魔法球の中で、タカミチの修行をつけている間にも周囲の状況は刻々と変化していった。
連合と帝国が大々的な戦闘をおっぱじめれば、両軍を止めるために俺達は戦い、その間に”完全なる世界”の拠点を一つ一つ確実に潰していった。
もちろん自分達の敵は帝国や連合ではなく、それを操っている”完全なる世界”だということを説明するのも忘れない。
その説得のおかげなのか、犯罪者として狙われていた俺達にも少しずつ味方が増えていき、早くこの戦争を終わらせる為に多くの人達が力を合わせて戦っていった。
そして半年後…。とうとう俺達は”完全なる世界”の親玉がいる拠点を見つけることに成功したのだった。
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昔見ていた二次小説の中で書いてあった長編映画になるっていうやつ、その意味が良く分かった。
これは確かにそう書かれていても仕方がない。
俺が思うに、映画にもなった某物語を現実で再現されているような感覚に陥る。
実際現実に起こると、夢も希望もないのだけど…。
さてその物語に例えるなら、映画で言う三作目。
とうとう最後の締めの部分までやってきた。
そう…”完全なる世界”が根城にしている世界最古の都・王都オスティア空中王宮最奥部。
――墓守人の宮殿へと…
「あ、…あの!ナギ殿!」
「ん?なんだ?」
「ササ…サイン!お願いできないでしょうか!?」
「お?おお…いいぜ?」
辺りがピーンと張り詰めている緊張感の中、セラス総長がナギにサインをねだっていた。
なんというか、この場面でそれが言えるセラス総長は肝が据わっているというか、空気読めていないとでも言うのか…いやはやなんとも言えない感じがする。
すると微妙な表情を見ていたのか、肩に乗っている龍ちゃんが声をかけてくる。
「なんや?うらやましいんか?」
「い…いや!?そんな事はないけどさ…ただ最終決戦のはずなのになんでこんな変な空気になっているのかな?って思ってね」
「あー…まぁええんとちゃう?下手に緊張するよりましやろ?」
「まあそうだけどね」
そう言って二人で笑い合う。
ちなみに、前俺達にファンクラブが出来たと言ったと思うが、何故か俺のファンクラブには女性が少ない。まったくいないわけじゃないのだが、なんだかちょっと悲しくなってくる。
なんでも俺のファンの殆どは、タカミチぐらいの子供とか若い男性が中心で、俺自身の強さと言うよりは銃闘技に憧れている人が殆どらしい。
その人達曰く…”銃をもしてつくられた銃闘技…イカス!”とか”コレに燃えなきゃ男じゃねえだろ!?”とかそんな意見ばっかりである。
まぁ確かに本家の漫画でも男人気が凄かったらしいけど…やっぱり男として生まれたからには女の人にちやほやされてみたいという願いはあるわけで……うん。考えると涙が出そうだからもう考えるのはよそう。
でもやっぱり…主人公ってのはもてるのが当たり前なんだね。
たしかこの物語の中では、俺が主人公のはずなんだけどな……
「タケやん何考えとるんかわからんけど…とりあえず涙拭き?」
「な…泣いてなんかいないんだからね!?」
「なんやそのキャラきっもいわ~。」
龍ちゃんとは、この戦いが終わった後じっくりと拳で語り合うとしよう。
コイツのファンクラブも女性多いからな。
”カッコイイのに、カワイイ♪”とか”私の肩にも乗って~”とか…
親友って思っているけどそれとこれは話が別だ!!
「しっかしよ~。不気味なぐらい静かだな。奴等。」
「なめてんだろ?悪の組織なんてそんなもんだ。」
「ラカン。油断するな!相手は強敵ばかりだそ!?」
「へいへいわーってるよ詠春。」
「ともかくあの少年達の事だから何かあるんだろ?警戒しつつも早く準備を整えようぜ?」
俺がそう締めると、皆頷き道具の点検をしたり、体を少し動かしてこれから起こる戦いに備える。
するとさっきまでナギにサインをねだっていたセラス総長が、真剣な顔つきでこちらにやってきた。
「ナギ殿!帝国・連合・アリアドネー混合部隊準備が整いました!」
「おう。あんたらが外の自動人形や召喚魔を抑えてくれりゃ、俺たちが本丸に突入出来る。頼んだぜ!」
「ハッ!おまかせください。」
俺達の前で敬礼をすると、準備が完了している部隊に指示を出すためにこの場を後にする。
さっきまでのセラス総長は、どこにいったのだろうか?
