我拳は銃なりて   作:秋華

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第十四話:石の王と銃神

【Onther・Side】

 

 

ビシッ…

 

どこからともなく音が聞こえてくる。

それが戦いの始まりだった。

先ほど、戦いを決意しそれを言葉によって表明した二人だったが、その後はまったくといっていいほど動かず…いや動けず、その場でじっと動き出す切欠をまっていた。

そしてそれは起こった。

…二人は敵を互いの得意な距離に置こうと動き出す。

最初に仕掛けたのは、武からだった。

 

「オン・フィスト・ガン・ペンスリット

”契約に従い我に従え炎の覇王””来たれ浄化の炎””燃え盛る大剣”

”ほとばしれよ””ソドムを焼きし火と硫黄””罪ありし物を死の塵に”

”燃える天空”!!”固定””掌握””術式兵装”………”赤熱の騎士”」

 

「いきなり”闇の魔法”かい?これは評価されていると思っていいのかな?」

 

「ああ。最初から出し惜しみなんてしてたら、すぐにでも負けそうなんでな。…それに勝負は楽しみたいが、時間がないのも事実。だから早く決着をつけたいと思ってね。」

 

「つれないねぇ…。だけどその技はたしか”炎帝”って名前じゃなかったけ?」

 

「”炎帝”の名にもっと相応しい技を習得したからね。これには改めて名前をつけさせてもらったのさ。」

 

「なるほど…。じゃあまずはその”炎帝”を引っ張り出さないといけないかな?」

 

「この”赤熱の騎士”もなめないで欲しいな。フェイトたちが調べていた時よりも数段威力共に上がってるんだから…」

 

武がそう言い放ち、フェイトに向かって炎を纏ったガンブレットを撃つ。

その威力は武が言った様に、今までとは比べものにならないくらい強力。

言ってみれば、”豪殺居合い拳”に炎が螺旋を巻くようにまとわりついている感じだ。

それを見たフェイトは最初受け止めようと構えたが、背中にゾクリと冷たいものがはしりその場から退避する。

 

ドゴォォォォン!!

 

すると先ほどまでフェイトがいたであろう場所には、大きなクレーターができ、そして地面は所々黒くこげていた。

しかも中心には、拳の痕がくっきりと残り、その拳の威力の凄さをまざまざと見せ付けているようだった。

 

「…なるほど。確かに。さっき言った言葉は訂正させてもらうよ。本当に君の拳は危険だね。」

 

「ま、これでも”銃神”とかたいそうな名前をつけられているんだ。これくらいは出来ないと名前負けするだろ?」

 

「ふぅ…”銃神”ね。いままでも十分名前負けしてなかったと思うけど…。やはり君は”紅き翼”の中で最も注意すべき相手だと思うよ。」

 

「嬉しい事言ってくれているけど、”紅き翼”の中じゃ強い方だとは思ってないんだ。注意するべき奴は他にもいるさ…。」

 

「やれやれ…自覚していないのがもっと腹立たしいね。…そして何よりも恐ろしい。」

 

「言ってろ。オラァ!!どんどん行くぜ!!」

 

強制的に会話を終わらせると、先ほど撃ったガンブレットをフェイトに向かって連射する。

その多さに、フェイトも顔を歪めながら致命傷を避けつつよけて行くが、その眼光は鋭く、わずかな隙も見逃さないように相手を睨みつけ、そしていつでも魔法が撃てるように準備をしているようだった。

一方武の方と言えば、こちらもまた、ガンブレットを連射しながらも、フェイトが魔法を撃つタイミングを計っていることを重々承知しており、撃たれるにしても、なるべくこちらがいい状態で次につなげられるように注意しながら、相手を追い詰めて行く。もちろんこのまま終わって決めの一発を食らわせれるなら、それに越した事はないと思ってはいるが、相手は少なくとも俺よりは下の実力者ではないフェイト。

そう簡単にいくとは思えなかった。

 

「くっ…隙探そうにも、こう威力のあるものを連射されたら隙なんて見つかりそうにないね。……ならここは少し強引でも、ちょっとおとなしくしてもらおうか!!」

 

