ホロライブラバーズ『数多の星を照らす者』獲得ルート 作:468(ヨルハ)
今日も今日とて相も変わらずな喧騒が鼓膜を揺らす。
今日は週末と言うことで最近ではもう恒例となったショップエリアの一角である商店街への買い出しにやってきていた。
この町一番の規模を誇るこのショップエリアは、古き良きな自営店が並ぶ商店街の他にもなんでもござれな大型スーパーや遊びっ気盛んな学生たちに人気なホビーショップやゲームセンター、さらには骨格にそもそも違いが出る人間以外の多種族御用達のアパレルショップなどが立ち並ぶ迷ったらとりあえずこことまで言われる中心地の一つ。まあそれぞれが似たような店ごとにエリア分けをされているので商店街とゲームセンター等のエリアでは大きく客層や人の数も異なりはするのだが。
この町に帰ってきたばかりの頃は食材が少なくなってきたら買い物に行くみたいなスタイルだったけれど、最近では鍛錬やクラスメイト達との交流、さらには個人的な捜査をやっていたのもあって平日に買い出しに行く時間というのがとれなくなってきていた。
そのためこうして週末にまとめての買い物に来ているのだが、これはこれで休日の時間を使ってまとめて食材や日用品の補充を済ませておけば買い物に行く回数を減らせてその分の時間を違うことに使うことができるというメリットもあったりする。
できるだけ効率よくかつ安く回るため、日用品や消耗品は大きめのスーパーでまとめて、肉や野菜などの食材はそれぞれ精肉店や八百屋などで一つ一つ購入していくというのが最近定まった一連の流れである。
その様子を見てもう一端の主夫とでも思われているのか、近所の主婦や行きつけの店主さんによく愚痴を聞く代わりに余りものをもらったりなにかとサービスしてもらったりしているのは喜ぶべきなのかどうか。
とまあ近況はこんなもので行きつけのスーパーに辿り着く。
春から夏へ変わる直前の絶妙な暑さによってかいた汗を袖口で拭いながら自動ドアをくぐると特有の空調の冷気が体を刺激する。
「ふう、生き返るなぁ」
「もうじき夏に入りますからね。水分補給はしっかりですよ、マスター」
「わかってるって」
買い物カゴ片手にストライクハートと会話を繰り広げながらポイポイと手際よく商品をカゴに入れていく。ラップやキッチンペーパーなど買うものや種類もあらかじめ決めていたためその動きは非常にスムーズで、ものの10分ほどで空だったカゴが商品で溢れていた。
我ながら今回はスムーズで早くいったと小さな満足感に浸りながらレジに並んでいると、いつのまにか自分の会計の番になっていた。
「お願いします」と軽く声をかけながら重くなったカゴをレジの人に渡す。待っている間に財布を出して、考えるはこの後の動き。
(えっと、後は精肉店と八百屋か。久々に揚げ物も作りたいし今回は鶏肉かな。野菜はたしか玉ねぎとキャベツと………って、こんなこと考えてるから主夫とか言われちゃうんだろうな…)
指折りしてこれから買うものの数を決めながら思案顔を浮かべるその姿はまさに主夫の一言。今更ながらそんな自分の現状を再認識してしまいなんとも微妙な表情をしてしまうが、まあ損をしているわけではないから別にいいかと諦観する。
そして無事スーパーでの買い物も終わりエコバックに入れた日用品たちをストライクハートに収納して外に出ると、ちょっと入れ替わりでスーパーに入ろうとしたであろうフードを被った人物と肩がぶつかった。
「きゃっ!」
「っと」
バランスを崩した人物を見て悠は咄嗟にその手をとって支える。
色白く細いしなやかな指だった。聞こえてきた声と外で見るには少々過激な格好で女性であることは分かっていたが、ぶつかった際に黒いフードが外れその相貌が露になる。
愛らしいといった第一印象を持ちそうな整った顔立ちだった。きめ細やかなシルバーグレイの髪の隙間から覗く深紅の瞳が悠の星の瞳を射止める。まるで見続ければ宵闇に引きずり込まれそうなその瞳に悠は動きを止める。
