我拳は銃なりて   作:秋華

6 / 41
第五話:邂逅

依頼を受けてから数日が経過した。

まず最初に俺達がやった事と言えば、“紅き翼”の情報を集める事だった。

依頼人も出来るだけ早く実行して欲しいとは言ったが、明確には期限を決められていなかったので慎重に慎重を重ねて、情報を集め吟味していた。

ただ、驚いていけないのは、この情報集めをしようと言い出したのはラカンなのだ。

普段や、原作を知っている俺からすれば、ラカンがこんな事を言い出すとは、夢にも思わなかったが、“人数も負けてるし、相手の正確な強さも分からない状態で戦うのは死に、行くようなもんだ。これは仕事だ。なら、絶対に成功させないと意味がない。”と経験豊富なラカンに言われてしまえば、それに従うしかなかった。

やっぱり傭兵としてのラカンは優秀なんだと思う。

そして、ラカンの言う通り情報を集めていたのだが、途中でばからしくなってきた。

…なぜなら、さすがは“未来の英雄”最初から俺達の度肝を抜いてくれた。

 

「…なぁタケやん、ラカン。こいつら調べる必要あるんか?」

 

「…それは思っていても、言わないでよ龍ちゃん。」

 

「コイツは驚いたぜ。俺も傭兵を始めて結構立つが、こんな奴らは初めてだ。」

 

ラカンがそういうのだから本当にありえないことなんだろうと思う。

 

曰く、奴らにはどんな攻撃も効かない…無敵なんだよ。

 

曰く、あいつらには誰もかなわねぇ…無敵さ。

 

曰く、あ、あ、あ、あいつらの話はしないでくれ。今こうして生きていられるだけでも幸運なんだよ。帝国にとっちゃあいつらは不死身の悪魔なんだ!!

 

などなど、ほとんど同じ様なことしか聞けなかったのだ。唯一有力な情報と言えば刀を使う詠春が女に弱いと言うことぐらいである。

 

「…で、どうしようか。これ以上はめんどr……調べても何にも出てこないような気がするんだけど?」

 

「今めんどくさいとかいったやろ?…でもまぁ同感や。意味ない気がするわ。」

 

「だな。まぁ今どのあたりにいるかは聞けたし、そろそろヤツラの面でも拝みに行くか!」

 

『賛成』

 

これ以上情報を集めても、有益な情報は手に入らないと思った俺達は、ラカンのその言葉に賛同して、ラカンが持ってきた“紅き翼”がいるであろう場所の情報を元に、そこへと向かうのであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・

 

“紅き翼”に会う為に町を出てから、数日がたった。

もちろん。その間ただ移動していただけじゃなくて、ラカンや龍ちゃんと手合わせを何度もし、少しでも勝率を上げる為にも、お互いに力をつけていった。

ちなみに、先送りになっていた龍ちゃんとラカンのケンカだが、まぁ結果を言うならラカンの勝ちだったが、どうしても納得できない事があった。

それは、龍ちゃんが口から氷のレーザーみたいなものを出した時、ラカンはそれをまともに受けて氷漬けになったのだが、なぜか何事も無かったかのように中から氷を割り戦っていた。

普通なら悪くて死に、良くても体のどこらかしら異常をきたして動きが鈍くなると思うのだが…なんか氷漬けされた前よりも動きが良くなっていた。

龍ちゃんもあれには驚いてたよなぁ…。

まぁ…存在がバグとか言われてる人だから…。と言う言葉で何とか自分をごまかしていた。

 

それはともかく、そんな時間を過ごしながら俺達は、目的の場所へと移動していった。

そしてついに”紅の翼”の姿を確認したのであった。

 

「やっと見つけたぜ。んー今は飯中か」

 

「……なんやむっちゃうまそうな匂いがするんやけど。ええなぁ~」

 

「あ!あれなら俺も作れると思うぞ?鍋って言う料理だけど……まさにあれは日本が生み出した最高傑作のひとつだね。」

 

「日本?どこやそこ」

 

「えっ!!いや…あはは。気にすんな。」

 

