遅くなってすみませんでした。
エヴァと遭遇してから、俺達二人の旅は急に終わってしまった。
何…簡単なことだ。
あれからエヴァが旅に参加して一緒に行動をしているからだ。
でも、一緒に旅をしていると言っても少々特殊で、エヴァ曰く”私の行く所と私が歩く前にお前達がいるだけだ”だそうだ。
いや~エヴァさん。俺が知っているキャラ的にもツンデレ的にもそれって俺達について行きたいってだけですよね?あと、そういう時は相手の目を見て話した方が良いですよ?明らかに目を逸らされて言っても嘘を肯定しているようにしか見えませんからね?
とまぁこんな感じ。
後、最近になって妙にエヴァからくる視線が多くなった。
気付かないフリはしているのだが、どう考えてもおかしい。
たまに”……いっその事夜に襲って私の従者に…”とかブツブツ言っているのが聞こえてます。
俺いつの間に貴方にフラグを立ててしまったんですか?
そのせいで、龍ちゃんと新たに仲良くなったチャチャゼロ(呼び名はゼロ)から”このロリコンめ!お前にはロリをひきつける能力でもあるんか?”って言われるんだが…まさかそんな能力ついてないよな?
一度確かめなくてはいけないのかもしれない。
さてさて、先ほど名前がでたゼロだが、コレはエヴァと会った次の日に紹介された。
あくまで漫画としてゼロの事は知っていたけど、実際に見るとすごい違和感がある。だって人形は喋って動いているんだぜ?
獣人とかは、なんていうか…もともと生物だからそれっぽい感じがして特に違和感とか感じなかったんだけど、流石にそこら辺で売っていそうな人形が喋っていると慣れるまで時間がかかった。
初めてゼロを生で見た時、ホラー映画の”○イルドプレイ”を思い出してしまった俺は悪くないと思う。…と言うかそのまんまなのかもしれないが。
だって…殺人人形だし。
そんなゼロだが、実際に話してみるとノリが良いっていうか結構話が合ってすぐに打ち解ける事が出来た。
特に龍ちゃんと仲が良く。最近では俺の肩に龍ちゃん。その龍ちゃんに抱きつくようにゼロが乗っているのが普通になってきている。
…ていうかゼロ。エヴァの近くにいなくて良いのか?一応従者なんだろ?
まったくもってそう見えないけど…だって率先してエヴァ弄ってるし。
確か従者って、主人を第一に考えて行動する人の事を意味していたと俺は覚えているんだが、何時その意味が変わったんだろうか?
以上が最近あった出来事なんだけど、改めて頭で整理すると、とんでもないことになっているな。
でも…ちょうど良いのかな?もともとエヴァを人に戻すのも俺の目的の一つだったし、これはコレでチャンスなのかもしれない。
頃合を見てエヴァに聞いてみるか…人間に戻りたいかどうかを。
「ってな感じで今俺達は町に着いた訳だが…」
「いや…ってな感じってどんな感じなん?…って突っ込みは野暮なんやろうな。」
「ソウダナ。俺ノ頭ノ中デモ”ツッコムナ”ッテ言葉ガ聞コエテクルゼ。イイ判断ダ!」
俺の肩に乗っている龍ちゃんとゼロがこそっとそう呟く。
「はいそこの二人うるさい。お前達はいちいち突っ込まなくていいから。黙って二人でイチャイチャしてなさい。」
慣れてきているとは言え、こうも俺の肩でイチャイチャされるとさすがに俺もあまりいい気はしない。
ただ、それについてはもうあきらめているので、イチャラブ雰囲気は何とか我慢するから、せめてイチャラブ会話は俺の肩の上ではやってほしくない。
そう思って、俺は龍ちゃんにそう言うと、龍ちゃんは少し顔を赤くしながら叫ぶ。
「な…何いっとるやタケやん!!」
「オッ!ソウカ?ナラ…オ言葉ニ甘エテオトナシク龍牙トイチャイチャスルトシヨウカ。」
龍ちゃんとは反対にゼロは、ニヤリと笑いながらそう言う。
おそらくあれはおちょくり半分、照れ隠し半分と言った所だろう。
人形故にあまり表情が変わらないゼロだが、最近になって口調やほんの少しの表情の変化で今何を思っているのか大体予想がつくようになってきた。
「ゼロも乗るなや!!」
「別ニイイジャネーカ。…ソレトモ私トイチャツクノハ、イヤナノカヨ龍牙?」
人形なのに、少し顔を赤くしながら悲しそうな声色で龍ちゃんにそういうゼロ。
やっぱり俺の考えている事に間違いは無いようだ。
「別に嫌や無いけど…」
ゼロのそんな言葉に、龍ちゃんも龍ちゃんで、顔を赤くして、しどろもどろになりながらそう答えている。
はぁ。…どこかに壁無いかなぁ。
先程我慢するし、慣れてきたとは言ったが、さすがにこうまで俺の肩でイチャラブの雰囲気出されると、何かを殴りたくなってくる。
ったくいつの間にこんなラブラブになってんだよ。
リア充爆発しやがれ!!
