我拳は銃なりて   作:秋華

13 / 41
第十話:発覚・想い・出会い

ガトウとの戦いの後、俺達は、ガトウの怪我の治療も考えて、さらに魔法球の中で一週間ほど休み、外へと出ることになった。

結構長く魔法球の中で過ごしていたが、現実の世界ではほとんど時間が経っていない。

皆、その事にとても驚き、改めて魔法球の便利さ…。と言うよりも、チートさに呆れたようだった。

ちなみにタカミチの修行についてだが、あの後、目が覚めたガトウにも事情を説明した所…。

 

「そうか…。二つとも疎かにしないのであれば俺からは何も言う事はない。…頑張れよ。」

 

と言われ、タカミチは感極まったのかガトウに抱きついて泣いていた。

それからはガトウが一日修行をつけ、次の日は俺が修行をつける。一日休息と自修練の日を挟んでまたガトウの修行…といったサイクルで鍛錬を続けている。

かなり大変そうなのだが、タカミチは何処か嬉しそうに鍛錬をしていた。

きっと目指すものがしっかりと見定まったのかも知れない。

これからのタカミチに乞うご期待といった所だろう。

 

さて、話は最初に戻るが、魔法球の外に出た俺達は、ガトウがいろいろ調べてくると言ってその場から立ち去った後、皆思い思いに過ごしていた。

 

と言っても、その行動は魔法球の中に居た頃と何ら変わりなく、ナギやラカンは探索に出かけたり騒いだりと日々をすごし、他の面子といえば、タカミチは修行。俺と龍ちゃんはアルたちに魔法の授業を受けていた。

たまにガトウが帰ってきたり、連絡が来て戦場に出たりしたのだが、別段特にコレといった進展は無く、ただただ時間が過ぎていった。

 

そんなある日の事…。ガトウが皆を集めて話したいことがあるというので、もうおなじみとなっている酒場でお酒を飲みながら集まっていた。

ちなみに酒場で話す理由は、下手に隠れようとすると逆に怪しまれる可能性があるから、普段から騒がしい所で話した方が安全だということらしい。

 

「皆集まってもらったのは他でもない。ちょっと緊急の話があってな。」

 

「なんだよいきなり。何かあったのか?」

 

「ナギの言う通りですね。いったいどうしたのです?」

 

「……実はこの戦争には裏があったんだ。」

 

「そんなもの今更じゃろ?政治やらなんやらいろんなことがあるのが普通じゃ。」

 

「いや…確かにいろいろ裏があるのは当たり前なんだが…これはそんな生易しい話なんかじゃない。」

 

「ガトウ回りくどい事言うのはよそうぜ?ぱぱっと言ってくれや」

 

ラカンがそうちゃちゃを入れると、ガトウは酒を一気に煽るとみんなの目を見て話し出した。

 

「結論から言おう。この戦争はわざと引き起こされたものだ。しかも必要に戦争を長引かせて戦火を拡大させている。ある一つの組織によってな。」

 

「!!!!!!!」

 

「……ちょっとまてよ。じゃあ俺達は一体何のために戦ってたんだよ。平和を勝ち取るためじゃないのか!?戦争を終わらせるために戦ってたんじゃないのかよ!!!」

 

ドン!と机を叩き、ガトウの言葉にナギが反応する。

 

「そのはずだった。…だが実際は違っていた。帝国も連合もその組織の連中たちに言いように動かされて戦争を続けているだけだ。目的なんかは分からんが、トップ近くの連中までがその組織の一員らしい。」

 

ガトウの言葉に、皆言葉が出なかった。

俺達”紅き翼”は戦争を早く終わらせるために精一杯戦ってきた。それはきっと両国の兵士達も同じだろう。皆先にある平和を目指して戦っていたはずだったのに、ガトウの一言でそれが無駄だったといわれているのと同じ聞こえた。

 

重い空気がメンバーの中に漂っている中、ガトウは話を続ける。

 

「とりあえずわかっている事は、そいつら組織の名前は”完全なる世界”というらしい。それ以外のことは現在調査中だ。そしてここからが本題なんだが…その組織を潰すためにそのためにあるお方が力を貸して欲しいと要請をうけた。」

 

「確かにそれだけの事やれる組織なら、並大抵のことでは歯が立たないだろうが…。ガトウその人は信用できる人なんだろうな?」

 

「ああ。それは大丈夫だ。もともとあのお方がおかしいと感じて調べて気付いた事だからな…。それでどうする?」

 

