ホロライブラバーズ『数多の星を照らす者』獲得ルート   作:468(ヨルハ)

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Part7 獅子の狙撃、魔導師の狙撃

 

 

 

 

 仲間がいれば怖くない!な気持ちで行く実況プレイはーじまーるよー。

 ということで前回はラミィちゃんと合流、そしてその流れでねね&ポルカと戦闘、撃破しました!

 

 ねねちに関してはラミィちゃんを助けるためとはいえほぼ不意打ちみたいな倒し方になってしまいましたが、そこはまあしかたがなかったということで…

 あ、ちなみに細かい描写がなかったですがねねちを倒すために発動したのは初使用の『ディバインバスター・エクステンション』ですね。通常の『ディバインバスター』より射程距離と砲撃速度が大幅に上昇したもので、基本は発動に2発、今回はさらにチャージ時間短縮に2発の合計4発のカートリッジを使用しています。

 チャージ短縮してなければ十中八九間に合わなかったでしょうからこれは必要経費ですね。

 

 そしてポルカの()()ですが、見た限り他の人には聞かれてなかったようで一安心です。本人としてはまあ拘束を解くまでの時間稼ぎのつもりだったんでしょうけどこっちとしては肝が冷えた場面でした。

 主人公に関する噂というのはどこまで広がるかが序盤では特に予想できないので、万が一ほかのホロメンに聞かれでもしたら好感度調整がこの上なくめんどくさくなりますからね。

 

 

 

 

 

 ではではバトロワの続きをやっていくわけですが、もうラミィちゃんとの合流は果たしましたのでこの先は殲滅戦の動きでこちらからガンガン攻めて頭数を減らしていきます。

 一番の脅威になりそうなかなココペアですが先ほどのサテライトスキャンで位置は特定済みで、おそらく現在もグラウンドの中央に陣取ってやってきた相手を片っ端から叩く戦法で大暴れしていることでしょう。

 よってそこには終盤まで近寄りません。

 かなココ戦は間違いなく消耗戦になりますし仮に勝ったとしてもその後で漁夫でやってきた相手を処理することができない可能性が高いためです。

 

 ということで話してる間にユー君のカートリッジの再装填も終わったところでそろそろ移動を始めましょ………ん?

 ちょっと待って校舎の屋上でなんか光が反射しましたよね!?

 サテライトスキャンでも確かそこに一人いたはず、これは狙撃ですね!

 ヤバい回避…待ってなんか操作受け付けないんですけど!?!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ねねとポルカとの戦いが終わり、悠とラミィはそれぞれ息を整えながら木陰に移動する。

 悠は休憩がてら使い切ったストライクハートに取り付けられた空の弾倉を取り外し魔法で転送、代わりにその手に全く同じ形の予備弾倉を呼び出し取り付ける。

 

 これで残りのカートリッジは12発。

 サテライトスキャンで残り人数が半数を切っているのは確認しているが、無駄遣いはできないなと思いながら次の動きを考える。

 まず最初に避けるべきなのはグラウンド、遮蔽物も何もないあの場所は悠にとっては戦いやすいフィールドではあるが同時に空を飛ぶ悠は相手にとっても見つけやすい敵であり、つまりはまだ人数が残ってる現状では相手の狙いが自分に集まりやすいということである。ラミィに関しても悠と同じ遠距離型の魔法使い(メイジ)であることから乱戦が起こりやすいグラウンドではお互いにフォローが効きにくい。

 

 外回りに進みながら行こうかな…とそこまで考えたところで悠は弾かれたように顔を上げ校舎の屋上で光に反射する()()を視認すると、その瞬間隣にいたラミィを反射的に突き飛ばしていた。

 ラミィは予想外の衝撃に小さな悲鳴を上げて尻もちをつく。

 

 

 

「いった…悠くん、なに…を………!?」

 

「ぐっ…あ……!」

 

 

 

 悠を見上げたラミィの目に映ったのは空に舞う鮮血、そして苦悶の表情を浮かべて血に染まる肩を押さえる悠の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しまった。いや、ラミィと合流して戦いにも勝って気が緩んだか。さっきのサテライトスキャンでそこに1人いたのは確認したはずなのになんという失態だろうか。

 ギリギリで気づいてラミィを庇うことはできたがその代償がこれだ。

 

 しかし今もなお作られていく血だまりと肩口の傷を交互に見て重傷であるが致命傷ではないと判断、思考が加速する。

 撃たれたのは向かいの校舎の屋上から、獲物は狙撃銃(スナイパーライフル)

