ル「今回は、これ」
『決闘融合―バトル・フュージョン』
さ「融合モンスター版のオネスト……とも言えないんだよね」
ル「発動タイミングが限定されている」
さ「そう。攻撃宣言時にしか使えないから、オネストとかをダメージステップに挟まれると負けちゃうんだよね」
アルカナ~切り札の騎士~
第二期第十七話「進級試験~VSカイザー亮~」
さだめとのデュエルを終えた俺は、小休止とデッキの調整のために一度アテナたちの所に戻ってきた。どうやら十代たちも来ていたらしく、全員笑顔で迎えてくれた。
「セツ! お疲れ様でした!」
「危なかったね~」
「ヒヤヒヤさせんなアホ」
「しょうがないだろ。さだめ相手に圧勝なんてできるか」
いやまったく。ヒヤヒヤしたのは俺の方だ。
「いや~アルカナがやられちまった時はどうなるかと思ったぜ!」
「アルカナの効果の盲点を突かれたな。いや、それも想定済みだったのか?」
「ああ。さだめが『ダーク・アームド・ドラゴン』を使ってくる可能性は考えてあったからな。とはいえ、正直血の気が引いたよ」
「次はいよいよお兄さんッスね……」
「フン。コテンパンにされてくるといい」
「悪いな万丈目。そういうわけにもいかないんだ。あと翔。遠慮せず、亮さんを応援してくれていいからな」
心配そうにしている翔と相変わらずの万丈目にもいつも通り返す。
「しかし、思ったよりメタでもなかったじぇねえか」
「ああ、それはきっと……」
「メタのメタ張られてるってわかってるのにそのまま使うわけないじゃん」
剣士の疑問に答えようとした時に、横からさだめ本人が答えを明かした。
「さだめさん?」
「何そんなに驚いてるのアテナ」
「いえ、さだめさんがいつになく普通に登場したので……」
「平和でいいじゃないか」
「最初はお兄ちゃんの股の下から顔を出そうとしたんだけど……」
やめれ。
「まあ偶には普通に出ても良いかなって。ギャップ萌えを狙ってみた」
「戸惑っただけみたいだけど……」
「うん。やっぱり変態チックな方がお兄ちゃんの受けもいいみたいだね」
「さも俺が変態のように言うのはやめろ」
ったくコイツは……。
「まあいいや。アテナ、サイド貸してくれ」
「はい。これですね?」
「サンキュ。えーとこれをこうして……」
さだめ用に調整したデッキを亮さん用に調整し直す。
「お兄ちゃん、気負ってない?」
「?……ああ。俺はいつでも俺だよ」
多分、原作の十代みたいなことにならないか心配してくれているんだろう……ん? 原作の十代って……どうなったんだったか。
「どうしんたんですか?」
「あ……いや、なんでもない。俺は元々バリバリの頭脳派、研究派だからな。これでいつも通りだよ」
「まあさだめとやってた時も大丈夫そうだったし、心配ないかな」
「よしっ……と。これでいいかな。希冴姫」
「はい。セツ様」
「次も頼む。一応、軸はお前たちだから」
「いつ何時も、わたくしたちはセツ様のために動くことに躊躇いはありませんわ」
「ああ。頼りにしてるよ」
さて……休憩時間もあと少しだな……。
「セツ……」
「どうした、アテナ」
「勝て、ますか? また来年も、セツと一緒に勉強できますか?」
アテナ……。
「……相手はアカデミアのナンバーワンデュエリスト。カイザー亮。勝てる、と断言するには、あまりにも強すぎる相手だ」
引きの強さ。戦略の緻密さ。冷静に次の手を打つ戦術眼。どれをとってもナンバーワンの名を持つに相応しい。
「セツ君……」
けど……。
「負ける気は……ない!」
負けるつもりでデュエルするつもりなんてない。
「どうせならカイザーの名も、パーフェクトデュエリストの名も剥ぎ取ってやるつもりでやらせてもらう。そのつもりで俺は、亮さんの挑戦を受けたんだ」
「ま、負け戦と決まったわけじゃねぇ。勝機はどっかに転がってんだろ」
「そうですよ! セツならきっとパーフェクトを超えられます!」
アテナたちの声援に後押しされ、俺は亮さんの待つデュエルステージへと登った。
