戦いから一夜あけ、ここは学術都市アリアドネー。
戦争の終結を宣言する場所として、中立であったアリアドネーが選ばれ、俺達”紅き翼”もここで一夜を明かすことになった。どうやら俺達の今までの功績を讃え、表彰もされるらしいのだが…そんな事は今関係ない。
なにせオスティアの滅亡は、もうすぐ傍まで迫っているのだから。
「なあタケやん?何やっとるん?さっきからうるさいと思ったら、いきなり何か作っとるけど…。」
いつも通り龍ちゃんと一緒の部屋になっている俺は、戦い後すぐ休み、目が覚めた瞬間から滅亡を防ぐために必要な物を作っていた。
創造主との戦いで、限界まで”然”を使ったから、もしかしたら前みたいに体が動かなくなるかも…とそう思っていたが、ゼクト達と一緒に修行をしたおかげか、コレといって体に異常は無かった。
しいて言うなら、魔力が全回復してないのと、体中がバキバキ音を立てるぐらいなものだ。そこら辺は我慢出来る範囲である。
当初の予定では、“世界を無に帰す”魔法が発動する前に止めれるよう、行動をしていたのだが、結果として、原作通りになってしまったのが、残念で仕方が無い。ただ、後悔している時間があるなら、今できる事、被害を最小限にする為に行動するべきだと思う。
「これからやる事に必要なものさ。」
「これから?戦いも終わったばっかやっていうのに、まだ何か起こるんか?」
「いや…正確にはもう起こってて、原因も分かってるんだけどね。」
「は!?ちょ…まてや!一体何が起こっとるんや?しかも原因が分かっとるって…どういうことや?」
俺のいきなりの言葉に、慌てながらも疑問をぶつける龍ちゃん。
その表情には、誰が見ても分かるような焦りが出ていた。
「……結論から言うと、もうすぐオスティア大陸は崩壊する。」
「!!!!!」
はっきり俺がそう言うと、龍ちゃんの顔から血の気が引き蒼白なる。
「どういうことや?何でオスティア大陸が崩壊せなあかんねん!!」
「原因は、あの大規模の封印魔法にあるんだ。」
俺は極めて冷静にそう告げる。
俺まで取り乱してしまったら、本当に間に合わなくなる。
しかし、今初めてその事実を知った龍ちゃんは狼狽えていた。
「なんやと?」
「そもそもあんな技術がありながら、何故戦争で使われなかったと思う?」
「そりゃ…その魔法が完成出来て無かったからやないんか?」
龍ちゃんが、少し考えて喋る。
たしかにそれもある…でもそうじゃないんだよ…。
「…確かにそれもあるかもしれない。けど原因はもっと別にある。使えなかったんだよ。あまりにも欠点がでかすぎて。」
「欠点?」
「そう。確かにあの魔法で、あの巨大な魔力の塊は封印することが出来た。だけど目標だけを封印できるなんてそんな都合のいい魔法なんてそうそうある訳が無い。アレはね、その周辺の魔力まで封印してしまうんだ。」
「周辺の魔力まで…?」
「うん。するとどうなると思う?…今まで魔力で支えられていた大陸は、その魔力の大半をあの封印魔法で失ってしまう。今は多少魔力が残っていたのか何とか大丈夫みたいだけど、それが消費された瞬間、支えを失ったオスティア大陸は崩壊してしまうって訳さ。」
「な…ならその魔力を補充すれば…!!」
「それは無理だよ。理屈ではそうなんだけどさ、大陸を支えるほどの魔力なんてどこから補充するのさ?例えばナギや”然”状態の俺がそれを補充するとしても何日…いや何年掛かるか分からないよ。その前に魔力が尽きる。…そもそも大陸、というかその空間にどうやって魔力を補充するの?その方法すら分からないんだよ?」
「な…なら!黙って見とけっちゅうんかい!!崩壊するのを!!」
思わず龍ちゃんが、声を荒げる。
その目にはうっすらと涙まで浮かんでいた。
龍ちゃんは、俺と一緒に行動するようになってから、いろいろ変わった所がある。