「なんや、なんではぐらかすん?」

 

「だから気にすんなって!…気にしすぎるとはげるぞ?」

 

「なんやて!?ハゲるってなんや!どこがハゲるいうんや!!」

 

「HAHAHA。相変わらず緊張感ねえな。…疑問なんだが、幻獣もハゲるのか?」

 

「ハゲるわけあるかい!!…たぶん。」

 

「たぶんって…。それに緊張感ないなんてラカンには言われたくねーな」

 

「ちげーねーな。」

 

そう言って三人で笑い合う。

さて、いよいよ”紅の翼”と対決。自分が英雄相手にどこまで出来るのか。ためさせてもらう!!

 

~紅の翼・ナギside~

 

オスティア防衛戦のあと何故か俺達は戦争の前線ではなく辺境の地へと送られた。

理由は分からないが、別にいい。俺達は気に入らないやつらをぶっ飛ばせればいい。それならどこに行こうとかんけーねーからな。

そんな訳で、俺達は、今辺境の地で詠春が作っている料理、鍋?ができるのをまっていた。

 

「お!?これが旧世界の『鍋料理』ってやつか!それじゃ早速肉を投入~♪」

 

「トカゲの肉でもうまいのかのう?」

 

「ちょ、ナギ!おまっ!!何いきなり肉を入れようとしている!!」

 

「いいだろ?詠春。うまいんだからさ~」

 

「バ、バカ!火の通る時間差というものがあってだな。まずは野菜を入れてから…」

 

詠春がなんかごちゃごちゃ言ってるけど、そんなのかんけねー!!とりあえず俺様は肉が食いたいんだよ。

 

「フフフ…知ってますよ、詠春。日本では、貴方のような人を『鍋将軍』と呼ぶのでしょう?」

 

『な…鍋将軍!!』

 

なんだそれは…。常日頃最強だと思っている俺様でも、敵いそうにねぇ名前は。

 

「つ…強そうじゃな」

 

「まいったよ。まさか詠春が、そこまで偉いなんて知らなかったぜ…」

 

「うむ…。料理はすべてお主に任せる。好きにするがよい…」

 

「ん?なんかいろいろ疑問を感じるんだが…まぁいいか」

 

なんか詠春が首を捻って考えてるけど、気にする必要はねえな。

とりあえず、今は詠春が作ってくれる鍋を楽しみにするか。

 

「……よし!そろそろ食べてもいい頃かな?」

 

「マジか!!よっしゃーいただきます!!」

 

「うまそうじゃのう」

 

「私もいただきます」

 

鍋将軍?詠春のお墨付きを貰ったからようやく食べられた。

んで口に入れた瞬間。今まで食べた事の無いそのうまさに思わず叫び出したくなった。

 

「んめーーーーーー!!」

 

「このしょうゆ?とか言ったかこれがなかなかええのう」

 

「それにこの大根おろしもですね。」

 

「ハハハッ!そう言ってもらえると嬉しいよ!!」

 

詠春は俺達が旨そうに食べているのが嬉しいのか、笑っている。

こんな時間が過ごせるなら、わざわざ辺境の地に来たのも悪くなかったと思うぜ。

そう思っていると、突然空から大きな剣が降ってきやがった。

それも丁度鍋の近くに…あ、もったいねぇから肉の確保、確保っと。

 

そしたら次に来たのは、さっきの剣を投げた奴だろう。

大男がやってきた。

 

「食事中にしつれ~い。俺は放浪の傭兵剣士ジャック・ラカン!!いっちょやろうぜッ!!」

 

…コイツはかなりつえぇ…俺がやるか?

そう思っていると、その大男はいきなり横にぶっ飛び、さっきまで大男がいた場所には肩に虎を乗せた男だった。そして大男に向かって叫んでいた。

 

「このバカンが!!!せっかくの鍋を…もとい、食べ物を粗末にするなんて何考えてやがるんだーー!!!」

 

何いきなり来て言ってるんだ…?