「……もういいのか? まだ休憩時間は残っているが?」
「あんまり休憩が長いと中弛みしちゃいますから。調整も終わったし、心強い声援も貰いましたしね」
折角さだめにも勝ち、調子は良好な状態だ。下手に間をおいて気分を途切れさせる必要もない。
「お前も、良い仲間を持ったな」
「ええ。最高ですよ」
本当に、最高の友人だ。
「さて、それじゃあ亮さん。アカデミア卒業の前に、経歴に泥をつけさせて貰いますね」
「面白い。俺も、お前をここで留年させてみるとしようか」
互いに軽口をたたき合い、デュエルディスクを構える。
「クロノス先生! こっちはもう準備完了ですよ」
「マンマミーヤ!? 早いノ~ネ、まだ休憩時間中なノ~ネ!」
「まあまあ、いいではないですか。当人たちが大丈夫というのなら」
「鮫島校長……」
どっちかというと、自分が休憩したいだけだったっぽいクロノス教諭に、鮫島校長が助け船を出してくれる。
「ってことで、始めましょうか。亮さん」
「ああ。来い、セツ!」
「「デュエル!!」」
セツLP4000
カイザー亮LP4000
「先攻後攻は?」
「どちらでも」
「んじゃ、先攻貰います」
亮さんのデッキは後攻有利。そんなことは百も承知だが、正直俺のデッキが完全に先攻型のデッキだからな。相手に合わせるより、自分のやりやすいようにさせてもらう。
「俺のターン! ドロー! 俺は手札から装備魔法『未来融合―フューチャー・フュージョン』を発動! デッキから『切り札の騎士―クィーン』『切り札の騎士―キング』『切り札の騎士―ジャック』の三体を墓地に送り、融合デッキから『アルカナ ナイトジョーカー』を攻撃表示で融合召喚! カードを二枚セット。ターンエンド!」
『アルカナ ナイトジョーカー』ATK3800
会場がザワつく。一ターン目からの『アルカナ ナイトジョーカー』。それも手札の使用枚数はたったの一枚。
「……やるなセツ。お前も、前以上にアルカナを使いこなしている」
「この一年、色んなことがありましたから。騎士たちとの絆は、どこまでも強く深く結ばれていますよ」
「そうか。では、俺も手を抜いては居られないな。俺のターン! ドロー!」
亮さんの手札に、すでに『サイバー・ドラゴン』はあるのだろうか。現実的に考えればあるはずがないが……相手はカイザー亮。どんな手で来ても不思議ではない。
「俺は魔法カード『融合』を発動! 手札の『サイバー・ドラゴン』三体を墓地に送り、来い『サイバー・エンド・ドラゴン』!」
『サイバー・エンド・ドラゴン』ATK4000
「っ!」
ホントに居やがった!
「行くぞセツ!『サイバー・エンド・ドラゴン』で、『アルカナ ナイトジョーカー』を攻撃!『エターナル・エヴォリューション・バースト』!」
「アルカナ! ぐあああっ!?」
セツLP4000→3800
アルカナがあっさりと倒される。相変わらずの火力。だが!
「リバースカードオープン!『アルカナソード クローバー』の効果を発動! 自分フィールド上の『アルカナ ナイトジョーカー』か、切り札の騎士と名のついたモンスターが破壊され、墓地に送られた時、破壊されたモンスター以外の該当モンスターを墓地から特殊召喚してこのカードを装備する! 戻って来い! 希冴姫!」
『わたくしたちの結束は破れません!』
「『アルカナソード クローバー』が装備されたモンスターの攻撃力は700ポイントアップする! その代わり、このカードが破壊された時、装備モンスターも破壊されるんですけどね」
『切り札の騎士―クィーン』ATK1500→2200
「エースモンスターが倒されても次に繋げるか……」
「当然! 負けても次に勝てばいい! 諦めたらそこで試合終了ですよ!」
「フ……俺はカードを一枚セット。ターンを終了する」
「俺のターン! ドロー!」
手札を確認する。手札は四枚。ここから勝利に繋がるタクティクスを組み上げる!
