ブラック・ブレット 〜Nocturnal Hawk〜   作:神武音ミィタ

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お久しぶりです←


第57話 〜後始末と邪魔〜

アメリカ ロサンゼルス空港に到着した。俺……小鳥遊 真は長瀬 飛鳥、季崎 火乃と共に空港に待っていたリムジンに乗り込む。

長瀬が流暢な英語で運転手に話す。すげぇ、流石お嬢様だぜ。

 

「今からデトロイトエリアの問題のエリアに行きます。ここの、軍事基地です」

 

「軍事基地?」

 

軍がテロリストを庇っているのか? いや、それは考え難い。

だとすれば一体……。

 

「とりあえず、行くしかないよ。考えるだけめんどいだけでしょ」

 

火乃が俺の肩を叩く。確かにその通りだな。俺は揺れる車内で武器の整備を始めた。

 

 

 

 

「民警 ココネ トクサキ、認証した。入れ」

 

「どうも」

 

私はデトロイトの軍事基地にやってきた。一応、民警として海外の軍事基地の見学をしたいという名目のもと、外部からの見学客としてやってきている。

本当の目的は……聖なる悪魔の会の摘発だけどね。

 

「しかし……こうして見ると流石はアメリカってところよね」

 

広大な上、施設も充実している。

確かに、世界最大の経済力があると言えるわね。

この広い基地のどこかに聖なる悪魔の会のアジトが……。

 

「手当たり次第……か」

 

私は辺りを見渡し、言葉の通りに探し始めた。

 

 

 

 

「ここか……」

 

俺たちは軍事基地に到着した。飛鳥が入り口の兵士に身分証を提示すると、兵士はキレのある敬礼をした。

スゲェ……何が起きたんだ、今。

 

「飛鳥は有名だからね……私も思うわ、すごいって」

 

あっさりと言った火乃。長瀬家、恐るべし……。

 

「では行きましょうか」

 

笑顔すら怖く見えてきた飛鳥に着いて行く、俺であった。

 

 

 

 

 

「ここも何もないか……」

 

北エリアと西エリア、東エリアは回ったが、何の変哲も無い普通の軍事基地だった。

 

「残りは……南エリアか」

 

奥の方に位置する南エリア。

何かを隠す……ましてやアジトなんかを隠すなら、そこじゃないのだろうか……?

 

「考えてもしょうがないな……」

 

私は足を速めた。

 

 

 

 

飛鳥は英語で聞き込みをするも、あまり進展は無し。

北と西エリアの調査を終え、俺は東エリアの食堂でカレーを食べていた。

 

「小鳥遊様、嬉しいのかどうかは別として……情報が」

 

「? どうした?」

 

「先ほど、入場した人間の履歴を見せていただきました」

 

飛鳥は一枚の紙を取り出す。それは名前と時間が書かれたリストだった。

 

「……‼︎ 俺たちの1時間前に……‼︎」

 

いた。ココネ トクサキ。

言うまでもない、心音だ。

俺はカレーを飲むように食べ干す。

 

「あ、小鳥遊様‼︎」

 

俺は一人食堂を飛び出した。

 

 

 

「た、大変追わなきゃ……」

 

「無理よ飛鳥」

 

火乃はジュースを飲みながら言った。

 

「あいつは失いたくないんだよ。大切なものをこれ以上。あぁなったら、あいつは止まらない」

 

微笑みながら火乃は飛鳥の頬を突いた。

 

「本当に……もう」

 

飛鳥は困り顔と共に嬉しそうに笑った。

 

「……火乃」

 

「うん」

 

そして2人は、食堂を後にした……。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……ッ‼︎」

 

何処だ、何処にいるんだ、心音。

軍事基地を走り回る。

いない、いない、いない……。

 

「心音……ッ‼︎」

 

何処なんだ……やべ、気持ち悪……カレーが出てきそうだ。

その場で膝に手をついた時だった。

 

「? 騒がしいな……」

 

南エリアの方に、兵が集中していってる。

俺はそれに着いていった。

 

 

 

 

 

 

南エリアの地下に、予想通り隠し階……アジトがあった。

襲いかかったアジトの兵士たちをなぎ倒し、その場のボスらしき人物を問い詰める。

 

「……ゴルドス・ギルモア……あなたかしら?」

 

「ち、違う……ギルモアの旦那は、昨日からいねぇ……」

 

「……どういうこと?」

 

「お、俺たちだって知らねぇよ‼︎ ただ、『後始末をしなきゃ』って……」

 

「後始末……?」

 

一体何のことだ……?