 

~紅の翼・ナギside終~

 

~武side~

「さてと…さすがに食事中は戦うのは気が引けるな…終わるまで待つか」

 

チョイチョイ

 

「ん?どうしたんだ龍ちゃん?」

 

「……ラカンが飛び出していったんやけど」

 

「え゛!!」

 

龍ちゃんに言われて、そっちの方に視線を移して見ると、さっきまで鍋があった所にラカンの大剣が刺さっていて、大剣を投げたラカンと言えばそのままその場所へ降りていっていた。

 

「あの…バカンが!!飯を無駄にするなんて!!!!!!」

 

「は?いやいや突っ込む所そこなんか?」

 

「あ゛ああん?」

 

「い…いやなんでもないで」

 

「とにかく俺たちも行くぞ?あのバカンと少しOHANASIをしないといけないみたいだからなぁ!!」

 

「さーいえっさー」

 

そう言って俺達もその場所へ向かう。

なんか龍ちゃんがプルプル震えていつもと違っていたけど今はそんな事気にしている場合じゃない!!

あのやろう!!ご飯は大切にしないといけないって親に教えてもらわなかったのか!?

しかも鍋!!!

まだまだいろいろ出来たのに…終わったあとの雑炊が格別なんだぞ!?

それを…それを…あのバカン!!!!

コノウラミハラサデオクベキカ…

 

「あれ?タケやんって、こんなに食べ物にうるさかったっけ?なんやワイでも見たことが無いくらい怒っとるんやけど…。ワイは、ご飯を粗末にあつこうた事無いから、大丈夫やと思うけど、気をつけなあかんな。…まぁ、ラカンはご愁傷様やな。」

 

とりあえずぶっ飛ばす!

マグナムでぶっ飛ばす!!

ターゲットロック!!

くらえバカン!!!

 

ドコォォォン!!!

 

「このバカンが!!!せっかくの鍋を…もとい、食べ物を粗末にするなんて何考えてやがるんだーー!!!」

 

「グハァ…タケル何しやがるんだ!!」

 

「それはこっちの台詞だ馬鹿野郎!!食べ物は粗末にしたらいけないって、小さい頃に教わらなかったのか!!!」

 

「いや…それは…」

 

「聞く耳もたん!!」

 

「聞いたんだから、いわせろや!!」

 

「とにかくだな。お前がやった事でこの鍋はもう食えなくなったんだ!!謝れ!この人達に…そして鍋に!!」

 

「はぁ?なんで…」

 

「あ゛ああん?テメーマグナム全弾急所にくらいてーか?」

 

「すいませんでしたー!!!」

 

さすがにマグナム全弾は食らいたくないのか、土下座して謝ってる。

皆呆けた顔しているけど、関係ない。

こういうのは謝る事がまず大切だからな。

一人鍋かぶっている人もいるけど…それも気にしない。

 

「あ、ああ。別にいいぜ?」

 

「そ、そうじゃの誰にだって間違いはあるしの?」

 

「フフフ…直接被害を受けたのは詠春だけですしね。」

 

やっと再起動をしたのか、”紅の翼”の人達が返事を返す。

鍋をかぶった人も、最初プルプル震えていたけど、ラカンが素直に謝ったら少しは怒りが収まったみたいで、顔を拭いていた。まだラカンは睨んでいるみたいだけど。

 

「それでじゃが…お主等は一体何しにきたのじゃ?」

 

しばらくすると、爺言葉を喋る少年が、俺達に聞いてきた。

この人が、あの最強の盾と名高いゼクトか…。

 

「ん?ああ実はさっきラカンが言ったかも知れないけど、俺達は傭兵でね。”紅の翼”を潰してほしいって依頼があったから、こうしてきたんだよ。」

 

「へーそうなのか。」

 

「バカ!!何普通に返してんだナギ!こいつらは俺達を倒しに来たって言ってるんだぞ?」

 

「何!?」

 

(なんか思っていた以上にナギがバカだな。)

 

「ま、そんな訳で、さっきも言ったがいっちょやろーぜ?」

 

「へっ!おもしれぇ。やってやるぜ!!」

 

そう言って、ラカンとナギはこの場を離れていった。

そしてそのすぐ後、大きな爆発音が聞こえてきたから、かなり派手にやっているらしい。

 