「手札から魔法カード『死者蘇生』を発動!」
「アルカナか……」
「いいえ! 俺が蘇生するのは『切り札の騎士―キング』! 戻って来いキング!」
『ほ。年寄り遣いが荒いのぅ』
『切り札の騎士―キング』ATK1600
「キングの効果により、デッキから『切り札の騎士―ジャック』を特殊召喚!」
『切り札の騎士―ジャック』ATK1900
「再び三銃士を揃えてきたか……」
「手札から魔法カード『融合』を発動! フィールド上の三銃士を墓地に送り、もう一度力を貸してくれ!『アルカナ ナイトジョーカー』!」
『はぁ!』
『アルカナ ナイトジョーカー』ATK3800
「装備魔法『アルカナソード ダイヤ』を『アルカナ ナイトジョーカー』に装備! 攻撃力300ポイントアップ!」
『アルカナ ナイトジョーカー』ATK3800→4100
「サイバー・エンドの攻撃力を上回ったか……!」
「バトルだ! アルカナでサイバー・エンドを攻撃!『ジュエル・フラッシュ・ソード』!」
アルカナのもつ宝石剣が『サイバー・エンド・ドラゴン』を切り裂く。
「ぐぅ!」
カイザー亮LP4000→3900
「『アルカナソード ダイヤ』の効果発動! このカードを装備したモンスターが相手モンスターを戦闘によって破壊した時、俺はデッキからカードを一枚ドローする!」
「すぐさま手札補充……やはり、俺とお前はどこか似ている……」
「いいや違うよ亮さん! あんたが|完璧(パーフェクト)なら俺は……|無敵(イージス)だ!」
「そしてさだめは|自由(フリーダム)!」
「え、|運命(ディスティニー)じゃないんですか?」
「……さだめちゃんは|自由(フリーダム)でいいんじゃないかな~? やりたい放題だし」
「つか、セツも含めてお前らこんな時にネタに走ってんじゃねえよ……」
「その辺りがお兄ちゃんの凄いところだよ」
「気負うことなくいつでも自然にネタを絡ませてきますからね」
「……それは、いいことなのか?」
「面白い。ならお前の無敵のタクティクス、見せてもらおうか!」
「望むところ! カードを二枚セットしてターンエンド!」
「俺のターン! ドロー! 俺は魔法カード『命削りの宝札』を発動! デッキから手札が五枚になるようにドローする!」
手札補充……初手から揃い過ぎてるとすぐに手札が尽きる。その場合やキーカードを手札に加えるための手札補充カードはコンボデッキではほぼ必須。
「魔法カード『パワー・ボンド』を発動!」
「っやば……」
今の俺に『パワー・ボンド』をカウンターできるカードはない。しかし、亮さんだって『パワー・ボンド』で素材にできるモンスターは……あのカードか!
「手札から『サイバネティック・フュージョン・サポート』を発動! ライフを半分支払い、このカードを機械族融合モンスターの融合素材の代わりとすることができる!」
亮LP3900→1950
まさかこんな序盤に高コストのそのカードを使ってくるとは……。決めに来るつもりか!?
