アルカナ~切り札の騎士~   作:西本 悠

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第四期第三十五話「終わりなき終焉」

アルカナ~切り札の騎士~

第四期第三十五話「終わりなき終焉」

 

 

 

 

「さあ、来い! エンヴィー!」

「う、うぅわああああああああああああああああっ、バトルッッ!!」

 エンヴィーの宣言と同時に、フィールドが闇に包まれた。

「『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』で……『アルカナ ナイトジョーカー』を攻撃!『|終わりなき終焉(エンドレス・エンド)』!」

 『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』。そう呼ばれた闇の塊が、一つの像を紡ぎ出す。

『オ、オオ……オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!』

「きゃっ……!?」

「ひっ!?」

「こいつは……!?」

 そのあまりの異形と迫力に、アテナたちが怯む。何とも形容し難いその姿は、不安定で絶望と諦観に満ちたエンヴィーの心そのものを表しているようにすら思える。

 そして、その終焉は一度収束させた闇を再び広げ、アルカナに伸ばし……喰らった。

「ぐっ……!?」

「う、わ……」

 俺やさだめですら一瞬怯むほどの光景。闇がアルカナを足下から浸食していき、分解していく。そしてそれは、俺自身すら例外ではなかった。

「ぐ、ぅああああああああああああああああああああああっ!?」

 セツLP3400→1400

「セツ!」

「お兄ちゃん!」

「っ……いけない!」

 苦痛、苦痛、苦痛。ただ肉体的なモノだけじゃない。心の奥底まで浸食されそうなほどの苦痛が、俺の身体を蝕む。ルインが治癒術をかけてくれているようだが、それも殆ど効果がない。

「ぐっ、く……!」

 それでも俺は、倒れない。倒れるわけにはいかない。歯を食いしばり、血の滲む手を握りしめ、何とか耐え切った。

「くっ……なん、とか……」

 途切れそうになる意識を必死で繋ぎとめる。そんな俺に、エンヴィーは僅かに驚いたように眼を見開くが、すぐにデュエルを続行する。

「……『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』が戦闘によって破壊したモンスターは、墓地にはいかず、ゲームから除外される。そして『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』がフィールドに表側表示で存在する限り、この効果で除外されたモンスターはそのデュエル中使用出来ない」

「なにっ……!?」

「じゃあ、アルカナは……!」

 あいつを倒すまで、フィールドに戻せない……!

「更に『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』の攻撃力は、ゲームから除外されているモンスターの数×500ポイントとなる」

 『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』ATK6500→7000

「攻撃力、7000……」

「こんな時に、アルカナが封印されるなんて……!」

「……ついでに『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』は、カードの効果を一切受けない。倒したいなら、戦闘でどうにかする以外にない」

 更に告げられる絶望的な一言。

「そんな……それじゃ、どうすれば……」

「………………」

 全員が青い顔で俯く。確かに、絶望的な状況だ。圧倒的な攻撃力。倒したモンスターを永久封印する能力。そして一切の効果を受け付けない防御能力。どれをとっても攻略は難しいと言わざるを得ない。

「……それだけか?」

 しかし、俺は逆にスッ……と身体が楽になって行くのを感じた。決して、ルインの治癒術だけの効果じゃない。心と体の沸点を超えたのか、単に限界を超えて痛覚が麻痺してしまったのかはわからない。痛みはあるし、身体の各所から危険信号が送られ続けている。それでも俺は、ここで倒れてしまう自分が想像できなかった。

「え……」

「それだけか、って聞いたんだ。……見ろよ」

 俺は両手を大きく広げ、エンヴィーに笑いかける。流れる血や切れた頬。エンヴィーやアテナたちに、それは凄絶な笑みに見えていることだろう。だが、それでも俺は笑顔で語りかける。

「俺は、生きてるぞ?」

「っ……!?」

 理解出来ない、と言うようにエンヴィーの表情が歪む。当然だ。普通の闇のデュエルよい、更に苦痛や精神的ダメージが大きいこのデュエルで、一度に2000ポイントものダメージを受けておきながら、俺は確かに立っている。

