我拳は銃なりて   作:秋華

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第十六話:人の力

 

他のメンバーと別れ、俺達三人は、宮殿の奥へと向かった。

一応、罠や適当な敵が居ると思って、警戒だけはしていたが、どうやらそれらしいモノは、無いようだ。

もともと仕掛けて無かったのか、それとも追ってくるはずが無いという余裕の表れか。

でも、これで余計な時間を取られずに、目的地に向かう事が出来る。

そしてそのまま、しばらく進むと、目の前に広い広場のような場所が見えて来た。

しかもその中心には、創造主らしき人影も見える。

 

「見えたの。お主等覚悟はよいか?」

 

「覚悟?アイツをぶっ飛ばす用意ならできてるけど?」

 

そう俺が返すと、ナギとゼクトが一瞬ポカンとした表情でこちらを見て、その後表情を緩ませる。

 

「クククッ…。さすが”銃神”だぜ。お師匠!俺もアイツをぶっ飛ばす用意はできてるぜ?」

 

「クククッ…。失言じゃったな。ワシの方も準備万端じゃ。」

 

俺は、何で二人が笑っているのか分からず、首を傾げる。

それを見た二人は、また笑う。

 

「いや…なんでもねぇよ。よしゃ!行くぜ二人とも!」

 

そうして俺達は、広場へと躍り出るのであった。

 

「へっ!わざわざここで、俺達を待ってくれていたのか?」

 

ナギが創造主に言葉を投げかけると、表情は見えないが、何処か驚いた感じの創造主がこちらに顔を向ける。

 

「まさかここまで来るとはな。…しかし分からん。何故そこまでして、我らの邪魔をする?我らはこの世界を救済…。」

 

「あ゛~ごちゃごちゃうるせー。今まで何度も言ったけど、俺達はそれを認めてねーんだよ。だから、お前は此処で、俺達がぶっ飛ばしてやる!」

 

創造主の言葉を遮るように、ナギが叫ぶ。

 

「我に勝てるとでも思っているのか?ククク…身の程知らずが。よかろう!我にはむかう意味を、その身で味わうがいい!!」

 

創造主がそう言い放つと、いつの間にか創造主の周りには、黒く大きな楔みたいな物が浮かんでおり、創造主が手を振り下げると、その楔は、俺達に向かって突き進んできた。

 

「クッ!ゼクト・ナギ!”然”を使うから、ちょっと間だけ時間稼いでくれ!」

 

「オウ、任せとけ!…オラァ!”千の雷”!!」

 

「うむ!”雷の暴風”!!」

 

楔を避けながら、俺はナギ達にそう言うと、二人は俺の言葉に返事をして、創造主に向かって魔法を放ち、そのまま突っ込んでいく。

二人が時間稼ぎをしている間に、俺は創造主から少し離れ、精神を集中させて呪文を紡いでいく。

この戦いを終わらせる為に。

完璧となった“然”の呪文を…。

 

【Another Side】

 

オン・スフィト・ガン・ペンスリット…

 

”我詠うは精霊の詩””我奏でるは命の炎”

 

”二つは交わりすべてを照らす光となる””固定”

 

 

「ん?…あの者何をする気だ!?」

 

二人を相手しながら、武が何かしようとしているのに気が付いた創造主は、意識がそっちに向く。

その隙をついて、二人は魔法を唱える。

 

「おい!余所見なんてしている暇あるのかよ!”魔法の射手!連弾・光の1001矢”!!」

 

「こっちを忘れてもらっては困るの。”魔法の射手!集束・光の101矢”!」

 

「くっ!おとなしくしていればいいものを…!!」

 

迫り来る光の矢を楔で迎撃しながら、そう悪態をつく創造主。

その間も、武の呪文は止まらない。

 

 

”我願うは終焉の炎””我掴むは精霊の理”

 

”二つは重なりすべてを飲み込む闇となる””固定”

 

 

「!!まさか…どけ貴様ら!」

 

武のやっている事は、まだ分からないが、何か嫌な予感を感じた創造主は、自分に纏わり付いているナギやゼクトを、あの黒い球体を出す事で攻撃し、武へ続く道を開けようとする。

しかし、それをナギ達が許すわけがない。

 

「よっ…と!確かにお前の魔法は強力だけどよ。

撃つ所さえ見えればよけるのはそんなに難しくねぇ…オラァまだまだ行くぜ!