なんてバカな疑問を考えづつも、戦場を見渡し気持ちを戦闘状態まで持っていく。
「連合の正規軍の説得は間に合わん。帝国に行っているタカミチと皇女も同じだろう。決戦を遅らせる事はできないか?」
ガトウが通信でそう言ってくる。できる事なら俺達だって遅らせたい…でも…。
「無理ですね。私達でやるしかないでしょう。」
「既にタイムリミットだ。」
「ええ…。彼はもう始めています”世界を無に返す儀式”を…。なぜなら世界の鍵”黄昏の姫御子”は今彼等の手の中にあるのですから。」
「ああ」
「……そうか。こっちも少しでも早くそちらに向かえるよう力を尽くす。…皆死ぬなよ。」
『おう!』
「じゃあヤロウども……いくぜ!!!」
ナギの掛け声で俺達は大勢の敵へと突撃を開始した。
心は不安でいっぱいだ。
だけど勝ちたい…いや勝たなくてはいけないんだ!
ハッピーエンド目指すって決めてるんだから。
さあ戦闘開始(オープンコンバット)だ!!
「道を開けな!!”千の雷”」
ドゴォォォン!!!
「オラオラオラァーー!!!俺様達を止めようなんざ100年はえーんだよ!!」
ドドドドドドドドォォォン
ナギとラカンが持ち前の魔力と力を使って敵を混乱させ、本丸へと続く道を作っていく。
俺達といえば、ナギ達の撃ち残しを倒しながら被害を広げ、この後戦うであろう混合部隊の為に少しでも敵を減らして行く。
ここであまり体力や力を使いすぎないようにナギ達と交代しながら進んでいき、敵の本丸へと入っていった。
「オラァ!!」
「邪魔すんなや!!」
予想はしていたのだが、やっぱり敵の本拠地と言う事はあり、そこら中にトラップや敵がうじゃうじゃいる。敵は外にいるやつ等よりは、強かったと思うけど、所詮はモブで名前もないザコキャラ…俺達の敵じゃないな。
それにトラップとか最初見つけたときは避けるとか、解除しなくちゃいけないから、めんどくさいって思ってたんだけど、目の前に、“そんなのかんけーねー”っと言わんばかりに力ずくで壊していっている奴らがいるんだよなぁ…。やっぱりバグと呼ばれている人達は違うな。それにしても…。
「…んーあいつ等は、何のためにトラップ何か仕掛けたんだろうな?」
「ん~?大方あれちゃう?足止めできればいいとか考えとったんやろ?」
「だろうな。だが…まぁ…無駄だな。」
「無駄ですね。」
「無駄じゃな。」
「ハッハー!!なんだこんなもんで俺様を止められるとでも思ってんのか!?」
「邪魔なんだよ!!」
はい。皆様お気づきの通り、ナギとラカンが手当たり次第ぶっ壊しています。
しかも中心に行けばいいとかきっと考えているのでしょう。
目の前に壁があったらそれをぶっ壊して直進しているんです。
確かに最短距離を進んでいけば、それだけ早くつくんだろうけどさ…さすがに壁壊してでも直進するとか、それってどうなんだろう?
「……宮殿残るかな?」
「武。答えが分かってていうもんじゃないぞ?それにいいじゃないか…。」
「え?…詠春さん?」
「フフフフフ…今更どんだけ壊しても頭を下げる必要はない。それこそ宮殿壊してもな。最近ストレスが溜まりに溜まっていたんだ。丁度いい。」
いや…あの…詠春さん?目が反転してるんですけど?
どれだけストレス溜まってたんですかーー!!!
黒い…黒いよ詠春さん!!
「…アルはん。これが終わったら詠春の為にクスリでもつくってもらえへんか?」
「…そうですね。そうしましょう。彼が壊れてしまったらいろいろとダメになりますから。」
「詠春も疲れとったんじゃのう…。すこしでも優しくせんといかんな。」
「フハハハハハハ…邪魔者はすべて切り捨てる!!!」
これが修羅って奴か…
ああは絶対なりたくないな。
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「うらあぁぁぁ!!!」
ドゴォォォン!!!!
