アルカナ~切り札の騎士~   作:西本 悠

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さ「な~っにっかな~な~っにっかな?」
ル「今回は、これ」
『バイサー・ショック』
さ「攻撃力800の上級モンスターで、さだめの好きな拷問モンスターの一体だよ!」
ル「嬉しそう?」
さ「そりゃーフェイバリットの一体だからね! 戦闘力こそないけど、出しやすくて効果は優秀! あらゆる召喚で、セットされたカードを全て手札に戻す強力なバウンス効果持ち!」
ル「けど、表側表示には干渉出来ない」
さ「そうだけど、モノは考えようだよ。これを出せば、伏せカードを気にせずに攻撃出来るんだし、表側表示の強力モンスターは他のカードに任せればいいの!」


第三期第三話「盤面の世界で」

アルカナ~切り札の騎士~

第三期第三話「盤面の世界で」

 

 

 

 

「それじゃあ先攻は新入生の水原さんに譲るよ」

「……確か御堂さんも新入生ですよね?」

「おっと、そうだったね。何かさだめの場合新入生らしさが自分で感じられなくて」

 何しろ前年度から散々俺らの教室に忍び込んでいたからな。いや、むしろ堂々とふんぞり返っていたと言ってもいい。

「では……私のターン、ドロー! 速攻魔法『終焉の焔』発動します」

「へ?」

 あー……。

「……何か問題でも?」

 ちょっと向こうも困惑しているらしいので補足説明を入れてやる。

「その『終焉の焔』は使用したターンにモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚が封じられる。折角速攻魔法なんだから、セットして相手ターンのエンドフェイズ時に発動するのが基本になる。どうせ自分のターンに発動するなら『迷える仔羊』でいいわけだし」

「あ、そうでしたか。すみません。ありがとうございます」

 プレイングに難あり、だったか? というよりそもそもデュエルに慣れてないというか……なんかぎこちないな。

「では、二体の『黒焔トークン』をリリースしてモンスターをセットします」

 お、上手い。確かにセットなら可能だな。とはいえ、半端な守備力のモンスターなら下級モンスターにも勝てないが。

「ターン終了します」

「さだめのターン、ドロー! さだめは手札から魔法カード『デビルズ・サンクチュアリ』を発動!『メタルデビル・トークン』を一体特殊召喚するよ!」

「ん? もしかしてさだめ、それ普通に悪魔デッキなのか?」

「ううん。でもいつものダークとは違うんだけどね」

 とはいえ、これでさだめのフィールドにも上級を召喚するチャンスが出来た。『デビルズ・サンクチュアリ』ならモンスターの召喚を阻害しない。

「さだめは『メタルデビル・トークン』をリリースして『バイサー・ショック』を攻撃表示で召喚!」

 『バイサー・ショック』ATK800

 げっ……アイツまさか……。

「『バイサー・ショック』のモンスター効果発動! このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、フィールド上の全てのセットされたカードを手札に戻す!」

「っ!」

 凛のセットした最上級モンスターが手札に戻される。これで凛のフィールドは空。

「バトルフェイズ!『バイサー・ショック』でプレイヤーにダイレクトアタック! 『処刑攻撃』!」

 ……その攻撃名はなんとかならんのか。拷問はどうした。

「え? ぅひぁっ!? きゃああああああっ!?」

 ガシャンガチャンと自分の体が拘束されていく様に凛のクールフェイスが一瞬崩れる。っていうか……。

「うわ、ちょ! さだめ、待て! 流石に絵面的にまずい!」

 闇のゲームじゃないから実際にダメージがあるわけじゃあないんだろうが、それでもあれは酷い。少なくとも人様の……じゃない。売れっ子アイドルに対して行う攻撃方法じゃない!