 ――正直、自分でも異常だとは思う。一度闇のデュエルで死にかけた剣士や凛は、殊更にその異常さを感じているだろう。

 これだけのダメージを受けて尚、どうしてふらつくこともなく立っていられるのか。

「何故?……決まってる」

 誰だって、自分の望みを、夢を、想いを、叶えるために歯を食いしばって苦難の時を耐えしのぶ。

 エンヴィーを救いたい。この想いは、きっとかつて、さだめと共に在ったエンヴィーに抱いた、俺の生き様。その源泉。

「なら、倒れるわけにはいかない。いや、倒れるわけがない」

 さあ、限界を超えよう。人として、生命として、超越しよう。死を、絶望を、終焉を超え、希望を掴む活路を拓こう。大丈夫。恐れることはない。例え人の道を外れようとも、俺には傍にいてくれる奴らがいる。傍にいて、支えてくれる奴らがいる。

「エンヴィー。俺に全てをぶつけて見せろ。俺は全てを乗り越えて、お前の全てを抱きしめて、お前の全てを愛してみせる」

「セ、ツ……」

「その第一歩だ。見せてやる。俺が、終焉を超えるところをな! 俺のターン、ドロー!」

 何の心配もいらない。俺の手札は三枚。フィールドは空。これだけじゃ、あの終焉は超えられない。それでも。

「足りないなら、補うまでだ! 俺は手札から速攻魔法『トラップ・ブースター』! 手札を一枚捨てることで、このターン俺は手札から罠カードを発動することが出来る!」

 今まで幾度も俺のデュエルを支えてきた速攻魔法。俺はこのターンに全てを懸ける!

「俺は手札から『アルカナソード スペード』を捨て、効果発動!」

「例え……例え手札からトラップが使えるようになっても、セツの手札は一枚! それに『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』はカードの効果を受け付けない!」

 そうだ。エンヴィー。俺はお前の全力を乗り越えなくちゃいけない。そのために、この手札だけじゃ足りない。キーカードはいくつも必要だ。それなら、どうする?……決まっている。

「引きたいカードがあるのなら……根こそぎ引っこ抜くまでだ! 手札からトラップカード『活路への希望』を発動する!」

「あれは!?」

「『活路への希望』は、相手よりライフが1000ポイント以上少ない場合、ライフを1000ポイント支払うことで発動出来る!」

 セツLP1400→400

 ライフと共に生命力が消費されて行くのを感じるが、今更1000ポイントのダメージでどうにかなる筈もない。

「相手とのライフ差2000ポイントにつき、デッキからカードを一枚ドローする! エンヴィー、お前と俺のライフ差は10000以上! よって俺はデッキからカードを五枚ドローする!」

「一気に五枚も……!」

 エンヴィーとのライフ差は圧倒的。だがだからこそ、このカードで活路を見出す!

「さあ、行くぞ! 俺は手札から速攻魔法、『アルカナソード ジョーカー』を発動! 四枚のアルカナソードを墓地から除外し、ライフを半分支払うことで、デッキ・手札・墓地から切り札の騎士を可能な限りフィールドに特殊召喚する! これが最後だ。俺に力を貸してくれ!」