本来幻獣などは、自然に逆らう事をせず、身を任せるものらしいのだが、龍ちゃんは過剰じゃない限り人の味方をして、自然に抗うようになった。
聞けば、”ワイと同じように他の幻獣も、人と仲良くできるようにしたいからなぁ”らしい。
そう言ってくれた時の喜びは、今も覚えているし、俺もその場で賛同したくらいだから。
だからこそ、俺がこうして淡々と喋っている事に怒りを感じているのだろう。
まったく…俺の相棒ならこんな時でも俺を信じろって…。
「落ち着いて龍ちゃん!だれも黙ってみてろなんて言ってないよ。それに俺がまさかその事を知って何もしないとでも思うのかい?」
「え…?じゃ…じゃあ!」
やれやれといった感じで龍ちゃんにそう話すと、さっきまで泣きそうだった顔が一瞬キョトンとして、俺の言葉を理解できた瞬間顔色が明るくなる。
「そう。今やっている事は、少しでも状況を良くしようといろいろ作っている所さ。」
「なんやそれ!そうならはよそう言わんかい!!!」
「いや、そっちが勝手に勘違いしただけだろ?」
「う…うるさいわい!んで?どうするつもりなんや?」
ちょっと照れた感じでこっちを睨み、これからどうするかを聞く龍ちゃん。
その目にはもう悲壮なんてものは無い。
あるのは、何とかしてやろうと言う熱い眼差しだけだった。
「まず、最初に言わないといけないのは、どうやってもオスティア大陸は崩壊してしまうと言う事だ。コレはどうやっても変えられないだろう…。」
「そうか…やったら状況を良くするってどういう意味なんや?」
「確かに大陸は崩壊してしまうかもしれない。だけど、そこにいる人や幻獣たちなら話は別だ。助けられるかもしれない。」
「なるほど!だから状況を良くするっていったんか。んで?作戦は?」
「それを今から説明する。だけどその前に…龍ちゃん”紅き翼”のメンバーを至急集めてくれ。」
「ん!了解や!」
龍ちゃんは元気よく返事すると、すぐにドアから飛び出して皆を呼びに言った。
ここからだ。
原作では、アリカ姫が何とか少しでも犠牲を減らそうと頑張っていたけど、俺達がいる限り一人ですべてを背負わせない。
俺達も最後まで責任をとってこそすべて丸く収まるって言うもんだ。
だから…
かならずオスティアの民達を…そこに住む生き物達を救ってみせる!
さぁ始めようか…”紅き翼”にしか出来ない最高の救出劇ってやつを!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・
しばらくして、俺の部屋には”紅き翼”のメンバーが揃っていた。
皆最初は何で集めたんだとか、いろいろ文句を言っていたが、俺がこれから起こる事を説明し始めると、事態の重要さに気付いたのか、皆真剣な顔つきになって話を聞いていた。
そして最後に俺が思っていた事を話すと、皆同じ気持ちのようで全員絶対助けてやると意気込んでいた。
「皆話しは理解できた?」
「ちくしょう…まだこんな問題が残ってるなんてな。何でもっとはやく俺は気付けなかったんだ!」
「ナギ…。それはここにいる皆も同じですよ。…でも良かった。タケルがそれに気付いてくれて。このままでは取り返しのつかないことになる所でした。」
「じゃな。してタケル?お主のことじゃ、どうするか考えておるのじゃろ?」
「タケル。私にできることなら何でも言ってくれ!」
「腕もくっついたし。俺様に何でもいいな!」
皆そう言って、俺を見てくる。
ナギは気付けなかった自分を責めていたが、アルに諭されて気持ちを入れ替えたのか、真剣な顔つきでこっちを見つめていた。
「じゃ作戦を言うよ?まず、ガトウとタカミチはアリカ姫を手伝ってくれ。あの人もこのことに気付いているはずだ。じゃないとわざわざあそこから離れたアリアドネーで式典を開く事なんかしない。」
「どういうことだよ?」
