走前には騎手さんや調教師さんの方、パドックや検量室で愛馬の姿も見たいし。
……別に自分が走るわけでも無いのだが、なんか緊張してきた。
早めの昼食を取り他馬主との挨拶も済ませ、いよいよ第3レースが発走準備を始めた為パドックへ向かう。今回は笹木さん抜きで1人だ。
実を言うとサイレントロードとはセリで買った時以降一度も顔を合わせていない。
シーズン中はもちろんのことキャンプ中も無理だし、その前は色々ゴタゴタもあってそれどころでは無かったのだ。馬主をやるにあたっての交渉とかも球団としないとならんかったし。
約1年ぶりに見たサイレントロードは、買った時よりも更に少しがっしりとしたような印象を受けた。
「池尾さん、お疲れ様です」
「おお駒場さん、お疲れ様です。見に来られたんですね」
「どうにかこうにか時間が作れました。サイレントロード、なんだかがっしりしましたね」
「調教自体は緩めに体調を落とさない程度に、夏には生産元の牧場さんに放牧に出したことで身体が成長したかと。3歳戦までの仕上がりは問題無いでしょう」
「ほうほうわっぷ」
「どうどう」
池尾さんと話していると、サイレントロードが鼻づらを押し付けてきた。なんだこいつかわいいな。
「人慣れしてるとは聞いてましたが、ほんとに人懐こいんですね」
「ですね。厩務員からも可愛がられていますよ」
歓談を続けていると、一人の男性が近寄ってきた。
「駒場さん、初めまして」
「初めまして、騎手さんですか?」
「はい、サイレントロードに今日乗る幸秀幸(みゆき/ひでゆき)です」
「そうでしたか、今日はよろしくお願いします」
幸さんは騎乗依頼をほとんど断らないことから非常に騎乗回数が多く、その分勝率はそこまででも無いが現役である期間と比べて経験は多いとのこと。
経験の多い騎手に乗ってもらえるのはありがたい。
「それじゃあそろそろパドックに行くので、見ていきますか?」
「写真とかも取りたいので、お邪魔させてもらいます」
「わかりました。自分もそろそろ行くので、ではレース後に」
パドックでの撮影も終わり(ここでもパドック周回中にサイレントロードがこっちに寄ってきて、会場の笑いを誘っていた。かわいい奴め)、馬主席へと戻る。
「随分懐いとんなぁ」
「顔見せてないんすけどねぇ、買った時に顔を覚えたんでしょうか」
「賢い馬や」
さあてコースへの入場も終わり、発走準備。
デビュー戦、もちろん勝ってほしいが、怪我無く回ってくれるだけでも御の字と言ったところだろうか。
『それでは阪神第4レース、サラ系2歳の新馬戦芝1800m、11頭がデビューを迎えます。
お昼を少し回ったところで気持ちの良い日差し、雲が所々浮かぶ程度の晴天、良馬場となっております。
1番人気は1.8倍で7枠8番リベルタス、2番人気は少し離れて8枠10番ダノンシャークと、どちらもこの年初年度産駒となるディープインパクト産駒。
ここまで日本の様々な初年度産駒記録を更新しそうなハイペースとあって、高い人気となっています。
そのリベルタスは少々入れ込み気味でしょうか、ゲート前で興奮するそぶりを見せています。
1枠1番サイレントロードから順にゲートへと収まっていきます。サイレントロードは非常に落ち着いていますね。おっと8番リベルタスやはり少し落ち着かない様子です。
コスモアジル……バロンルージュ……エクスプライド……10番のダノンシャークが先に入って、最後に8番リベルタスが……無事入って態勢が整いました、係員が離れまして……』
『スタートしました。11頭が第3コーナーへと向かいます。
各馬良いスタートを切りましたが中でもポンと飛び出したのはサイレントロード、それを追うようにダノンシャークとファイアアローが横に並んで先頭争いに加わります。
3頭が横に並びかけました後ろにコスモアジルとエーシンミラージュ、ダイヤノゲンセキが先行集団を形成しようかというところ。
