我拳は銃なりて   作:秋華

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第十二話:騎士誕生

首都から追われ、一気に連合が敵になった俺達。

多分こういうのを、波乱万丈とか言うんだと思うけど、あんまいいこと無いなと改めて実感していた。

将来自記伝みたいのを書くとしたらこう書くと思う。

 

”平凡な日常こそ最高の幸せ”

 

とまぁ、戯言みたいな事はおいといて…

 

俺達は、何とか連合の追っ手を振り切り、隠れ家があるルシス大陸極西部オリンボス山に辿り着く事が出来た。

さっそく隠れ家に入ってみると、もうそこには、他の面々がそろっており、何があったのか説明を求めてきた。

焦る他の面々をまずは落ち着かせて、それから俺達の身に何があったのか一から説明をした。

その説明に皆納得してくれたのだが、どうにも顔色が優れない。

 

「?…どうしたんだよ。確かに良くないニュースだけどよ。そこまで暗くなる必要は無いんじゃねーか?」

 

あまりにも皆の顔色が優れないので、ナギがそう話すと、先に来ていた面々の中を代表して、アルが俺達にその理由を説明し始めた。

 

「…実は、ナギ達がこっちにつくまで、私達も可能な限り情報を集めていたのです。そしてその情報の中に、帝国側に接触を試みていたアリカ姫が捕まったらしいという情報がありました。しかもその信憑性は高く。まず間違いなく、捕まっていると思われます。」

 

『!!!!!』

 

アルの言葉に俺達は息を呑む。

今の状況を簡単にまとめてみると・・・

 

・”完全なる世界”によって”紅き翼”は賞金首になり連合に追われている。

 

・戦争を早く終わらせる為に、アリカ姫が帝国の皇女と会っていたが、それはほぼ失敗といっていい状態

 

・連合に対して発言力を持っていたアリカ姫が捕まり、投獄されている。(原作通りならこっちの見方であろう帝国の皇女も同じく投獄されている)

 

うん。…これはやばいというよりも、ほぼムリゲーって感じだな。

力でこの戦争が終わらせられるなら、とっくの昔に、俺達が終わらせていると思う。

それが出来なかったのは、政治的なものが関係してうまく動けなかったからだ。しかもそれを担っていたアリカ姫が投獄され、今残っている人でアリカ姫の代わりを務められそうなのは、唯一ガトウだけだろう。

しかし、そのガトウも、連合から敵扱いされているから、今までみたいに動けるわけがない。

 

オイオイ…コレがゲームなら俺はもう既に電源を切っているレベルだな。

 

頭の中でそう考えて、さらに落ち込みかける俺に、肩に乗っていた龍ちゃんが、小声で話しかけてくる。

 

[なぁなぁ…タケやん。これからどうなるん?]

 

[どうなるもこうなるも。この状況になったら、もうやる事は一つしかないよ。]

 

[やっぱりそうなんか…。大変そうやな~]

 

[軽いね龍ちゃん…。まぁいいや。とりあえずは…。]

 

[せやな。考えるよりも行動やな!]

 

そう俺達が内緒話をしている中、他の面々はこれからどうするか話し合っていた。

皆たぶん考えている事は同じなんだろうけど、その危険性から発言できないみたいだ。

なら…ここは俺が一石を投じる事にしますか。

 

「皆…。いろいろ話し合っている所悪いんだけど、もうここまで来たら、俺達ができる事、いや、やらなくちゃいけない事なんて、一つしかないと思うんだけど?」

 

「タケル……。いや、しかしだな…。」

 

「ガトウさん。確かに危険は大きいし、失敗したら終りだと思うけど、どう考えてもそれ以外できることがないと思うし、やらないと先に進めないと思う。」

 

「タケルの言う通りだな。ここで必死になって考えても、何も変わらない。…なら、やるしかねーだろ!!」

 

『…よし。やるか!』

 

「おう!……アリカ姫を助けるぞ!」

 

そこからの行動は、早かった。

まず、情報収集能力が高い面々を中心として、アリカ姫がどこに投獄されているかを掴み、そこを戦闘能力が高い面々で強襲、奪還という、かなりシンプルな作戦を打ち立てるとすぐに実行に移した。おそらく、こんな作戦でうまくいくのは俺達“紅き翼”だけだろう。