”来れ””虚空の雷””薙ぎ払え””雷の斧”!!」

 

「そうじゃな。それにお主をあちらに行かせる訳にはいかんの!

”闇夜に切り裂く””一条の光””我が手に宿りて””敵を喰らえ””白き雷”!!」

 

創造主に向かって、二人の雷が落ちる。

だが、まともに喰らったはずなのに、少し怯んだだけですぐさまナギ達に攻撃を仕掛けてくる。

 

「ちっ!結構まともに当たってるはずなのによ。効いてねぇのか?アイツは!」

 

「いや…それなりに効いてはおるじゃろ。本当に効いておらんのなら、止まらずにこちらに攻撃を仕掛けておるはずじゃからな。」

 

「つまり火力不足ってことかよ…。タケルまだか!?」

 

ナギがそう言って少しタケルに視線をやった瞬間、創造主はいきなり膨大な魔力を放ちだした。

 

「我に余所見をするなと言っておいて、自らするとは愚かな…滅せよ!!!」

 

「ナギ!!!」

 

ゼクトの声にハッ!っとなって創造主の方へ視線を戻すと、目の前には先ほどとは比べ物にならないくらい大きな黒い塊がすぐ傍まで迫ってきていた。

 

「しまっ!!!」

 

ナギは、回避行動をしても間に合わないと悟って、すぐに障壁を張る。

近くにいたゼクトも、ナギのそばに来て同じく障壁を張った。

 

このままじゃやられる!!せめてタケルだけでも…!!!

 

二人の思いは一緒だった。

いざとなったら、この体でこの魔法を相殺しようと覚悟を決める。

しかし、その覚悟は後ろから来たオレンジ色の影によって無駄に終わる。

 

 

”光と闇すべてはわが身に宿り””すべてを撃ち貫く力となれ”!!!

 

 

ドォォォォン!!!!

 

そのオレンジ色の影と、大きな黒い塊がぶつかりその衝撃で爆発が起こる。

ナギ達は障壁を張っていた為、爆発自体には巻き込まれずにすんだが、爆発によって起こった衝撃波で、少し後ろに飛ばされる。

 

「タケル!!」

 

オレンジ色の影がタケルだと気付いたナギは、思わず爆発した場所に向かって叫ぶ。

しかし、その心配は杞憂だったようで、煙が晴れて見えてきたのは、体中からオレンジ色の炎を纏い平然とした武の姿だった。

 

「おまたせ。」

 

「ほんとじゃよ。」

 

「美味しい所もっていくよな。相変わらず。」

 

ゼクトとナギは、その姿を見て軽口を叩く。

その表情は、先ほどまでとは全く違っており、まるでこの後の勝利を確信したような笑みであった。

 

「な…なんだその姿は…そんな魔法知らんぞ!大体あの魔法をまともに喰らってなぜ平然と立っておられるのだ!!」

 

武の無事と、その姿に驚く創造主。

自分の知らない魔法が出てきた事にも驚いていたが、それよりもあの質量と密度をもった魔法をまともに喰らったのに、平然と立っているこの男に初めて恐怖を感じたのだ。

 

「知らない?それはお前が勉強不足なだけじゃないか?大体自分の魔法が無敵だと考えている時点でおかしい。しょせん魔法は魔法…撃ち破る方法なんていくらでもあるのさ。」

 

「そんな馬鹿な事が…あるはずが…。」

 