「きまってるぜ。とりあえず今の状況じゃ、俺達に選べる選択肢なんて無いようなもんだ。だったらまずその人に会って、これからのことを考えようじゃねーか。…むやみに戦争を長引かせようとしたやつら、絶対に許してはおけねー!!」

 

『じゃな・だな・ですね・やな・』

 

「わかった。さすがに今日はもう遅いから明日逢うことにしよう。」

 

そうガトウがしめてこの場はお開きとなった。

その後、俺と龍ちゃんは部屋へと戻り明日の準備をする事になったんだか…。どうも龍ちゃんの様子がおかしい。

部屋に戻ってから、ずっと黙って何かを考えているようだった。

すると、龍ちゃんが、何処か真剣な顔をしてが話しかけてきた。

 

「タケやんどうしたんや?さっきの話を聞いている時から、まったく喋らんようになったけど…。」

 

「……いや別に何でもないよ。」

 

「うそやな。」

 

即答でそう返す龍ちゃんに、少し驚きながらも動揺を見せないように淡々と答える。

 

「うそって…なんでだよ。」

 

「簡単な事や。あんな話聞かされてタケやんが頭にきてない訳が無い。あの場でナギたちと同じように叫ぶぐらいは普段のタケやんならしとる。…何を考えとるんや?いや何かしっとるんか?」

 

「いや、あの組織のこと考えてただけだよ。」

 

「……タケやんワイは信用できんか?」

 

「いきなりなんだよ」

 

そう言って龍ちゃんの顔を見ると、そこには今まで見たことのないくらい悲痛な顔と、今にも泣き出しそうな目をした龍ちゃんがそこにいた。

 

「前々からおもとったんやけど、タケやんいろいろ隠し事しとるやろ?それはワイにも話せんことなんか?ワイはタケやんのパートナーやなかったんか!?ワイか勝手におもっとっただけなんか!?」

 

「龍ちゃんそれは…。」

 

「違うとでもいうんか?なら…なら…ワイに隠し事なんてやめてぇな。タケやんがそこまで隠し取ることなんやかなりやばい事なんやと思う。でも…ワイはそれを一緒に悩みたい。タケやんはワイの一番の”親友”やからな。こんなこと言うの卑怯やとは思う。でもそれくらい心配なんや。タケやんが一人で無茶しそうで…。」

 

いつの間にか龍ちゃんは泣いていた。大きな目にいっぱいの涙を浮かべて…。

龍ちゃんが言っている通り、かなり前から俺が何かを隠している事に気が付いていたのだろう。でも、俺の事を考えて今まで何も聞かなかった。俺の事を心配しているからこそ、聞きたいのに、聞いて助けになりたいのに、その気持ちをぐっと堪えて…。

そんな龍ちゃんの気持ちを、俺は無下にはしたくない。

いや、できない。

だから俺は、覚悟を決めて龍ちゃんにすべてを話すのだった。

 

「………わかったよ。でもお願いだからこのことは誰にも言わないで欲しい。頼む。」

 

「もちろんや。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・

 

「…タケやん確認のために聞いとくけど、この話はホントのことなんやな?」

 

「信じれないのは、無理ないけど…。」

 

「アホ!そうやない。……は~タケやんのことやから、かなりやばい事隠しとるとは思っとたけど…。コレは相当やな。」

 

深くため息をつく龍ちゃんに、俺は何も言えなかった。

だって、俺がここに来た時からずっと一緒に居る、龍ちゃんにこんな隠し事をしていたのだから、怒られても仕方がないと思う。

 

「………」

 

「何おちこんどんねん。ワイは怒ってない。と言うよりも、なんでもっとはよう聞かんかったかって、自分にイラつくわ。」

 

「へ?」

 

「今までよう我慢しとったな。えらいわ。…ほんまえらい。こんな事一人で抱え込むなんて…。でも大丈夫や!これからはワイが一緒に背おったる。ワイとタケやんは一心同体や。」

 

その言葉に思わず、龍ちゃんを抱え泣き出す俺。

 

誰にも言えなかった。言えるはずなかった…。頭がおかしくなったといわれても仕方が無い事だったから。

でも、やっと話せる相手が出来た。それが何よりもうれしい。

苦しかった。救えるすべがあるのに行動できない自分に…。

悲しかった。知識を持っていたとしても守れなかった命に…。

イラついた。力の無い自分に…。

 

そんな気持ちを分かってくれているのか、龍ちゃんはただ俺に抱かれながら頬をこすりつけてくれていた。

 

 

「…泣き止んだか?」

 

「ああ、ありがとう。…はは。かっこ悪いところ見せたね。」

 