そして、情報収集により掴んだアリカ姫の場所へ強襲する日。

最初は、いくらなんでもうまくいくのか?と不安に思っていたが、蓋を開けてみると、正直こんなにうまくいっていいのか?と思うくらいに割りとあっさり成功してしまった。

まぁ、もともと戦闘に特化している連中が、いきなり強襲をかけるんだから、せめてあっちに俺達と同じぐらい戦えるやつがいないと、防ぐ事なんてまずできないだろうし、俺達のこと忘れていたのか、それとも油断していたのかは知らないけど、その場所の警備はザルだった。

そのお蔭で、俺達はアリカ姫の奪還はすんなりと成功させるのだった。

ちなみに、アリカ姫とナギの掛け合いは見れなかった。

外で龍ちゃん達と暴れていたから仕方がないんだけど、それでも原作イベント見逃すのはちょっと勿体無かったかな~とか思う。

 

さてさて、そんな訳で、アリカ姫とついでにテオドラ皇女の奪還に成功した俺達は、悠々と隠れ家へと帰ってきた。

 

「何だ!これが噂の”紅き翼”の秘密基地か!どんな所と思えば…ただの掘立小屋ではないか!」

 

「俺ら逃亡者に何期待してたんだよ。このジャリは…」

 

「でも秘密基地ってこんなもんじゃないの?大体こんな所にそんなすごい建物つくったら、秘密所か目立ちまくりでかなりあやしいでしょ?」

 

「タケやんの言う通りやな。目立たんでナンボやろこんなもん。最低限休めて、あまり周りを気にせんと話し合いができればいいだけやと思うし。」

 

これがテオドラ皇女…。

確か正式な名前は……長すぎて忘れた。まぁテオドラ姫でいいや。

ん~印象は、やっぱりおてんば姫って感じだよな。仮にアリカ姫が綺麗なら、テオドラ姫はかわいいが当てはまりそう。…性格についてはノーコメントだな。

見た目の好みで言うなら、かわいい系のテオドラ姫なんだけどね。

アリカ姫がダメって訳じゃないけど、憧れの方が強くなっちゃうから。何せ、何度もあっているくせに、未だに、顔を見るとドキドキするから…。

 

「何だ貴様!無礼であろう!!それに秘密基地と言うのだから、もっと期待してもいいではないか!?」

 

「へっへ~ん。生憎ヘラスの皇族にゃ、貸しはあっても借りはないんでね。」

 

そう言ってラカンが逃走した。

……逃走?って!おい俺に丸なげするつもりか!?

 

「はぁ…もうどうでもいいか。それと期待については、小説とか絵本の見すぎですから。」

 

「…主の名は?」

 

「申し送れました。タケル・ダテといいます。こっちの虎は龍牙です。」

 

「なんと!?お主等があの”銃神”と”獣王”だというのか!?」

 

「そうやけど?」

 

「うう~む。聞いていた話と全然違うではないか…”銃神”は髪が紅く、鋭い目つきをしておると聞いておったし、”獣王”にいたっては、体のサイズがまるで違う…。それに…」

 

あー確かに戦場で”炎帝”使えばそんな感じになるけど、それを鵜呑みにするのはどうなのよ?

大体、俺普段はこっちの姿の方が多いと思うんだけどな…戦闘以外。

 

「……のうタケルよ。」

 

「なんですか?」

 

「……その龍牙なんじゃが…。」

 

「龍ちゃん?それがどうかしましたか?」

 

「……妾に抱かせてはくれないかの?」

 

は?

 

「……だめかや?」

 

「……はぁ~。龍ちゃんどう?」

 

「まぁ抱かせるくらいなら、ええけど…。」

 

と、龍ちゃんがテオドラ姫に近づいた瞬間。

俺でも見失いそうなぐらいのスピードで、一瞬にして龍ちゃんを抱きかかえて頬擦りをしている。

 

「ふおおおお…。このモフモフのフワフワ感。抱き心地最高じゃー!!」

 

「ちょ…やめ…やめてーな。あ、そこはあかん。あかんて…あ…あ…あはははははっ!!!」

 