武が創造主に向かってそう言葉を返すが、創造主は目の前で起こったことをまだ信じられず狼狽えていた。

タケルはそう言ったが、別に何か特別な事をした訳じゃない。

すべては”然”の特性である魔法吸収・無力化のおかげである。

魔法…魔力でつくられている物であれば、どんなものでも吸収・無力化することが出来る。

それは、創造主が使う魔法でも同じ事だった。

 

「さて…そろそろクライマックスといきますか!!」

 

そう叫ぶと、武は創造主に向かって突撃を仕掛ける。

創造主も先ほどまで狼狽えていたようだったが、すぐに楔などを飛ばし、タケルを迎撃しようとする。

 

「無駄だ!!今の俺にそんなもんは気かねぇ!!」

 

飛んできた楔などは、左手でマシンガンを放ち迎撃し、魔法などは当たっても効果がないと分かったので無視してそのまま突っ込む。その間に右腕はハンマーコックしてあり既に目標の創造主の体に定めていた。

 

「くらえ!!メガフレア・バレット!!!」

 

ズゴォォォォン!!!!

 

大きな爆発音と共に、まともに喰らった創造主は爆炎に包まれながらぶっ飛んでいく。

そして近くの壁にぶつかると、そのまま壁に貼り付けられたようにめり込む。

それを見届けたナギとゼクトは、めり込んでいる創造主に注意しながらも、タケルの傍へと寄っていく。

 

「やったのか?」

 

「………いや。多分まだだと思う。」

 

「あの攻撃をくらって、まだ立ってくるというのか?」

 

決まったと思っていた、ナギとゼクトは驚く。

武自身も、拳が当たった時は決まったと思っていた。

だが、感と言えば良いのだろうか?

武には、どうしても終わったようには感じなかった。

そして、その感は当たっていた。

 

「クククッ……。まさか人でありながら、我をここまで追い詰めるとは…ほめてやろう。だがそんなもので、我が倒れるとでも思っているのか!!!!」

 

埋まっていた壁を、魔力で無理やり壊し、何事も無かったかのようにそこに佇んでいる創造主。

その姿に、さすがのナギ達も言葉を失った。

 

「…ちっ!タケルのメガフレア・バレットでもダメなのかよ!いったいどうすりゃいいんだ!!」

 

ナギがそう叫ぶ。

武もナギの言葉には賛成だった。でもそこで、ふと武の頭にある疑問が浮かんだ。

“こんな時に…”とも思ったが、もしかしたらこれが、あの創造主を倒すヒントになるかもしれないと思い、それを明らかにする為に、傍に居るゼクトを呼ぶ。

 

「ゼクト。」

 

「なんじゃ?」

 

「さっき拳を当てた時、感じた感触なんだけど、ここに来る前に戦った、フェイトと似た感触がした。人では感じた事が無い感触を…。」

 

「人ではないじゃと?…それはつまり、アイツは人間じゃないということか?」

 

「ああ。それにあの耐久力にしても、膨大な魔力にしても…人が持てる範囲を明らかに越えてないか?」

 

そう武が言うと、ゼクトはその言葉に引っかかる事があったのか、少し考え…やがて一つの答えに辿り着く。

 

「…まさか!!じゃが、それならタケルが感じた違和感と一致する。」

 

「お師匠何か分かったのか?」

 

ゼクトの呟きに、ナギが先を促す。

 

「…魔道を研究し、極めようとした場合、大まかに二つの道がある。一つはワシやアルように、不老となり研究を続けて行くこと。…そしてもう一つが…。」

 

「もう一つが?」

 

「己自身が魔法となることじゃ。」

 

『!!!!!』

 

ゼクトの言葉に、二人は驚く。

 

「魔法になるって……どういう意味だよ。」

 

ナギが焦ったようにそう言うが、ゼクトはきわめて冷静に喋り続ける。

 