「真のサイバー・エンドを見せてやろう……『サイバー・エンド・ドラゴン』!」
『サイバー・エンド・ドラゴン』ATK8000
攻撃力8000の貫通効果持ちモンスター。やはり、圧巻だ。
「これで終わりだ!『サイバー・エンド・ドラゴン』で『アルカナ ナイトジョーカー』を攻撃!『エターナル・エヴォリューション・バースト』!」
「まだだ! リバースカードオープン!『ガード・ブロック』! 戦闘ダメージを無効にし、デッキからカードを一枚ドローする!」
「だが、アルカナには消えてもらう!」
アルカナが、サイバー・エンドの放つ熱線に焼き尽くされる。
「『アルカナソード ダイヤ』の効果発動! 装備モンスターが戦闘によって破壊された場合、デッキからカードを一枚ドローする!」
「更にドロー加速か……俺は『サイバー・ジラフ』を攻撃表示で召喚! このカードをリリースして効果発動! このターン終了まで戦闘以外によるダメージを無効化する!」
「そう来ると思ってましたよ! カウンタートラップ発動!『天罰』! 手札から『冥幼竜ヴァーミリオン』を捨てて効果発動! 効果モンスターの効果を無効化して破壊する!」
「何っ!?」
「まだです! 効果モンスターの効果をカウンターしたことによって手札の『冥王竜ヴァンダルギオン』第三の効果が起動! このカードを特殊召喚し、墓地に存在するモンスターを一体特殊召喚する! 今再び蘇れ!『アルカナ ナイトジョーカー』!」
『冥王竜ヴァンダルギオン』ATK2800
『アルカナ ナイトジョーカー』ATK3800
「セツのデッキ、エースの揃い踏みか……」
「それだけじゃない。『サイバー・ジラフ』の効果を無効にしたことで、亮さんには『パワー・ボンド』のデメリット効果、融合召喚したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受けてもらいます!」
これが通れば勝ちだ!
「……そう簡単に俺が負けると思うか? 俺はカウンタートラップ『ダメージ・ポラリライザー』を発動! このターンカードの効果によるダメージをゼロにする!」
やっぱり、そう簡単には行かないな。
「『ダメージ・ポラリライザー』の効果で、お互いにカードを一枚ドローする! カードをドロー!」
「俺も、カードをドロー!」
「俺はカードを二枚セットし、ターンを終了する」
「…………すごい」
「お互い、超重量級の融合モンスターを自由自在に操ってる」
「……フィールド上のモンスターの平均攻撃力がどうかしてるぜ」
「ヴァンダルギオンの2800が最低ですか……」
「けど、未だカイザー亮さんのフィールドには攻撃力8000の『サイバー・エンド・ドラゴン』だよ……セツ君、大丈夫かな」
「大丈夫です。セツの手札はありますし、何よりセツの眼は死んでません!」
「ありゃ、完全に勝つ気満々って顔だな。突破口を見つけたか……ただ油断してるだけか」
突破口であればいい。だがそれがもし油断であるのなら……。
「……いや、あいつに限ってそりゃねえか」
基本的に慎重すぎるくらいのプレイングをすることが多いセツだ。この大事な一戦で、油断などする男ではない。
「俺のターン、ドロー!」
手札は三枚。更に……。
「墓地の『冥幼竜ヴァーミリオン』の効果発動! このカードがカウンター罠の効果によって墓地に置かれている場合、スタンバイフェイズ時に手札に戻す!」
『きゃうー!』
墓地から戻ってきたヴァーミリオンが俺に纏わりついてくる。
……ええい鬱陶しい!
「ミーちゃんです! 可愛いです!」
「ミーちゃんって……あのヴァーミリオンのこと?」
「はい! ミーちゃんです!」
「略すなら普通リオンとかじゃない? ほら、そっちのほうがかっこいいよ」
「ミーちゃんは可愛いんです!」
「わたしはミリーちゃん、っていうのもいいと思うなぁ~」
「あ、それも可愛いです!」
「ヴァーミリオンってオスなんじゃない? 息子でしょ?」
「可愛さに性別は関係ありません!」
「ダメだ……こいつらと一緒に見てると緊張感がまるでねえ」
「更に魔法カード『貪欲な壺』の効果を発動! 墓地の『切り札の騎士―クィーン』『切り札の騎士―キング』『切り札の騎士―ジャック』を二枚と『アルカナ ナイトジョーカー』一枚をデッキに戻してシャッフル。デッキからカードを二枚ドローする!」
これで手札は五枚!
「まだだ! 更に魔法カード『強欲な壺』! カードを二枚ドローする!」
六枚! 仕掛ける!
