ホロライブラバーズ『数多の星を照らす者』獲得ルート   作:468(ヨルハ)

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Part22 純白の少女②『出会いは森の中で』

 

 

 

 

 

 ノエルからの誘いから数日後、世はゴールデンウィークに差し掛かりノエルに悠、ラミィにかなたの4人は学生服に身を包みはずれの森の中を歩いていた。

 わざわざ休みの日に制服を着ている理由としては学園から依頼でやってきた存在だと分かりやすくするため。それと同時にホロライブ学園の制服は耐熱、対刃など各種性能を備えた簡易的な戦闘装束でもあるからである。

 当然悠の『バリアジャケット』よろしくそれぞれが自分に合った甲冑や衣装などは持ち合わせているが今現在は魔法で収納していたり手荷物の中に持っていたりする。

 

 

 

「この辺は騎士団の巡回でよく回ったりするからね~。少し獣道になるけど森を抜けるための最短距離かつ会敵を極力しないような道なんだ」

 

 ガサガサッと草木をかき分ける音が響く。

 やや凸凹した道をまるで自宅への帰路をたどるかのようにすいすいと進むノエルに悠たち3人は足元に気を付けながらどうにか追従していた。

「フィジカルおばけ…」とすでに若干の疲労感が拭えないラミィがノエルを見てそう零す。やはりこういうのは経験の差なのだろう、いざという時に空が飛べるかなたや各地を転々としてきた悠と比べて雪国育ちのラミィはこういった道は不慣れなようで時折小さく躓く仕草を見せる。

 

 ラミィが転ばないようにかなたと悠が傍に立ち歩いていると、ピクリと悠が顔を上げて進行方向を見据える。

 悠が周囲の警戒用に展開していた『魔力感知』と『エリアサーチ』、2種類の索敵魔法に引っかかる何かを捉えていた。

 

 

 

「ノエル先輩、気を付けてください。この先に生体反応が見えます。外見はイノシシみたいですけど…」

 

「ああ、この森に出るなら『ワイルドボア』だね。ちょうど食料も欲しかったしサクッとやっちゃお~!」

 

「え、ちょ待っ!」

 

 既に腹を空かせて思考能力でも低下していたのかと言いたくなるほどのノエルの突発的な突撃は悠が止める間もなくその姿は気づけば遥か彼方に消えていた。

 マズイ、と悠は急いでストライクハートを起動(セットアップ)、即座に『バリアジャケット』と『アクセルフィン』を展開して隣にいた2人に警鐘を鳴らした。

 

 

 

「ラミィ、かなた、急いで追うよ!」

 

「え、でもノエル先輩余裕そうだったよ?そこまで焦る必要もないんじゃ…」

 

「2,3体程度ならそうだけど数が異常なんだ!軽く30は超えてるし、そのあたりから妙な魔力が漂ってる!ノエル先輩の実力は確かだけどさすがに不確定要素が多すぎる!」

 

 悠はそこまで言うとストライクハートを砲撃形態(バスターカノンモード)へと移行、ファイアリングロックを外すとすかさず砲撃を放った。

 

 

 

「ディバインバスター!」

 

「Divine Buster.」

 

 大気をうねらせる轟音とともに撃ち出された地形破壊を可能にした一条の閃光は木々を薙ぎ払い大地をえぐり、草木生い茂る獣道に一直線の通り道を作り出した。

 環境破壊もいいところだがパーティメンバーの危機だしこの森の木々なら数日あればすぐに復活するので大目に見てもらいたいと悠は心の中で独り言つ。

 

 

 

「さあ、急ごう!」

 

「「うん!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや〜、どうすっかな~これ…」

 

 目の前に所狭しと見えるイノシシたちを見てノエルはそう零す。

 初めてできた後輩にいいところを見せようと張り切った結果がこれだ。

 依頼に行く前にもフレアから「張り切りすぎて空回りしないようにね」と釘を刺されていたのに見事にその通りになってしまって申し訳ないと同時によく知っててくれてるんだなあとわずかにニヤついてしまった。

 

