我拳は銃なりて   作:秋華

33 / 41
さて今回から第Ⅱ部となります。
この第Ⅱ部からは、原作のヒロインたちがちょくちょく出てきます。
誰が出てくるかまでは言いませんが、楽しみにしていてください。

それではどうぞ!


第Ⅱ部:原作開始まであと何年?
第二十四話:やせいのようじょがあらわれた


龍ちゃんと二人で旅をするようになって、もう一年がたった。

その間俺達は、魔法世界から旧世界へと渡り今はヨーロッパのあたりで旅を続けていた。

旅を続けていた一年。てっきり何かしらのイベントが起こるかな?と思っていた俺だったが、特にそういった事も起らず少々拍子抜けな所があった。。

そのせいもあって、これからの事とかを落ち着いて考える時間が増えたのは良い事なのだが…その結果、俺は恐ろしい事に気がついてしまった。

 

(今気がついたんだが、もしこのまま原作入ったら俺って40が見えてくるおっさんになるんじゃね?)

 

その考えに至った時、俺の頭に“絶望”の二文字が浮かんでいた。

原作を読んでいる限りラカンは何でかしら無いけど老けないし、アルとゼクトはもともと不老。

ナギはもう結婚してるから後は、かっこいいおっさんになるだけ。

ガトウはもう手遅れ。

詠春さんもナギと同じ理由で大丈夫。

タカミチ達なんかは、最初から問題ない。

そして相棒龍ちゃんは……幻獣だからむしろ歳をとるのは望む所だろうな…。

つまり、今現状歳を取って困るのは俺だけとなる。

アリカ姫を見て正直しばらくは恋愛とかどうでも良いと考えてはいたけど、さすが40になっても女っ気一つ無いのは嫌すぎる。

それに、できるなら原作のヒロイン達とそういう関係に慣れたら良いなってちょっと思ってたりもしたから、それを考えると少なくとも20前半ぐらいで原作突入というのが一番望ましいと思う。

けどなぁ…

 

「あ゛~どーすんだよ俺!!!」

 

「な、なんやいきなり!?とうとう馬鹿が押さえられんくなったんか?」

 

「違うわ!!」

 

「ああ、そうやったな。馬鹿が押さえられんのは最初からやった。」

 

「……そのケンカ買ったぁぁぁ!!!」

 

・・・・・しばらくケンカ中・・・・・・

 

「はぁ…はぁ…んで?冗談は置いといてどうしたんや?」

 

ケンカが終了して二人して地面に寝転がっていると、龍ちゃんが俺にそう聞いてくる。

 

「ふう…ふう…もし俺がこのまま歳とっていったら次大きな事が起こる時はかなりのおっさんになってるなと思ってね。」

 

「次か…それっていつになるん?」

 

「……大体20年前後」

 

「……それは終わったなぁ。」

 

龍ちゃんがものすごく遠い目をしながら、慰めてくれた。

それが余計に悲しい。

 

「…なんか口に出したら余計に悲しくなってきた。」

 

「まっ…まぁ大丈夫やって。多分そんな歳でもタケやんは若いままやって。」

 

「…ホントにそう思うか?」

 

「……すまん。」

 

余りにも俺が落ち込むもんで、龍ちゃんが焦って励ましてくれたが、ついには頭を下げて謝った。

いや…謝られても仕方が無いんだけど…。

どうなる訳でもないしさ。

 

「でもタケやん真面目な話、そうなると不老になる事も考えんとあかんのちゃうか?」

 

「いや…それはやめたいな。俺はあくまで人間。自然の摂理に逆らって生きたいとは思わないもん。」

 

「そうか…そうなると無いものねだりやな。どんなに若作りした所で人の身ではできんことがあるし、体力とかもどうしても衰えてまうもんな…。」

 

「だよねぇ…。いっそのこと未来へタイムスリップできればいいのに…。」

 

「いやいくら魔法の世界やったとしてもそれはありえんやろ。精々仮死状態でどっか安全な場所で時が経つのを待つぐらいしか方法がないんちゃうか?」

 

「ま、そうだよね。仮死状態は嫌だけどさ…」

 

そもそも、仮死状態にする魔法なんてあるのかなぁ?

いや、俺が知らないだけでありそうな気がするけどさ…。

それにしても、どうせなら何度も使えるカシオペアとかを神様から貰えばよかったか?