「お!?なんだか広い所に出たぜ?」
「どうやらこの先が、この宮殿の中心部分みたいですね。」
「…まったく。まさか壁を壊しながらこっちにくるなんて、乱暴にもほどがあるよ。」
ラカンが壁を壊し、皆あたりを警戒しながらそこに入ると、丁度その中心には、忘れもしないあの少年が佇んでいた。
「あ!テメーは…。」
「久しぶりだね千の呪文の男…。まった君達のおかげで、ここまでやってきた事がすべて水の泡だよ。」
「ハッそいつは良かったぜ。テメーらがやっている事は気にいらねぇ…。だからぶっ飛ばす。」
「あいかわらず直線的だね。…だけど僕もその意見には賛成さ。………君達はやり過ぎたよ。ここで死んでもらう。」
そう少年が言うと、今までどこに隠れていたのか、急に人影が現れ俺達一人一人に向かって突撃し、その場から遠ざける。
そして気付いたらこの場所には、俺とあの少年の二人になっていた。
「…で、俺の相手はお前って事か?」
原作だとコイツはナギが相手することになってたんだけど、これは俺が介入した事によって変わった所なんだろうな。
てっきり適当な相手が俺に来ると思ってたんだけど、あてが外れた。
「そうだよ。本当なら僕の相手はナギだったんだけどね。…どうしてもあの時の借りを反したくて、無理を言ってお願いしたのさ。」
「借り?…おいおい借りがあるのはこっちのほうだろ?」
「まぁ、そっちも借りはあると思うけど、こっちにはこっちで借りがあるのさ。」
そう言うと少年は少し笑い、体を動かし始めた。
「僕は魔法に結構自信があってね。障壁も、そんじょそこらの魔法使い何かじゃ、破れもしないぐらい強力なはずなんだけどさ…。それを破るのではなく突き抜けさせた。それがちょっと悔しくてね。だからこうして君と対峙してるってわけさ。」
「なるほどな。…にしても冷静そうに見えて、実は結構熱血タイプなのか?」
「自分でもこんな気持ちになるのは驚いているさ。…でも悪くないね。」
「そうか…。ははっなんだか俺、お前のことちょっと好きになったよ。」
「お?それはうれしいよ。まぁ僕も君の事は嫌いじゃないけどね…。」
俺達は和やかに会話をしながら、コツコツと中心に向かって歩いていき、その間に少年と俺は魔力を高めながらすぐにでも動けるように準備をしていく。
そしてある程度近づいた所で、俺達はそこに立ち止まりすぐにでも戦闘がおこなえるように構える。
「…そういえばあの時はいろいろあって名前聞きそびれたけど、なんていうんだ?」
「そういえばそうだったね。本来僕には名前なんてもんはないし、呼ばれている名前も気に入ってないからね…。僕の事をを呼ぶならフェイト…。フェイト・アーウェルンクスって呼んでくれないか?」
この名前を聞いて俺は愕然とした。
なんだって!?なんで、ここでもうフェイトが出てくるんだ?
たしかここで来るのは確か一番目…フェイトじゃなかったはずなのに。
フェイトの話を聞いている限りだと、元老院議員に化けていたのもどうやらこいつらしいし…。
いろいろ変わっちまったみたいだけど、それはそれでいいか。
それに丁度いいのかもしれない。
フェイト…コイツは間違いなく俺達と同レベル。
今まで稽古として詠春やナギ、ラカン達と戦ってきたけどそれはあくまで稽古。
同レベルの人物と真剣に戦ったのは、詠春さんと戦った時以来になる。
あれから俺がどれだけ強くなれたのか確かめるチャンスだろ。
あれ?俺、戦闘狂じゃなかったはずなんだけどな…もしかしたら銃闘技を扱っているせいで、剛打銃のようにスリルを楽しむようになっちまったのかな?
ははっ…俺も龍ちゃんやラカンのこともう言えないな…。
「わかったフェイトだな。」
「君の名前知ってはいるんだけど、君から教えてもらえるかい?」
「俺の名前はタケル・ダテだ。好きに呼んでいいよ。」
「じゃぁタケやんと…」
「タケルと呼べ、タケルと!」
「冗談だよ。」
そう言ってクスクス笑い出す。
性格原作と違ってねぇか?まぁこっちの方がとっつきやすいし、親しみも沸くんだけどさ。
何か調子くるうな。
「さて、君と話すのはとても楽しいんだけど、そろそろ始めないとね。」
「…そうしようか。」
「じゃぁ」「それじゃ」
『始めようか!!!』