わずかな硬直、その後に先に動き出したのは少女の方だった。
「…ありがとう」
体勢を立て直した少女が悠にひとつお礼を言うとフードを被りなおしスーパーの中に駆け込んでいった。
どこか引っかかるといった表情を見せ考え込む悠だったが、まだ買い物の途中だったことを思い出すと悠はかぶりを振って次の目的地に向かって歩き出した。
「…うん、接触したよ。………こよちゃん」
「おう坊主、今日も時間通りじゃねえか!」
「あ、こんにちは。今日もお世話になります」
「ハッハッハ!相変わらずかてえ奴だな!」
各所を回り本日最後に向かった精肉店で、もうすっかり顔を覚えられてしまった店主に先んじて気軽に声をかけられる。
短く切りそろえられた赤髪に服の上からでもわかる発達した筋肉、細かいことは気にしないと言わんばかりに腕を組みながら笑い飛ばす様はまさに絵に描いたような豪快な気質を思わせる男性。その分無遠慮さも目立つ人ではあるが、誰にでも分け隔てなく接する彼に絆されて諦める人は数知れずらしい。かくいう悠もその1人なのだが。
「んで、今日は何を買っていくよ?」
「鶏肉で。唐揚げとかにして食べたいんですけどおすすめってありますか?」
「ホォー、まあ定番で言ったらムネかモモだろうな。おっ、そういや今日は鶏モモでいいのが入ってんだ。これにするか?」
「じゃあそれで。あと…」
店主が陳列棚を漁って件のものを悠に見せる。身も大きく程よく脂がのったそれが並んでいるものの中でも上物であることは素人目線でもよく分かった。
悠はそれを見ると即断即決で購入を選択。店主のおすすめなら間違いないし、そこは今まで通い続けた信頼のようなものだ。ついでに他のお肉もちょこちょこと選びつつサクッと会計を済ませる。
「お、そうだ坊主、これ持っていきな!」
「え、ちょ!…なんですかこれ?」
そして帰る直前に店主に呼び止められると紙袋を押し付けられる。
それなりの重さを感じるそれを開けてみると、鼻腔をくすぐるなんとも美味しそうな匂いが立ち込める。思わず「ふわっ」と無邪気な子供のような声を出してしまうが、気持ちを落ち着けて改めて中身を確認してみると、そこには少々不格好と言わざるを得ない形で揚げられたコロッケがところせましに詰め込まれていた。
「ついさっき揚げたばかりのウチ特製のコロッケだよ。坊主は自分で料理できちまうからこういうの買ったことねえだろ?持ってけ!」
「いや、さすがにこんなにもらっていくには…払いますよ」
「ああいいっていいってお代なんて!どうせ形が悪くて商品にならないモノだ。いつも買っていってくれっからサービスだよ!ま、これで美味しいって思ってくれたら次来た時に買っていってくれ。そっちのほうが嬉しいからよ」
「……分かりました。ありがとうございます!」
悠が深々と頭を下げると店主は二ッと笑う。
悠もまた笑って返すと買ったお肉ともらったコロッケをまとめてストライクハートに収納してその場を後にした。
「マスター、ずいぶん貰っちゃいましたけどどうするんですか?」
「それなんだよねぇ。揚げ物だから長くは持たないし、保存するにしてもあのサクサク感がなくなるのは考え物。うーん…」
首に下げたストライクハートと話しているのは当然察するというべきか先ほど貰ったコロッケの消費方法である。当然自分でも食べるのではあるが、さすがに量が多すぎた。もはや一家庭でも一食では消費しきれないのではというほどの量をもらってしまっており、一人暮らしということを教えていなかった自分にも非はある故にどうしたものかと頭を抱える。
いっそみんなに配って回ろうかとうんうん唸りながら商店街の帰り道を歩いていると、ふととある少女が目に入った。
薄紫に水色のインナーカラーという特徴的な髪をツインテールにしたメイド服を着た少女だった。「重い~」と呻きながら両手に大きなレジ袋をもってフラフラと足がおぼつかない様子。
なんとも見てて非常にハラハラする少女の姿に大丈夫かなと声をかけようとした瞬間、少女の体が後ろにグラついた。