それとも時空魔法とかで未来へジャンプするとか…。

いや…無駄か。あの時はこんな事考えてなかったもんな。

大体、最後の最後まで本当かどうか怪しんでいたし…。

 

そんな事を考えていると、急に隣にいた龍ちゃんが声を上げる。

 

「タケやんアレ!!」

 

「ん?…!!おい女の子が崖から落ちようとしてるじゃねーか。…っち!間に合うか!?」

 

龍ちゃんにいわれて視線を前に送ると、そこには近くの崖に足を取られて落ちようとしている女の子の姿があった。その場所は急な崖で、落ちたらまず助からないだろう。

しかもここは旧世界。その女の子に魔法が使えるとは到底思わない。

俺は脚に気の力を溜めて、一気にその女の子に向かって走り出した。

近くにいた龍ちゃんも、同じようにして俺を追いかけてくる。

 

目の前では、まるでスローモーションのように女の子が落ちていく姿が俺の眼に映っていた。

 

「きゃっ…!!」

 

「くっ…まにあえぇぇぇぇ!!!!」

 

俺は夢中で手を伸ばし、その女の子を捕まえようとした。

あと少し…!!

そう思いながら必死に手を伸ばす。

そして……

 

カラ…カラ…カラ…

 

「あ、あれ?私落ちてないのか?」

 

「ふう…大丈夫かよ。何とか間に合ってよかった。」

 

何とかギリギリで間に合った俺は、落ちていないことをビックリしている女の子の手をしっかり握りながら、俺は安堵の笑みを浮かべたのであった。

 

それからすぐに、女の子を引き上げ思わず肩で息をしてしまう。

我ながら焦りすぎだろうと思いながらも、助けられた事に満足する。

そして、引き上げた女の子に話しかけようとして俺は絶句してしまった。

 

「ふ…ふん。お前に助けられんでも一人で大丈夫だったわ。…だが助けた事には礼を言うぞ?」

 

「あ、ああ…別にいいけど?」

 

「ん?どうした私の顔に何かついているか?」

 

いや…そりゃ目と鼻と口が…じゃなくて、なんでこんな所にいるんだよ!!

エヴァンジェリン!!!

 

そりゃ…イベントおこってほしいとか言ったよ?

でもこれは流石に急すぎるだろうが!!!!

 

あ゛~もう!神様のバカヤローーー!!!!

 

エヴァside

 

私の名前はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。

真祖の吸血鬼で、”闇の福音”として恐れられている悪の魔法使いだ。

確か懸賞金もかかっていたはず…600万ドルだったかな?別に気にしていないからよく覚えてはいない。

だが、最近”紅き翼”とやらが戦争を終結させたことで魔法使いの奴らが”正義”を語って私を狙いに来ている。流石に”闇の福音”としての私を知っているものは殆ど居なかったが、吸血鬼としての私は結構有名だからな。確か住処の近くでは、ほぼ伝説みたいになってたからな。

だが、昔も私を倒そうと来た者は居たが、最近は特にそれがひどくなった。

そのため私は、いい加減魔法世界にいるのがうっとうしくなって、こうして旧世界へ来て旅をしているのだが…。旧世界が余りにも平和な為、少々気が緩んでしまったらしい。

崖に足を取られて落ちてしまった。

 

まぁどうせ落ちても私は真祖だし、死なないから意味はない。

それにいざとなれば魔法を使えば空を飛ぶ事など簡単なことだ。

 

とか考えていると、いつの間にか私は誰かに手を握られていた。

その感触にビックリして見上げると、そこには安堵の笑みを浮かべた男がいた。

 

一体どこにいたのか?とか傍にいる虎はなんなのか?とかいろんな疑問が湧き上がったが、とりあえずはされるまま引き上げられ、その男を見つめていた。

 

(ほう…。この男結構…いやかなり強いな。それにあの虎は…)

 

その男を見つめながら冷静に強さを見定める。

でも、その前にまずは助けられた事にお礼を言わないとな。

礼儀というものだ。

 

「ふ…ふん。お前に助けられんでも一人で大丈夫だったわ。…だが助けられた事には礼を言うぞ?」

 

そう私が声をかけると、その男は私の顔を見てくる。そして次の瞬間何か驚いたように私の顔を眺め、どもりながら返事をしていた。

 

(ふふ…私の美しさに惚れたか?まったく私も罪な女だな。)

 

「ん?どうした?私の顔に何かついているか?」

 

そう言うと、はっ!とした顔をしてなにやら考え事を始めた。

それにしても…この男の顔。どこかで見たような気がするのだが…気のせいか?

