アルカナ~切り札の騎士~   作:西本 悠

117 / 129
第四期第四十四話「力と力」

アルカナ~切り札の騎士~

第四期第四十四話「力と力」

 

 

 

 

「さあ、お手並み拝見と行こうじゃない。先攻は譲るわ」

「ではありがたく頂きます! 私のターン、ドロー!」

 光お姉さんのデッキは純粋なハイビート。混じりっけなしのパワーデッキです。私のデッキもパワー偏重ですが、それ以上に徹底してます。下手に中途半端な攻撃力のモンスターを出せば、いいカモです。

「なら! 私は手札から『ヘカテリス』を墓地へ送り、デッキから『神の居城-ヴァルハラ』を手札に加え、発動します! そして手札から『The splendid VENUS』を攻撃表示で特殊召喚です!」

 『The splendid VENUS』ATK2800

「更に手札から『勝利の導き手フレイヤ』を召喚します! フレイヤが存在する限り、私の天使族の攻撃力、守備力は400ポイントアップします!」

 『勝利の導き手フレイヤ』DEF100→500

 『The splendid VENUS』ATK2800→3200

「更に永続魔法『コート・オブ・ジャスティス』を発動! フィールドにレベル1の天使族モンスターが存在する場合、手札から天使族を特殊召喚できます! 私が特殊召喚するのは、二体目の『The splendid VENUS』!」

 『The splendid VENUS』ATK2800→3200

 これで、天使族以外のモンスターは攻撃力を1000ポイント下げられます! 攻撃力4200までのモンスターなら、ヴィーナスで倒せます!

「私はこれでターンエンドです!」

「へえ、真っ向からの力勝負ってわけ? 面白い……受けてたってやるわ! 私のターン、ドロー!」

 光お姉さんのギラギラとした闘志が伝わってきます。私の布陣はほぼ完璧。そのハズなのに、この身震いするほどのプレッシャー……。

「私相手に力勝負を挑んだことを後悔させてやるわ! 私は手札から『魔導ギガサイバー』を特殊召喚!」

 『魔導ギガサイバー』ATK2200→1200

「コイツは私のフィールドのモンスターがアテナのフィールドより二体以上少ない時、特殊召喚出来る半上級モンスター……そしてコイツよ! 私は『魔導ギガサイバー』をリリースして『偉大魔獣ガーゼット』をアドバンス召喚!」

 『偉大魔獣ガーゼット』ATK0

「『偉大魔獣ガーゼット』の攻撃力はアドバンス召喚時、リリースしたモンスターの元々の攻撃力を倍、アップするわ!」

 『偉大魔獣ガーゼット』ATK4400→3400

「なっ!?」

 いきなり超えられた!?

「バトルよ!『偉大魔獣ガーゼット』で『The splendid VENUS』を攻撃!『ルストハリケーン』!」

「きゃああっ!?」

 アテナLP4000→3800

 『偉大魔獣ガーゼット』ATK3400→3900

「カードを二枚セット。ターンエンドよ」

「くっ……私のターン、ドロー!」

 まさか、ヴィーナスを二体出して尚、攻撃力で上回られるとは思いもしませんでした。流石に、純パワーデッキ……一筋縄じゃ行きませんね。

「私は『コート・オブ・ジャスティス』の効果を発動します! 手札から『光神テテュス』を特殊召喚!」

 『光神テテュス』ATK2400→2800

「そして魔法カード『アドバンスドロー』を発動します! 私の場のレベル8以上のモンスター……ヴィーナスをリリースして、デッキからカードを二枚ドローします!」

 『偉大魔獣ガーゼット』ATK3900→4400

「そしてテテュスの効果で、ドローした『アテナ』をオープンして、デッキからカードをドロー!『堕天使スペルビア』をオープンし、ドロー!」

 このターンで少なくとも、ガーゼットだけでも!

「更にドローした『The splendid VENUS』をオープンしドロー!『シャインエンジェル』でドロー!『聖なるあかり』でドロー!『オネスト』でドロー!」

 っと、ここで終了ですね。ですが、まだです!