『無論!』

『我らは主の騎士じゃぞ』

『我らの力、存分にお使いください』

『フン。呼ぶのが遅すぎる。出番がないかと思ったぞ』

『セツ様……必ず、お助けしますわ!』

 『切り札の騎士―クィーン』ATK1500

 『切り札の騎士―キング』ATK1600

 『切り札の騎士―ジャック』ATK1900

 『切り札の騎士―テンス』ATK1000

 『切り札の騎士団長―エース』ATK2000

 セツLP400→200

「そして魔法カード『融合』! フィールド上の切り札の騎士五体を融合し、来い!『切り札の騎士帝―アルカナ ロイヤルジョーカー』!」

 『切り札の騎士帝―アルカナ ロイヤルジョーカー』ATK4500

「出た! お兄ちゃんの切り札!」

「ですが、終焉の攻撃力は……」

 そう。アルカナより上だ。そして終焉はカードの効果を受け付けない。成す術はない、ように思える。

「それを何とかするのが、俺の仕事だ……! 俺はカードを二枚セット。ターンエンド!」

 ジョーカーの効果で呼び寄せた騎士は、エンドフェイズに自壊し、その攻撃力の半分のダメージを受ける。だが、逆に言えば自壊しなければダメージは受けない。

「なにをするつもりか知らないけど……全部、無駄なんだよ。ボクのターン」

 エンヴィーの目は、相変わらず虚空を見つめている。

「行け……! ボクのモンスター! 最後の希望を……セツの騎士を喰らい尽くせ!『終わりなき終焉』!」

「くっ!?」

「お兄ちゃん!」

「終焉は即ち、エンヴィーの心の闇だ。だからこそ、不安定」

「セツ……?」

 怪訝な顔をするルイン他にもわかりやすく、見せてやろう。『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』……その弱点!

「俺はトラップカード『次元回帰』を発動する!」

「次元……回帰!?」

「『次元回帰』は、お互いのゲームから除外されているモンスターを全てデッキに戻す! そして『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』の攻撃力は、ゲームから除外されているモンスターの数×500ポイント! よって……」

「『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』が……!?」

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ……ン!』

 『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』ATK7000→0

「終焉の攻撃力が、ゼロに!?」

「さあ終焉。ここがお前の終焉だ。エンヴィーの心を食い物にするお前だけは、今ここで切り捨てる! アルカナぁ!」

 俺の声に応え、アルカナがその手に持った剣を構える。

「『切り札の騎士帝―アルカナ ロイヤルジョーカー』で……『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』を迎撃!『ファイブ・オブ・ア・カインド』!」

 剛剣一閃。アルカナの剣は、『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』を一刀両断に討ち取った。

「ぅあああああっ!?」

 エンヴィーLP11300→6800

「やった!」

「これで……!」

「……いや」

 アルカナの剣が闇を切り裂いたのを見て喜ぶアテナたち。だが、俺はエンヴィーの表情が今まで以上に悲痛に染まるのを見た。

「無駄、だよ……無駄。無駄無駄無駄無駄。全部、無意味……」

「ど、どういうことですか? 終焉は……」

 倒した。それは間違いない。だが、なんだ? この悪寒……この、ビリビリと肌を打つような恐怖は……。

「セツ……」

「……なんだ?」

「全部、受け止めてくれるって……言ったよね?」

「なに……!?」

「ボクは『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』の、最後の効果を発動!」

「最後の、効果!?」

「まだあったの!?」

「『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』が、戦闘で破壊され、墓地に送られた時、全てのモンスターは死に絶えて、その攻撃力分のダメージをお互いに受ける!」

「なんだって!?」

「そんな、お兄ちゃんのライフはもう……」

「アルカナの攻撃力分……4500もダメージを受けたら!」

 終わる。何もかも。

『セツ様……!』

「死して尚……終焉は絶望をまき散らす……!『ラスト・ディザスター』!」

 世界が、闇に染まった。

 

 

 

 

 

 闇に染まる視界。闇に堕ちる意識。

(俺は……負けたのか?)

 エンヴィーを守れず、救えず。アテナたちを遺して……。

(……駄目だっ!)

 そんなことは許されない。俺の命は、ただ俺の命であるというだけじゃない。もう、俺は独りじゃない。独りじゃないということは、自分の命に責任が出てきたということだ。俺は、その責任を果たせないまま死んでいくわけにはいかない。

(あぁ……だけど)

 辺りは一面の闇。上下左右すら定かではないこの暗闇じゃ、もうなにも見えない。

(……? なんだ)

 闇の中で、それでも輝く光が見えた。それは、俺の胸元から発せられる光で……。

(ああ、そうか……)

 俺は、まだ手が残っていることを知った。

 

 

 

 

 

 エンヴィーLP6800→2300

 セツLP200→0

「そ、んな……セツ……?」

 闇の中に消えて行ったセツ。無情にも敗北を示すライフゲージ。

 ――それが示す答えは、セツの敗北と……死。

「い、や……」

 足が震える。セツが死んだ? ありえません。セツは、何時だって……。

「でも、今度こそ死んだよ。やっぱりセツでも、無理だった」

 何処か空虚なエンヴィーの言葉に、血の気が引く自分を感じました。

「お兄ちゃんは死なない! 死ぬわけない!」

「さだめさん……」

「ライフがゼロ? 負けた? 関係ないよ! お兄ちゃんは……さだめのお兄ちゃんは不死身なんだ! どれだけさだめが酷いことしても、すぐにケロっとして笑えるくらい、凄い人だ! だから……!」