「亮さん、このターンで決着をつけます!」
「! 馬鹿な……この俺相手にワンターンで決着をつけるつもりか!」
「速攻魔法『トラップ・ブースター』! 手札を一枚捨てることで、手札からトラップカードを発動させることができる! 俺は『切り札の騎士―テンス』を墓地に送る!」
『勝て……セツ!』
すまんテンス。お前のことも、またコストに使ってしまう……。
『俺のことは気にするな。お前は……勝利を見据えて進め!』
ああ! 必ず勝つ!
「バトルフェイズ!『アルカナ ナイトジョーカー』で『サイバー・エンド・ドラゴン』を攻撃!『ロイヤル・ストレート・スラッシュ』!」
「馬鹿な。サイバー・エンドの攻撃力は8000! お前のアルカナでも遠く及ばないぞ!」
「わかってますよ。速攻魔法『決闘融合―バトル・フュージョン』!『サイバー・エンド・ドラゴン』の攻撃力をアルカナに加える!」
アルカナの攻撃力が増大し、11800まで上がる。
「まだ甘い! 俺はダメージステップに速攻魔法『リミッター解除』を発動!」
そしてその上を行く『サイバー・エンド・ドラゴン』の攻撃力は16000。力が更に漲る。
「そのくらい、予想してないわけがないでしょう! リバースカードオープン! カウンター罠『マジック・ドレイン』!『リミッター解除』を無効にする!」
「やるな……だが、俺の『サイバー・エンド・ドラゴン』は光属性だということを忘れたか!?『オネスト』!」
「っ!」
サイバー・エンドの背に光の翼。攻撃力19800。
「俺の……勝ちだ! セツ!」
「……俺が何故、『トラップ・ブースター』を使ったと思います?」
「……なに?」
「手札からカウンター罠『天罰』を発動! 手札から『冥幼竜ヴァーミリオン』を墓地に捨てて亮さんの『オネスト』の効果を無効化します!」
『きゅ!』
ヴァーミリオンがその身を光に変え、『サイバー・エンド・ドラゴン』の翼を消し去る。
「……俺を、|完璧(パーフェクト)を超えるか……!」
「驕ってんじゃねえよ!」
「!!」
「貴方はまだ、|限界(パーフェクト)なんかじゃない! 俺も……貴方も、もっと高みへ行ける筈だ! 勝手に限界を決めるな! カイザー!」
「セツ……」
「それは驕りだ! どんなに強くなったって|、限界(パーフェクト)なんかには至らない! 誰が何と言おうとも、あんたも俺もまだまだ発展途上なんだ!」
「フ……そうか。そうかも……しれないな」
「行け!『アルカナ ナイトジョーカー』! その剣を以て『サイバー・エンド・ドラゴン』と共に……亮さんの未来も切り開いてやれ!『ロイヤル・ストレート・スラッシュ』!」
『はぁぁあっ!』
「ぐおおおおおおおおっ!?」
亮LP1950→0
「ポカーン……なノ~ネ」
「まさか……カイザーに勝ってしまうとは……」
クロノス先生や校長先生が呆然と呟いています。
正直、私たちも同じ気持ちです。セツならきっと勝ってくれる。そう信じてはいましたが……それでも、実際に、本当に勝ってしまうと驚きが隠せません。
「…………やりやがった」
「うわ……え、いいのこれ? お兄ちゃん……」
さだめさんは何か別の方向で戸惑っているような雰囲気を感じます。
「セツ君……すごいよ~!」
加藤さんがパチパチと拍手するのを皮切りに、会場の歓声が爆発しました。
「すっげー! セツの奴、あのカイザーに勝っちまった!」
「これは……凄まじいデュエルだったわ」
「いやはや……どうやらセツ君を侮っていたかな?」
「馬鹿な!? くぅ、この万丈目サンダー様を差し置いて先にカイザーに黒星をつけるとは……」
「最後の最後、ダメージステップ時であってもカウンター罠は発動可能というところを見事に活用した素晴らしいコンボだった。カイザーのタクティクスと併せて、非常に参考になるデュエルだったな」
「お兄さん、大丈夫かな……?」
翔さんが負けてしまったお兄さんを心配しています。確かにすごいデュエルでしたし、心配になる気持ちもわかります。とりあえず私たちはみんなでセツたちの方へと向かうことにしました。