「う……だ、大丈夫です。すこし、驚いただけですから」

 凛LP4000→3200

 とりあえず問題なさそうで一安心。しかし、やはり絵的にどうかと……。

「くふっ……たーのしっ」

 こらこら。

「そもそもなんでまたそんな拷問カードを……」

 十中八九趣味なんだろうが。

「さだめはカードを一枚セットしてターンエンドだよ」

「私のターン、ドロー!……ぇと……『ゴブリンエリート部隊』を攻撃表示で召喚。バトルフェイズ」

 『ゴブリンエリート部隊』ATK2200

 ふむ……。

「『ゴブリンエリート部隊』で『バイサー・ショック』を攻撃」

「トラップ発動!『和睦の使者』! このターンさだめのモンスターは戦闘によっては破壊されず、戦闘ダメージも無効になるよ!」

「……ターンエンドします」

「……ん?」

「え、どうしました?」

「いや『ゴブリンエリート部隊』の効果処理忘れてるよー」

「あ……すみません。『ゴブリンエリート部隊』を守備表示に変更し、ターンを終了します」

 『ゴブリンエリート部隊』DEF1500

「じゃあさだめのターンね。ドロー!……んー」

 やっぱりなんかさだめのやつも調子悪そうだな。

「さだめは『終末の騎士』を攻撃表示で召喚! 効果でデッキから『儀式魔人リリーサー』を墓地に送るよ!」

 『終末の騎士』ATK1400

 儀式魔人!? もしかしてあいつ……真中希望に渡されたってカードか!

「更に手札から儀式魔法『奈落との契約』発動! 墓地の『儀式魔人リリーサー』とフィールドの『バイサー・ショック』をリリースして手札から『闇の支配者―ゾーク』を儀式召喚!」

 『闇の支配者―ゾーク』ATK2700

「墓地から儀式召喚!?」

「儀式魔人は墓地から儀式召喚のためのリリースとして除外することができる。更にリリーサーの特殊効果発動! リリーサーを儀式の贄としてリリースした儀式モンスターがフィールド上に表側表示で存在している限り、貴女は特殊召喚を行うことができないよ!」

 こいつのために『バイサー・ショック』入れてたのか……。フェイバリットでもあるわけだしな……。

「効果発動するよ!」

 『闇の支配者―ゾーク』の効果は強烈。凛のフィールドにモンスターが一体しかいないこの状況なら……。

「さだめの勝率は六分の五! さあ、ダイスロール!」

 さだめは意気揚々とサイコロを転がす。

 ゾークはダイスで一か二が出れば相手モンスターを全て破壊する『サンダー・ボルト』となり、三・四・五なら相手モンスター一体を破壊。そして……。

「……六。えー……」

 六なら、自分フィールドのモンスターを全破壊。

 orz←さだめ。どうもさだめばっかり落ち込んでいる気がする。

「ひ、酷い不運……さだめの幸運ランクはEランクにちがいないよ……」

 ともかく、これでさだめの場はゼロ。手札も一枚のみ。

「た、ターンエンド……」

「は、はい。私のターン。ドロー!」

 流石にあちらさんも困惑している。まあもう「勝った!」とばかりに得意げな顔でサイコロ振って結果壮絶な自滅だしなぁ……。

「私は『ゴブリンエリート部隊』をリリースして『偉大魔獣ガーセット』を攻撃表示でアドバンス召喚します」

 『偉大魔獣ガーセット』ATK4400

 あー……『偉大魔獣ガーセット』はリリースしたモンスターの攻撃力を倍にした攻撃力を得る。デメリットアタッカー故の高い攻撃力を持つ『ゴブリンエリート部隊』はリリースとしては妥当な判断だ。

「『偉大魔獣ガーセット』でプレイヤーにダイレクトアタック!」

「うきゃあ!?」

 さだめLP4000→0

 ……いや、負けんなよさだめ。

 

 

 

「うぅー負けたー」

「この流れで負けるか? 普通」

「思い切り上から目線で始めといて壮絶な自爆。何と言うか……さだめ」

「お兄ちゃんがすっごい憐れむような眼をしてる!?」

「最後の自爆は……まあともかくとして」

「なかったことにされた!?」

「お前にしては珍しいデッキ使ってたな」

「いや……ちょっと調子乗って未調整のデッキ使ってみたら……」

 おいおい……。

「お前、それは失礼だろ……」

「あっちだっておんなじようなもんだし、良いじゃん別に」

「え……」

「そりゃそうだが、それでも手加減するのは違うだろ。マジメにやれ」

「あの……」

「いや、真面目にやってはいるよ。っていうか、ミスしたり効果把握してなかったりする割に引きはいいんだよねぇ……」

「その……」

「おい馬鹿兄妹。対戦相手が困惑してるぞ。反応してやれ」

 おっと。そうだった。

「どうした。凛」

「いえ……何故その……私が本気ではない、と?」

 ん? そんなことか?