 

タケルside

 

とりあえず俺は、驚きすぎて意識が飛びそうになったの何とか堪える事に成功した。

そして、心を落ち着かせると適当にエヴァと言葉を交わした後、日も暮れてきたので今日はここで野宿をする事にして、その準備を始めた。

そのさいエヴァも誘ってみると、二言返事で了承の返事がもらえ、また驚いた。

てっきり断られるかと思っていたのだが…何故こんな簡単に?

そんな疑問が頭を駆け巡ったが、エヴァの顔を見てなんとなく了承した意味が分かった気がした。

俺の顔をしきりに見ながら何かを考え込んでいるエヴァは、どうやら俺の事が気になるみたいだ。警戒はしているっぽいが、敵意とか感じない所を見ると、どうやら、俺を見て何かを思い出そうとしているのかもしれない。おそらくそれを思い出そうとする為にも俺に同行する事を認めたのだろう。本来そういうのはかなり危険な行為なのだが、エヴァは自分の力に自信を持っていて、たとえ危険な事が起ころうともそれをねじ伏せるだけの実力は持っていると確信しているのかもしれない。

俺もエヴァと同じ立場だったら同じように行動すると思う。俺とエヴァ今現時点でどちらが強いかなんて実際戦ってみないと分からないが、俺も切り抜けるぐらいの実力はあると思っているから。

 

今だ考え込んでいるエヴァを見ながら、俺がそんな事を思っている間にも、手を動かしながら野営の準備をちゃんとしていき、あらかた今日の晩飯の準備もできた。

なので俺は、一度考える事をやめて晩飯にする事にした。もちろんエヴァにも食事を勧め、あちらの方も一旦考える事をやめて俺が出した食事を口に入れ始めた。

最初食事が口に合わないかな?と心配はしていたのだが、どうやら結構評判だったみたいで、時より顔がにやけるのを必死になって戻そうとしている姿が見えた。

それを見て心を撫で下ろし、俺も食事を続けるのだった。

 

そして食事も済んだ所で、俺はとりあえず会話をしないと始まらないと思い、エヴァに話を振った。

 

「えっと…食事は口にあったみたいだね。」

 

「ふ…ふん。まぁなかなかと言った所だな。」

 

「その割りには顔が緩んでたみたいだけど?」

 

「なっ!馬鹿な!私はしっかり表情に出ないようにしたはず…!!」

 

顔を赤く染めてそう言い放つエヴァ。

それを見て俺は、なんて言うか、こう…もっと苛めたくなるって言うか、保護したくなるって言うか…なんとも言葉に困る感情が湧き出てきた。

でも、この感情について考えてしまうと、アスナちゃんの時みたいにまた夢にアルが出てくるような気がして考える事をやめた。

 

「ハハハッ…。そう言えば、まだ自己紹介してなかったね。俺の名前は伊達武って言うんだ。よろしく。」

 

「あ、ああ。…私の名前は………って今何ていった?」

 

まだちょっと呆けている感じで、俺の言葉に返事をしようとして、急にエヴァの顔が固まる。

どうやら俺の事知っていたみたいだな。

 

「だから伊達武だって。」

 

「!!!!!なんだと!?じゃあお前はあの”紅き翼”のメンバーの一人。”銃神””炎帝”と呼ばれている伊達武なのか!?」

 

エヴァが驚きながらそう叫ぶと、その場から一気に下がり、いつでも戦闘が出来るような体勢で此方を睨みつけていた。

 

「ま、そうだね。んで?そっちはどちらさん?俺の事を知っているって事は、少なくとも旧世界の人間じゃないでしょ?…それと別に襲う気なんてないよ。」

 

ま、本当は誰か知ってるんだけどね?