「そのまんまの意味じゃ。肉体を捨て、自ら魔法そのものになる。古来より幾度も同じ考えをもった奴がおったが、そのすべてが失敗に終り、ただの怪物へとなり果てた。…が、もしそれが成功していたとしたら……。」

 

「アイツのようになるって訳だな。…それで?そいつを打ち破るにはどうすればいいんだ?」

 

「そうじゃな。…用はアイツ自身魔法な訳だから、それを撃ち破るには、アイツの魔法以上の攻撃を食らわせればよい。しかし生半可な攻撃じゃと効かぬうえ、しばらくしたら積もっていたダメージも回復してしまうじゃろう。つまり…。」

 

「全員で一気に畳み掛けるしかないって事だな?……それならば方法はある。」

 

ゼクトの考えを聞いて、武はある技を思い出す。

それはタケルにとって、最高の技であると同時に、不可能と思い断念していた技でもあった。

 

「どうする気じゃ?」

 

「以前考えていた技があった。…だけどそれは、体力的にも身体能力的にも不可能だった為、断念していたんだけど、今の状態ならそれが使えると思う。」

 

「ならそれをぶっ放せば…。」

 

武の言葉に、ナギ達の表情に光が差す。

 

「だけど、多分コレを使ったら、いくら”然”の状態でも、しばらく動けなくなるだろうし、メガフレア・バレットを耐えたんだ。追い込む事は出来ても、止めを刺す事は出来ないかもしれない。そこで二人にも協力をしてほしい。」

 

「おう!なんでも言ってくれ!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・

・・

 

「それじゃ、手はず通りに頼む!」

 

「おう!」「まかせるがよい。」

 

「相談は終わったか?ならば…死ぬがよい!!」

 

ゴッ!!

 

武達が相談している間に、ダメージから回復した創造主は、固まっていた俺達に向けて、黒い塊と楔を容赦なく撃ってくる。

俺達はそれを避けて、三方向に散らばり、準備を始めた。

 

「創造主!お前の相手は俺だ!!!」

 

武は自分の分身を出来るだけ作り上げ、創造主に向かって突撃を開始する。

なるべく黒い塊に近づいて、魔力を吸収するのも忘れない。

分身を作るという事は、すなわち魔力を分けるという事。

少しでも相手から魔力を奪えるのであれば、それだけ長く分身を作っていられるし、消費した魔力も回復できる。

もしかしたら、これが“然”の一番の強みなのかもしれない。

 

「面倒な…。だが!魔法が効かないとはいえ、この楔は効くのだろう?」

 

この短時間で、こちらに通用するものを感じ取った創造主は、先ほどの倍に増えた楔を、武に向かって放ってくる。

 

「チィッ…もう見抜いたのかよ!」

 

武はそう悪態をつきながら、迫ってくる楔を迎撃する為に、迎撃隊形〈ガンマン・ポジション〉の構えになりそれを迎撃する。

本来なら、”然”の姿になった武には、物理攻撃などは一切効かない。

だが、この楔だけは別だった。

おそらくこの楔には、なんらかの魔法的付加がついており、”然”のように魔法と一体となっていたとしても、それを無視して攻撃が出来るようになっていると思われる。

系統などは全く違うが、詠春の”斬魔剣・二ノ太刀”と同じようなものだと考えるのが一番だろう。

 

創造主の楔による攻撃によって、次々分身体が攻撃をくらい消えていく。

本体も致命的な傷は負っていないものの、所々引っかき傷のようなものが増えていった。

特に、直接ではないにしろ拳で攻撃している事もあって、両腕の傷はかなりひどい。

オレンジ色の炎を纏っていた武だが、両腕だけは段々紅く染まっていった。

 

「やばいな…。さすがにもう抑えられねぇかもしれない。」

 

ついに武が気弱な言葉を呟いたその時、待ちに待っていた声が聞こえてきた。

 