「いいかナギ?あの戦いで傷を負ったものは大勢いた。本来ならその場で一泊でもして負傷者の手当てをしたほうが良いのに、わざわざ負傷者を戦艦に運び込んで、こっちに運ぶ必要なんてないと思わないか?」
俺の言葉に皆確かに…と呟く。すると詠春さんが疑問に思ったことを口にする。
「たしかになそうかもしれない。でもタケル?それはアリアドネーの方が効果的な治療をできるからじゃないのか?治癒魔法も進んでいるし…。」
「だけどあそこには、アリアドネーの戦艦も居たんだよ?もちろん治癒魔法が得意な人だって乗っていたはずさ。それなのにか?」
「…そうだな。」
「これは俺の予想でしかないけど、負傷者をアリアドネーに運んだり、式典をすると決めた理由はすこしでもオスティアから人を少なくするためだと思うんだ。ここまで大規模の戦争の終結、しかもそれを救った英雄のお披露目、わざわざ出向いて見てみたいと思う人も少なくないと思うからね。もっとも、本来ならアリアドネーじゃなくて、もっと近くで開く予定だったかも知れない。ただ、アリカ姫の予想以上に魔力の減少が少なかった事で、ある程度時間ができたし、なにより崩壊する大陸を見せたくなかったから、アリアドネーにしたんだと思う。」
俺の想像に皆”なるほど”と頭を縦にふる。
「だからアリカ姫はこれから、戦艦などを使って残っている人を運び出そうとするはずだ。だけど、アリカ姫やその側近達だけではどう考えても手が足りないと思う。だからガトウとタカミチはそれを手伝って欲しい。でも、もしかしたらアリカ姫はシラをきったり、一人で抱え込もうとか考えてるかもしれないからそこら辺は二人でうまくやってほしいかな。…最悪アリカ姫に内緒で事を運んで、アリカ姫が行動した時に駆けつけるとかの方が良いかもしれない。」
「それはありえるな…。わかった。まかせてもらおう」
「僕もがんばります!」
ガトウとタカミチが頷くのを確認して、俺は続きを話す。
「それで他の面子だけど、まず今のままじゃ何にも役に立たないんだ。」
「は?いや…ちょっとまて。確かに戦艦とか俺達には用意できないだろうが、魔力を使って人を運ぶことぐらいならできるぞ?」
ナギがそう反論する。
ラカンや詠春さんも同じように頷くが、アルとゼクトはどうやら俺の考えが分かったのか頭を悩ませていた。
「おいアル!お師匠!何で何も言い返さないんだ?」
「ナギよ…。今オスティアがどういう状況なのかは知っておるな?」
「ああ、大陸を支える魔力が無くて崩壊しかけてるんだろ?」
「そうです。つまり今オスティア大陸の周り…つまり大気中に魔力が無い事になります。ナギ分かってると思いますが、いつも通り空を飛んだり、転移魔法を使うには大気の魔力を必要とします。それが出来ないとなると今私達にできる事はありません。」
「そう。何時間…いや数分間なら可能かも知れないが、己自身の魔力でどこまで出来るかわからないし、途中で力尽きたりでもしたらその場でアウトだ。気については正直分からないけど、あの浮かんでいる大陸から、こっちの大陸までの距離を考えると、ジャンプして届く距離じゃないと思う。」
そういい終えると、全員悔しそうな顔をする。
「クソッ…!!こんな大変な時に俺は何もできないって言うのかよ…!!」
地面に拳を撃ちつけて、うなだれるナギ。
皆も同じ気持ちのはずだ。だから、だれも声をかける事が出来なかった。
ただ一人…龍ちゃんを除いて。
「皆あっほやなぁ…。タケやんがそんな事分かってない訳が無いやろ?さっきの言葉も”今のままじゃ~”とかつけとったし、解決する方法があるにきまっとるやん。」
さすが龍ちゃん。
さっきまで、皆と同じ反応をしていた奴とは思えないね。
「なんや…タケやんに言いたい事ができたんやけど、言い返せん気がするわ…。」
それはそうだろうね。
もし言い返して来たら、皆の前でさっきの姿をたっぷり話してやるつもりだし。