「手札から魔法カード『トレード・イン』を発動! 手札の『堕天使スペルビア』を捨てて二枚ドロー!……あれ?」

 二枚とも魔法カードでした。珍しいこともあるものです。

「……ま、まあいいです。私は手札から『シャインエンジェル』を攻撃表示で召喚します!」

 『シャインエンジェル』ATK1400

「バトル!『光神テテュス』で『偉大魔獣ガーゼット』を攻撃!『ホーリー・サルヴェイション』!」

「『オネスト』も引いてるしね……まあいいわ。迎撃しなさい!」

「手札から『オネスト』の効果発動! 手札から捨てることで、光属性モンスターの攻撃力を、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップさせます!」

 『光神テテュス』ATK2800→7200

「トラップ発動『ガード・ブロック』! 戦闘ダメージを無効にしてカードを一枚ドローするわ!」

「ですが、ガーゼットは破壊されます!」

「ちっ!」

「更に『シャインエンジェル』でダイレクトアタックです!」

「むぐ……」

 光LP4000→2600

「私はこれでターンエンドです」

「なら、そのエンドフェイズにトラップカード『トゥルース・リィンフォース』を発動! デッキから『ヒーロー・キッズ』を特殊召喚するわ。『ヒーロー・キッズ』は特殊召喚された時、デッキから同名モンスターを二体特殊召喚出来る!」

 『ヒーロー・キッズ』ATK300×3

「私のターン、ドロー!」

 光お姉さんの場にはモンスターが三体……光お姉さんのデッキに入ってるモンスターを考えると……マズイかもしれません。

「私はフィールド上の三体のモンスターをリリース!」

「っ!」

 やっぱり、来ますか!?

「『神獣王バルバロス』をアドバンス召喚!」

 『神獣王バルバロス』ATK3000

「そして、三体のリリースでバルバロスのアドバンス召喚に成功したとき、アテナのフィールドのカードを全て破壊するわ!」

「きゃあっ!?」

 バルバロスの上げた咆哮が、私のフィールドを蹂躙し、破壊し尽くします。

「バトルよ! バルバロスでダイレクトアタック!『トルネード・シェイパー』!」

「きゃああああああっ!?」

 アテナLP3800→800

「一枚セットしてターンエンド。どう? そろそろ諦める気になった?」

「っ……まだまだ、です! 私のターン、ドロー!」

 そうは言っても、状況は最悪の一言です。フィールドはまだ何とでもなるとしても、光お姉さん相手にこのライフは完全に危険域です。下手な攻撃モンスターは出せませんし、かと言って守備で出しても貫通効果が怖いです。そもそも、光お姉さんが守備固め対策をしていないとは到底思えませんし……。

「守ってもダメなら……」

 攻めるしか、ありません。

「私は手札から『神の居城-ヴァルハラ』を発動! 手札から三体目の『The splendid VENUS』を特殊召喚します!」

 『The splendid VENUS』ATK2800

 『神獣王バルバロス』ATK3000→2500

「おっ?」

「バトルします!『The splendid VENUS』で『神獣王バルバロス』を攻撃!『ホーリー・フェザー・シャワー』!」

「にゃるほど。守ってもジリ貧と見て攻めて来たか……その意気や良し。でも残念。それだけじゃあ、想定内よ! トラップカード発動!『聖なるバリア-ミラーフォース』!」

「あっ!?」

 『The splendid VENUS』の攻撃は、ミラーフォースに跳ね返されてしまいました。

 『神獣王バルバロス』ATK2500→3000

「甘い甘い。そんな単純な攻撃で、私を攻略出来ると思わないことね」

「くっ……カードを二枚セット。ターンエンドです」

「私のターン、ドロー! そろそろ品切れかしら?『神獣王バルバロス』でアテナにダイレクトアタック!『トルネード・シェイパー』!」

「まだ、まだです! 永続トラップ『リビングデッドの呼び声』! 墓地の『堕天使スペルビア』を特殊召喚します! その効果で『The splendid VENUS』を特殊召喚です!」