『お前が言うな!!』
何故か、二人にいきなりそう言われた。
…いつの間に心の声が漏れたんだろうか。
「…と言うか私を差し置いてゼロに恋人が出来る…だと。何故だ!!何故なんだ!?」
そんな二人の様子を見て後ろに居たエヴァが膝を付きながら手を地面に着け、“絶望”といった表情で嘆いていた。
…エヴァさんご苦労さまです。
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・・
町の入り口でそんな事があった後、とりあえず俺達は、エヴァを何とか立ち直らせて、この町でとりあえず一泊する為に二手に分かれる事にした。
まぁ案の定その時にゼロがまたエヴァを弄っていたが、もうそれはいつもの事だ。
組み分けと役割はこんな感じだ。
エヴァとゼロ組は、今日泊まる宿を探す為に行動し、俺と龍ちゃんはある程度旅に必要な物資の補給と、おそらく大丈夫だとは思うが、もしもの為に退路の確認をする為に町を散策する事になっている。
俺と龍ちゃんは適当にこの町を散策しながら予定通り行動して行く。
立ち寄ったこの町は、そこまで大きな町では無く、物資や退路の確認などはそう時間も掛らずに終わらす事が出来た。
何時もなら、この後何か珍しいものでもないか店とかを回るのだが、先ほども言った通りこの町は大きくないのでそれもすぐに終わってしまい、もうやる事が無くなった俺達はエヴァ達に連絡を取り今日一泊する宿へと向かっていた。
「特に珍しいものはなかったなタケやん。ならここには一泊するくらいやな。」
流石に人ごみではおっぴらに喋る事ができないので、龍ちゃんは小声で俺にそう話しかける。
「だねぇ…。でもそうなると、もうヨーロッパ辺りは大体制覇した事になるから、そろそろ別の地域にでも行こうかな。」
「なら次は中国とかがええな。景色が綺麗なんやろ?」
「ま、いった事無いけどそう聞くね。」
と他愛の無い話をしながら宿へと向かう。
すると、いきなり誰かが俺にぶつかってきた。
ドン!
「あ、すいません。大丈夫ですか?」
「平気じゃよ。すまんのう」
俺にぶつかった老人はその場でしりもちをついてしまったが、自分で立ち上がると俺に謝ってすぐにその場から立ち去る。
「あかんなタケやん前見て歩かんと…。」
その老人が立ち去った後、耳元で龍ちゃんがそう言ってきたが、俺はその言葉に返事する事が出来なかった。
「………」
「タケやん?」
俺が返事をしない事を不思議に思ったのか、龍ちゃんが改めて声をかけてくる。
それを聞いて俺は、黙っていつの間にか手元に逢った手紙を龍ちゃんに見せる。
「なんやコレ…手紙やな。………!!!!」
その手紙を見て最初不思議がっていた龍ちゃんだったが、その手紙に書かれた内容を見て思わず言葉を無くしててしまう。
なぜならそこに書いてあった内容が内容だからだ。
「……これは行くしかないかな。」
「…せやな。行かんとダメやろ」
二人でそう言うと、とりあえずは今日泊まる宿へと向かう。
時間はまだあるから念入りに準備しないとな。
一体アイツは誰なんだ?