おお。龍ちゃんがモテとる。

確かに普通に見れば、かわいいぬいぐるみが喋って、しかも動いているんだもんな。かわいいもの好きにはたまらない光景なんだろたぶん。いつも一緒だったから忘れてたわ。

 

「よかったな、龍ちゃん!モテて。」

 

「よくないわ!頼む…ほんま頼むからたすけてや~!!!」

 

「むふふふふ…。どうじゃ龍ちゃん妾のペットにならぬか?一緒に暮らそうではないか。」

 

「なるかボケー!!ええからもう離さんかい!!」

 

「嫌じゃー!!もう絶対離すわけないじゃろーがー!!」

 

「ふう…。龍ちゃんにも春がきたのか。」

 

「そんな台詞いまいらんのじゃ!ええから、はよ助けんかい!!このままやと…ワイ…ワイ…お嫁にいけんようになってまう!!」

 

「アホか。もともといけんだろうが。お前は雄だ」

 

「大丈夫じゃ。妾が娶るから心配するな。」

 

「ええかげんにせんかーい!!!!」

 

龍ちゃん体使ってまで俺たちを笑わせてくれるなんて…。

くっ…さすがだよ。

 

 

とまぁ、そんな事もありまして、俺達は今隠れ家の中に集合。

今の今まで、テオドラ姫に弄ばれていた龍ちゃんは、俺の肩でぐったりとしている。

時折”もうお嫁にいけへん…”とか呟いているが、それは聞かなかったことにしておきたい。

その原因をつくったテオドラ姫はと言うと、まだ満足いっていないのか、こちらをジッと見ながら指をくわえていた。

でも、さすがにこれ以上は龍ちゃんが持たないので、やめて欲しい。

そんな中、ナギがアリカ姫に向かって話しかける。

 

「さーて姫さん。助けてやったはいいけど、こっからは大変だぜ?連合にも帝国にも…あんたの国にも味方はいねぇ。」

 

「恐れながら事実です王女殿下。殿下のオスティアも似たような状況になっています。それ所か、最新の調査では、オスティアの上層部が最も【黒い】…という可能性まで上がっています。」

 

「やはりそうか…。」

 

アリカ姫を奪還して、少しは状況が好転したと思っていたけど、それでもやっぱり厳しい状況なのはかわらないか。

まぁ、そんなんであきらめる奴なんて、きっとこの中ではいないんだろうけどね。

俺ももう覚悟決めてるし。

 

「我が騎士よ。」

 

「だぁから。その”我が騎士”ってのは何だよ姫さん。クラスでいったら魔法使いだぜ?しかも恥かしーしよー。」

 

「もう連合の兵ではないのじゃろ?ならば主はもはや私の物じゃ。」

 

「なっ…!!」

 

オイオイ…物はねーだろ物は。言っている事は…まぁ良いとしても、言い方ってもんがあるだろーが。

 

「帝国に連合…そして我がオスティア。世界のすべてが我らの敵というわけじゃな。」

 

「じゃが…主と主の”紅き翼”は無敵なのじゃろ?」

 

「世界すべてが敵――良いではないか!こちらの兵は8人と1匹…じゃが最強の8人と1匹じゃ!!」

 

おお!なんかアリカ姫が輝いて見える!これがカリスマって奴か。始めて見たけど、なんかやれそうな気持ちになるのは何でだろうな。ナギもそれもってるっぽいけど、普段が普段なだけにあまりそれっぽく感じないしな。

 

「ならば我らが世界を救おう。我が騎士ナギよ。我が盾となり剣となれ。」

 

「……へっやれやれ相変わらずおっかねえ姫さんだぜ。…いいぜ俺の杖と翼あんたに預けよう」

 

め…名場面キターーーー!!!

やっぱここはかっこいいな。なんか心臓ドキドキしてるし、体も震えてきた。

武者震いなんて二度目の経験だよ。

さぁこの戦いのフィナーレまで、ラストスパート開始って感じだな。

 

そんな事を考えていると、肩に乗っていた龍ちゃんがボソリと呟く。

 

「熱くなってきたな…。」

 

「…だね。なんか体中がうずうずしてきたよ。」

 

「ワイもや。…血が滾ってきたわ。」

 

「もちろん最後まで付き合ってくれるよね、龍ちゃん?」

 

「あほ。あたりまえや。最後の最後まで一緒やで?…ちゅーかコレ終わっても一緒やけどな。」

 

