ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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ギアがかかってきました。ウェヒヒ。


孤高 殲滅執行人 徳崎 心音
第55話〜怯えと忠告〜


留置所面会室。

そこに入れられた東條 蓮を訪ねる者が。

 

「……こ、心音……」

 

徳崎 心音が、ガラス越しに蓮の向かいに腰掛ける。

 

「……教えなさい。あんたを雇ったのは、誰?」

 

鋭い眼差しで睨みつける心音。蓮は震えながらも答えた。

 

「『聖なる悪魔の会』……そのボスよ……」

 

「聖なる悪魔の会……あのテロリスト、か……」

 

「……私は彼に雇われたの。機械化兵士を量産する目的でね。そのテスト段階として、日本でのレポートが必要で……」

 

段々と小さくなる蓮の声。心音の眼差しの鋭さは無くならない。

 

「……それで、私がその実験台になった訳か……」

 

「……ごめんなさい……ホントに、ごめんなさい……っ‼︎」

 

大粒の涙を零す蓮。心音は立ち上がる。

 

「……アジトはどこ?」

 

「っ⁉︎ まさか、心音……」

 

「当たり前じゃない。ぶっ潰しに行くのよ」

 

「む、無理だよ……ボスに……ギルモアには誰も敵わない……」

 

心音はガラスを殴りつけた。

蓮は驚き、更に震える。

 

「……今あんたが出来る罪滅ぼしは、情報の提供よ。私に許して欲しいなら、それくらいしなさい」

 

「……わ、わかった……」

 

心音は聖なる悪魔の会の本部の場所を聞き出した。

 

「……ありがとう、蓮」

 

心音は立ち上がる。

 

「心音……」

 

「……行ってくる、この事、他言無用ね」

 

そして、足早に留置所を後にした。

 

 

 

 

「……」

 

事務所のベランダでシャボン玉を吹く、俺……小鳥遊 真。

東條 蓮のプロモーター誘拐騒動から2日が経った。

俺は心音を待っていた。思い当たるところは全部探したが、やはり見つからない。今日も朝から探すも、空振りだった。

午後3時のベランダでシャボン玉を吹き、リフレッシュをする。

 

「……よう、坊主」

 

ベランダにやってきたのは……あの機械化兵士、桐生 荘司。

罪滅ぼしと称して、今はこの事務所の雑用をしている。

もとは傭兵らしい。ま、見た目的にもそうだろうな。

 

「あんたか」

 

「あんたはねぇだろ。せめて名前で呼んでくれよ……無理を承知ってわかってるけどな」

 

桐生は俺の横にやってくる。

 

「……恋人、なんだろ、あのプロモーターの嬢ちゃん」

 

「……俺の相棒で、嫁だ」

 

「……すまねぇな。口では何とでも言えるが……」

 

「あんたは悪くない。あんたは東條 蓮に言われただけだろ」

 

俺はシャボン玉を大きく膨らませ、そっと飛ばす。

 

「……あんたも被害者だ」

 

「……ありがとよ」

 

 

 

 

「……そーっと、そーっと……」

 

徳崎重工に忍び込む私……徳崎 心音。

お姉ちゃんはこの時間は営業に行っていていない。今しかない。

私はキャリーバッグに荷物を積み込み、パスポートを見つける。

よし、準備完了。

 

「……行ってきます。今まで、ありがとう」

 

私は重工を後にした。

 

 

 

 

「……これは……」

 

シグマがパソコンを前に呟く。

俺たちはそれに反応。

 

「シグマ? どうしたの?」

 

「……東條 蓮のパソコンのデータを解析。メールのやり取りから、彼女のスポンサー……聖なる悪魔の会の本拠地がわかりました」

 

「真か! シグマ殿‼︎」

 

「映します」

 

スクリーンに地図が映る。指し示したのは……アメリカの、デトロイトエリア。

 

「アメリカか……」

 

「お金があれば、行けるのですが……」

 

無理、か……。

 

「とりあえず、聖天子に報告だな」

 

「あ、私とシグマでいきますね」

 

アメリカ、か……確かに無理だよな。

……ん、待てよ……⁉︎

まさか……。

 

「……ちょっと散歩してくる」

 

俺は事務所を出た。

 

 

 

 

「ありがとうございます」

 

大学時代の知り合いに航空会社関係に勤めている先輩がおり、彼女に飛行機を手配してもらった。

 

「お安い御用よ。しかし、あんたが民警、かぁ……」

 

「今はただ、個人としてですけどね」

 

「……ま、詳しいことはいいや。武器に関してはあたしが掛け合うから、あんたはもう行きな」

 

「わかりました。ありがとうございます、先輩」

 

私は頭を下げ、手荷物とチケットと共に乗り場へ向かった。

 

 

 

 

 

留置所面会室。

俺は東條 蓮の面会室に来た。

 

「……あなたは、心音の……」

 

滅入った顔をしている。まぁ、無理もないか。

俺はガラス越しに向かい合わせで座る。

 

「……今日、ここに心音が来なかったか?」

 

「……来て、ない」

 

 

うつむき気味に言う。

 

「あとで面会履歴確認すりゃわかるからな、次嘘ついたら出所したときソッコーしょっぴくぞ」

 

睨み付けて言ってやる。怯えた東條は震えながら答えた。

 

「……来たわよ。来たけど……心音が、他言無用だって……」

 

「大体予想はつく。お前……聖なる悪魔の会のアジトの場所、教えたんだろ?」

 

「……っ」

 

図星か。視線をそらすも、俺はずっと見続ける。

 

「わ、わかったから、睨まないでよ……」

 

東條は顔を上げる。

 

「……心音は、聖なる悪魔の会を潰す気よ。多分、自分一人の力で」

 

そんな無謀な……。

 

「……止めなかったのか?」

 

「止めたよ‼︎ けど、断れなかった……情報を教える。それが『私にできる罪滅ぼし』だって……」

 

「あのバカ……‼︎」

 

俺は立ち上がる。

 

「待ってよ‼︎ まさかあんたも行くの⁉︎」

 

「……だったら何だ?」

 

「……無理だよ。相手は最悪なテロリスト……巣にかかった獲物は、確実に殺される……」

 

震えながら話す東條。

 

「……上等だ。心音をあんなんにしたお前をそうさせたやつを許すわけもいかねぇんでな。忠告ありがたいが、俺は行く」

 

振り返り、面会室を出た。

 

「あら、小鳥遊様」

 

そこでぱったり、長瀬 飛鳥と会った。

 

「飛鳥? どうしてここに?」

 

「あぁ、少し過去の事件のデータを洗っていて……そのついでに東條 蓮のところに行こうかと」

 

「それは必要ないな」

 

俺は面会のことを飛鳥に話した。

聖なる悪魔の会のアジトの場所。それを聞いた心音が単身アメリカに向かったであろうこと。

 

「アメリカですか……」

 

すると飛鳥は……携帯を取り出した。

 

「もしもし? 帰りの便をキャンセル。デトロイト行きを手配できる?……わかりました、ありがとう」

 

電話を切る。

 

「……小鳥遊様」

 

飛鳥の次に発した言葉に、俺は即座に首を縦に振った。

 

「共に参りませんか? デトロイトエリアへ」




次回から新章です。
いやぁ、楽しい(笑)
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