「またせたのうタケル!準備万端じゃ!」

 

武に声を掛けてきたのは、先ほどまで戦闘に参加していなかったゼクトであった。

 

「まってたぜゼクト!頼む!!」

 

「任せておけ!…”ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト”

”契約により我に従え””大空をすべる王”

”来れ””天上を貫く荒ぶる槍よ”

”天へと誘う道となれ”…最大出力じゃ!!”深緑の柱”!!!」

 

ゼクトが魔法を唱えると、創造主を中心に巨大な竜巻が発生する。

それは、以前龍牙と戦闘した時とは比べ物にならないくらい大きく、強い。

 

「グググ…死にぞこないがいきがりおって…。」

 

創造主が己に魔力を集中させて抜け出そうとするが、思うように体が動かない事もあって、難航していた。

その隙に武は、迎撃隊形〈ガンマン・ポジション〉のまま、創造主を睨みつけながら力を貯めていく。

すると、次第に武を纏っていたオレンジ色の炎が、不規則に暴れだし、全身をオレンジ色から青色へと色を変えていく。

 

「無駄だというのがまだ分からんのか!!!」

 

そんな叫びと共に”深緑の柱”を力ずくで破り、創造主が姿を現す。

しかしそれは、武達が待ちのぞんていた瞬間でもあった。

 

「そうでもないぜ?」

 

「ぬぅ!!」

 

創造主が姿を現した瞬間、彼の懐には青い炎を纏ったタケルがいつの間にかおり、ニヤリとした表情で彼を睨みつける。

 

「いくぜ!…これがすべてを撃ち貫く俺の拳だ!“バレットカーニバル”!!!」

 

武がそう叫んだ瞬間、創造主の目の前には今までに見たことが無いくらいの拳の弾幕があった。

 

「ダブルガトリングショット!!!」

 

ドドドドドドドドド…!!!!

 

拳の津波ともいえる弾幕をまともに食らう創造主。

普段ならコレに対して、何らかの処置を行う事が出来たであろうが、ゼクトが最初はなった”深緑の柱”から抜け出した瞬間を狙われた為、そんな事をする暇がない。

もちろんそうなるように、あらかじめゼクトと打ち合わせをしていたのだが、そんなこと創造主が知る訳も無い。

 

「ググ…だがこんなものでは…。」

 

ダブルガトリングショットをまともにくらい、苦しそうな声を出す創造主。

だがせっかくのチャンス。武がコレで終わるわけが無い。

 

「まだまだぁ!!!」

 

タケルが叫ぶと、体をそこで回転させ、創造主の顎めがけてサマーソルトキックのように蹴りを放つ。

そして蹴り上げられた創造主に向かって、追撃を仕掛ける。

 

「ショットガンエアシュート!!」

 

ゴッ!ゴッ!ゴッ!ゴッ!…

 

拳と蹴りのコンビネーションのショットガンエアシュートを使い、創造主を天高くまで持っていく。

そして締めの蹴りで更に高くまで打ち上げると、一回転しながら左腕をハンマーコックし、相手の懐に潜りこむ。

 

「インビジブル・デリンジャー!!」

 

左手の必殺技である、インビリブル・デリンジャーを心臓と鳩尾辺りに打ち込む。

 

ズドドン!!

 

「くはっ…!!」

 

衝撃が突き抜ける攻撃を無防備に喰らったせいか、初めて創造主から苦痛の息が漏れる。

 

「全弾もってけ!44リボルバーマグナム!!」

 

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

 

ファースト!セカンド!サード!フォース!フィフス!

 

容赦なく絶対破壊攻撃の44マグナムを急所に打ち込んでいく。

しかも一箇所では無く、すべて違う場所…。四肢とレバーに容赦なく打ち込み、完全に目標を破壊していく。

そして五発目が撃ち終わった所で、ほんの少し停止し創造主を睨む。

 

「この我が…まさか…。」

 

「お前は俺達をなめ過ぎだ。リーダーが言ったろ?俺達は最高、最強なんだよ!」

 

「コレでフィナーレだ!…目標補足〈ターゲット・ロック〉!ナパームキャノン!!」

 

ズガアァァァァン!!!!!!!