 と、緊張感がなくなってしまった顔をブンブンと振って思考を切り替える。

 目の前に見えるのは茶色の体毛と重量を感じさせる体躯、そして口から見えるねじれた2つの牙。

 

 

 

「なんでこんなところに『アサルトボア』が…それにこんな数」

 

 ノエルが予想していたものとは異なる様相をした獣の名は『アサルトボア』。突撃(アサルト)の名を冠するこのイノシシ型の獣の大きな特徴はなによりその突進力にある。重い体とそれを動かすために発達した太い足の筋肉によって繰り出される突進はひとたび直撃すれば常人であれば骨折は免れない破壊力を秘めている。

 

 アサルトボアたちはノエルの姿を視認すると喉を鳴らし、強靭な足で一度二度と地面を蹴る。30を超えるイノシシたちが一斉にそれを行う光景はなかなかに壮観であり、威圧感で満ちていた。

 そしてノエルもまた四方を囲まれたこの現状からの撤退は不可能と判断し地に足をつけて腰に携えていた鎚矛(メイス)をその手に取る。

 

 

 

(立地が悪いなぁ、木々が乱立してるから動きにくい。それはアサルトボアたちも同じなんだろうけど…)

 

 むー、とノエルはへの字口を作りながら思案する。

 小回りが利く以上ノエルの方がまだマシなのだろうが、大味な立ち回りを得意とするノエルとしてはやりにくい環境だと言わざるを得ない。加えて相手には圧倒的な数の暴力という揺るぎない優位性がある。いくら歴戦の騎士といえどこの数に四方を囲まれてしまえば無傷ではすまないだろう。

 無論負けるつもりなどさらさらないが、1人で勝手に突っ込んで怪我しましたとなればそれは先輩としての威厳に関わる。今更もう遅いと心の中のフレアが呆れ顔でやれやれとしている気がするが絶対に気のせいである。

 

 

 

(ここはバシッと華麗に切り抜けてみんなを驚かせちゃる!)

 

 アサルトボアたちが一斉に突撃を開始する中でノエルはそう意気込むとゆらりと鎚矛を振り上げる。

 

 とった戦法はカウンターからの一撃離脱。

 一番近い先頭のアサルトボアの突撃を撃ち返して、後続の妨害とともに空いたスペースから一気に包囲網を抜け出す。

 直線的な行動しかできないイノシシ型の相手であり、かつそれを正面からパワーで打ち勝てるノエルだからこそ可能な攻略法。

 

 

 

「…え、ちょ、はっや!?」

 

 しかしここでひとつ誤算が生じてしまった。

 アサルトボアの突撃速度が想像より速い。体感としては通常個体の2倍くらいだろうか。

 騎士団の巡回をする中でアサルトボアとの交戦は幾度となく行ってきたし、その生態も、能力も、当然最高速度(マックススピード)も把握しているつもりだった。現時点での想定外の事項こそあれどこの作戦も余裕をもってこなせると自負していた。

 

 それゆえにノエルは虚を突かれてしまった。

 重なった想定外に思考が止まる

 振ろうと思っていた腕が一瞬止まる。

 しかし当然アサルトボアたちはその足を止めることなく威圧感を押し付けるようにその体躯をノエルに向かって走らせる。

 

 

 

(これやっばい!戦況ぐちゃぐちゃになっちゃうけどせめて回避…!)

 

 タイミングが要となるカウンターはもう間に合わない。

 しかしここで回避をとれば無被害(ノーダメージ)かつ同士討ちで多少は数は減らせるだろうが、それ以上に後続のアサルトボアたちを止めることができず反撃のための体勢を整えることもできない。有利か不利かで言ったら圧倒的に不利に状況は傾くだろう。

 しかしすでに最善策(ベスト)は潰された。

 であれば、次善策(セカンドベスト)を選ぶ時だ。

 

 

 

 

 

 そう考えて突撃を躱そうとノエルが足に力を込めた刹那、瑠璃色の極光がアサルトボアの大群の一角を容赦なく穿った。

 

 

 

「…え?」

 