 『堕天使スペルビア』ATK2900

 『The splendid VENUS』ATK2800

 『神獣王バルバロス』ATK3000→2500

「おっとと、攻撃は中止。代わりに速攻魔法『神秘の中華なべ』を発動するわ! バルバロスをリリースして、その攻撃力分、3000ポイントのライフを回復するわ!」

 光LP2600→5600

「そして速攻魔法『デーモンとの駆け引き』を発動! レベル8以上のモンスターが墓地に送られたターン、手札かデッキから『バーサーク・デッド・ドラゴン』を特殊召喚するわ! 私はデッキから『バーサーク・デッド・ドラゴン』を特殊召喚するわ!」

「それを待ってました!『デーモンとの駆け引き』にチェーンして速攻魔法『光神化』を発動します! 私は手札から『聖なるあかり』を守備表示で特殊召喚します!」

 『聖なるあかり』DEF0

「っ!? ソイツは……」

「『聖なるあかり』がフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いに闇属性モンスターを召喚・特殊召喚することは出来ません!」

「ちっ!?」

「これで『バーサーク・デッド・ドラゴン』の特殊召喚は無効です!」

「下手打ったわね……アンタの手札にソイツがいるのを忘れてたわ」

 以前のデュエルでは、効果を適用することができずに倒されてしまいましたが、元々このカードは光お姉さんの『バーサーク・デッド・ドラゴン』対策に入れていたカードです。漸く役に立ってくれました。

「仕方ないわね。私はカードを一枚セットしてターンエンドよ」

「このエンドフェイズに、『光神化』で特殊召喚された『聖なるあかり』は破壊されます」

 これで、スペルビアの攻撃も妨げられません。

「私のターン、ドロー!」

 さて、とりあえず急場は凌ぎましたし、むしろこれで相当有利になったハズです。このまま二体でダイレクトアタックすれば、それで勝てるんですけど……私の脳裏には、ミラーフォースによって破壊された先ほどの光景が浮かびます。

「……私は二体のモンスターをリリースして『アテナ』をアドバンス召喚します!」

 『アテナ』ATK2600

『ん~? これ、お姉さんが出る場面だったかしらん?』

「……わかりませんが、念には念を、です。更に墓地の『シャインエンジェル』と『聖なるあかり』を除外することで、手札から『神聖なる魂』を特殊召喚です!」

 『神聖なる魂』ATK2000

「そして天使族モンスターの特殊召喚に成功したことにより、シャルナの効果が発動します!」

『はいよ! 天罰てきめん!』

「くっ……」

 光LP5600→5000

「更に『神聖なる魂』をリリースして、墓地から『光神テテュス』を特殊召喚です!」

 『光神テテュス』ATK2400

「シャルナ!」

『はいはいなっと!』

「痛っ……」

 光LP5000→4400

「そして魔法カード『強欲な壷』を発動です! デッキからカードを二枚ドロー! そしてテテュスの効果です! ドローした『反魂のスピリチュア』をオープンしてドローします!」

 私自身ではありますが、例によって今回のデュエルでは役に立たないかもしれません。

「更にドローした『光神機-轟龍』をオープンしてドロー!『究極時戒神セフィロン』をオープンしてドロー!『紫光の宣告者』をオープンしてドロー!『コーリング・ノヴァ』をオープンしてドロー!……これでドローは終了です」

 とりあえず、一番引きたかった宣告者は手に入れることができました。

「今度こそ……バトルです!『アテナ』で光お姉さんにダイレクトアタック!『ジャッジメント・レイ』!」

『それいけーっ!』

「させないわ。速攻魔法『終焉の焔』! 私のフィールド上に『黒焔トークン』を二体特殊召喚!」

 『黒焔トークン』DEF0×2

「くっ……ならそのトークンに攻撃です!」

 シャルナとテテュスの攻撃で、黒焔トークンは二体とも破壊されます。

「私は……カードを一枚セットしてターンエンドです」

 決められなかったです。光お姉さんの手札もフィールドも空なのに、どうしてでしょう。悪寒が止まりません。

「私のターン、ドローするわ」

 そして、光お姉さんがドローします。

「魔法カード『命削りの宝札』。デッキからカードを五枚ドローするわ」

「っ!」

 ここに来て、最悪のドローソースを引かれてしまいました。シャルナにしろテテュスにしろ、光お姉さん相手には、心もとない攻撃力しかありません。そして、ドローしたカードを見て、光お姉さんが笑います。まるで、そう。勝利を確信したかのような表情で。