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・
・
伊達武様へ
今日の夜。月が真上に来た時に逢って話をしたいです。
話の内容もその時話しますので、肩に乗っている幻獣と二人で町の外れの空き地に来てください。
コレはとても重要な事です。この世界に転生された貴方にとってはね…。
来るのをお待ちしております。
……差出人不明。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・
・・
「…確か指定された場所はここだよな。」
「間違いないと思うで?時間的にもええ感じや。」
差出人不明の手紙を受け取った俺達は、何時通りエヴァ達と食事をした後部屋へと入り、少しの間だけ寝る事にした。
いきなり戦闘とかはおそらく無いと思うけど、もし戦闘になった時変に疲れが残っていましたなんていえるはず無いからな。
その後、隣で寝ているエヴァ達をなるべく起こさないように注意しながら宿を出て、こうして手紙の通りの場所へついた訳だが…そこにはまだ人はおらず俺達二人だけだった。
「しっかし何モンなんやろうなこの手紙の主。ワイを幻獣って見破ることは魔法世界の住人ならできん事は無いやろうけど、タケやんが転生しとるっていう情報はワイ以外誰もしらんはずやろ?」
「そのはずなんだけどね。ナギ達でさえ俺は言ってないんだ。まずもれる事なんてないし、たとえ俺の事を調べたりしたとしても転生しているとまでは考え付かないだろ普通。」
「せやな…一体どういうこっちゃ。」
二人してこの手紙の主について考えていると、急に後ろから声がかかる。
「ほっほっほ。その疑問ワシが答えてやるわい」
『!!!』
すぐさまその場から離れて、その相手と対峙する。
最初は、月が雲に隠れてよくその顔が見えなかったが、次第に雲が晴れてくるとその姿がはっきりと見え出す。
そして雲が晴れて完全に月が出ると、月の光に照らされてその声の主の姿がはっきりと見えた。
声の主は、想像していた通り昼間俺にぶつかったあの老人であった。
(なぁ…龍ちゃん。あの人に声をかけられるまで、気配とか感じた?)
(いや…なんも感じんかった。気配所か匂いさえも全然や。普通の人間…いや生物であるなら多少なるとも匂いはある。やけど、今対峙しとってもまったく匂いがせえへん。こんな事ありえんわ)
(となると…。少なくとも生物ではないって事か?)
(わからんけどな…。)
「そろそろええかの?ワシもこれでも忙しい身でのあまり時間はかけられんのじゃ。」
二人してコソコソ内緒話をしていると、その事に焦れたのか先程の老人が声を掛けてきた。
「すみませんね。…で?貴方は一体誰?…その姿は仮なんですよね?」
警戒している為少々口調が強くなるが、それに構わず俺はその老人に話しかける。
「仮と言うほどでもないがの?…どれ本来の姿を見せるとするか。」
ゴォォッ!!
そんな俺の口調対してその老人は別に気にすることなく、あっさりと今の自分の姿が仮の姿認めると老人の周りにいきなり風が巻き起こり、その老人の姿を隠してしまった。
そしてしばらくすると、その風が次第に弱まってきて中にいた人の姿が見えてきた。
その見えてきた姿を見て、俺は言葉を失った。
隣にいる龍ちゃんは俺のそんな顔を見て首を傾げているのを感じるけど、正直今はその説明が出来る状態じゃない。
俺だって“何で!?”って言葉が今頭の中を駆け巡っている状況なんだ。
せめてもう少し、待っていてほしい。
…それにしても何故ここに俺をここに送った神様がいるんだ?
「ふむ。わかったみたいじゃな。久しぶりじゃ武よ」
俺の頭の中を見透かすようにニカッっと笑う神様。
その言葉に俺の横に居た龍ちゃんが少し驚いた。
「えっ?タケやん知り合いか?」
龍ちゃんからしたら、いつも一緒に居た自分が知らない人物がいる事に驚いているのだろう。
だから俺は、まだちょっと頭が混乱しているけどとりあえず龍ちゃんの質問に答える。
「…知り合いも何も、俺をこの世界に転生させた神様だよ。」
「うお!マジか!?」
さすがに“神様”と聞いて、今まで見た事も無いくらいに驚く龍ちゃん。
そして驚きながらも、まじまじと神様を見ていると、龍ちゃんに神様が声を掛ける。
「マジじゃよ龍牙君。何時も武を支えてくれて感謝じゃ。」
「へっ?あ…ああ。それは別に好きでやっている事ですから…」
いきなり神様にそう言われて、龍ちゃんはどう反応していいか分からないみたいで、思わず声が上ずっていた。
まぁ、その反応は分かる。何せ、普通本物の神様なんて見る事ないだろうからな。
そんな龍ちゃんを見てとりあえず、落ち着いた俺は、そろそろ本題に入ろうと神様に質問する。
「それで神様?わざわざ俺に逢いに来た用件ってなんですか?」
「おお…そうじゃったな。まずは大戦を無事に生き抜けてよかった。頑張ったの。」
俺にそう言われて、今思い出したと言わんばかりの表情をした後、俺とこうしてまた逢える事を嬉しそうにしながらそんな事を言ってきた。