「なんや今更。タケやんのかっこ悪いところなんていっぱいみとるっちゅーねん」

 

「ひどっ!!」

 

大げさにリアクションをとって二人で笑いあう。コレはきっと龍ちゃんの優しさなんだろう。

明るい雰囲気にしてジメジメした空気を払拭してくれた。

 

「はは。まぁええ。…んで、いろいろ聞きたいんやけど、原作っちゅーたか?ともかくタケやんは、大体の事をしっとるって言うたな。」

 

「まぁね。でも知っているといってもこんな事が起こるとか、こんな人物がいるとかで、詳しく知らないし、それに本当にあっているのかも確証が無いよ。」

 

「どういうことや?」

 

今一要領を得ないのか、龍ちゃんが聞いてくる。

 

「例えば、こんな事があると分かっていても、それが何時起こるとか、敵がどれだけ強いとか、そんな事は分からないって事。大体俺が知っている原作では、当然俺も龍ちゃんもいないわけだし。知識として知ってても、経験で知っているわけじゃないから意味無いんだよ。」

 

「ほ~つまり答えをしっとっても、それに辿り着くための道はしらんちゅー訳やな?」

 

「そういうこと。ラカンのことにしたってもそうなんだよ。そもそもラカンと一緒に行動するのも、神様からの手紙通りに動いただけだし、それ以降もラカンと行動して行けば、ナギたちに逢えて、この戦争の黒幕である”完全なる世界”にも関われるだろうって思ったからだし。」

 

正直、神様の手紙が無かったとしても、おそらくラカンを探すか、それとも直接“紅き翼”を探すかしたと思う。力があるのに、見て見ぬふりなんて俺は出来ないから。たとえそれで、自分が傷つく事になろうとも…ね。

 

「…役に立つのか、立たんのか分からん知識やな。」

 

「本当にその通りだと思うよ。」

 

「でもや。その”完全なる世界”のアジトとかは知らんのか?どうせやったらそこを強襲すればすぐにでも戦争が終わると思うんやけど?」

 

「ん~どうだろう。多分あそこで間違いないとは思うんだけど…。でも知ってても意味無いよ。大体今戦った所で勝ち目ないんてないもん。戦力が違いすぎるし…。原作でも、戦っていく内に、いろんな人に協力してもらえるようになって、なんとか戦力を増強できたんだ。更にその戦いで、いろんな拠点を潰して相手の戦力を削っていったのも大きな要因の一つだと思う。いくら“紅き翼”が一騎当千の働きをしたとしても、数の暴力には勝てないよ。」

 

そこなんだよね。神がいうにはハッピーエンドを目指せば何やってもいいと言われているけど、実際そんなうまくいくわけじゃない。

いくら俺たちが強くてもやっぱり数には勝てない。

どっかの弟も言ってたけど”戦いは数”なんだよな~。はぁ…

 

「そっか…ならしゃーないわな。しばらくは流れに身を任せんといかんというわけやな?」

 

「そうだね。それまでに助けられる命は極力助けたいし、あと黒幕の一員である爺たちの思い通りにはいかない様に手をうつ必要があるし…問題は山済みだよ。」

 

「めんどい…というか、なんというか。…にしてもその元老院っていったか?そいつらうざいな。」

 

「ああ。大体俺は悪とか正義とかどうでもいいんだよね。でも、人の命をもてあそぶ奴等は大嫌いなんだよ!ぜってーひどい目見せてやる。」

 

「ワイも手伝うわ。というかワイにもやらせてや。人の権力争いとかワイは興味ないけど、自分の事に関係無い人を巻き込むのは許せんわ。」

 

「ありがと。……まぁとりあえずは明日だね。」

 

「明日か…。たしかどっかの姫に逢うんやっけ?」

 

「そ。ともかく明日に備えて寝よっか?」

 

「そうやな。」

 

そう言って二人で寝床に言って寝ることにした。

 

明日…

 

とうとう逢えるのか、ナギの嫁にしてウィスペルタティア王国の姫。

 

アリカ・アナルキア・エンテオフィシア殿下に…

 

 

はぁ…どう考えても面倒な事になりそうだよ。

 

 

 

さてさて、龍ちゃんとの話も終り一夜明け、俺達は本国首都へと出向いていた。

まぁ、原作知っている身だとそこまで疑問を抱く事無いはずなんだけど、知らない人からしたらきっと疑問でいっぱいなんだろうな~。…と、そんな事を考えながら皆と一緒にまっていた。

ちなみに他の面子は、何故こんな所に連れてこられたのか分からずあっけにとられているようだった。

しばらくして、こちらに向かってくる人影を見つけ皆それに注目する。

そしてそれが誰だかわかると驚いたように声を上げる。

 