 突然の事態にノエルも、そしてアサルトボアたちの足も止まる。

 極光に包まれたアサルトボアは吹き飛ばされて事切れ、戦況は一気に移ろいてゆく。

 

 

 

「凍れ、『大地氷結(アイスフロア)』!」

 

 ノエルのみを綺麗に避けるように氷同士がぶつかる独特の音とともに押し寄せてきた氷の波がアサルトボアたちの足を封じる。

 声の方向を見てみると白い吐息を吐きながら水色のハーフエルフの少女が地面に手をついていた。そしてその隣には、自身の魔力を練り上げ魔法陣の光で照らされる2人の影。

 術式の構築と詠唱を終えたその2人は同時に叫んだ。

 

 

 

「アクセルシューター…シュート!」

 

「『雷の雨(サンダーレイン)』!」

 

 少年の周りに作り出された20もの魔力球が高速かつ複雑怪奇な軌道で標的を穿つと同時に、少女の詠唱によってアサルトボアたちの頭上に展開された雷雲から耳をつんざく音を響かせて幾重もの青の雷が標的を貫いた。

 肉が焼け焦げる匂いとともに断末魔を上げたアサルトボアたちはそのまま力なく倒れ、そのまま動かなくなった。

 戦闘終了を表すかのように静寂が森を包む。

 

 

 

「ノエル先輩!大丈夫ですか!?」

 

「すぐ追いついてよかったです…!」

 

「危機一髪でしたね!」

 

「みんなぁ…後輩たちが頼もしすぎるよ~」

 

 ノエルに駆け寄ってきた3人…悠、ラミィ、かなたの登場にノエルは歓喜で表情が緩む。

 手に持った得物を降ろし3人とハイタッチを交わした。

 

 

 

 しかしそんな平穏も束の間、四方八方から聞こえてくる鳴き声に四人はすぐさま意識を切り替えた。

 

 

 

「ッ悠くん!」

 

「分かってます!」

 

 ノエルの呼びかけに悠はストライクハートを持つ手を前に魔法を発動。

 索敵魔法の『エリアサーチ』に加えて『魔力感知』を展開、その情報をパーティメンバー全員に共有する。

 さらなる会敵は、すぐだった。

 

 

 

「BMOOOOO!!!」

 

「うええ、また!?しかもさっきより多いよ!?」

 

「隠れてた…いや、誰かによって()()()()()?ううん、問答は後か…って、ノエル先輩!?」

 

「よいしょーーー!」

 

 

 

 カッキー――――ン!!!

 

 

 

 というホームランさながらの効果音(SE)が聞こえてきそうなほどに豪快に振られたメイスが先頭にいたアサルトボアに直撃して重量のある1頭のイノシシは天に昇る星となった。

 いつの間にか最前線に突っ込んでいたノエルはそれを見て「やり切った」と言わんばかりの笑顔。

 それとは対照的に後ろからそれを眺めた3人はみな一様に顔を引きつらせている。

 

 

 

「「「えぇ………」」」

 

 そりゃそういう反応になるだろう。

 悠はその膂力を知っていたとはいえさすがにそれなりの重量があるであろうイノシシをたった一撃ではるか彼方までとばすとは思っていなかったのかラミィたちとともに絶句。それと同時に登場間もなく星となった哀れなイノシシに心の中で合掌を送る。

 

 

 

「よーし、とりあえず…走ろうみんな!」

 

「「「は、はい!!」」」

 

 なんとも微妙な空気が流れるが、ここは敵に囲まれた戦場の真っただ中。

 ノエルが作り出した突破口を頼りに4人は全力疾走で森の中を駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 という経緯のもと4人は今現在閑散とした森の中をイノシシ(アサルトボア)たちに追われているわけである。

 

 当然ながら直線では人の走行速度でアサルトボアの突進速度に勝てるはずもないが、そこは木という障害物を巧みに利用して悠たちはどうにかアサルトボアたちの猛追からどうにか逃れ続けていた。