 それもフィールド系の防御魔法に分類される『バリアジャケット』を一切の抵抗なく貫通するほどの威力となると対物(アンチマテリアル)ライフルか。

 

 対物ライフルは狙撃銃の中でも大口径の弾を使用したもので、元々は()()()()()()()と呼ばれており、軽量化と連射性能を犠牲に威力と貫通力を高めたものである。

 悠の『バリアジャケット』は通常の狙撃銃では弾くまではいかなくとも貫通できないほどの防御性能を誇ることから対物ライフルの貫通力の高さがうかがえる。しかし欠点として取り回しがきかないこと、そして1発撃てば次弾まで相応の時間がかかる点があげられる。

 

 故に悠は今にも泣きそうな顔をしているラミィを抱えて撃たれた側とは反対の校舎裏まで一気に飛翔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、とりあえずここまでくれば…射線は切れたかな」

 

「悠くんそんなこと言ってる場合じゃないよ!すぐに治すから、清廉なる光をもって傷を癒せ『ヒール』!」

 

 涙を瞳にためたラミィが両手を悠の傷口に向けて呪文を唱えると傷が淡い光に包まれてまるで逆再生のように塞がっていく。

 回復魔法『ヒール』。それも追加詠唱による効果の増大がなされており悠の傷は20秒もたたずにきれいさっぱりなくなっていた。悠は「おお…」と言いながら治った肩をグルグルと回して違和感がないのを確認する。

 

 

 

「ありがとうラミィ、助かったよ」

 

「うん、どういたしまして。こちらこそ…ありがとう」

 

「うん。…さてと、ストライクハート」

 

「はいマスター!目標、捕捉中です。位置情報開示します」

 

「さっすが」

 

 悠の呼びかけにストライクハートが意気揚々と返事を返す。マスターである悠が傷を負ったにも関わらずストライクハートが反応を示さなかった理由はこれである。

 インテリジェントデバイスであるストライクハートは主の魔法補助がメインの機能ではあるが、デバイス自体に魔力がある程度込められている関係上デバイス単体での魔法行使も可能になっている。先ほどの狙撃の瞬間、悠はストライクハートに『狙撃手の追跡』を命令していた。

 それによりストライクハートは広範囲の索敵魔法(エリアサーチ)を展開、狙撃手の行方を追い続けていたということである。

 

 ストライクハートをサテライトスキャンの受信端末に疑似的に接続、MAP機能を使ってそこに光点が1つ表示される。表示された場所は撃たれたと思われる校舎の屋上から少し離れた別棟、そこの最上階である。

 校舎の屋上よりかは高さはないが周りに建物が少なく、なにより悠たちがいる校舎を余すことなく見渡せる位置。

 このまま出たら間違いなく撃たれるな、と確信できた悠は立ち上がるとストライクハートを『バスターカノンモード』へ移行、魔法陣を展開する。

 

 

 

「悠くん…?」

 

「こっちの位置は捕捉されてる。でも、相手は自分の位置が捕捉されてる、ましてや反撃されるとは思ってないはず。それに…」

 

 

 

 そこで悠は言葉を切り、普段とは違う口角が上がった好戦的な表情を見せる。

 

 

 

僕って結構負けず嫌いなんだよね!ストライクハート、いくよ!」

 

「Load Cartridge.」

 

 

 

 ガシャンガシャンッ!と音を立てて排出口から空薬莢が2つ飛び出す。

 近くにいるラミィが咄嗟に顔を覆ってしまうほどの魔力の波があふれ出し、それが校舎の壁に向けたストライクハートの切っ先に集い膨らんでいく。

 エリアサーチによって相手の位置は確認済み、そして動く様子もない。

 これは、直接見えない敵に位置情報だけで照準を合わせられる腕があってようやく実現できる技。

 

 

 

「A firing lock is cancelled.」

 

 ストライクハートの勧告。

 A firing lock is cancelled.