「そう、ですよね……」

 セツが、死ぬなんてあり得ない。一瞬でも、そんな想像をしてしまった自分に怒りを覚えます。

「セツは……例え闇に呑まれても、必ず戻って来ます。ここに」

 私たちの、ところに!

「むりだよ……幾らセツが凄くても、終焉に呑まれて、ライフも尽きて……生きてるわけがない。元々風前の灯でしかなかった命で、抗いきれるわけないもん……」

『……それは、どうだろうな?』

「エース?」

『我ら切り札の騎士は……二度同じ失敗はせん。一度ならず二度までも、仕えるべき主を失うようなことを、我らは決してしない。そうだろう……? 希冴姫』

 ハッとしてセツの消えて行った闇を見ます。そこには、幽かな、本当に幽かな光が見えます。あれは……。

 光が徐々に広がり始め、その光はやがて一つの像を為す。

 『アルカナ ナイトジョーカー』ATK3800

「アルカナ……?」

「ど、どうして……? もう、デュエルは終了している筈なのに」

 困惑する私たちとエンヴィーに、あの聞き慣れた声が語りかけます。

「……知りたいか?」

「…………ぁ」

 デュエルフィールドを覆っていた闇が晴れ、その中から私たちの良く知っている、大好きなヒトが姿を現しました。

「俺は、カウンタートラップ『アルカナ・ペンダント』を発動させた」

 セツの胸元では、希冴姫さんが贈ったというペンダントが、眩しい光を放っていました。

 

 

 

 

 

 俺の胸元と、同じ輝きを胸に抱くアルカナを見ながら、俺は『アルカナ・ペンダント』の効果を説明する。

「相手によって、俺のライフがゼロになった瞬間、手札とフィールド上の、全てのカードを墓地に送ることで、エクストラデッキから切り札の騎士と名のついたモンスターか、『アルカナ ナイトジョーカー』を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターがフィールド上に表側表示で存在する限り、俺はデュエルに敗北しない」

 逆を言えば、アルカナがフィールドから消えた時、俺も負ける。

「命(チップ)の全賭け(オールイン)だ。俺は、俺の騎士に全てを託す」

 俺は胸に輝くペンダントを握りしめる。

「ありがとう。希冴姫」

『セツ様……わたくしは、わたくしは今度こそ……』

 感極まったように言葉を漏らす希冴姫に、俺は笑いかけた。

「ああ……守ってくれたな」

『はい……!』

 そう、心からの喜びを顕にした希冴姫の前に、一枚のタロットが現れる。それは、『女教皇』のカード。優しさや清純さを意味する、希冴姫らしいカードだった。

「エンヴィー!」

「っ!」

 俺の声に、エンヴィーはビクリと肩を震わせる。

「俺は……俺は……!」

 震えるエンヴィーに、俺は万感の思いをこめて叫ぶ。

「俺は、耐えたぞ!」

 耐え切った。終焉に、絶望に、闇に、耐え切った。エンヴィーの繰り出す終焉の、その悉くを受けとめて尚、俺はここに立っている。

「ぁ……」

「そしてエンヴィー。これで……俺の勝ちだ」

 俺の場には、剣を構える『アルカナ ナイトジョーカー』。エンヴィーには、もうなにもできることはなかった。

「俺のターン、バトルだ!『アルカナ ナイトジョーカー』で、プレイヤーにダイレクトアタック!」

 ただ攻撃しただけでは、アルカナの剣はエンヴィーを傷つけ、殺してしまうかもしれない。だが、心配ない。

「騎士の剣は、斬るべきものを間違えない! 行け、アルカナ!『オール・イン・スラッシュ』!」

 アルカナの剣は光を増し、両断する。エンヴィーの、闇を。『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』と呼ばれた災厄の象徴を、アルカナの剣は切り裂いた。エンヴィーは……無傷だ。

『ッッォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォンッッッ!』

 エンヴィーLP2300→0

 

 

 

「エンヴィー……」

「うっ……う、ひっく……」

 『|終焉の真闇(ジ・エンド・ダークネス)』が切り裂かれ、後に残ったのは無力な子供。エンヴィーはその処理能力を超えたのか、ただ泣いている。

「あ……」

 俺は、そんなエンヴィーの頭に手を置き、ゆっくりと撫でた。

「……気は、晴れたか?」

「え?」

「色んなもやもや、全部出し切れたか? まだ、吐きだしてないこととかないか?」

「セツ……ボクは」

「なんかあったら、何でも言え。また全部、受け止めてやるから」

「ぅ、あ……」

「ほら、エンヴィー」

 ユーキちゃんが、優しく微笑んでエンヴィーの背を押す。エンヴィーの小さな身体が、すっぽりと俺の胸に収まった。

「ぁ……」

「これで、また一緒だ」

「ぁ、ボク……ユーキにも、酷いこと……」

「いいの。わたし、エンヴィーのお姉ちゃんだよ~? ちょっとくらい酷いことされたって気にしないし、遠慮されるより嬉しいよ~」

 ユーキちゃんも、俺の上からエンヴィーを抱きしめる。

「ほら、エンヴィー? 悪いことしちゃったときは、どうするの~?」

「ごめ……なさい」

 たどたどしく紡がれる言葉。ユーキちゃんはもう一度、優しく促す。

「ん?」

「ごめん、なさい」

 謝罪の言葉を口にしたエンヴィーを、ユーキちゃんは満面の笑顔で頭を撫でる。

「良く出来ました~」

 ユーキちゃんに頭を撫でられて、くすぐったそうにはにかむエンヴィー。その姿を見て、俺はもう大丈夫だと安堵した。そして……。

「……まだ、終わりじゃないんだよな」

「え?」

 エンヴィーから身体を離し、闇の奥をじっと見つめる。

「……そうなんだろう?」

 怪訝な顔を向けてくるアテナたちに構わず、俺は呼びかける。全ての元凶。本当の黒幕。本当の、ラスボス。その名を。

「出てこいよ。真中、希望」

 アテナたちの驚愕の表情と共に、今まで俺たちを導き、助けてくれていた“世界”……真中希望が闇から姿を現した。

「やあ、セツ。無事勝利出来た様で何よりだ。それと……」

 その端正な顔に無色の笑みを張りつけた真中希望は、殊更に冷たい声で言葉を発した。

「何時から気付いた?」

 その右手には、終焉の刻印が鈍い光を放っていた。

 

 

 

 

 




・『終焉の真闇』 星12 闇属性 悪魔族 攻/守?/?
 このカードは通常召喚出来ない。このカードは、自分フィールド上に存在する『終焉の』と名のつくモンスター三体をリリースした場合のみアドバンス召喚できる。
(1):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いのゲームから除外されているモンスターの属性は「闇」となる。
(2):このカードの攻撃力はお互いの除外されている闇属性モンスターの数×500となる。
(3):このカードは魔法・罠・モンスター効果を受けない。
(4):このカードが戦闘によって破壊したモンスターは墓地へは行かず、ゲームから除外され、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、破壊したモンスターと同名モンスターをプレイすることはできない。
(5):このカードがフィールドから離れた時、フィールド上に存在する全てのモンスターを破壊し、破壊されたモンスターの攻撃力の合計のダメージをお互いのライフに与える。

・『アルカナ・ペンダント』 カウンター罠
 効果
 相手によって自分のライフがゼロになった時に、手札とフィールド上に存在するすべてのカードを墓地に送ることで発動することができる。
(1):エクストラデッキから『アルカナ ナイトジョーカー』又は『切り札の騎士』融合モンスター一体を選択し、召喚条件を無視して自分フィールド上に特殊召喚する。この効果によって特殊召喚されたモンスターがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分はデュエルに敗北せず、表側表示で存在しなくなったとき、相手はデュエルに勝利する。
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