「アテナ。貴女に私の、最強のカードを見せてあげるわ」

「最強のカード……」

 光お姉さんが持つカードの一枚が、強く光り輝いています。あれが、その最強のカード……?

「手札から速攻魔法『帝王の烈旋』を発動! このターン、私が行うリリースを一枚だけ、貴女のモンスターで行うことができるわ」

「リリースの肩代わり効果!?」

「そして手札の『バーサーク・デッド・ドラゴン』をコストに、『ハードアームドラゴン』を特殊召喚!」

 『ハードアームドラゴン』ATK1500

「そして、私の『ハードアームドラゴン』と貴女の場の『アテナ』をリリースすることで、手札から『The tyrant NEPTUNE』をアドバンス召喚するわ!」

『うぇっ!? あたし!?』

 そりゃそうでしょう。普通に考えて。

 『The tyrant NEPTUNE』ATK0

 光お姉さんのフィールドに現れたのは、巨大な鎌を持った、ワニのような、トカゲのようなモンスター。攻撃力はゼロですが……。

「『The tyrant NEPTUNE』の攻撃力・守備力は、このカードをアドバンス召喚するときにリリースしたモンスターの攻撃力、及び守備力の合計値分アップするわ!」

 『The tyrant NEPTUNE』ATK0→4100

「攻撃力、4100!?」

「更に、このカードのリリースになったモンスター一体の効果とカード名をコピーするわ。私は『アテナ』の効果をコピー!」

「シャルナの効果をコピー!?」

 それは、マズイです。果てしなくマズイです。だって、シャルナの効果……天使族が召喚されるたびにダメージを与える効果がコピーされたら……。

「わかってるみたいね。そう、これでアテナ。貴女が召喚出来る天使族は後一体よ」

「っ……!」

 私の残りライフは800……。シャルナの効果ダメージは600ですから、もうホントに後がない状態です。救いは、光お姉さんがどうやら天使族を持っていないところでしょうか……。

「そして『ハードアームドラゴン』をリリースしてアドバンス召喚されたモンスターは、カードの効果では破壊されないわ」

「破壊耐性まで!?」

 ただでさえ、普通では超えようのない攻撃力に加え、天使族が出せず、破壊耐性まで持つモンスター……本気で攻略方が思い浮かびません。

「さあ、バトルよ!『The tyrant NEPTUNE』で『光神テテュス』を攻撃!『Sickle(シクル) of(オブ) ruin(ルーイン)』!」

「っ……トラップカード『ガード・ブロック』! 戦闘ダメージを回避し、デッキからカードを一枚ドローします!」

「けど、テテュスは破壊させてもらうわ!」

「っ……!」

 ドローブースト役のテテュスが破壊されてしまい、これで私のフィールドはヴァルハラが残るのみとなってしまいました。ヴァルハラがあれば、天使族を出すことができますが……シャルナの効果があるので、無駄に出すわけには行きません。

「ターンエンドよ。さあ、アテナに私の『力』は超えられるかしら?」

「超えて、見せます! 私のターン、ドロー!」

 っ!? このカードは……。

「私はカードを二枚セット。モンスターを一体守備表示でセットし、ターンエンドです!」

「息を吹き返したわね。なにか、逆転の手でも見付かった? 私のターン、ドロー!」

 光お姉さんの切り札は私の予想以上でした。思えば、光お姉さんは結局『バーサーク・デッド・ドラゴン』こそ使いましたが、それ以外のエース……切り札は今の今まで一切見せることはありませんでした。