 木を避け、誘導し、敵にぶつける。ノンストップで繰り広げられる逃走劇。

 ちなみに飛行能力持ちの悠とかなたでラミィとノエルと持ち上げて回避するという手もあったのだが、この数のアサルトボアたちを放置するのは後々問題になりかねないし、結局のところノエルが誘ってきた依頼(クエスト)から考えてもここで倒しきってしまった方がいいだろうという話である。

 

 

 

 そう、ここですべて倒しきる。

 今までの逃走も、誘導も、すべてはこの一点のために集約されていた。

 

 

 

「…そろそろですかね?」

 

「うん、ラミィちゃんの足も限界だし、()()()()()()()。みんな、この先の平地で決めちゃるよ!」

 

「っはい!」

 

「りょーかいです!」

 

 走る、走る、走る。

 それぞれが程度の違いはあれど息も絶え絶えな状況で、それでも一様に描いた勝利への道筋は揺るがない。

 

 森の樹々によって遮られていた日の光がより強く差し込んでくる。

 長時間の全力疾走で限界を訴えてくる両足をラストスパートなんだと叱咤し無理矢理動かし、4人はようやく目的地の木々が生えていない平地へと到着した。

 

 足を止め、向かい合い、残された時間で息を整えると同時に4人は内に秘める魔力を解放する。

 渦巻く魔力の波がそれぞれの魔力光を伴って風となる。

 青銀が、白銀が、群青が、瑠璃が。

 混ざり合い、紡ぎあい、風を越え、嵐へと昇華していく。

 

 

 

「足止めは僕とラミィで」

 

「トドメが団長とかなたちゃんだね!」

 

「よーし、散々追いかけてまわしてきたツケはしっかり払ってもらうよ!」

 

「…ッ来ました!!」

 

 そもそも障害物などなかったかのように一切の勢いを緩めず木々を容赦なくへし折りながら肉の巨大塊(アサルトボアたち)が苛立ちと怒りを乗せた形相で悠たちめがけて突っ込んできた。

 何十頭か数えるのも億劫なほどのアサルトボアは度重なる誘導によって密集してもはやひとつの巨大生物に見えてしまう。

 背後からではない、正面からだからこそ感じる重圧(プレッシャー)に一瞬気負ってしまうが、隣に立つ仲間たちを見てそんなもの吹き飛んでしまった。

 

 

 

 勝つ。

 みんなとなら、敗ける気がしない。

 

 

 

「まずは僕たちからだ、いくよラミィ!」

 

「うん!」

 

 まずは足止めから。悠とラミィが一歩前に出て、魔法陣の構築と詠唱によって解放した魔力を収束し練り上げ、各々が望む形に作り替える。

 悠が望むのは数多の危機を阻む光の壁。

 ラミィが望むのは敵の進行を阻止する氷の波。

 

 まずは悠が、魔法陣を煌めかせ星の瞳に輝きを宿し唱えた。

 

 

 

「すべてを阻め、『ワイドプロテクション・パワード』!!!」

 

 

 

 ガアァァァン!!!

 

 

 

 とてつもない衝撃音が鼓膜を容赦なく叩く。

 悠たちの目の前に展開された視界一面に広がる瑠璃色の光の壁はアサルトボアたちの突撃を完璧に防ぎきってみせた。

 

 悠が個人的に痛感していた『防御魔法の強度』。

 ココにも、フブキにも、ホロライブ学園に来てから幾度となく破られた防御魔法の強度というのは悠のひとつの課題だった。故に研究し、開発し、鍛錬し、防御魔法の種類(バリエーション)強度(ハードネス)の強化に悠は力を入れていた。

 

 『ワイドプロテクション・パワード』もその成果のひとつ。

 元々持っていた『プロテクション』の派生版。使用魔力は多く発動速度にも難はあるがその分効果範囲と強度は従来のそれをはるかに凌ぐ。

 通常の『プロテクション』であれば破られていた可能性も否定できなかったため、これはまさしく悠の鍛錬の成果といえるだろう。

 

 

 

「ラミィもいきます!『大地氷結(アイスフロア)』!!!」

 