フェイトがそう呟くと、ガンブレットをギリギリまで引き付けて避け、相手が次を撃つ前に無詠唱魔法を繰り出す。

 

「千波黒耀剣!!」

 

するとフェイトの周りに、無数の石の剣が出現し、武に向かって突っ込んでいく。

それを見た武はガンブレットを撃つのをやめ、ガンマンポジションに構えを返るとすべて撃ち落す。

 

「これくらいなんてことない!!」

 

「そんな事分かっているよ。でもこれで少しは時間が稼げた。今度は僕からいかせてもらうよ!!」

 

「”障壁突破””石の槍”!!」

 

フェイトがそう唱えると、武の足元から急に尖った石が武のお腹を目指して伸びてくる。

 

「チッ!!」

 

それをバックステップで避け、すぐにフェイトに向かって攻撃を仕掛けようとするが、目の前にはフェイトの次の攻撃が迫っていた。

 

「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト

”おお…””地の底に眠る死者の宮殿よ””我らの下に姿を現せ””冥府の石柱”!!」

 

「まだだよ。

ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト

”おお…””地の底に眠る数多の騎士よ””我が敵に剣を討ち立てよ””不死の騎士団”!!」

 

あっという間に武の目の前には、大きな一枚岩と、石の槍が無数に現れ、武を潰し、刺殺さんと迫ってくる。

 

「くそ…。数が多くて、しかも種類が違うとか、性格が悪いぞフェイト!!」

 

「それは心外だよ。それに君のガンブレットに比べればこんなの全然ましだろ!?そらどんどんいくよ!!」

 

武にそう言われ、心底心外だといわんばかりに呆れた顔をしながら、次の魔法を唱え始める。

 

「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト

”小さき王””八つ足の蜥蜴””邪眼の主よ”

”その光””我手に宿し””災いなる眼差しで射よ”

”石化の邪眼”!!」

 

するとフェイトの手から光線が発射され、それを見た武は聞こえてきた呪文と背中に感じた寒気を信じすぐさま、その場から離れる。

そしてそれは正解だった。

先ほどまで武がいた場所では、不気味な石のオブジェができていたのだから…

大方、フェイトと武の戦いを影でこっそりと見て、隙あらば武を仕留めようとしていたフェイト側の人物だろう。

”石化の邪眼”によって、後ろから殴りかかろうとしていたまま、そこで石像となっていた。

 

「……あっぶね。にしても味方まで巻き添えかよ…。」

 

「味方?…せっかくの決闘を邪魔しようなんて味方じゃないさ。それにしても…さすがの”闇の魔法”。でもその様子だと、さすがに石化は防げないみたいだね。」

 

「それを承知で使ったんだろ、どうせ…。」

 

「確証はなかったさ。…でもこれで、君に有効な攻撃方法が分かったよ。」

 

「ふっ…。だからと言って、そう簡単に使わせるかよ。」

 

武は突撃形態〈アサルト・ポジション〉をとると、宙に浮かんでいるフェイトめがけて突っ込む。

しかも足の方に魔力を集中したおかげか、まるでロケット噴射をしたかのように、炎の道を空に描きながら突っ込んでいく。

 

「くっ…旧世界で見たことがあるミサイルみたいだよ。まぁ…威力もスピードも桁違いだろうけどね。」

 

「お褒めいただき光栄だ!…お礼に一発くらっていきな!」

 

「それはごめんこうむるよ!」

 

「えんりょうすんな…よ!!」

 

武の突っ込んでくるスピードに魔法は撃つ暇がないし、逃げるのにも無理があると判断したのか、その場で魔力を集中させて、武の拳を防ごうと突き出した手で、向かってくる拳を払おうとする。

フェイトの考えでは、銃弾と同じく側面から衝撃を与えれば、武の拳は方向を変えて防げると思ったのだろうが、それは甘い考えだとすぐに思い知らされることになる。

 

「ぐっ…!!」

 

武の拳を払おうとしたフェイトの手は、フェイトの想像とは別にはじかれてしまい、そのまま武の拳は吸い込まれるように、フェイトの体に突き刺さっていた。

 