「……亮さん」
「……俺がお前とのデュエルを望んだのは、お前が十代とは逆で、俺と完全に同じタイプのデュエリストだったからだ」
俺も亮さんも、タクティクスを重視し、相手の出方を見つつどんな状況にも対応できるようにデッキを組むタイプのデュエリストだ。
「だからこそ、十代とは別の意味で、お前ともデュエルがしたかった。純粋に、お互いどちらが上かを見たかった。……もしかしたら、こうして俺の|限界(パーフェクト)を否定して欲しかったのかもしれないな」
「……俺も、まだまだ未熟です。今回勝てたのだって、幸運が大きく作用していることを否定できません。次やれば、手も足も出ずに負けてしまうかもしれませんし、逆に圧勝出来るかもしれません。運の要素が強く絡んで、毎回どうなるかわからないから……デュエルって楽しいんですよ」
「……そうだな。俺とお前は似ているが……やはり違うようだ。どこまでもタクティクスに固執してるかと思えば、最後には運に頼るような暴挙にも出る。俺には出来ないデュエルだ」
「できますよ。それに、俺は中途半端なだけです。どうしようもなくなったら神様に祈ることしかできない、半端者です」
「だが、お前はこうして勝利を掴んだ。それが結果だ」
「結果なんか後から勝手についてくるんです。デュエル中はただ楽しめばいい」
「……お前に負けることができて、良かったよ」
「光栄です」
今度デュエルする十代には気の毒だが、亮さんはこれでまた強くなってくれるだろう。願わくば……プロになってからも、負けることを怖がらないで欲しい。
「……しかし、お前たち兄妹には負け通しになってしまったな」
「へ? 兄妹?」
「聞いていないのか? 俺は以前の三幻魔事件の折、お前の妹に為す術なく敗れている。メタデッキではあったが……負けは負けだ」
あ、あー……そう言えばそんなことになってたんだっけ……。あいつはまったく……。
「ともかく、こうして見事に俺たちを打ち破ったんだ。お前は文句なしで進級できるだろう」
「あ……そう言えばこれ、進級試験でしたっけ」
「……忘れていたのか?」
亮さんの呆れたような視線が痛い。
「いや、俺って何かに集中してると他のこと忘れちゃうみたいで……」
デュエルに集中し過ぎてそんな大事なことをすっぱり忘れていた。
「まったく……器用なようで不器用な奴だ」
「はは……さだめからもよく言われます」
俺たちの間で笑いが漏れる。こちらに駆け寄ってくるアテナたちに手を振って、俺はなんとか進級への切符を手にすることができたことを喜ぶのだった。
今回のオリカ紹介。
・『冥幼竜ヴァーミリオン』 星4 闇属性 ドラゴン族 攻/守 700/250
・効果
(1)カウンター罠のコストとして墓地に送られたこのカードが自分のスタンバイフェイズに墓地に存在する場合、墓地のこのカードを手札に加える。
・『アルカナソード クローバー』 通常罠カード
・効果
自分フィールド上の『アルカナ ナイトジョーカー』か、切り札の騎士と名のついたモンスターが破壊され、墓地に送られた場合墓地から破壊されたモンスターとは別の上記のモンスターを一体選択して特殊召喚し、このカードを装備カード扱いで装備する。
このカードを装備したモンスターの攻撃力は700ポイントアップする。装備モンスターが破壊された場合、このカードを破壊する。装備されたこのカードが破壊された場合、装備モンスターを破壊する。
・『アルカナソード ダイヤ』 装備魔法カード
・効果
『アルカナ ナイトジョーカー』か、切り札の騎士と名のついたモンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップし、装備モンスターが相手モンスターを戦闘によって破壊した場合、自分はデッキからカードを一枚ドローする。装備モンスターが戦闘によって破壊され、墓地に送られた場合自分はデッキからカードを一枚ドローする。
今回使用された未来融合とサイバネティックフュージョンサポートは原作効果です。ご理解ください。
それでは、悠でした!