その後ろ1馬身程の差があってシンワカントリー、バロンルージュ、1番人気リベルタス。
後方には2馬身後ろにデンコウジュピター、エクスプライドと続きました。
さあサイレントロードはハナをダノンシャークとファイアアローに譲り3番手、ファイアアローが先頭となりました。
外目半馬身後ろにダノンシャーク、内にサイレントロード。
サイレントロードのちょうど1馬身後ろにコスモアジル、少し後ろに固まって2頭エーシンミラージュとダイヤノゲンセキと続いて、シンワカントリーとバロンルージュ、リベルタスが並んでいるところで3コーナーへと入ります。
1馬身後ろにデンコウジュピター、しんがりはエクスプライド。
3、4コーナー中間ファイアアロー1馬身のリードですが後続集団との差は縮まってきているか。
4コーナーに入りましたがダノンシャーク、リベルタス、サイレントロードも外に持ち出して上がってきました、少し外を回らされたリベルタス、ダイヤノゲンセキも上がっていく構えのまま第4コーナー回って直線に入りました。
先頭はファイアアロー粘っていますがロス少なく回ったサイレントロード、ここで躱して先頭に立ちました。
内目最後方からデンコウジュピターが追い上げを図りますがはたして届くか。
ダノンシャークリベルタス並んで2番手叩き合い、サイレントロードとの差は2馬身ほど。
コスモアジルは内、エーシンミラージュは外から懸命に追っています。
エクスプライド外からようやく上がってきた、ファイアアローは沈みましたでしょうか。
サイレントロード1馬身差ですが粘ります粘ります、1馬身差が埋まりません。
残り200、粘るサイレントロードを追うリベルタスとダノンシャーク、45番手争いはダイヤノゲンセキコスモアジルエーシンミラージュ、それを躱してデンコウジュピターが4番手。エクスプライドは5番手争いには届かない。
ダイヤノゲンセキがややコスモアジルとエーシンミラージュを引き離しました。
先頭変わらずサイレントロード、粘って粘ってサイレントロード1着を譲らずゴールイン!
2着争いはややリベルタスが優勢外にダノンシャーク、4着はデンコウジュピター、5着ダイヤノゲンセキとなりました。
お手持ちの勝ち馬投票券は確定までお捨てにならないようお気を付けください。
勝ったのはなんと7番人気、トウカイテイオー産駒の1番サイレントロード。好位から早め先頭に立ち押し切りました強い競馬。後方からの追い脚と並んで抜かせないポテンシャルを見せつけました』
「……勝ったっすね」
「……勝っちまったなぁ」
2分も無いレース時間、終わってみればあっという間というか、正直レース中自分が何をしていたかも覚えていないくらいに熱中した気がする。
「とりあえず口取り式、行ってきますわ。荷物お願いしても?」
「おう、行ってこい」
なにかふわふわとした足取りで下へと降り、スタッフの案内を受けウイナーズサークルへ。
下では池尾さんと幸騎手が笑顔で出迎えてくれた。
「駒場さん、勝ちましたね!」
「駒場さん、やりましたよ。いい馬ですよサイレントロードは」
「ありがとうございます、なんか……変な気分ですね」
「初めての事柄が上手く行っている時はそんなものだと思います」
「そのうち実感するようになりますよ」
「そんなものですかねぇ」
どうも気持ちがふわふわしているが、とりあえず勝ちは勝ちということで、ウイニングサークルへと池尾さんと幸さんに連れられるサイレントロードと共に向かう。
詰めかけた報道陣に笑顔を返して記念撮影。向けられるカメラが多い気がするのはその強さゆえか、話題性からだろうか?
>レース展開
netkeibaのコーナー毎順位と最終着順、馬身差を基に展開を脳内で作って実況という形で出力。
今後大レースとかならもう少し何か付け足すかもしれんですが今はとりあえず練習代わりというところでこの程度で勘弁……。