「あれだけプレイミスしてればな。プレイングに難あり……っていうかそもそもその悪魔デッキを使い慣れてないとしか思えないミスだったし」

「それにさっきデュエル始める時、もう一つのデッキに触ってたでしょ? あっちがホントのメインデッキなんじゃない?」

 メディアでは悪魔を使ってるって話だったから、リアルではむしろ殆ど使わないのだろう。というか……。

「悪魔族嫌いでしょ。水原さん」

 身も蓋もないさだめの言葉に一瞬息を詰まらせた凛だったが、やがてポツポツと語り始めた。

「嫌い……というか、苦手……でしょうか」

 聞けば、この悪魔族デッキは事務所から渡されて渋々使っているだけだそうで。本来の凛は別のデッキを使うのだという話だ。

「なるほど……キャラ作りって奴か」

「胸糞悪ぃな……まあそういうもんなんだろうが……」

「ちなみにメインデッキの方はどんなデッキを使っているんだ?」

 俺が尋ねると、凛はこれです、と自分のもう一つのデッキケースからデッキを取り出した。

「私は水属性デッキを主に使用しています。あの……」

「ん? なんだ?」

「……いえ、なんでもありません。それではこの辺で失礼させて貰います。御指導、ありがとうございました」

「負けたけどな」

「お兄ちゃん……もう言わないで~」

 相変わらず打たれ弱い……。

 最後にちらりと剣士の方を一瞥し、凛はさっさと教室へと戻って行った。どうも剣士が気になるようだった。

「で、お前の使ってたデッキなんだが……」

「うん。悪魔族の儀式モンスター中心のデッキだよ。採用してるのはゾークと『終焉の王デミス』『破滅の魔王ガーランドルフ』『サクリファイス』の四種類。ルインと一緒に組んでたんだけど……さだめ、儀式モンスターデッキなんて組んだことなかったからどうも勝手がわからなくて」

 んー……そうだな。

「まず、四種類は多すぎるんじゃないか? 儀式はただでさえコストパフォーマンスが悪いし事故率も高いんだ。二種類くらいにしておいた方がいい」

「デミスゾークみたいにすればいいかな?」

「そうだな。だが敢えてその二体を使わずに『儀式の準備』を採用するのもありだと思う」

「うーん……やっぱりそういうのはお兄ちゃんの方が上手いね。後で手伝って」

「了解した。……で、剣士はどうした? なんかまた浮かない顔してるけど」

「……大したことじゃねえよ。ただ、どーもどっかで見たことある気がするんだよな。水原のこと」

「テレビじゃなくてか?」

 凛はアイドルなのだからそういうことがあってもおかしくはないだろう。尤も、向こうも剣士に興味を示していたようだからどちらかというと……。

「いや、もっと昔だ。多分な」

「……典型的なラブコメ展開の序章が始まったよお兄ちゃん」

「当人が居る前で堂々とそういう発言できるお前の感性の鈍さには感動すら覚えるわ」

 当然褒めちゃいないが。

「なら、今度あった時にでも聞いてみるんだな。向こうも意味あり気にお前のこと見てたし、何かあるかもしれない」

「……いや、別に良い。んな安っぽいナンパ染みたことできるか」

 まあ確かに『キミとオレ、いつかどっかで会ったことない?』とか聞くのは安いな。古いな。陳腐だな。

「別にナンパってわけじゃないんだから気にしなくてもいいだろうに」

 それに、真中希望の言葉を信じるならば、あの水原凛もイレギュラーの可能性が高い。当然剣士もだ。ならその二人に関わりができるのは今後の展開に於けるメリットになるはずだ。