「続けていくぜ!!セカンド!サード!…」

 

一度懐に入ったら、もう武は止まらない。

体を回転させながらハンマーコックをしていき、二発・三発とフェイトにマグナムを撃ちつけていく。

その間、フェイトも何とかしてこの間合いから脱却しようと、後ろに向かってバックステップをするのだが、リボルバーマグナムの特徴の一つがそれを許さない。

リボルバーマグナムは、回転しながら次のショットに繋げていく為、セカンド・ショット―サード・ショットと続けると、遠心力によりどんどん撃つスピードが上がっていく。しかも回転は相手の懐に飛び込む役目もしており、一度マグナムからリボルバーへと繋げられると、回避するのが難しく、あっという間に最高弾数である6発を無防備に打ち込まれてしまうのである。

 

「おっしゃぁぁ!ラストショット!」

 

五発撃ち終り、最後の一発をフェイトの体ど真ん中に標準を定める。

しかしその瞬間、フェイトも口から血を流しながらこっちを睨みつける。

 

「あんまり……調子にのるなぁぁ!!!」

 

「いっけぇぇぇぇ!!!」

 

ズガシャァァァァン!!!………ズズン!

 

二人がぶつかり合った瞬間、一瞬その場が真っ白になり次の瞬間大きな爆発音と衝撃波が巻き起こった。その衝撃の強さをものわたるかのように、周りの壁のあちこちには罅が入り、ひどい所では、壁が崩れ落ち、外が見えている所もあった。

爆発の中心はと言うと、地上で戦っていた訳でもないのに、その場所はクレーターのようにへこんでおり、沢山あったはずの瓦礫とかは跡形も無くなっていた。

 

そして二人はというと……。

 

ガラッ……。

 

「ゴホッ……ペッ…ハァハァ…(まさかあそこでこっちを殴るだけの余力を残していたなんてな。しかもご丁寧にカウンターにしやがって…。おかげでブラックアウトに加えて、そのダメージで体が思うようにうごかねぇじゃねえか。ちっ…はやく動けよ俺の体!!あいつがこんなチャンスのがす訳がねぇ。すぐに追撃がくるぞ!!)」

 

武は、必死にうまく動かない体を無理やり動かすが、体は動いてくれず、片膝を付いたままだった。

しかしそれも仕方がないことだろう。マグナムをフルショットした後遺症のブラックアウトに加え、スピードが乗った所にカウンターであわされてしまえば、どんなにタフな奴でもすぐに体が動くわけない。

武は、かすむ視界の中、せめてフェイトの姿でも見えればと、必死になって探すが目の前にはフェイトの姿などどこにもなかった。

 

なぜなら、フェイトも同じ状況に陥っていたからだ。

 

「グフッ…ハァハァ…クッ…(最初から無傷で勝てるなんて考えてはいなかったし、タケルのことも要注意人物として油断してなかったつもりなんだけど…このダメージは、さすがに予想外すぎるね。この体は、打撃とかにはかなりの耐性があるはずなんだけどな…。恐るべきは銃闘技…いやタケル本人かな?さてこの後どうするか…。体が動くまでまだ少し時間が掛かる。それまでタケルがまってくれているはずないし、これはかなりやばいね。)」

 

フェイトも、武と同じように体を無理やり動かそうとしていたが、まったく動けない。

それならばと、意味は殆どないだろうが、気休めにと魔法障壁を張り、はやく体が動けるように回復に努める。

もちろんあたりを見渡しながら、警戒するのも忘れない。

 

こうして二人は互いに警戒し合いながらも、体力の回復に努め、この後どうするのか考えるのであった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・

 

『…………』

 

体力が回復し、ようやく立ち上がる事が出来た二人は、互いに見つめあい無言。

そしてしばらくそうやって見詰め合っていると、互いに顔を歪め笑い出す。

 

『……クククッアーハッハッハ…』

 

「なんだ。フェイトもぼろぼろだったのか。」

 

「それはこっちの台詞だよ。おかげで余計な心配してしまったじゃないか。」

 

「自業自得だろ?」

 

「だろうね。にしてもなぜかな?」

 

「ん?」

 

「君に出会ってから驚く事ばっかりだ。今までにない気持ちになったり、言葉遣いも少し感情的になったり、生まれて初めての体験だよ。」

 

「でも悪くないんじゃないか?」

 

「ふっ…そうかもしれないね。」

 

その時フェイトは、かすかにだが笑みをこぼした。

その表情に少し驚く武。

それは原作で知っている人形のようなフェイトではなく。

人そのものに見えたからだ。

 

ズズゥゥゥン…!