「…俺一人じゃ無理だったよ。”紅き翼”のメンバー…そして何より龍ちゃんが居てくれたから俺はこうして今いれると思っている。俺の頑張りなんて微々たるものだった。」
「タケやん…」
俺の言った言葉にちょっと感動したのか、隣に居た龍ちゃんが少し涙ぐみながら俺の名前を呼ぶ。
結構同じ事龍ちゃんに言ってるはずだけど、改めて思う。
俺の傍に龍ちゃんがいて良かったと…。
「ほっほっほ。良い相棒と仲間に出会えた様じゃな。じゃが、それはお主が悩みながらも前に進んで来たからこそ巡り合い、そしてこうして無事に儂と逢えたのじゃ。じゃからあまり自分を下に見積もるでない。それも過ぎれば、お主と共に行動した仲間たちの気持ちも冒涜する事になるんじゃからな?さて、偉そうに説教するのはここまでにして…。今日こうやって儂がお主の前に現れた理由じが、それはハッピーエンドを目指す為の次のステップに進んでもらう為じゃ。」
そう言われて、初めて神様と会った時の会話を思い出すと、たしかあの時も“まず”とか“第一に~”とか言っていた気がする。
それに俺も簡単じゃなかったけど、これだけでハッピーエンドになるとはさすがに思っていない。
むしろこれからが本番なのだから…。
「次のステップね…。まぁそうだと思ってたよ。で?その次ってなんなの?」
「さすが原作を知っているだけはあるの。予測しておった様じゃな。でじゃ、次のステップとは今から原作開始の一年前に進んでもらい、そのまま原作の舞台の一主役として行動する事じゃ。まぁ主役と言っても目立つ必要は無がの。ただ、その舞台でお主の望む通りに行動すれば良い。ハッピーエンドとは与えられるものじゃないからの。」
そう神様が言うと、そこに待ったを掛けるように龍ちゃんが声を上げる。
「いやそれは無理やろ?ワイもタケやんから少し聞いとるけど、原作開始は約15年も先の話なんやろ?どうするっちゅうねん。」
「そのためにワシが来たのじゃよ。…少しまっておれ。」
神様もそう言われるのが分かっていたのか、そう言うと何か呪文を唱え始める。
すると、神様の横に黒い穴みたいなものが現れ、そこから背の小さい人が出てきた。
一体誰なんだ?
「ふむ。無事に呼べたようじゃな。…自己紹介をしてくれるか?」
神様はその人が現れた事を確認すると、その人に声を掛ける。
すると、ぽやっとした表情をしているその人は、少し間延びした声を出しながら自己紹介を始めた。
「はい神様~。始めまして私の名前はクロノス。時を司る精霊で、時の管理人なの~。」
「時の管理人?」
聞きなれない名称に俺と龍ちゃんは首を傾げる。
「そうじゃ。原作でも彼女の力を使った魔法が出てきておったが覚えておらんか?」
「えっと…そんなのあったっけ?」
神様にそう言われて思い出してみるが、原作にクロノスが出てきた記憶は無かった。
けど、神様がそう言うのだからちゃんと出ているのだろう。
なので、もう薄れ掛けている知識を絞り出すように考える。
すると、思い出せない俺に対して神様がヒントをくれる。
「ネギがカシオペアを使うときに使用した占いの初級魔法の事じゃよ。アレは彼女の力を借りておる魔法なんじゃ。」
「あ…確かにあったかもしれない。」
神様の言葉に一つだけ思い当たる場面があった。
それは、麻帆良学園祭でのネギと超鈴音戦闘だ。
何となくしか覚えていないけど、確かお互いにカシオペアをもって戦闘していて、その際に相手の出てくる位置を予測する魔法を使ってた気がする。
それを思い出して改めてクロノスを見てみると、あの時描かれていた精霊をもっと大人っぽくして、より人間に近い感じにすると多分こんな姿になると思う。
「思い出してもらえてよかったの。あの時使った魔法は簡単な未来予知なんだけど、本来の私の力は時間を自由に操る事なの。未来予知はあくまでその副産物。もっと私の力を引き出す事ができれば、未来に干渉する事…相手の時間を止めたり一分や二分先の未来へ自由に行けたり出来るの~。」
「ほ~そんな凄い事が出来るんか。まさに時の管理人やな」
「そう言われるとてれるの~」
クロノスの説明を聞いて龍ちゃんが感嘆の声を上げる。
そのクロノス本人は、少し顔を紅くして照れていた。
そんなクロノスの姿を見てみると、俺の勝手に抱いていたイメージは間違っている事に少しショックを受けていた。
今まで俺は、精霊っていうのはもっとこう厳かな感じかと思っていたけど、クロノスを見ていると結構感情が豊かで人や動物と何ら変わりないと思う。俺としては人より上位の存在だからこそもっと大人っぽくいてほしいと思うのだけど…これは俺の勝手の願望だからな。
仕方が無い事だ。
もっともこう感情豊かなのはクロノスだけかもしれないけど…。
とにかくこのクロノスの力を使って、俺達は未来へタイムスリップすると言う事なのだろう。
「つまり俺はこのクロノスの力を借りて未来にタイムスリップしろってことでいいんですね?」
俺は確認の為にも神様にそう言うと、神様はうなずいた後さらに言葉を続ける。
「そうじゃ。だが、ここでお主に言っておかなくてはいけないことがある。」
「言っておかなくてはいけないこと?」
その言葉に俺は首を傾げる。
何か問題があるのだろうか?