でも俺がエヴァの事知っていたらおかしいだろう。

度々”闇の福音”の異名は伝説っぽく語り継がれていたみたいだけど、顔まで知っているのは珍しいからな。

 

「ふん。お前も私の名前を聞いたら襲うに決まっているだろうが!…まぁ良い。聞いて驚け!私の名前はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル!”闇の福音””不死の魔法使い”として呼ばれる吸血鬼だ。」

 

エヴァがそう言って、腰に手を当てて何か威張っていた。

ん~エヴァからしたら威厳とかを出そうとしているのかもしれないけど、その姿じゃ無理だ。

どう見ても、背伸びしたがる子供が胸を張っているようにしか見えない。

 

「へ~そりゃ有名人だな。んで?それがどうかした?俺が襲う理由が分からないんだけど?」

 

「はっ?いやいや…お前は”正義の味方”だろ?なら悪である私を倒すのが普通だろうが!!」

 

いやいや…正義の味方って。

誰がそんな事言ってんだよ。

一度だって俺達は正義を語った事なんて無いはずだよ?

…うん。やっぱり考えても俺達はそんな事一言も言っていない。

 

「いや?俺別に正義の味方じゃないし。って言うか他のメンバーもそんな気無いだろ?…龍ちゃんはどう思う?」

 

「ん~ワイもそう思うわ。大体ワイらはどう考えても”正義の味方”って感じやあらへんやろ。どっちかって言うと”ワルモノ”やないか?行動とか考え方とか…うんやっぱりワイはそう思うわ。あ、ちなみにワイの名前は龍牙ってゆうねん。よろしゅうな~。」

 

俺と龍ちゃんの会話に呆れているのか、口をあんぐりとあけてまた固まっていた。

ああ…女の子がはしたない。

でも、あれでもかわいく見えるんだから、ずるいよな。

 

「お…お前達は…。何でそんなのほほんとしていられるのだ!?私が怖くないのか?賞金首だぞ?人を一杯殺しているんだぞ?」

 

「いや、俺達も戦争に参加してたんだから、言ってみれば人殺しだし、賞金首にもなった事あるしな。それにどう見ても怖そうに見えない。…なんていうかここにアルが居たらすぐにでも写真とっているか、最悪…誘拐されるかもな。」

 

「アルならやりかねんな。どう見てもあいつの好みど真ん中って感じやし。それにな~賞金首とか誰もが一度はなるもんやから気にする意味がわからんしな。」

 

「そんなわけが無いだろうが~~~!!!!って言うか誰だその変態は~~!!」

 

至極まっとうなエヴァの叫び声が辺りに木霊した。

それから俺達は騒いでいるエヴァに適当に相槌を打ちながら、騒ぎ疲れるのをを待ち、やっと大人しくなった所で、一声かけて座るように促した。

 

「まぁとりあえずそこに座って落ち着けよ。ほら…暖かいスープだ。飲みな。」

 

「せやせや。タケやんの料理の腕前はさっき分かったやろ?」

 

「はー…はー…何故私だけこんなに疲れなくてはいけないのだ。アレか?私がおかしいのか?」

 

エヴァがそんな事を言いながら、大人しく俺の言う事を聞いてその場に座って、スープを受け取る。

俺が慌てない理由?そんなの簡単だ。

急に襲われてもいきなり死ぬ事はないと思うし、それ位の力はあると確信している事もあるけどなにより、ナギ達と行動をともにして俺も成長したんだよ。

会話の主導権をとる為には、いくら焦っていても相手に余裕を見せて自分のペースに引きずり込むってな。

アルがそうやってたから真似してたんだけど…やっぱり正解だったようだ。

それしても、エヴァがスープを飲んでいるときに、フーフーして飲んでいた姿はまさに幼女。

思わず和んでしまった。

 

「さてと、エヴァンジェリン…ん~長いからエヴァで良いか?」

 

「もうお前と口で張り合うのは諦めた。…好きにしろ。」

 

「じゃあエヴァ。何でいきなり俺達が襲うと思ったんだ?」

 

「そうやな。大体襲う気があるなら、もうやっとるしな。」

 

これは一番俺達が知りたかった事だった。

確かにあの大戦後、俺達にあこがれている人達が増えているのは知っている。

その関係で、自ら悪の魔法使いと名乗っているエヴァを襲う理由も分かる。

けど、ここまで警戒する必要があるのだろうか?