そんなうれしい事を言ってくれる龍ちゃんの頭を、俺はやさしく撫ぜる。

それが気持ちいいのか、目を細めて嬉しそうに撫ぜられている龍ちゃん。

初めて会った時はこうなるなんて思わなかったけど、本当に龍ちゃんにあえてよかったと思うよ。

 

「のう…。」

 

「ん?どうかしましたか?テオドラ姫?」

 

「まず敬語はやめよ。それに姫もいらん。テオと呼んでいいぞ?と言うか呼べ。」

 

「何で命令口調!?…はぁ、それでどうかした?」

 

「いや…なんだか震えておるようじゃったのでな?」

 

「えっ…?ああこれの事?心配ないよ。これは武者震いって言って、別に怖くて震えている訳じゃないから。」

 

「そうかの。なら良いのじゃが…。」

 

まぁ、武者震いを知らない人から見たら震えているように見えるのは、仕方がないことなのかな?

武者震いって日本人特有らしいし。…ホントかどうかは、わかんないけどね。

でも、まさかテオが心配してくれるとは思わなかったけどね。

それとも、俺じゃなくて龍ちゃんの心配か?

だとしたらちょっとだけへこむな。

 

「あぁ…それとじゃな。先ほどラカンからいろいろ話を聞いていたのじゃが、お主かなり強いらしいの。」

 

「まぁ、ラカンとかナギとかと一緒にされても困るけど、それなりに強いのは自覚しているよ。」

 

「それなり…それなりのう。お主がそういう割には、ラカン奴今まであった中で一番強いとか言うとったがの。…どういう事じゃろうか?」

 

俺にもわかりません。

普通に考えて、力で強いのはラカン。

魔法で強いのはナギ。

技で強いのは詠春さん…っと、それぞれ突き抜けている人が、この”紅き翼”に集まっている訳だけど…、俺は全部中途半端でしょ?

多分あれだと思う…器用貧乏って奴。

 

「ラカンが適当に言っただけだろ多分?俺は一番なんかじゃないよ。」

 

「いーや。間違いなく俺様が闘った中で、一番つえーよ、タケルはよ。」

 

俺がそうテオに向かって言うと、近くで会話を聞いていたのか、ラカンがこっちにやってきて俺達の会話に参加してくる。

 

「はぁ?何言ってんだよ。俺なんて…。」

 

「ばーか。誰が単純な力の話をした。オメーが一番つえーのはココだろ。」

 

そう言って拳を俺の心臓に当てる。

 

「確かに単純な戦闘力とかそんなもんは一番じゃねーかもしれねぇ。あ、“然”は抜いてな?だが戦いっていうのは、それだけで決まるもんじゃねーだろ。どんな状況においても潰れねぇ、折れねぇ、なくならねぇ、ココの強さってもんも大事なんだよ。そしてそれは、お前が一番つえー。戦った事のある俺様が言うんだ。間違いねぇさ。…そしてそれはよ。ここぞって言う時に、俺達以上の力を出してくれるもんだ。あのグレート=ブリッジの時のようになぁ!」

 

「なるほどのう。ココの強さか…。それなら妾は、お主に期待しよう。」

 

「はっ?」

 

「アリカ姫の騎士がナギであるように、妾の騎士はお主じゃタケル。妾のために…そしてこの世界に住む者たちのために戦ってくれ。期待しておるぞ我が騎士よ。」

 

あれ~?なんでこんな事になってるの?

俺そんな柄じゃないんだけど…。

 

「タケやん返事せんとあかんで?」

 

「龍ちゃんいくらなんでも俺は…。」

 

「む~だめかや?」

 

あ゛~!!!そんな泣きそうな顔をするなよ!

それに何この空気!?やらないといけない空気?

ラカンとかアルとかナギがニヤニヤこっちを見てるしよ…

う゛~~あ゛~~もう!!

 

「…ったよ。わかったよ。俺の力あんたに預けるよ。目の前に塞がる敵すべて撃ち貫いてやるよ。この拳でな!!」

 

「うむ!たのむぞ!」

 

は~なんでこうなった!?

……あと騎士っていうのはこの戦いだけの話だよね!?

ずっととか嫌だからな俺は!!!!!

 

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