「なんにせよ、どんな罠も踏み潰してやるわ。この私の『The tyrant NEPTUNE』で! 魔法カード『大寒波』! 次の私のターンのスタンバイフェイズまで、お互いに魔法・罠の効果発動及びセットは出来ないわ!」

 それに比べ、私はアカデミアに入学した当初から、殆どデッキコンセプトも、切り札も変わっていません。希望さんは元より、光お姉さんにとっても、私の戦術なんて最早見慣れた、対処しやすいものでしかなかったのかもしれません。

「……でも、私は貫き通します。これは、セツと共に作ったデッキ。セツと私の、魂のデッキだから……トラップチェーン発動!『光の召集』! 私は手札を全て捨て、捨てた枚数まで、墓地の光属性モンスターを手札に加えます!」

 私の手札は四枚。その四枚分、私は墓地から光属性モンスターを手札に戻せます。そう。既に使った『オネスト』も。

「っしまった!?」

「私は墓地から『オネスト』と『アテナ』、それに『神聖なる魂』と『勝利の導き手フレイヤ』を手札に戻します!」

「くっ……私は自分で、魔法も罠も封じてしまった……?」

「魔法も罠もなしで、『オネスト』に対抗できますか!?」

「……それでも、そのモンスターさえ破壊してしまえば!『大寒波』の効果適用中は、ヴァルハラの効果も使えないわ!『The tyrant NEPTUNE』でセットモンスターに攻撃!『Sickle of ruin』!」

「無駄です! 私のセットモンスターは『ジェルエンデュオ』! 戦闘で破壊することは出来ません!」

 『ジェルエンデュオ』DEF0

「ぐっ……」

 光お姉さんはその一瞬確かに手札を確認しました。恐らく、手札に守備貫通効果を与えるカードがあったのでしょう。ですが、その発動を自ら『大寒波』によって阻害してしまった……。

「ターン、エンドよ」

「私の、ターンです!」

 ここで決めます! 私の力、全てをぶつけて!

「私は『ジェルエンデュオ』を二体分のリリースすることで『アテナ』をアドバンス召喚!」

『さっきはよくも生贄になんてしてくれたわね。倍にして返してやるわ!』

「くっ……天使族モンスターの召喚に成功したことにより、600ポイントのダメージを与えるわ」

「っ……!」

 アテナLP800→200

 これが……最後のダメージです!

「バトルします! シャルナで『The tyrant NEPTUNE』を攻撃!『ジャッジメント・レイ』!」

「……迎撃しなさい」

「手札から『オネスト』の効果発動! 手札から墓地に捨てることにより、相手モンスターの攻撃力分、シャルナの攻撃力をアップさせます!『オネスティ・ジャッジメント』!」

 『アテナ』ATK2600→6700

『おねーさん必殺っ! フルパワー・ジャッジメント!』

「ぐっ、あああああああっ!?」

 光LP4400→1800

「そしてメインフェイズ2に墓地の『勝利の導き手フレイヤ』と『コーリング・ノヴァ』をゲームから除外して、手札の『神聖なる魂』を特殊召喚します! シャルナ!」

『はいよ! 天罰てきめーん!』

「くぁ……っ!」

 光LP1800→1200

「そしてシャルナの効果で『神聖なる魂』をリリースし、墓地から私……『反魂のスピリチュア』を特殊召喚します! シャルナ!」

『最後はやっぱり、二人で決めるしかないわね! 天罰てきめん!』

「ぐぅ……!」

 光LP1200→600

「そして、『反魂のスピリチュア』の……私の効果です! 光お姉さんの墓地に存在する、闇属性モンスター一体をデッキに戻すことで、私の墓地から光属性モンスターを、効果を無効にして特殊召喚します! 私は『光神機-轟龍』を特殊召喚!」

 『光神機-轟龍』ATK2900

「そして……天使族モンスターの特殊召喚に成功したことにより、シャルナの効果が発動します! シャルナ、せーの……っ!」

『天罰っ!』

「てきめん!」

「私の、負け……ね」

 光LP600→0

 