そんな俺達の質問に、エヴァはうんざりしながら答える。

 

「ふん。簡単なことだ。お前達があの大戦を終わらせた事で、自称”正義”を語る奴らが私を殺しに来たのだ。まぁ今までもそういうことは何度かあったが、ここ一年それが増えに増えまくっている。何でも”立派な魔法使い”になる為だとか言っていたな。」

 

「”立派な魔法使い”?なんやそれ?」

 

龍ちゃんが頭に疑問符を浮かべながらエヴァにそう聞くと、その言葉に少々驚きながらもエヴァは答えてくれた。

 

「ん?お前達もしかして知らないのか?確かMMがそういう称号みたいなものを作ったらしいぞ?そして”紅き翼”の主要メンバー全員それに選ばれたと聞いたが…違うのか?」

 

「いや…どうだろう?そんな連絡聞いてないし、そんな称号みたいなもの出来たのも初耳だ。確かに俺達は最近魔法世界には帰ってないけど…それにしたって俺に連絡が無いのはおかしいよな?」

 

「せやな。もしタケやんが選ばれとるんやったらまず話が来るやろ。でもそんな話しらんしな…大体ワイら元老院とむっちゃ仲悪いんやけど。」

 

「仲が悪いって…敵対でもしているのか?」

 

「敵対まではいかないけど、良い印象をもってないのは確かだね。他の面子もそう俺と変わらない感情をもっていると思うよ?…まぁ良いやちょっと連絡とってみる。」

 

俺はそう言うと、腕につけていたリングを外し、魔力を込める。

実はこのリングには幾つか能力がついており、その中のひとつに念話をする機能がある。

しかも、旧世界にいながらも魔法世界にいる人と話すことが出来るくらいに強力なやつをね。

ただ、それにはある程度魔力がないと無理なのだが…俺達”紅き翼”のメンバーなら簡単な事だった。

他にも色々能力があるのだが、それはその時が来たら話たいと思う。

ちなみに、それを他のメンバーに話した所”やはりお前は何処かおかしい”と言われてしまった。

しかたがないだろ?つくれちゃったんだし…文句は聞かん。

 

(あー、あー…ガトウ聞こえるか?)

 

(……ん?タケルか?どうしたいきなり念話なんてしてきて)

 

(いやちょっと気になる事を聞いたもんでね…。今話せるか?)

 

(大丈夫だ。それで?聞きたい事とは?)

 

(何かMMが”立派な魔法使い”っていう称号を作って、しかも俺達もそれに選ばれたって聞いたんだけど…それってホントか?)

 

(はぁ…。もうそんなに広まっているのか。…認めたくないが本当だ。)

 

(マジかよ…。)

 

(…もともと”立派な魔法使い”ってのは昔からある言葉でな。誰が言い出したか知らないが、人に感謝される魔法使いの事をそう呼んでいたんだ。だが、最近になってMMが…いや元老院と言った方がいいか。そいつらがそれを役職みたいな感じで使い始めてな。俺がその情報を掴んだ時にはもう俺達がその役職についた事になっていた。ちなみに選ばれたのは、ナギ・アル・ゼクト・ラカン・そしてタケルお前だけだ。)

 

(龍ちゃんや、詠春、それにお前は?)

 

(龍牙については幻獣だから、相応しくないらしい。後詠春と俺は魔法使いじゃないからだそうだ。たしかに、俺は魔法を殆ど使わないからな。あと詠春についてだが、詠春が使う呪符とかは魔法として認めないという事だ。…あくまで西洋魔法が主と言う事だな。)

 

(……あっほらし。もともと”立派な魔法使い”ってのは、人に感謝された人の事を言ったもんなんだろ?それだったら別に魔法使いじゃなくても…いやたとえ幻獣であってもかまわないと俺は思うのだが?)

 

(…同感だな。だがそれを言っても、もう後の祭りさ。とりあえず今その話はMM内ではもう殆どの人が知っていると思って良いだろう。…おそらく俺達を良いように使おうと考えている元老院達のしわざだろうがな。こっちでも色々やってはみるが、おそらくもうその称号は取り消せないだろう。)

 

(はぁ…そっか。…あと1つだけ。)

 

(なんだ?)

 

(最近”正義”を語った魔法使いがかなり増えているって聞いたんだけど、それってホント?)