 

創造主の体のど真ん中に向けて、最後の一撃を放つ。

その威力の強さに、創造主の体に弾痕ができ、重力に引っ張られるように、体ごと地面に向かって落ちて行く。

 

「グハァ…!!しかし!まだ!」

 

落ちながらも、体制を立て直そうともがく創造主。

しかし、忘れてはいけない。この戦いには三人で来ているのだ。

そう…”紅き翼”のリーダー…”サウザントマスター”ことナギがまだ残っているのだ。

そのナギは、魔力を溜めながら創造主が落ちてくる場所で待ち構えていた。

 

「そう、まだだよなぁ…。俺が残ってるぜ!!!」

 

ナギがそう叫び、落ちてくる創造主に思いっきりアッパーを繰り出し、また空へと打ち上げる。

そのアッパーの威力が強すぎたのか、創造主は屋根を突き破り外へと放り出される。

そしてナギも一緒になって創造主がいる空へと上っていき、創造主が着ていた黒い外装を掴む。

 

「最後にテメェに言いたい事がある。…俺様をなめるな!”紅き翼”をなめるな!何より……人間をなめてんじゃねーーー!!!!」

 

ドゴォォォン!!!!

 

創造主に向かってナギがそう叫ぶと、掴んだまま魔力をたんまり込めた”千の雷”を放つ。

その威力によって、墓守人の宮殿全域にまぶしいほどの光が降り注ぎ、創造主はその黒い姿を光に浸食されるがごとく消えていく。

 

「我を倒すか……それも良かろう。せいぜい”箱庭”で束の間の平和を楽しむが良い。いずれその時がくるまでな…ククク…アーハッハッハッハ……」

 

その言葉を残し、創造主はすべて光の中へと消え、光が収まった頃にはその姿は無かった。

 

 

【タケルside】

 

「はぁ…はぁ…最後まで訳のわからない奴だったぜ。」

 

空から降りてきたナギが膝を付き、息を荒げながら呟く。

そこへ俺とゼクトが駆け寄る。

 

「お疲れナギ!一番おいしい所決めたな!」

 

「おう。…へへ。タケルからあんな良いパス貰ったんだ。決めないと失礼だろ?」

 

「当たり前だ!」

 

軽口をたたきながら二人はハイタッチを交わす。

それを見て嬉しそうにゼクトも頷く。

 

「うむうむ。めでたし、めでたしじゃな。…まぁ、創造主が最後に言っていた言葉は気になるがの。」

 

「”箱庭”だっけ?」

 

「そうじゃ。一体どういう意味なのか…。」

 

創造主が残した”箱庭”と言う言葉の意味を、考えこむゼクト。

俺達もゼクトに習うかのように考える。

もっとも、ここが”箱庭”じゃないという事を知っている俺は別の事を考えていたのだが…。

 

(たしか俺をここに転生させた神さま曰く、ここは”箱庭”じゃないから心配しなくいいみたいな事言っていたはずだけど…。実際の所どうなんだろう。もし、もう一度会えるならそこら辺を確かめた方がいいのかもしれない。)

 

三人そろって考え事をしていると、急に地面が揺れだし大きな音を立て始める。

 

「って、今ここで呑気に考えている暇はねぇ。早いとこ姫子ちゃんを助けないとな…。」

 

「そうじゃの。創造主の話じゃと、儀式はもう始まってしまっておる。今から止めれるかどうかは分からんが、とりあえずは…。」

 

「だね。姫御子を助けて、皆と合流してこの場を脱出しよう!」

 