 意味は、ファイアリングロックの解除。

 すなわち、この攻撃に関しては物理干渉があり、地形破壊を可能にする。

 

 

 

 

「ディバイン…バスター!!!!!」

 

「Extension.」

 

 

 

 溜められた魔力がキーワードとともに解放、瑠璃色の閃光となって校舎に衝突。

 その光は校舎を丸々1つ貫通し、光点が表示されていた別棟まで一瞬で駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(まさかあの好条件で仕留められないとはね。私もなまったかな。…いや、あの男のことを過小評価していたせいか)

 

 屋根伝いに校舎を移動しながら獅子の獣人───獅白ぼたんは想起する。

 バトロワ開始直後、校舎の屋上に転移できたのはぼたんにとって最高に運が巡っているといっていいだろう。彼女の扱う武器は銃火器、その中でも主武器(メインウェポン)と呼ぶべきものは今なお抱えている対物ライフルである。

 視覚外…否、知覚外からの狙撃で遠くの相手を屠り、校舎を登ってきた相手は【気配感知】で位置を捕捉して小機関銃(サブマシンガン)で蜂の巣にする。

 

 まさに遠近ともにスキがない、余程のアクシデントがない限りやられることはないと思っていたし、即死級の攻撃に限り当たったとしてもそれを肉体的ではなく魔力的なダメージに変換されて傷を受けない状態にするというこの学園のシステムが、ぼたんから()()という概念を取り払った。

 

 

 

 

 

 校舎の屋上を陣取って、さながら固定砲台のように射程内に入り込んだ相手を射抜く作業の繰り返し。

 その数が10を超えたあたりでぼたんは()()を見つけた。

 

 雪花ラミィ。

 

 同じクラスで、隣の席。

 男と一緒にはいってきたときはどんな奴かと思ったけど話してみればめちゃくちゃイイヤツで、話しやすかった印象。

 まあかといって不戦協定を結んだわけでもないが、頭数を減らせるならだれでもいいかと狙いをラミィではなく彼女に追いすがっていた黄色い少女に変えて照準を合わせた瞬間、巨大な瑠璃色の魔力が亜音速で視界を覆った。

 

 「…は?」と彼女らしからぬ呆けた声を漏らしたのは記憶に新しく、我に返って急いでスコープの倍率を下げて状況を把握すると、すでに戦闘が終わっていた。

 彼女とともにいたのは1人の男。

 たしかユウ、とか呼ばれてたっけか。

 スコープ越しに見た印象はいかにも優男といった感じで正直に言って強くは見えなかった。よって狙うならこちらの情報をもってるラミィの方かなと彼女に照準を合わせて引き金を引く。その刹那

 

 

 

 瑠璃色の瞳がこちらを真正面から見ていた。

 

 

 

 ドクンッと心臓が跳ねる。

 ラミィの頭に向けて放たれた弾は寸分違わず飛んでいくが、それは代わりに彼女を押しのけた彼の肩に直撃し血で染める。

 

 

 

(バレた?あそこから?)

 

 予想外のことに動揺を隠せないぼたんはリロードを忘れてスコープを覗いたまま2人が去っていくのを見る。しかしいつまでもこのままではいられないとぼたんはわずかな硬直ののち立ち上がって動き出す。

 

 

 

(なんでバレたかは分からない。でも居場所を悟られた以上ここは危険だ。目指すは…別棟!)

 

 忘れていたリロードをパルクール中に終わらせて別棟にたどり着いたぼたんは2人が去った校舎の全域を見れる位置に移動すると片膝をついてスコープを覗き見る。

 どこから顔を出しても見える位置、加えて相手はこちらがどこに移動したかは見てないはず。たとえ回復したとしても次は一撃で屠ると意気込んで息を整える。

 

 焦りはない。

 狙撃手(スナイパー)としていつも通りのことをこなせばいいとただひたすら機会を待つ。

 

 

 

 10秒…20秒…30秒………。

 

 

 

 そして40秒が過ぎようというとき、ぼたんの野生の直感が警鐘を鳴らした。

 

 

 

(ヤバい!なにか…来る!!)

 

 【直感】によって何かを察知したぼたんは咄嗟にライフルを抱えて全力で横に跳ぶ。

 その直後、ぼたんが立っていた場所を瑠璃色の閃光が駆け抜けた。駆け抜けた光が細くなりやがて消え、光が通り過ぎた場所には()()()()()()

 床も、壁も、はたまた向こう側の校舎も何かに切り取られたかのように一部分が丸く消失し、その向こう側に()の姿を見た。

 

 ぼたんは身震いする。

 恐怖による震えではない、これは退屈だったこの戦いにおいて自分の予想を超えたものの出現による歓喜。

 これは、武者震いだ。

 

 

 

「面白いじゃん、楽しませてよ。ユウ!」

 

 そう言ってぼたんは笑みを浮かべながら駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…避けられましたね」

 

「まさかあれで決められないとはね…」

 