「危ない!」
悠の行動は反射的だった。
足に魔力を込めて解放。フブキが使用していた加速法の疑似模倣であり、本家には比べるべきもない程度の練度ではあったがそれでも少女に追い付くには十分の速度であった。
ポスンッと少女の小さな体が悠の腕に中に納まる。
転んだ際の衝撃に備えていたのであろう。レジ袋を頑張って細い両腕で抱え込んで固く目をつぶっていた少女は想像していた痛みが来ないことに不思議に思ったのかゆっくりと目を開く。
「へ…?」
「あの、大丈夫ですか?」
「え……………!!??」
そして不意に響いたどこか落ち着く声音が聞こえる方へ顔を向けると、そこには心配そうにこちらを見る1人の少年がいた。雲一つない真昼の青空と対比するように澄んだ夜空を体現するような濡れ羽色の髪がサラサラとなびき、太陽にも負けない星のような輝きを宿した瑠璃色の瞳がこちらをまっすぐ見つめてくる。
そんな彼に目を奪われる少女だったが、その少年とのあまりの距離の近さに少女は一瞬で我に返ると顔を真っ赤にして声にならない叫びをあげて立ちずさった。
立ち上がってからも「え…あの…」とか細い声で呟きながら視線が定まらずあっちいったりこっちいったりと忙しない。
「…?えっと…怪我はないですか?」
「あ………ご、ごめ……さい!」
「え、ちょっ!」
近くにいた悠ですらどうにかギリギリで聞き取れるかどうかくらいの絞り出すような声量でそれだけ言うと少女は脱兎の如く逃げ出した。
さすがに逃げ出されるのは予想してなかったのか悠は手を少女に伸ばした状態で硬直、そのまま少女が見えなくなるまで茫然としたままだった。
「…行っちゃいましたね」
「…だね」
「まったく、マスターを無視していっちゃうなんて!」
「まぁまぁ、そこは別に気にしてないから。人見知りだったのかもしれないし、
少女の対応に憤慨するストライクハートに対して悠は乾いた笑いを返す。
また転んだりしないだろうかと心配ではあるがすでに見えない少女のことを慮っても詮無し。むしろあの様子だとまた避けられるのがオチだろうという結論に至った悠は残った僅かな気掛かりを振り払い、気を取り直して立ち上がり歩き出そうとして、ポンポンと右肩を後ろから叩かれた。
「?なん…」
グニッ
「あはは!引っかかった!」
悠が後ろを向こうとしたら先んじて置かれていた人差し指に頬を貫かれた。いや実際に貫通などはしていないのだが。
直後にイタズラが成功したとケラケラ笑い声が聞こえてくる。悠はその笑い声に聞き覚えがあり、イタズラをした犯人の顔を見ると呆れたように名前を呼んだ。
「…かなた」
「へい悠くん、こんかなたー!可愛い女の子に振られちゃったね~」
「こんかなたー。あと、そういうのじゃないからね今のは」
かなたの独特な挨拶に悠も同様に返す。
そこにいたのは銀髪と天使の輪が眩くきらめく天音かなた。手提げバッグ片手に学園制服とは違う衣装を身にまとった姿で笑顔を向けてくる…その笑顔自体は非常に可愛らしいのだが、それよりも気になることがありすぎてついまじまじと見てしまう。
「ん、どうしたの悠くん?あ、もしかしてボクの私服姿に見とれちゃったとか~?いやぁ~ん」
「え、いや、なんていうか…」
「ファッションセンスないですねー、かなたさん」
ビシッと、空気が凍った。
先程までの笑顔から眉一つ動かさずかなたは硬直、笑顔自体は可愛らしいのに放たれるオーラがどうしようもなく不穏である。
そして爆弾を突拍子もなく言い放ったストライクハートは悠に念話で怒られる羽目になっていた。正直悠も同様の感想を持ったのだが言わぬが花というやつなので思うだけである。なんだその花柄のズボンは。
かなたがプルプルと震えだす。
そして一歩二歩と悠に歩み寄り手を差し出して一言。
「ストライクハート、貸して?乱暴はしないから」
「………はい」
「マスター!?」
笑顔が怖いとはこのことか。かなたから感じるあまりの圧に悠はおとなしくストライクハートを差し出した。