「バカはバカの相手をすればよかろう。…それでお主等もやるのか?」

 

「ん?ああまぁ依頼だし?それに巷で有名なあんた達に俺がどこまで出来るか試してみたいって言うのもある。」

 

「そういうこっちゃな。なんやお互いバトルマニアぽっくなってもうたな。」

 

「多分バカンのせいだろ?龍ちゃん」

 

「あーそうやろなタケやん」

 

そう言いながら二人で笑い合っていると、何故か他の人がビックリしていた。

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「ど…どうしたって虎が喋ったんだぞ?」

 

「む…もしや幻獣か?」

 

「なかなか興味深いですね。幻獣が人と一緒に行動しているなんて。」

 

あーなるほど。確かに珍しいかもしれない。あまりにラカンが普通にしてたから大丈夫だと思っていたけど、これが一般的な反応か。

 

「まぁ、龍ちゃんとは気があってね。そっからは一緒に行動しているんだよ。」

 

「気があったからって…」

 

「気にしないでよ。えーと…」

 

「詠春だ。近衛詠春」

 

「ワシはゼクトじゃ」

 

「アルビレオ・イマといいます。アルと呼んで下さい」

 

「俺の名前はタケル・ダテ。んでこっちが…」

 

「龍牙や。よろしゅうな」

 

『よろしく』

 

そう言って自己紹介を済ませる。

自己紹介を済ませて、なんか和やかな空気になってしまったけど、依頼は依頼。そろそろ実行しますか。

 

「って訳で、俺達も手合わせお願いします。」

 

「ふむ。仕方が無いの」

 

「それでなんですが、俺と相手は詠春さんお願いできますか?」

 

「え?私かい?」

 

少々ビックリした感じでそう返す詠春。

 

「ええ。理由としては、私は武術家です。無論魔法とかも使えますが、今回は一武術家として戦いたいと思っています。それに私の武術は銃火器を模してつくられた武術。銃と剣どちらが上か確かめるのも一興と思いませんか?」

 

「素手と剣で戦うのかい?それはちょっと…」

 

「心配しなくても結構です。私の拳は剣よりも強いですから…それとも私に負けるのが怖いですか?」

 

「!!!いいだろう。その勝負受けよう」

 

「ありがとうございます。では少し離れた場所へ移動しましょう。」

 

「分かった。」

 

そう言って俺たちも移動をした。

銃闘技の天敵は原作では剣術だった。実際は剣を模した拳術だったけど、それでも戦ってみたい。サムライ・マスター近衛詠春。俺の拳で打ち砕いてやる!!!

 

~武side終~

 

「なんや。いつもの違うな~タケやん。なんかあったんか?」

 

「いつも、あんな感じじゃないのか?」

 

「ちゃうな。いつもは好戦的じゃないし、それにあんな挑発せーへんもん。」

 

「なるほど。何か事情があるのかもしれませんね。」

 

「かもな…。まぁええ。それよりワイの相手なんやけど…ゼクトはん頼めまっか?」

 

「ワシか?かまわんが理由を知りたいのう」

 

「ワイの真骨頂は攻撃や、ならあんたらの中で一番防御に優れとるゼクトはんと戦ってみたいと思うねん。それにアルはんはなんや相性が悪い気がする。主に性格的な意味でな」

 

「それは少しひどくありませんか?」

 

「ふむ。わからんでもないのう」

 

「ゼクトまで…」

 

「あーなんや。別にあんたの事は嫌いやあらへんよ?まぁ好きでもないけどな…」

 

「それはとどめをさしてますよね。」

 

「あ!?そんなつもりやあらへんねん。…とにかくや。やろやゼクトはん」

 

「そうじゃな。じゃワシらも場所を移すとするかの」

 

「りょーかいや」

 

こうして龍牙達も移動していった。

そしてのっこったのはアル一人。

 

「ふう…私って嫌われているんですかね」

 

その呟くアルの背中はとても寂しそうだった。

 




今日は休みなので、もう少し更新できると思います。

感想・メッセージお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。