 ストライクハートはいつも通りの状況報告、そして悠は若干ひきつった笑みを浮かべていた。

 この反撃は相手側も予想はできなかったはず。いや、仮にできたとしても亜音速で駆ける魔力砲撃は見てから避けるというのはできないはず。

 つまり相手は攻撃を()()ではなく()()()()()()()したということになる。であれば、発射から着弾までタイムラグの生じる遠距離の撃ち合いは意味をなさないだろう、少なくとも相応の物量がない限りこちら側に勝ち目はないことになる。

 なら攻撃を予測できる相手にどう戦うか、悠の答えはもう決まっていた。

 

 

 

「ラミィ、手伝ってくれる?」

 

「…うん!助けられたんだもん、今度はこっちが助ける番!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして顔を真っ赤にしたラミィを横抱き(お姫様抱っこ)しながら『アクセルフィン』で空を飛んだ悠はマークしている相手の位置まで一気にたどり着く。

 

 会敵は、すぐだった。

 

 耳をつんざくような激しい銃声とともに悠とラミィに銃弾の雨が降り注ぐ。それを『ラウンドシールド』で危なげなく防ぐと、銃声が止むとともに獣人の少女が武骨な銃を持ちながら建物から悠たちの目の前に軽やかに降り立つ。

 

 

 

「ヤッホー、キミと面と向かって話すのは初めてかな。私は……って、何やってんのあんたら?」

 

「悠くん、お願いだからもう降ろしてぇ……」

 

「あ、ごめん。攻撃防ぐのに集中してて…」

 

 2人を改めて見据えたぼたんが気軽に挨拶をしようとして…目の前の光景に怪訝な表情を浮かべる。

 そこにいたのは機械的な印象の杖を持ちながら器用にラミィを抱き上げている悠と羞恥のあまり顔を両手で押さえながら震えた声で懇願するラミィの姿。挨拶次第やりあう気満々だったぼたんもさすがに毒気を抜かれ構えていたAK-47(アサルトライフル)を下ろす。

 そうしてる間に悠もラミィを下ろし、ラミィはパタパタと手で顔を扇ぎ1つ咳払い。

 

 

 

「えっと、今朝ぶりですね獅白さん」

 

「あーうん、まあ何も見なかったことにしとくよ」

 

「うぅ………」

 

 何事もなかったかのように仕切りなおすラミィにぼたんの気遣いの言葉が深く突き刺さり沈黙する。

 

 

 

「さて改めて…初めまして。私は獅白ぼたん、獣人だよ」

 

「ご丁寧にどうも。僕は星宮悠、ただの人間だよ」

 

「オッケー悠ね、私もぼたんでいいよ。それにしてもただの人間にあの距離の狙撃が避けられるかって。ジョーダンきついよ?」

 

「冗談じゃないんだけどね…狙撃に関してはサテライトスキャンであそこに1人いたのは記憶してたし、直前にスコープが光を反射してたからね。それでもギリギリ避けられなかったけど。」

 

「あーそれか。うん、その可能性に気づけないんじゃ私もまだまだだな。さてと、挨拶もほどほどに…」

 

 

 そこまで言ってぼたんは下ろしていたAK-47を再び水平に構える。

 指をトリガーにかけ、ドットサイト越しに悠たちを見るその瞳は獲物を捕らえる肉食動物のそれだ。

 それを見て悠も愛機を構え、復帰したラミィも詠唱の準備を整える。

 

 

 

「じゃ、始めようか。二人とも楽しませてよ?」

 

「こっちだって負けない!いくよ!!!」

 

「うん!」

 

 トリガーが引かれ、銃口が火を噴く。

 それが、開戦の狼煙となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 銃声が絶えず鳴り響き、銃身から撃ち出された7.62mm弾が魔法陣や氷の壁と衝突して火花を散らす。

 戦況は膠着の模様を呈していた。

 ぼたんが引き金を引き、迫る銃弾は悠とラミィの防御魔法によって阻止され、返す刃として射撃魔法を撃ち込むも【直感】によって軌道を読まれたそれは最低限の動きで躱される。スキになりそうなリロードもぼたんが回避に専念することによって被弾はゼロ。

 

 ならばと悠はロードカートリッジを行う。

 足元に魔法陣が展開され、悠の周りに現れる計20個の魔力球。

 それにタイミングを合わせラミィも詠唱、攻勢に転じる。

 

 

 

「アクセルシューター…シュート!」

 

氷魔槍(アイスランス)!」

 