ストライクハートが驚き悠に縋るが悠は気まずそうにそっぽを向く。今この場にストライクハートの味方は誰一人いなかった。
かなたは通行人の邪魔にならないようにストライクハートを連れて路地裏に向かう。人通りの少ない場所ということでいろはのときのように厄介な輩がいないか悠があらかじめ魔力感知で探査し、人がいないことを確認してかなたに忠告済み。まあ今のかなたを見て何かする輩がいるとも思えないが。
その直後、憤怒の叫びが聞こえてきた。
「オメェ自分で服着たことないくせにヒトの服にケチつけてんじゃねえぞ!!!」
「ひえーごめんなさいごめんなさい!つい本音が…」
「本音だったらなおタチが悪いわ!!!」
容赦なく飛び交う罵詈雑言に悠はひとつ深呼吸。
そしてかなたに聞かれないように小さな声でこう呟いた。
「何も言わなくてよかった」
人生経験の差が、今回の悠とストライクハートの処遇を分けたのだった。
「スッキリした?」
「した!ありがとね悠くん」
「マスタァ~、ただいま戻りました~」
「はい、ストライクハートもおかえり」
しっかりと己が思いをぶつけたかなたは満足気に悠にストライクハートを渡す。
吐き出すものを吐き出して爽やかな表情を浮かべるかなたに対してストライクハートはいかにも疲弊しきったような声を漏らす。まあこれに関しては完全に自業自得なので特に慰めたりはしない。
「そういえば悠くんは今日どうしてここに?」
「週一でやってる買い出しで今はその帰り。かなたは?」
「ボクも買い出しの帰りだよ。ココと二人でルームシェアしてて前回はココに行ってもらったからね」
「へえ、ルームシェア」
何気に出てきた初情報に悠は驚く。仲がいいのは知っていたがルームシェアまでしているのは予想外だった。
そういえば教室に入ってくるときもいつも一緒だったなと思い出しつつ2人して歩く足は止めない。
そこで悠は何か思いついたのか「あっ」と声を漏らす。
「てことはかなたはあと帰るだけなんだよね?」
「そうだよー。それがどうかした?」
「この後、ちょっと時間貰っていい?」
「うっわなにこれ!サクサクジューシーでめっちゃおいしいじゃん!」
「ホントだ。僕も初めて食べたけど揚げたてっていうの抜きでも美味しいね」
「え、初めてなのにこんなに買ったの!?」
「ああ、違う違う。これはいつもそこのお店で買ってくれてるからってサービスでもらったんだ。美味しかったらまた買ってくれっていう商魂たくましい宣伝付きでね」
「あっははは!」
悠の誘いで2人が向かったのは公園だった。
設置してあるベンチに座って途中で悠が買ったドリンクと一緒に大量にもらっていたコロッケの消化に付き合ってもらっていた。
コロッケの大きさはほどほどだが過不足なく揚げられたそれは肉厚でありながら中までしっかり熱が通っており、なにより噛んだ瞬間に弾けんばかりに肉汁が口の中に広がる文句なしの一品だった。
2人ともその美味しさには大満足、食べる口が止まらず気付けば一個まるまるあっという間に食べ終わっていた。
「ふわあ美味しかった!ごちそうさま悠くん!」
「こっちこそありがとう、とても一人じゃ食べきれなかったからね。まあまだまだたくさん残ってるんだけど…」
「いやいや!お土産でココの分まで貰っちゃって。ココも喜ぶよ!」
かなたは悠の手をとるとブンブンと振る。
普段からフブキやラミィの触れ合いを見ているせいか異性…というより悠との接触自体はそこまで抵抗はない。
しかしいざこうしてやってみると嬉しいような恥ずかしいような、自分でもよくわからない気持ちが心の奥底から湧いてくる。
無論ココたちとは違う男子特有の固い感触に慣れていないからというのもあるのだろうが、それにしては天界で別の男子と握手した時なんかは特段こういった感情はなかった。
(まさか悠くんのことが気になって意識しちゃってるとか…いやいや、ないない!悠くんはあくまで友達!)