「それは私から説明するの。時を渡ると言う事は言葉にすれば簡単だけど、かなり大変な事なの。特に約15年先に行こうとするならそれなりの代償が必要となってくるの。」
「代償?それって魔力の事か?」
「それでは足りないの。一分…いや一年くらいだったら魔力だけで十分だけど、それ以上となると魔力だけでは難しいの。」
突然クロノスからそう聞かされ、一瞬頭が真っ白になる。
最初聞いた時、俺はタイムスリップのことを簡単に考えていたが、どうやらそれは違うらしい。
でも、そうなると疑問が残る。
だったら、あの人物はそうやって過去へ来たんだ?
「えっ…だったらあの超鈴音の時はどういう事なんだ?彼女は魔力と科学の力だけで100年前から来たんだんじゃないのか?」
「アレはあの土地にあった神木とあのカシオペアのお蔭なの。あの木が過去と未来を繋ぐパスの役割を果たしたお蔭で、巧く自分が望んだ世界へ行けて、代償はすべてカシオペアが背負ったの。多分その時使ったカシオペアは壊れたはずなの。それでも100年を渡れたのは奇跡としかいえないけど…。」
「そうだったのか…。」
つまりカシオペアは、指針の役割と同時に身代わり人形の役割を果たしていたという事なのだろう。
しかも、クロノスから”奇跡”と言われる位だからかなり危ない橋を渡ったという事だ。
あの天才と言われている超鈴音がこの事に気付かないはずが無い。
つまりそれほどまでに、超鈴音は未来を変えたかったって事なのだろう。
「分かってもらえて良かったの。だけど貴方の場合、今から行く未来にパスが繋がっている訳でもないし、カシオペアみたいに代償を肩代わりするモノも無いから大変なの。」
「そっか…。それで?俺はどうすればいいんだ?」
「まず、パスについてだけどこれは貴方が作った魔道具…そのリングで擬似的にパスを繋ぐの。その結果約15年後についた時そのリングをもっている人の近くに現れる事になるの。それと、少しでもその代償を小さくする為に、いきなり15年後に飛ぶんじゃなくて何回かに分けて最終的に15年後に到達するようにする予定なの。」
「何回かに分けてか…それって誰の近くとか決められるのか?」
説明を聞いた俺はクロノスに質問をする。
最初何年後に飛ばされるか分からないけど、できれば何らかのイベントが起こる場所に近い所に出るようにしたい。
特に“紅き翼”のメンバーが関わるようなイベントには俺が参加しないと、最悪二度と会えなくなってしまうからだ。
しかし、クロノスから返ってきた言葉は否定だった。
「それは無理なの。リングをもっている人の近くに出ることは確定しているけど、それが誰かになるかはその時その人の周りにあまり人が居なくて貴方が急に現れてもおかしくない場所じゃないとダメなの。これは時渡りを悪用されない為の処置なの。そう簡単にこの魔法が人に使えるとは思わないけど、もし使われてしまったら大変な事になってしまうの。」
そう言われてしまえば、もう俺はこれ以上この事について何も言えなかった。
たしかに、この魔法が悪用されてしまえばその人の思い通りに世界が変わってしまう。それがどんなに危険な事か。詳しく聞かなくても分かる。
可能性が零じゃない以上、やらない方が良いだろう。
しかし、そうなると俺の頭に一つ疑問が浮かび上がる。
「そうだよな…。でもそれならリングの近くに出るのもまずくないのか?このリングを持っている奴は皆信用できる奴だけどさ…」
「そこら辺は大丈夫なの。確かに近くといったけど、そのリングの持ち主の半径10k圏内の場所ならどこでも出る事が可能なの。それに貴方が信頼しているメンバーはこの魔法の存在を知っている人もいるだろうし、その危険性も説明すればちゃんと分かってくれる人達だと神様から聞いているの。神様がそう言っている限りそれは信頼できるの。それに私の方でなるべくこの事が公にならない場所へ操作するからその心配は無いの。」