 

 

 

 

「光お姉さん!」

「…………」

 ガクリと膝を付き、項垂れてしまった光お姉さんに駆け寄り、肩を揺すります。

「だ、大丈夫ですか!?」

「…………ええ」

 声をかけると、光お姉さんはしばらくして小さくそう呟きました。

「……負けたわ。ええ、完敗よ」

「光お姉さん……」

「……結局、こうなるのね」

 そう嘆くように天を仰ぐ光お姉さん。

「どうして……どうして光お姉さんみたいな人が、こんな……」

 こんなやり方をしたのでしょう。もちろん、全ての絵を描いたのは希望さんなんでしょうけど、光お姉さんは、ただ唯々諾々と希望さんに従っているイメージはなかったです。それこそ、自分の正義に則った生き方をしているようでした。

「私は……」

 だからこそ、疑問でした。もし希望さんが、人道にもとる手段をとったなら、光お姉さんはそれに反発すると思っていたのです。

「私はただ、希望に……」

 ですが、その答えは、私の予想もしていなかった言葉でした。

「希望に、生きていて欲しかっただけ。でも、結局全てはアイツの思い通り。カードは全て、セツの元に集まって……力になるわ」

「ど、どういうことです? 思い通り? 光お姉さんの敗北がですか?」

「…………」

 しかし、光お姉さんは、それ以上何も話してくれません。

「答えてください! どうして、どうしてタロットがセツの元に集まるのが希望さんの思い通りなんですか!? どうしてそれが、希望さんの生死に関わるんですか!?」

 普通に考えれば、有り得ません。有り得ないんですけど……。

「まさか……」

「……セツはただ、勝てばいいのよ。希望に。それで、全て上手くいくわ。希望に間違いはない。希望の思い描いた絵図は、希望の死……世界の終焉によって終息する。喜びなさい。アテナ。貴女たちの理想は、きっと叶う。でも、その理想は……」

「光お姉さん? 光お姉さん!」

 張り詰めていた糸が切れるように、光お姉さんが崩れ落ちます。その頬には、一筋の涙。

「……ごめん。希望。ごめん……私じゃ、貴方を救えない」

「救う? 死……? 一体、何が……」

「……世界は、救われる。セツ、貴方が勝とうが負けようが……全てはもう、決まっているのよ」

 最後にそれだけ呟いて、光お姉さんは気を失ってしまいました。

「どういう……ことなんですか」

 残された私には、なんのことかさっぱりわかりません。でも、これだけはわかります。

「セツのところに、行かなくちゃ……」

 私の聞いた全てを、話さなくちゃいけません。それは、もしかしたら私たちの考えを、根本からひっくり返すような、そんな劇薬かもしれません。

「でも……」

 光お姉さんのカード……『力』を手にし、私はセツのところに向かいます。

「このままじゃ、ダメです」

 このまま希望さんを倒して世界を救っても、確実に一人、幸せになれない人がいる。それだけでも、セツに伝えなくちゃ、いけないんです。

 

 

 

 

 

 

 








 壮絶な殴り合い、もとい力と力のぶつかり合いは、かろうじてアテナに軍配があがりました。いやー。光の切り札は決まってたし、アテナのデッキは動きとかカードをいい加減使い慣れてきたので、すんなり書けるかと思ってましたが、中々どうして苦戦しました。原因は、初期ライフの少なさ。4000じゃ足りねえよ! 少なくともアテナと光さんのデュエルに於いて、4000とか最初から風前の灯火と変わんねえし! 吹けば飛ぶレベルのライフでした。まあそもそもにして前話で六人まとめてワンキルするようなことしてるデッキで4000ライフでいい勝負しろってのが……(自業自得)。
 まあそれはそれとして、色々隠された真実がいくつか判明して参りました。これについての感想での返答は、基本しません。あと数話なので、それまでやきもきしつつお待ちください。
 それでは、悠でした!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。