 

「おっと…。タケルとこうして話している時間も、そろそろ終わりみたいだ。名残惜しいけど、決着をつけないとね。」

 

「みたいだな。さっき聞こえた音からして、他の所も決着がつく頃だろうし…。」

 

ザザッ………

 

「楽しかったよタケル。タケルを殺すのはなんだか勿体無い気がするけど、仕方がないね。これも世界のため…ここで終りにしよう。」

 

「俺も同じ気持ちだよ。さよならフェイト……お前は俺がここで撃ち殺す。」

 

二人とも互いに必殺を口にし、構える。

もう両者とも、戦っていられる時間は少ない。

だからこそ、今もてる最高の一撃を撃たんと集中する。

 

そして、最後の時はやって来た。

辺りに、大きな爆発音がまた響き渡り、その音と同時に二人はお互い目掛けて、突っ込む。

そして、互いに必殺の技を叫ぶ。

 

「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト…”秘匿されし天上人””今こそその名を呼ばん”

”その者死を予期する者なり””その者すべてを視る瞳なり””その者すべての終りを示すものなり””その名の下に我に逆らいし者に永久の別れを告げよ”…”運命のダブレット”!!」

 

フェイトがそう唱えると、フェイトの右腕に魔力が集まり姿を変えていく。

それは動いている者すべて、動きを止めてしまいそうなくらい美しい天使の翼だった。

その翼が羽を広げたかと思うと、まるで翼が意思を持っているかのようにタケルに向かって伸びていった。

 

「これが俺の最凶の一撃だ!…紅蓮の拳に貫かれな。エクスプロード・キャノン!!」

 

天使の翼が迫ってくる中、武も己の最凶の一撃を放たんと力を溜めていた。

最強ではなく最凶…これは武が、どんだけピンチになろうと使うのを躊躇っていた、銃闘技の奥義であった。

最凶の一撃の元の名前は、44マグナム・キャノン。

相手に衝撃を貫通させる事が出来る44マグナムとは違い、これは相手の体ごと貫通させる事が出来る。つまり本物の銃と変わらない一撃を出す技である。

もちろん奥義と呼ばれるだけあり、そう簡単に撃てるものではない。

このマグナム・キャノンを撃つ為には、相手を殺すという意志…つまり”殺意”が必要なのだ。

武にとって、”殺意”を持つ事は正直難しい事ではなかった。

今は戦争をやっているのだ。”殺意”を抱かせる理由なんてそこらじゅうにあるのだから。

実際、戦争に参戦してからすぐに、このマグナムを使う事が出来たくらいなのだ。

だけど、今まで使うことはなかった…。いやおそらく、使う気も起こらなかったがきっと正しいのだろう。

それは、人を殺すのが怖いわけではなく、自分が”殺意”に飲まれることが怖かったから。

そして、人を殺しても罪悪感を持たなくなってしまう事を、恐れたからだった。

だから使わない。

そう決めていたはずなのに…。

武は、この場面で迷わずそれを使うことにした。

別にフェイトをそこまで憎んでいるわけではないのに、何故か”今使うべき”そう思った。

それはきっと……

 

 

ドゴォォォォォォンン!!!!!!