「なら大丈夫か。なら後は代償の話だな。」
クロノスの説明を聞いて、納得した俺は今回の魔法で一番大事な事、代償について話を聞く。
「代償についてだけど、それは貴方の力の一部が使えなくなる事なの。」
「え…」
その言葉を聞いて、俺は動きを止めてしまう。
すると、その光景を見たクロノスが慌てて言葉を続ける。
「あ、もちろん無事に15年後についたら力は戻るの。こういえばいいのかな。力の一部で本来受けるはずの代償を相殺するの。」
「あ、そういうことか。…びっくりした。」
「ごめんなの。それで使えなくなる力は解呪の力、それと”然”なの。というか”然”については結果的に使えなくなるの。理由は解呪の力を常に使う事で代償を相殺する為なの。解呪の力は言ってみれば浄化の力だから、代償を相殺するにはうってつけなの。一応此方に出てきたら自動的に解呪の使用はなくなって”然”も使えるようになるけど、ギリギリまで魔力を消費しているから次時を渡る時の事を考えると、”然”を使ってはダメなの。だから”然”は使用できないの。」
「それくらいなら大丈夫か…。俺はてっきり体の一部がなくなるのかと思ったよ。」
「もし、解呪がなかったらそれもありえたの。」
怖!!最初この力に決めたときは、エヴァを人に戻したいからって言うのが理由だったけど貰ってて良かった。
俺がそんな事を考えていると、ずっと黙ってクロノスの言葉を聞いていた龍ちゃんが、神妙な面持ちをしながら発言をする。
「…あのワイはタケやんと一緒に行けるんですか?」
そう言われてみれば…。
当然俺は龍ちゃんと一緒に行けると思っていたけど、龍ちゃんには俺と同じような解呪の力なんてないんだ。
俺は、どうなんだ?といわんばかりにクロノスの顔を睨み付ける。
するとクロノスは苦笑をしながら答えた。
「クスッ…心配しなくても、本来なら時を渡るのは武だけのはずだったけど、龍牙なら大丈夫なの。幻獣は人とは違って精霊の力をその身に宿す事が出来るから、私の力を貸す事で代償も無くす事ができるの。」
それを聞いて俺と龍ちゃんは一安心する。
「そうか…。よかったわ。…あれ?確かタケやんも魔法と同化することができたはずだけど…何でタケやんは無理なんや?」
「う~ん。それをちゃんと説明すると、時間が足りなくなってしまうの。それでもあえて簡単に説明するなら、幻獣と人間では容量が違いすぎるの。たとえば、幻獣が私の力の50%受け入れる事ができても、人はどんなにうまくやってもその4分の一…15%ぐらいしか受け入れる事ができないの。だから代償を無くすことが出来るほどの力を体に宿す事はできないの。」
「なるほど。ちゃんと納得できたわけや無いけど、なんとなく理解はできた。」
「もう質問が無い?そろそろ時渡りを始めるの!」
俺と龍ちゃんにからもう質問が無いか確認した後クロノスは魔力を高め始めながらそう言ってきた。
いきなりの事に俺は慌ててしまう。
「えっともしかして今からするの?」
「当たり前なの。時間は有限。一時も無駄にできないの!!」
「えっ…ちょ…ま…」
「ちょっと待ってもらおうか!!!」
クロノスに行き成り時渡りをされかけた時、本来ならこの場には居ないはずの人の声が聞こえた。
その声はとても必死で、最近ずっと聞いていた声。
”闇の福音””不死の魔法使い”などまさに悪の代名詞的な異名をつけられているが、本当は寂しがりやで、おっちょこちょいで、いじっぱりな吸血鬼のお姫様の声だった。
「……おいおい。居たのかよエヴァ…。」
感想で”然”が強すぎると意見を言われていまして少し考えています。
ただ、ちょっとデメリットの件についてなかなかいいものが思いつきません。
この小説を読んでくださっている方で、何か良いアイディアがある方は教えてもらえませんでしょうか?
よろしくお願いします。