唐突に頭に浮かんだ推測を即座に否定する。
しかし一度考え出してしまったものはなかなか頭からは離れてくれず、脳内会議中の小さなかなたたちはてんわやんわの大騒ぎ。次第に顔に熱がたまって赤くなっていくのを自覚するとかなたは「うーっ」と唸りながら熱を飛ばすように頭を振る。
(そりゃあ悠くんはタッグとはいえ物心ついてから初めて負けた男子でそういう意味で気になってるのは否定しないし、お弁当もおいしいし、学園でもしれっとさりげなく助けてくれるけど…)
などなど考えれば考えるほど先ほどの推測の裏付けになってしまいそうでかなたは無理矢理思考を止める。
(それに、ラミィちゃんのこともあるしなぁ…)
ひとつ息を吐いて、次に思い浮かんだのはクラスメイトのハーフエルフの顔。
悠とタッグを組んでいたもう1人の負け越し相手であり、かなたにとっても大事な友達である。
さらに悠とは家がご近所らしく、ともに仲睦まじく登校するのをよく見かける。
そしてそんな彼女が悠に向ける視線がただの友達に向けるそれじゃないことも、仲間内では割と周知の事実である。
もし2人が付き合ったとしたらきっととてもお似合いで。でもそんな仲のいい2人の姿を想像してみると微笑ましいと思うとともにちょっとだけモヤモヤしてしまう。
その原因なんて自分にも分らなくて。
でも、そう感じてしまうのはどうしようもない事実で。
だから、これからやることは自分をモヤモヤさせた2人へのちょっとしたイタズラ。
友達としてやることであり、それ以上の感情なんて、これっぽっちもない。
かなたは持っていた荷物をベンチの脇に置くと懐から携帯端末を取り出す。
先程から百面相をしていたかなたを不思議そうに見ていた悠を一瞥すると、意を決して悠の腕に抱きついた。
「へ?か、かなた!?」
突然の事態に悠は困惑する。
格好はともかく、天音かなたはクラスでも指折りの美少女である。現在の格好はともかく。
バトロワや無頼漢に絡まれた際にラミィにも似たようなことを自分からしていたが、そのときは戦闘中というのもあったし今とはシチュエーションが全く異なる。見知った中である彼女から感じる体温や香りをより鋭敏に感じてしまい気恥ずかしさで顔が熱くなる。
そしてなかたはそんな悠を見てニヘラと笑うと携帯端末に内蔵されているカメラ機能を使ってパシャリ。
悠から離れて撮った写真を見てみると、そこに映っていたのはお互い顔を赤くして笑顔と困惑の表情を浮かべるかなたと悠の姿。
かなたは頬を緩ませると携帯端末をポケットに戻して荷物を持つと立ち上がる。未だに困惑の感情を隠しきれていない悠を置いて踵を返す。
「今日はありがとね悠くん!また週明けに!」
悠の返事を聞かずかなたは駆けだした。
夕陽に照らされた彼女は眩く、そしてそれに負けない満開の笑顔を浮かべていた。