「ま、そんなものなくても純粋に友達を増やそうぜって感じでいいだろう」

「……オレがそんな社交的なキャラに見えるか?」

「甘いな。生せば生る。成さねば生らぬ。何事も。生らぬは人の生さぬ生りけり、だ。お前だって、友達が増えて困ることはないだろう?」

「そりゃそうだけどよ……」

「黙ってるだけでは何もならんぞ。アテナは特殊だ。特に何にもしなくても友達になってくれたアテナはな」

 ……今思えば、俺も特に何かしたわけじゃないのにアテナに告白されてるんだよな。アテナは基本的に唐突。しかも行動力あり過ぎ。

「……はぁ。わぁったよ。その内適当な時にでも聞いてみる。それでいいだろ?」

「お前がいいなら、いいんだろ?」

「……くっそ、いつかお前に口で勝ってやる」

「いつでも来い」

 ただし、俺は強いぞ。何度さだめの襲撃を口八丁で潜りぬけてきたことか。こちとら命と貞操かかってますから。

 ちっ! と一つ舌打ちして去っていく剣士を見て、もうちょい口調とか柔らかくするだけで大分違うだろうになぁ、と思う。

「……あの二人、どうなるかな?」

 少しワクワクしたような表情で聞いてくるさだめ。なんだかんだで、自分に関わりのない恋愛話なら、普通の女子と同じように興味津々なんだな。

「さあな。けど、どうも面白いことにはなりそうだ」

「根拠は?」

「ベッタベタなラブコメ展開だって、お前が言っただろ?」

「でも、現実だしさ」

「……そうなんだがな。気に食わないことに、真中希望の言うイレギュラーって奴がある。その繋がりを考えると、色々と仕組まれているような気すらする」

「アテナのこと?」

「だけじゃない。ルインの過去にも関わりのある謎の男。極自然な流れでアテナと交友を持った剣士。その剣士と繋がりのありそうな新入生……笑えない繋がりだろう?」

「……そうだね。お兄ちゃんとルイン、二人の花嫁疑惑といい、出来過ぎな感はあるね」

「一度、剣士や凛に真中希望のことについて聞いてみた方が良いな。そこでも何か繋がりがあれば、もう間違いないだろ」

 まるでパズルだ。或いは、よく出来たチェスの盤面か。意図的に整えられたような、気味の悪い機能美すら感じる。

「相変わらず、お兄ちゃんは頭が回るね。さだめには無理」

「そんなこたない。お前は俺にばっかり意識が向き過ぎているから周りに目がいかないだけだ。お前は俺以上に凄いよ」

「お兄ちゃん以外に目を向ける気がないさだめには、何の意味もないけどね」

 まったくコイツは……。

「さて、とりあえずお前のデッキ構築をしようか。部屋でいいだろう?」

「もちろん! あ、それとルインも一緒にお願いお兄ちゃん。ルインも、さだめと一緒に儀式魔人をデッキに組み込んでいる筈だから」

 さだめのその提案に、俺は思わず目を丸くした。

「珍しいな。お前が俺と二人きりになれる機会を自ら逃すなんて」

「う……それを言われるとすっごく勿体なく感じるけど……さだめだって、デッキ構築くらいは真面目にやるもん」

「そっか。それならいい。大歓迎だ」

「……それもなんか釈然としない」

「お前と二人きりを心から歓迎するには、俺はまだ人生経験が足りないからな」

 尤も、自惚れかもしれないが、さだめへの耐性で言えば俺に匹敵する人生経験持ちは早々いないだろうが。

 その後も、何かと纏わりついてくるさだめをいつものように躱しつつ、俺たちはレッド寮まで戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

『ぐ……馬鹿な……』

 パーフェクト。『終焉の精霊』はまともにカードをプレイすることもできずにそのライフを散らした。

「私の勝ちです。消えてください。欠片」

『おのれ……だが我らをいくら消そうとも、我ら終焉に終わりはない……』

「ならば永遠に、無限に砕き続けるのみです」

『ぐ、おおおおおおっ!』

 『終焉の精霊』はその体を周囲の闇に溶け込ませるように崩れて消えてしまう。私はそれを確認し、ずっと張りつめていた気を緩ませ、一息吐いた。

「これで、五体目……」

 『終焉の精霊』が言ったように、いくら砕いたところで終わりはない。だが、欠片を砕き続けていればいつか必ず本体に辿りつく。いや、辿り着いて見せる。

「……それも偏に、セツへの愛のために……かな?」

「っ! 誰!?」

「僕だ。真中希望だ」

 振り向けば、確かにそこにメイド服の少女を従え、悠然と立っていたのは真中希望その人。

「……終焉を滅ぼすのに理由なんて必要ありません。まして、愛なんて……」

 私はセツを置いて、捨てて、逃げ出しました。そんな私が、どうして愛など語れましょう。どうしてあの手を握れましょう。かつて私が振られた時など比べ物にならない。散々好きだ、愛してると言っておいて。いつまでも傍に居たいと、離さないで欲しいと言っておきながら、あっさりと逃げ出して、裏切りを成したこの口、この手で!