 

 

大きな爆発音と閃光が、戦っていた部屋を包み込む。

その衝撃波で、部屋の壁は殆ど弾け飛び、外が丸見えになっていた。

そして二人は、その中心にいた。

 

一人は立っているものの、左手から左肩にかけて石になっていた。

 

そしてもう一人は、上半身だけの姿になってその場に倒れていた。

 

「ゴフッ……見事だよ…タケル。僕の負けだ。」

 

「ほんの少しの差だったけどな。」

 

そう言ってタケルは、石化された左腕を右手でさする。

 

「フフ…どこがほんの少しなのかな…。」

 

そう言ってフェイトは、あの瞬間を思い出す。

あの時フェイトは、自分の勝利を確信していた。

 

(いくら力を溜める必要があるとはいえ、いくらなんでもタケルの行動が遅すぎる。あの状態からじゃ、もう避けることもできない。もしかしたら、この魔法ごと迎撃を考えているのかもしれないけど、それは甘い。これは僕が創り上げた石化の最大呪文。その翼に触れるすべても物を石化させる。いくらその拳が強くても、この魔法は撃ち破れるわけがない。)

 

しかし、次の瞬間武が起こした行動にフェイトは驚くのであった。

武は、フェイトの攻撃が目の前に迫った所で、ハンマーコックしていない左手を、わざと魔法の中に突き入れ、その魔法の根元であるフェイトの腕を外側に弾いたのだ。

いくら石化魔法といえど、一瞬にして石化する訳ではなく、ほんのわずかではあるが、自由に動かせる時間はある。だけどまさか、左手を犠牲にするとは思っても見なく、フェイトはなすがまま手を弾かれてしまった。

そして武は、空いたスペースに潜り込むと、フェイトに向かってエクスプロード・キャノンを放ったのである。

 

「まさか左腕を犠牲にするなんて思わなかったよ。…でもそれ以上に驚いたのが最後の技。アレは一体なんなんだい?」

 

「言っただろ?最凶の一撃だってさ」

 

「最凶……フフフッ…確かに最凶だね。僕をこんな姿にするんだから…でも疑問が残る。何故この技を今まで使わなかったんだ?」

 

「…この技は封印してたんだよ。あまりにも威力が強すぎる…。それこそ死ぬまで使う気なんてなかったよ」

 

「…だったらなぜ?」

 

当然のように聞くフェイトに対して、タケルは何処か遠くを見つめるように呟く。

 

「さて…正直自分でも良く分かってない。…ただ、フェイトにこれを使う事は礼儀だと思った。そうとしか今の俺には言えないよ。」

 

「そっか……。」

 

その答えに何処か満足したような顔をしてフェイトは、壊れた壁から除かせている空を見上げた。

 

「……はやくナギ達に合流したほうがいい。」

 

「えっ?」

 

「僕達が真の黒幕じゃないって事さ。…真の黒幕は別にいる。そしてそのお方は、きっとナギを狙ってくると思うよ」

 

「……なんでそれを俺に?」

 

「………君と同じ礼儀だよ。命を懸けて僕と戦ってくれたね。」

 

「……ありがとう。」

 

「礼なんていらないさ。ふう…。それにしても、最後に“銃神”の腕を潰せたのは、良い思い出になったかな。」

 

「……わるいな。」

 

そうフェイトに謝ると、武は右手に意識を集中させる。

するとその手には白っぽい何かが集まり、武はそれを石化している左腕に当てる。

その瞬間、石化した左手はあっという間にもとの腕に治っていた。

 

「!!!!……クククッ…君は本当に面白いね。まさかそんな事まで出来るなんて…。」

 

「俺だけにしか出来ない裏技だよ。……龍ちゃん以外でこれを知っているのは、フェイトだけだから内緒にしてくれよ?」

 

「さて……それはどうしようかな?」

 

二人はそう言い合いながら笑い出す。

 

「じゃ…行くわ。」

 

「……またいつか逢おう。今度逢う時までにもっと強くなっておくから…。」

 

「……そん時は、また返り討ちにしてやるよ。」

 

ニヤリとした顔でフェイトにそう言うと、武はその場を後にした。

フェイトといえば、武がその場を立ち去るのを見届けた後、満足そうに笑みを浮かべながら目を閉じていく…。

その顔は決して敗者がするような顔ではなかった。

 

 

 

武VSフェイト……………勝者…武。

 

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