『本当かタケル!!!』
そんな事を考えていると、龍ちゃんの言葉を聞いた皆が、顔を上げて俺に詰め寄る。
「ああ…まぁ…。とりあえず落ち着いてくれ。さすがに詰め寄られるとちょっと怖い…。」
俺がちょっと顔を青くしながら言うと、皆俺から少し離れて聞く体勢になる。
「ふう…。まず、あそこでは魔法は使えず、もし使えてもせいぜい体の強化ぐらいしか出来ないと思う。だけど、魔道具なら別だと俺は考えているんだ。」
「でも、魔道具も大気の魔力を使うのでは?」
「俺もそう思ってたんだけど、ちょっとあの時を思い出してほしい。あの大規模封印術を使っている時でも近くにいた戦艦とかは動いていただろ?それから考えると魔力を溜めこんだ物ならあそこでも発動できるんじゃないかと思うんだ。もちろんずっとって言う訳じゃないと思うけど…そこら辺は込めた魔力次第だね。そこで俺は、こんな物を作ってみたんだ。」
そう言って皆の前にバスケットボールぐらいの大きさのガラスの玉を置く。
「これは……魔法球ですか?」
それを見たアルがタケルに質問する。
「正確にはもどきだけどね。もどきの理由は、時間はこっちと一緒だし、中にあるのもだだっ広くて真っ白な地面、そして入れる容量が決まっているってことかな?」
タケルがそう話した瞬間。アル・ゼクト・ガトウ・龍ちゃんから笑みがこぼれる。
どうやら俺がやろうとしている事がわかったみたいだ。
「なるほどのう。うまい手を考えたもんじゃ」
「確かにこの方法ならいけそうですね。」
「さすがだタケル!」
「わいは信じとったで!」
しばらくして、詠春さんも分かったのか頭を縦に揺らしながら何度も頷き、タカミチはガトウに答えを聞いていた。
そしていまだ分かってないのは体力馬鹿達。
というかラカン!お前馬鹿だけどさっしはいいほうだろうが!
「おい!何で俺達意外皆わかったような顔してるんだよう。ずるいぞ!」
「そうだぜ!さっさと説明しやがれ!!」
「つまりあそこにいる人とかは、コレに入ってもらって、大陸の外にもち運ぼうって言う事だよ。…たのむからコレくらい分かってくれよ。」
「「おお!!」」
ポン!と一昔前のリアクションをしながら頷く二人。
なんか懐かしいな…と思いながらも続きを話す。
「今の所コレ一個しかないけど、作り方は結構簡単だからゼクトとアル、そしてナギと一緒に今からできるだけ作る。特にナギは魔力が多いから、魔力を込めるのを手伝って欲しい。」
『わかった。』
「詠春さんとラカンはコレの材料の調達。後、コレを一度で一杯運ぶ為の箱か何かを探すか、作って欲しい。ちょっとやそっとの衝撃で、壊れるほど軟な作り方はしてないけど、できれば安全に運べるよう考えてくれ。」
『了解』
「龍ちゃんは、しばらく経ったら俺とオスティアに行こう。コレが本当に使えるか試さないと意味無いから。」
「まかせとき。」
「ガトウとタカミチはさっき言っていた事を頼む。それと、何時アリカ姫が動くか調べて欲しいかな?出来れば正確な時間を頼みたい。ギリギリまでコレを作っておきたいからね。」
「了解だ。」
「作戦はこれだけ。じゃ…ナギ後はまかせた。」
「おう…。まずこの事態に気付けたのも、方法とか考えてくれたのもタケルのおかげた。…ありがとう。」
ナギがそう頭を下げると、皆同じように俺に頭を下げる。
その状況がちょっと恥かしくて、くすぐったくて顔を背けるとナギがそれを見て少し笑う。
「はは…。さて皆!タケルのおかげでこのやべぇ状況でも何とかできそうだ!俺達はこんな状況で黙っていられるほど諦めがいいわけじゃない。そうだろ!?」
ナギの問いかけに皆頷く。
「へへっ…だったら…やってやろうぜ!俺達に掛かればどんな不可能な事も無いって事をダメ押しに皆に分からせてやろうぜ!…じゃ”紅き翼”…行動開始だぁぁぁ!!!」
オオオォォォォ………!!