『マ、マクギル元老院議員!?』「…誰?」

 

…ってああこの人がマクギル元老院議員か。原作で名前くらいは聞いた事あったけど、それぐらいにしか記憶に無い。顔なんてもちろん覚えていない。つまり印象が薄いって事は、そこまで必要な人物じゃないんだと思うけど…。まぁ、一応顔と名前くらいは一致させておこう。

 

そんな事を考えている間も、話は進んでいるようだった。

 

「いや…ワシちゃう。主賓はあのお方じゃ。」

 

そんな事を言って後ろについてきた人を紹介する。

さて…いよいよご対面か。

 

「ウィスペルタティア王国…アリカ姫」

 

「へ~アレが言っとたアリカ姫か。性格きつそうやけど、べっぴんさんやな~。そう思わんタケやん?…ってタケやん!?」

 

………はっ!一瞬言葉を失ってた。

うわ~まさか見惚れるとは俺らしくねー!!!!

そりゃ確かに、原作でもきれーだなーとかは思ってたけど、現物見るとマジ綺麗だわ。

コレはナギが一目ぼれするのも分かる。

 

「タケやん!!!」

 

「!!…ん?何龍ちゃん?」

 

「何やあらへんがな。どうしたんや?いきなりボーっとしてからに?」

 

「いや本物にあえたから、ちょっと感動してただけだよ。」

 

「……ふ~んまぁええわ。ともかく、そろそろ真面目に話し聞かんといかんのやないか?」

 

「わかってるよ。」

 

そう言って俺は話し合いに参加する事にした。

そこで話し合われた事をまとめるとこういうことらしい。

 

アリカ姫はなんでもこの戦争を止めるための調停役だったのだが、いろいろ妨害や邪魔が入り、力及ばずダメだったらしい。それでも何とか成功させたいらしく、俺たちを頼ってきたそうだ。

また”完全なる世界”についても、その妨害や邪魔をした相手を特定するためにいろいろ調べさせた所、その組織が浮かび上がってきたといういことだ。

 

そして、これからが重要なのだが、現状、組織の中心人物や構成、目的などがまったくといっていいほど分かっていないらしく、大手を振って行動する事が出来ないと言う事だ。

その事に対して、ナギが“分かってるのに何で無理なんだよ!!”と叫んでいたが、俺には無理な理由が分かる気がする。

俺が居た世界でもそうだったけど、“かもしれない”では大勢の人、もっと言うなら国なんてものは動かない。“石橋を叩いて渡る”と言えば聞こえがいいけど、ようは皆臆病で、自分が大切なのだ。確証の無い事に手を出して、損をするのが嫌だし、何より報告で聞いていても、実際自分は安全な所に居るので、今どれだけ危ない所に自分達がいるのか分かっていないのだろう。

その為、しばらくは本当に信頼できる人達だけでこの組織のことを調べ、少しずつ事態を好転させて行くしかないという結論に至った。

 

正直目的とか、何とかは俺にはわかっているんだけど、言えないよな。元老院がやっている事を知ってるとしても、名前まで知ってるわけじゃないし、知っているとしたらアールウェンクスぐらいしか覚えてないから意味が無い。

まぁ、あいつらがやってる事はわかってるんだから、それを元にいろいろ調べればうまくいけば早くに証拠つかめるかも知れない。

今俺にできる事と言えばそれぐらいか…。もどかしいな。

 

「…やるしかないか。」

 

「ん?どうしたんや?」

 

「いや…この状況を好転させるためにも、今はやれる事をやらないとなって思っただけだよ。」

 

「せやな。まずはやれる事やろうや。」

 

龍ちゃんと決意を新たにした所で、丁度あっちの話し合いも終わったようだ。

この話し合いで決まった事は、俺、龍ちゃん、ガトウ、アル、ゼクト、詠春などで情報集め、そして統括をして、他の面子はおもに護衛や戦闘をすると言う事だった。

さっそくアリカ姫は、ナギに罵倒を浴びせながらも顎で使っているっぽい。

まぁコレは原作通りかな?

でもなんだろ?ナギとアリカ姫が話している所を見るとちょっとズキってするんだけど…。俺何か変な物でも食べたのかな?

原作とかでも、綺麗だとは思っていても、特に好きとは思ってなかったから、恋とは別だとは思うけど…。

 

一体どうしたんだろう?

 

ま、今はそんな事どうでもいいか!今は情報集めが重要だからな。

 

さぁ気合入れて頑張ろうか!!

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。