 

(ああ…。大方俺達に憧れた人達がそれを語っているんだろうが…。あまり良くない傾向だ。正義なんてあって無い様なモノだからな。それに惑わされて良いように使われてしまう可能性がある。)

 

(そうだね。…ありがとう。コレでだいぶすっきりしたよ。)

 

(別にかまわないさ。…そうだ。たまには俺達に顔だしてくれよな。タカミチとクルトも逢いたがっているし、何よりアスナがときより寂しそうに外を眺めているんだ。)

 

(ははっ…了解。子育てがんばってね。)

 

(俺はまだ結婚もしてないのに、もう三人の子持ちかよ!まちがってないけどな…じゃまたな)

 

(おう)

 

別れを告げてガトウとの念話は終了した。

そのあと、俺が聞いたことを二人にも告げると、二人は頭を抱えだした。

 

「は~まったく次から次へとろくな事を考えんな。」

 

「ホンマや…あの戦争で懲りんのか?人ってもんは…」

 

「ちょっと人って言うなよ。あんな奴と一緒にされたくない!」

 

「あ、すまん。…そうやなタケやんをアレと一緒にしたら可哀想やもんな。…それにタケやんはアホやからそんな事考える訳があらへんしな。」

 

「そうそう俺はアホだから………龍ちゃんちょっとそこまでいこか?いい加減はっきりと覚えてもらわないとな?俺にケンカ売るっていう愚かしさをな。」

 

「はぁ~ちょっとホントの事言っただけやん。沸点の低いやっちゃな~。大体タケやんがワイに敵う訳無いやろ?…その事を体に教えこましたるわ」

 

「はっ?いやお前らちょっとまて!なんでいきなりケンカしようとしてるんだ?」

 

突然の事にエヴァがついていけず、俺達を止めようとしてきた。

でも無駄なんだよ。もう誰にも止められないんだよ!!

 

「止めるなエヴァ!このダメ虎にどっちが上か教えてやらないといけないんだよ!」

 

「止めんといてやエヴァはん。こうなる事は必然やったんや。…そう運命で決まってたんや。」

 

「いやいや…あきらかにお前が挑発してただろ!?」

 

「いくぜ龍ちゃん!…人間をなめるなよーーーー!!!!」

 

「かっこよく言ったつもりかも知れんけど、そんなかっこよく無し。更に言うなら二枚目は無理やって何度もいっとるやろ?まぁええわ…こいやタケやん!ワイに勝てるっていう幻想を持ったまま溺死しろやーーー!!!」

 

エヴァside

 

なんなんだこいつらは一体。

さっきまで結構真剣な話をしていたはずなのに、いきなりケンカをしだした。

というより、龍牙と言ったか?アイツがケンカを思いっきり売ってたけどな。良く分からんが、もしかしたら何か意味があるのかも知れんな。

 

それにしても…こいつらはおもしろい。

 

私を吸血鬼と知りながら、まったく気にせず接してきている。

長年生きてきたが、こんな奴等は始めてだ。

今もこうして私の前でケンカをしている。まだ知り合って間もないこの私の目の前で…。

信じられるか?

人を殺すことに何の躊躇もない私の目の前でだぞ?

 

ククク…長生きはしてみるものだな。

お蔭でこいつらに出会う事が出来た。

 

何度死にたいと思ったか忘れたが。

もうどうでも良い。

まだ、完璧には信用できないが丁度暇していた所だ。

こいつらについていってみよう。

きっとこいつ等と一緒に行けば、楽しい事が待っているに違いない!

 

ククク…

 

さっきから笑いがとまらん。

こんなに笑ったのは何時ぶりだろうか…。

 

タケル・龍牙…お前達が嫌だといっても私はついて行くぞ。

 

なにせ、こんな面白く楽しい時間が過ごせるのは、まだ私が人間だった時以来だからな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…タケやん。何かエヴァはんが一人で笑っとるんやけど?」

 

「…ん?うわ…マジだ。なんかもう完璧に幼女だな。」

 

「やね。…犯罪臭がプンプンするわ。しかもアレで多分結構歳いっとるやろうから…まさにロリコンにとっては天使やろうな。」

 

「合法ロリって奴か…」

 

「そや…合法ロリってやつや。」

 

………ピク

 

「お前達…さっきから聞いていればロリだの幼女だの…私は成熟した女性だ!!」

 

『……無いな(わ)』

 

………ブチ!

 

「……リク・ラク ラ・ラック ライラック”氷爆”!!」

 

ドゴォォォン!!!

 

『危な!!』

 

「私は…私は…合法ロリ何かでは断じて無い!!!死ねーーー!!!」

 

「うわエヴァマジだ!!」

 

「逃げるでタケやん!」

 

「がってんだ!」

 

「待て!!おとなしく氷漬けにされろーー!!!!」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。