ナギの合図で皆一斉に行動を開始した。
俺はまずラカンと詠春さんにどんな材料が必要か教え、実際に簡易魔法球に入って安全性を証明した。
その説明を聞いていた時、思わず皆が”やっぱりタケルはバグかもしれない…”とか言っていたが、コレをつくる事ぐらい皆出来ると思うんだけど…実際魔法球は売ってる訳だし。
「いや、あの短時間でこんなすごいもん作るからバグって言われるんやで?」
龍ちゃんが横で何か突っ込んでるけど今は気にしている暇は無い。
その後、簡易魔法球から出た俺は、アル達に作り方を説明し、まだ残っていた材料で作り始めた。
まぁ、予想していた通りだけど、ゼクトとアルは作り方を説明しただけで、さくっと作ってしまったが、ナギは不器用なのか正直あまりうまくない。
きっと、工作が出来ない人なんだろう…とりあえず魔力を込める事に集中してもらう事になった。
ある程度魔法球が出来た所で、俺は龍ちゃんと一緒にオスティアの近くまで転移して、上陸した。
ついでに少し空を飛んで、大陸の表面を確かめてみたが、今の所罅も入っていないみたいで、おそらくまだ大陸は持つだろう。なので、今の内に当初の予定通り簡易魔法球の実験をおこなう事にした。
結果から言えば成功。
中に入ってくれた龍ちゃん曰く、”ゆれとかもなく、快適やった。これで中に家と自然があったら文句無いわ”らしい。だけど、そんなもの入れたら、それこそすぐに要領がオーバーしてしまうので、そこはダメだとはっきり言った。
これで、あらかた救出の目処がたったが、正直これでも俺は足りないと思う。
崩落する大陸に何人、人が居るか正確には分からない。正直、全力で魔法球を作っても足りなくなるのでは無いか?とそう考えている。
もちろん、俺の取り越し苦労ならいいんだけど…最悪の事態は考えておくべきだろう。
”常に最悪を考えて動け”コレは戦争とかでよく使われる言葉だけど、常日頃からそう考えていても悪い事じゃないだろうと思う。
だから俺は、無理かも知れないけど、あるお願いを龍ちゃんにするのだった。
「龍ちゃん?」
「なんや?」
「今やっている事で全部丸く収まれば良いんだけど、最悪の状況…足りなくなる事も俺は考えたい。」
「せやな。常に最悪を…その考え方は良いと思う。それでどうするんや?」
「龍ちゃんにあることを頼みたいんだ。それは……………」
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・
「!!!!!タケやん?それマジでいっとるんか?」
案の定龍ちゃんが驚いている。
でも仕方が無い。それくらい無理難題を頼んでいるんだから…。
でもこの事がうまくいったら、ほぼ確実に助けられると思う。
「無理を言っている事は分かるんだけど、でもうまくいけばほぼ確実に全員助けられる。」
「そらそうやろうけど………。あんなタケやん?これは矜持の問題に関わるんやで?それ分かって話しとるんやろな?」
「もちろん。龍ちゃんに教えてもらったから知ってるよ。」
「…………わーった、わーった。話してみるわ。やけど、うまくいかんかも知れん事だけは覚えといてや?」
「わかった。」
「ほな。今から行って来るわ。」
「いってらっしゃい」
俺は龍ちゃんを見送ると、転移魔法でナギ達が居る場所へと戻った。
これで今打てる手はすべて打ったはずだ。
あとは失敗しないように、全力で準備をするだけ…。
どうか願わくば、皆が笑える明日が迎えられますように……。
オスティア陥落まであとわずか…………