 魔力球がそれぞれ意思を持つように、それと同時に3つの鋭さを感じる氷の塊が空気を切り裂いてぼたんに向けて殺到する。ぼたんはその物量を見て重りとなる突撃銃(アサルトライフル)を収納魔法で異空間へ飛ばし、軽快に回避行動にはいる。

 

 速度と攻撃力が高い『氷魔槍』は近くに着弾してもその衝撃でダメージが入りかねない。攻撃の危険度を正しく把握したぼたんは大きく横にステップをとって攻撃の軌道上から外れ、通り過ぎた氷の槍が風を起こしぼたんの髪を揺らす。続く『アクセルシューター』はそのルートからすべて避けることは不可能と判断、即座に異空間からサブマシンガンを取り出し、相殺しにかかる。

 前方から上下左右と迫るすべての魔力球を処理して一息ついた瞬間、重心を横にずらして1つステップ。その次の瞬間、ぼたんの死角から飛んできた魔力球がさっきまでぼたんのいた場所に撃ち込まれた。

 

 

 

 ドドドッ!

 

 

 

「おお、危ない危ない。やっぱ油断ならないね」

 

(やっぱり…獅白さんは見てから避けてるわけじゃない。かといって攻撃を予知や予測をしているわけでもない。咄嗟の回避行動であの死角からの攻撃を避けるってことは攻撃を()()する能力ってところか)

 

 悠は即座に対策を練る。

 不意打ちは不可能、ラミィとの同時攻撃も現状押し切るには物量が足りない。

 問題なのは攻撃を感知する能力と、何気に高い彼女自身の素早さである。さすがは獣人というべきか素の移動速度というのが速く、逃げに徹せられたらスピード勝負を得意としていない悠とラミィはとても追いつけないだろう。

 

 倒すための策は…ある。

 そのための仕込みも終わらせた。

 あとはタイミングと、勇気だけだ。

 

 

 

「ラミィ、作戦がある…っと!」

 

「暢気に話してる場合!?させるわけないでしょ!」

 

 いよいよテンションが上がってハイになったのかぼたんは獅子さながらの獰猛な笑みを浮かべて片手の銃で牽制しながらさらに銃を呼び出し両手に持つ。

 2丁持ちの同時発射による超火力攻撃『ダブルバースト』。その瞬間火力はぼたんが持ちうる攻撃の中では最上位に入る。

 3人の距離は銃撃の回避が効く位置ではなく、悠とラミィは迷わず防御を選択。少しでも被弾を少なくするため、2人は寄り添って同時に魔法を発動した。

 

 

 

「くらいな!ダブルバースト!!」

 

「エクセリオンシールド!」

 

氷華盾(アイスシールド)!」

 

 

 

ガガガガガガガッ!!!

 

 

 

 多重装甲の魔法障壁と花弁を形どる氷の盾が重なるように展開される。そこに容赦なく先ほどまでとは比較にならないほどの量の銃弾の雨が降り注ぎ、2つの盾を削っていく。

 盾の全面に撃ち込まれる弾は盾を端の方から崩壊させ、その防御範囲を徐々に狭めていく。と、そこで悠がラミィをいまだ健在の『エクセリオンシールド』の範囲内まで抱き寄せた。

 

 

 

「悠くん!?それじゃあ悠くんが!」

 

「大丈夫、このバリアジャケットも防御魔法の一種なんだ。くらい続ければさすがにキツイけどこのくらいなら…それより手短にさっき言った作戦の内容だ。彼女の銃が両方リロードに入ったタイミングで『大地氷結(アイスフロア)』を使って。あとは僕が決める!」

 

「で、でも獅白さんの速さじゃ避けられ……ううん、分かった!」

 

「作戦会議は終わったか!?それじゃあこっちも…ッマガジンが…!」

 

「!今だいくよラミィ!」

 

「うん!任せて!」

 

 カチッと無機質な音と同時に銃声が止む。

 ここで決めようと思ったぼたんにとっては致命的で痛恨のマガジン切れ。その瞬間を見逃さず、悠とラミィは己が盾を解除して同時に動き出した。

 

 

 

「大地氷結!」

 

「そんなの食らうか…っな!?」

 

「『フラッシュムーブ』…まさか接近してくるとは、思わなかったでしょ?」

 

 ラミィから放射状に地面が凍り付いていく。

 しかしそのスピードは決して速いものではなく、距離も避けるうえでは十分に空いている。あくまで冷静に範囲から外れようと動き出すぼたんだが、突然目の前に悠が現れ腕をつかまれて動きを封じられた。