「そうだね。理由なんていらない。けど、キミは持っているみたいだからさ。終焉を滅ぼす理由。その使命を果たす源を」

「……私はただ、セツに幸せになって欲しいだけ。悪意と侮蔑、拒絶から逃れ、“この世界”での幸せを全うしてほしいだけ」

「愛だよ。それは。見返りを求めず、ただ献身的に、健気に相手に尽くす。それが愛じゃなくてなんだという?」

「だとしても。今私が抱いているのが愛だとしても、私にはもう資格がありません」

 私はもう舞台を降りた。裏切って、逃げ出して、背を向けました。

「愛することに資格を求めようとでも? 人の感情をそんなもので支配できるものか」

「黙ってください」

「ああ、確かに僕の言葉は君には届かない。いつだって囚われたお姫様を救うのは勇者の役目だ。所詮僕は要所要所で現れては意味深な助言を残して消えていく端役に過ぎない」

「私が何に囚われていると?」

「囚われているじゃないか。凝り固まった罪悪感という名の檻に。自らに対する疑心と嫌悪の鎖に縛られて」

「…………」

「尤も、その盤面を整え、君を鎖に縛り付けた僕が偉そうな口を利くものではないね」

「……それでよく、端役などと言えたものですね。黒幕の間違いではないんですか?」

「僕は一介の演出家。物語のエンディングにて滅ぼされる黒幕は他に居る。そうだろう?」

「その黒幕すら、貴方の敷いた盤面の駒、と?」

「買い被り過ぎだね。どうしても僕を悪役に仕立て上げたくてたまらないらしい。やはり、憎んでいるのかな? この僕を」

「憎んでいないとでも?」

 セツの元から去らなければならなくなった、その切欠。私が憎まないわけがありません。

「やはり、愛だね。結局君の行動理由は、セツへの愛だ。今ので確かめられたよ」

「っ……!」

 ギリッ、と歯を噛みしめる。

「だけど、そうだね。それで君たちの物語がハッピーエンドになるのなら、僕はいずれ、君たちの前に立ち塞がり、全ての黒幕、悪役を全うして斃れるとしよう」

 なんて献身的だろうか、そう言いたげな彼を冷ややかに見つめます。

「気に食わない、と。まあそうだろうね。そんな僕の筋書き通りの結末が、君たちのハッピーエンドになる筈もない」

「なら、最初から言わないでください」

「でも、いずれ君たちの誰かが、僕を倒すことだろう。それもまた、殆ど確定した未来だ」

「……敵に回る、と?」

「乗り越えるべき壁として。そもそも、アテナも含めて皆僕には敵愾心を持っているのだから、いずれぶつかるだろうさ」

「そうでしょうね。その時は精々、セツにこっぴどくやられてしまってください」

「その時が来たらね。何しろ、この整えられた|盤面(フィールド)の中、僕が一番の異端なんだ。っバトルフェイズに、相手モンスターにデュエリストが殴りかかっているようなものだよ」

「……余計なお話はその辺りでいいでしょう。私は、そんな話よりも、貴方に聞きたいことがあるんです」

「ふむ。何かな?」

 私の無理矢理な話題転換に、何の疑問も執着も見せずに乗ってくる真中希望。

「終焉の本体は居場所。貴方なら知っている筈です。話してください。今ここで、知っていることを全部。洗いざらいです」

 私の問いに、真中希望は薄く笑みを浮かべるだけでした。

「物事には順序がある。優先順位がある。知らなくてもいいことがある。全てを知るということは即ち……」

「余計な説法は結構です」

「……やれやれ、忙しないね」

 私は無言でデュエルディスクを構える。口を割らせるにはやっぱりこれが一番です。

「デュエルか。いいよ。それがこの世界の抗えぬ律法であるのだしね。ただし、僕は強いよ? 恐らく、君たちが考えるよりもずっと、ね」

「御託はもう結構です」

「悪いけど、僕もこれで忙しい身でね。この後も仕事が控えてるんだ。シャイン」

「はい」

「任せる。手早く済ませてくれると嬉しい」

「かしこまりました」

 真中希望に一礼し、メイド服の少女がデュエルディスクを構えました。

「……貴女はお呼びではないのですけど」

「心配はいらない。シャインに勝てれば、ちゃんと全て教えようじゃないか」

「……自分でデュエルしなかったこと、後悔しますよ?」

「させてみるといい」

 余裕の笑み。一切不安を感じさせないその笑みに、侮られていることを察しました。

「後悔、させて見せます! デュエル!」

 アテナLP4000

 シャインLP4000

 

 

 

 

 




 ちなみに、さだめの6引きはこれを書いた当時、実際にサイコロを転がして起きた結果。まあさだめというより、悠のサイコロ運の問題なんですけど。ここだけの話、悠がサイコロを振ると大抵1か6が出ます。その昔、スタダ相手にスナスト使って手札五枚消費した上でスタダ破壊出来なかったことがあります。途中から意地でしたが、結果は惨敗。友人からも、悠がスナスト出しても謎の安心感がある、とお墨付きを頂きました。そんな悠のフェイバリットはダイスポット。6000ダメージ美味しいです。逆にスナストはもう使わんと決めた。アイツマジ使えねー!
 それでは、悠でした!
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