 漏れ出す冷気で息が白く染まる中、ラミィから放射状に放たれた氷の波がアサルトボアの足をからめとり、その動きを止める。

 自慢の足を封じられたアサルトボアは抜け出さんと必死に動かすが魔力によって作り出された氷はびくともしない。外からの衝撃にこそ弱いが、一度掴まえた相手は逃がさないのがこの魔法(アイスフロア)の真骨頂である。

 

 足止めは完璧。故に、()()()までは速かった。

 

 

 

「悠くんにラミィちゃんさっすが!ボクも続くよ!」

 

 かなたがそう言うと同時に練っていた魔力を解放。

 迸る魔力が雷属性の魔力変換によって雷を帯び、発雷音を伴いながら円環状に青い雷を形成していく。

 

 

 

「轟け雷よ!『雷環の計(サークレットサンダー)』!!!」

 

 かなたがそう唱えると円環状の雷が煌めきアサルトボアを縛り付ける。その刹那、雷撃音を響かせ円環の雷が放電(スパーク)、範囲内の敵全てに感電してダメージを与えていく。

 『雷の雨(サンダーレイン)』ではすべての敵に有効打を与えられないからこその選択、倒すことこそ叶わなかったがこの攻撃は確実に次へと繋がる一打となった。

 

 それを見たノエルは「ふっ」と息を漏らして跳躍する。

 携えた鎚矛を両手で握りこみ、狙いすますはアサルトボアの群れのその中心地。

 

 

 

「団長も負けてられないんよ。砕け、『大地砕破(アースインパクト)』!!!」

 

 ノエルが魔力を纏った鎚矛を叩きつけた瞬間、大地が爆ぜた。

 ノエルと中心点として地面が砕け、隆起し、砕けて尖った大地がラミィの『大地氷結(アイスフロア)』の氷ともども敵を穿つ刃となってアサルトボアに襲い掛かる。

 衝撃波と大地の刃による二重攻撃(ダブルアタック)。既にかなたの『雷環の計(サークレットサンダー)』によって瀕死寸前まで追い込まれていたアサルトボアに耐えられるはずもなく、そのすべてが地に伏して動かなくなった。

 

 

 

「…ふう、今度こそ終わり…かな?」

 

「『エリアサーチ』も『魔力感知』も隠れている反応はないよ。一段落はしたと思う」

 

「はあぁ、よかったあ…」

 

 1年生組3人が勝利で安堵の表情を浮かべる中、ノエルがポツリと疑問をこぼした。

 

 

 

「それにしても…どうしてこんなに?」

 

「…どういうことですか?」

 

 ムムムと呻きながら考え込むノエルに反応したのは悠だった。

 ノエルは会敵からずっと抱いていた想定外の事項を共有する。

 

 

 

「アサルトボアって本来の生息地はココじゃないんよ。それに、アサルトボアは基本的に単独で行動する習性がある」

 

「え、でも…」

 

「うん、だからこその疑問。今回戦った個体は群れで行動して、その動きもどこか統率されていた」

 

 悠はその疑問に同意すると同時に、アサルトボアにどこか命令が組み込まれていたようにも感じていた。

 イノシシは雑食だ。当然強い個体であれば人を糧とすることもあるだろうが、それにしても敵対行動をとっていないノエルにあそこまで敵意を剥き出しにしていたのは妙である。

 縄張りに踏み込んだからだと言われてしまえばそれまでだが、それにしてもあそこまで自分たちが力を見せたうえで縄張りから離れても追いかけ続けてきたというのが引っかかる。

 防衛本能としては逃亡する個体がいてもおかしくなかったはずだ。現に今まで悠が戦ってきた魔獣たちもそういったやつは存在していた。

 

 

 

「まあここで解けない疑問を持っても仕方がないし、それも依頼者に聞けば分かるかもしれない」

 

「そうだね、ひとまず一掃はできたことだし村に向けて再出発…!」

 

 ガサッと、草むらが揺れる。

 その瞬間、4人は警戒状態に移った。

 何が来てもいいように、即座に対応できるように。

 

 ガサガサッとさらに大きく草むらが揺れて、そして

 

 

 

 

 

「………女の子?」

 

「………。」

 

 純白の少女が、そこに立っていた。






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