 そして動きを封じられたが最後、迫ってきた氷に悠もろとも巻き込まれ足を固められる。

 

 

 

「悠、正気か?自分もろとも私を封じてくるなんて…」

 

「魔法はぼたんさんを倒した後に解除してもらうさ。攻撃じゃなくて直接掴みにいったのは()()()()()()()なら感知できないと睨んでたから。それにさんざん遠距離戦をやり続けて今更突っ込んでくるなんてつゆにも思ってなかったでしょ?」

 

「たしかに…ね」

 

 要は相手の意識外からの行動。虚をつくと言ってしまえば話が早く、悠はこれまでの戦闘で徹底してぼたんとの距離を詰めることを避けてあえて不利な遠距離戦を続けていた。

 そうしてぼたんの意識から「接近する」という選択肢を排除した。

 結果は見ての通りだ。

 

 悠は空いてる左手をぼたんへ向けて魔力をチャージする。

 ぼたんは【直感】で攻撃を感知するが、当然避けられる状況ではない。

 だが、諦めるなんてもってのほかである。

 避けられない、防御もできない。

 なら、攻撃される前に倒すだけだ。

 

 

 

 

 

 マガジンが空になったライフルを投げ捨てて即座に次の武器を呼び出す。収納しなかったのはその手間さえもこの瞬間においては負けの原因になるから。

 呼び出すのは片手でも取り回しがきくハンドガン、その中でも最も威力の高い「デザートイーグル」。さすがの悠もここから反撃が来るとは予想していなかったのかソレをみて目を見開く。

 悠の魔力チャージは完了した。ぼたんも悠の眉間にデザートイーグルの銃口を向けて指はすでにトリガーにかかっている。

 先に撃った方が勝ちの早撃ち勝負。

 

 しかしぼたんは一種の極限状態のせいで頭から抜け落ちていた。

 決して忘れてはいけなかった、もう1人の存在を。

 

 

 

氷飛礫(アイスバレット)!」

 

 撃ち出された氷弾が正確にデザートイーグルを握っていたぼたんの手を弾き飛ばす。

 痛みと衝撃で痺れる己の手を見やると、状況を理解したぼたんが悔し気な顔を浮かべ、対してラミィはやや似つかない勝気な笑顔。

 

 

 

「ッチ、ここまでかぁ…」

 

「次は、一人で勝ってみせるよ」

 

「ッハハ、楽しみにしてるよ」

 

 

 

 最後に言葉を交わして、悠は魔法を撃ち出した。

 

 

 

「クロススマッシャー!!!」

 

 

 

 掌から放たれた魔力砲がぼたんを吹き飛ばして彼女は校舎の壁に激突、そして転送魔法の光に包まれる。

 そこにラミィが駆け寄っていく。

 

 

 

「獅白さん!」

 

「ん?あー、ぼたんでいいよ?私もラミィって呼ぶし」

 

「…うん、ぼたんさん。ごめんなさい、2対1なんてしちゃって」

 

「気にしなくていいって。悠にも似たようなこと言われたし、それに次はリベンジするよ」

 

 ぼたんはそれだけ言うと転送魔法によって光を残して消えていった。

 わずかな静寂、そして感傷に浸ることも許されず機械音声が鳴り響く。

 

〈バトルロワイアル開始から30分経過。サテライトスキャンを行います。〉

 

 それを聞いて悠はサテライトスキャンの受信端末を操作してMAPを表示させ、ラミィも隣に立ちMAPを覗き見る。

 前回と同じようにMAP上に光点が表示され、2人して瞠目した。

 残された光点の数は───5個。

 

 

 

 

 

 最終決戦は、すぐそこまで迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はいということでぼたん戦無事終了です!

 【直感】持ちなのは分かってましたけどさすがに返しの『ディバインバスター・エクステンション』を避けられたのは予想外でした。

 まあそれでもなんとかラミィちゃんとのコンビプレーが刺さって撃破できましたね。

 

 ちなみに最初に操作不能になった件ですが、操作可能になったのが対物(アンチマテリアル)ライフルで肩を貫かれた後だったので割とすぐ復帰できましたね。

 これに関しては次回の冒頭で少し解説を入れていきたいと思います。

 次回はいよいよバトロワクライマックス!

 気を引き締めてやっていきます!

 

 ということで今回はここまでにしたいと思います!

 ご視聴ありがとうございました。





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