 

「それ以外に何か言ってた事は?」

 

銃を突きつけながら問い詰める。男は震えながら答えた。

 

「あ、あぁ……確か……『仕事が増えた、トウジョウめ』……って」

 

トウジョウ……蓮のことよね。

……待てよ。ひょっとして……。

 

「後始末って……まさか⁉︎」

 

蓮を始末する……これ以上情報が漏れないように……。

可能性が高い。となると、蓮が危ない。

昨日からいないとなると、既にギルモアは日本に向かっている。入れ違いだった訳か!

 

「と、とにかく……っ‼︎」

 

連絡しようとした時、我に帰った。そうだ。私はもう……明崎民警には戻れない。

 

「……っ!」

 

警報が鳴る。マズい……早く行かなきゃ。私もテロリストと間違われる。

私は物陰に隠れながら地下から脱出。物陰に身を隠しながら足早に軍事基地の南エリアを抜け出し、出口へ向かった。

 

 

 

「何だ……!?」

 

南エリアに着くや否や、警報音が鳴り響く。

兵士や他のプロモーターらしき長身たちが一斉に南エリアの倉庫の方へ向かっている。

あそこに心音が……間違いない、いるハズだ。俺は人混みを掻い潜りながら先へ進む。倉庫へ駆ける。

 

「くっ……!」

 

くっそ、人が多すぎる……‼︎

ようやく辿り着く。俺は倉庫の中に足を踏み入れる。他の捜査官達を掻い潜り、地下室へ。

既に数人の男達が拘束されていた。

男達が何を話しているのかは英語のため全くわからないが、何やら怯えている様子で話している。

ここで何があったんだ……?見渡す限り、ここで何か騒ぎがあったのは間違いない。まさか……

 

「心音……お前、ここに……?」

 

 

 

何とか出入り口まで抜け出した。急いで空港に戻って日本に帰らないと。まさかギルモアが日本に向かってたなんて……。

昨日からいないという彼の部下の話からすれば恐らく、今頃日本に着いているはず。蓮が危ない……‼︎

タクシーを捕まえようと足を進めると……

 

「っ!?」

 

私の目の前に現れたのは……長瀬 飛鳥とそのイニシエーター 季崎 火乃。

 

「飛鳥さん……火乃ちゃん……」

 

「まさかこんな形でお会いすることになるとは……お久しぶりです、徳崎様」

 

温厚な表情をしながらも、こちらを真っ直ぐに捉えた目。隣の火乃ちゃんも鋭い視線をこちらに向ける。

 

「今、基地にあんたの相棒がいるよ……あんたを探すために」

 

「真が……?」

 

すると、飛鳥さんはスマホを手早く操作する。

 

「たった今、小鳥遊様に連絡致しました。すぐに基地を出て、ここに向かうようにと」

 

「‼︎」

 

真がここに来る。

それはいけない。

私はもう、彼には会えない。私は直様逆手刀を引き抜いて構えた。

 

「なるほど……やはり私たちとは行動できないと……」

 

「……」

 

飛鳥さんと火乃ちゃんも臨戦態勢に。

 

「……そこを退いて。これは私が解決しなきゃいけないことなの」

 

「お一人でギルモアから東條 蓮を助ける……ですか?」

 

「それが私のやるべきことだから……邪魔をするなら容赦はしない……ッ‼︎」

 

私は勢いよく飛び出し、飛鳥さんに横一線で刀を振り抜く。

 

「っ!?」

 

飛鳥さんのよろめいたところに、横から火乃ちゃんが飛びかかる。

 

「このっ‼︎」

 

素早い爪の一撃を躱し、距離を置く。どうやら、彼女たちは退く気はないようだ。

 

「……ッ‼︎」

 

真に会う前にここを切り抜けないと。

これは私だけの問題。

蓮をあそこまで苦しめた、私の責任。

だから、私の手で全て終わらせる。

 

「これ以上、傷つけたくないの……‼︎」

 

私のせいで、誰かが傷つくのは……もう嫌なんだ。

私は逆手刀を持ち直し、2人へ向かって行った……。

 

 

 

「ココがニッポンか……」

 

羽田に降り立った黒スーツの男……ゴルドス・ギルモア。

 

「さてと……」

 

アタッシュケースを片手に、ケータイを耳に当てるギルモア。

 

「私だ。今からそちらに向かう。例のブツもある」

 

ギルモアの来日。

日本の民警はまだ、誰もその事実を知らない。

彼の侵略が……始まろうとしていた。


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