皆俺の言葉に頷くと、早速行動を開始した。

姫御子を探すのに結構時間が掛かるかもと思っていた俺だったが、運良くと言えば良いのか創造主と戦った場所のすぐ近くの部屋に姫御子…原作ヒロインのアスナが子供の姿でそこにいた。

その周りには大きな魔方陣が展開されていたが、そんなものは無視して中央にいるアスナを連れ出す。

アスナは人形みたいで、声をかけてみてもまるで反応しない。

おそらく何らかの魔法がかけてあるのだろうと判断した俺達は、とにかくこの宮殿から脱出するためにその場から急いで立ち去った。

 

「ナギ!ゼクト!タケル!」

 

その部屋から出て創造主と戦った場所まで戻ってくると、そこには他のメンバーが集まっていた。

どうやらナギが創造主をぶっ飛ばした所を見てこっちに向かってきたらしい。

 

「お?お前達もう大丈夫なのか?」

 

「ええ。移動できるぐらいには回復できました。にしてもあなた達は…よく創造主に勝ちましたね。」

 

「まったくだぜ。さすがの俺様もビックリだ。」

 

「まったく…おそれいるよ。」

 

「たいしたもんやで!」

 

皆俺達を見ると、口々に俺達を褒める。

確かに褒められるのは嬉しいんだけど、今はそれどころじゃない。

 

「皆ありがとう。…でもとりあえずは脱出だ。」

 

「そうじゃな。ここはもうもたんじゃろう。逃げるぞ!」

 

『了解!!』

 

こうして”紅き翼”は宮殿から脱出した。

…が、宮殿から出た瞬間、目にしたのは巨大な光の塊だった。

 

「なんだあれは!!」

 

「…まさか儀式が完了してしまったという事ですか!?」

 

「姫御子を連れ出すのが遅かったということか!?」

 

皆が光球を見て絶望にくれていると、近くにいたナギが地面を殴る。

 

「ちくしょう…。俺達は間に合わなかったということか!?…せっかく悪の親玉を倒して、こうして姫子ちゃんも助けられたって言うのによ!!」

 

ナギの嘆きに、この場に居る誰も声をかけられない。

皆どうにかできないかと考えては見るものの、アレをどうにかするすべなど誰も持ち合わせていなかった。

その時、空から声が降ってきた。

 

「あきらめるのはまだ早いのじゃ!!」

 

『!!!!!』

 

俺達はその声に導かれるように、空を見上げる。

するとそこには、空を埋め尽くすほどの戦艦があった。

 

「あの声は…テオか!?」

 

俺がそう声を上げる。

 

「そうじゃ。どうやら間に合ったようじゃの。あとは妾たちに任せておけ!」

 

「我騎士ナギよ。テオドラ姫の言う通りじゃ。後は私達にまかせておけ!」

 

テオに続きアリカ姫の声まで聞こえてくる。

ああ…テオが腰に手を当てて偉そうにしているのが見えるよ。

今の状況から言えば、ロリ天使って所か。

 

「タケやん。また変な事考えとるやろ?」

 

「龍ちゃん思ってても言わないで…でもこれで…。」

 

「そやな。…ようやく終わったようや。この戦いも…。」

 

帝国・連合・アリアドネーの艦隊が光球の周りを取り囲み、反転封印術式を大規模展開。

その力によって光球はその大きさを小さくしていき、最後には消えてなくなった。

 

 

「ああ…俺達の勝ちだ!!!」

 

その光景をみてナギがそう叫ぶと、俺たちも一緒になって言葉にならない喜びを天に向かって叫ぶ。

それにつられる様に、まわりにいた人達からも歓声が巻き起こり、皆戦争が終わった事を喜んだ。

 

その日、世界中に戦争が終わった事があっという間に伝わり、この場所にいた皆と同じように天に向かって歓声を上げる。

 

 

こうして永きに渡って続いた帝国・連合の戦争がついに幕を閉じたのであった。

 

 

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