アルカナ~切り札の騎士~   作:西本 悠

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さ「な~っにっかな~な~っにっかな?」
ル「今回は、これ」
『霊滅術師カイクウ』
さ「除外メタの墓地メタ。メタメタなところ、さだめ大好き」
ル「私は嫌い」
さ「攻撃力もそこそこ高いし、効果の発動機会は少なくないんじゃないかな?」
ル「私は、嫌い」
さ「効果に癖がなくていろんなデッキに刺さるから、スタンダードでも頻繁に使われるモンスターの筆頭格だよ!」
ル「私は、嫌い……!」
さ「……ご、ごめんなさ、い?」
ル「……死ねばいいのに」
さ「(思わず謝っちゃったよ。ルインの後ろにゴゴゴゴゴゴゴゴって書き文字が見えたよ……)」


第三期第五話「諦めないこと」

アルカナ~切り札の騎士~

第三期第五話「諦めないこと」

 

 

 

 

 一通り説経が終わった後、俺は希冴姫に慌てていた理由を尋ねていた。

「で、希冴姫は何をそんなに焦ってたんだ?」

「実は、その……これを」

 希冴姫が見せてくれたのは親指大の宝石を五つ、五芒聖の形で集めたペンダント。それぞれの石はゴールド・シルバー・ブルー・グリーン、そしてルージュ色に透き通っていて、思わず目を奪われた。

「その……以前、細工物をプレゼントすると言ったことを覚えていますか?」

「あ、ああ。確か……」

 エースとの諍いがあった時だ。その後にあった事件ですっかり忘れていたが、確かにそんなことを言っていた。

「あの時から、コツコツとやっていたのですが、ついさっきようやく完成いたしまして……本当はもう少し包装やシチュエーションにも凝りたかったのですが……」

 目を逸らして頬を染める。

「……ありがとう。貰っていいか?」

「は、はい! どうぞ、お納めくださいまし!」

 パァッと笑顔を見せてくれる希冴姫。

 折角だから付けてもらおう、と提案しようとしたところで……。

「そぉい!」

「あっ!?」

 さだめにペンダントを奪われ、付けさせられた。

「ふぅ……危ない危ない。もう少しで『じゃあ、折角だし付けてもらおうかな?』『はい! 喜んで!』とかいうクソったれイベントが行われるところだった……」

 鋭い……。まあ奪って壊したりしなかっただけ自重したと思っておこう。

「くっ……チャンスが……」

「ぐっじょぶ」

 悔しげに顔を歪める希冴姫とさだめにサムズアップを向けるルイン。

 微妙に険悪な雰囲気だが、こいつらは何だかんだで普段はそこそこ仲が良いのは知っているので放置する。というか、下手に俺が口を出すと泥沼化するのは目に見えて明らかなのでスルーが上策。

「賢明」

「何か言ったか? ルイン」

「さあ?」

 相変わらず、さらっと俺の心を読む奴だ。

「それで、貴方は何故ここに?」

「ん? ああそうだった。ちょっとさだめのデッキ構築するから、お前も一緒にどうかと思ってな」

 ルインに問われて、ここに来た理由を思い出す。

「ん。ありがとう。でも……」

「でも?」

「最初は、自分の力で組んでみたい。それから一度デュエルして、その後でアドバイスを貰いたいから」

「……なるほどな。そういうことなら」

 ルインも、色々考えてるんだな。

「貴方に頼るばかりじゃいけないから」

「そんなことは気にしなくてもいいが……そうだな」

 ルインにも何か思うところがあるんだろう。それなら、その意志は尊重したい。

「むぅ……そんな風に言われると、さだめがお兄ちゃんに頼りきりなイメージに……」

 事実だろうに。

「ま、お前はそれでもいいんだよ。人それぞれだからな。こういうのは」

「それでは、わたくしはお茶でも用意させていただきますわ」

「え……」

 そう言って席を立つ希冴姫に、さだめがヘンな顔をした。

「……なんですの?」

「希冴姫さんって……お茶淹れられるの?」

「し、失礼な! わたくしだってお茶くらい淹れられますわ!」

「いやだって、そういうのって全部ジャックさんに任せてるんじゃないの?」

 ジャックは執事じゃないぞ。一応な。

「それは……まあ普段はそうですが」

「そうなのかよ」

「で、ですが少し喉が渇いた程度の時まで呼びつけたりはしません。そういう時は自分で淹れますもの!」

「……まあなんにせよ、そういうのはお兄ちゃんに任せとくといいよ」

「信用ゼロですの!?」

 丸っきり信用してないさだめに愕然とする希冴姫。

「彼と貴女、どちらの方が美味しく淹れられる?」

「……それは、セツ様の方が」

「なら、彼に任せるべき」

「……わかりましたわ。何だか釈然と致しませんけど」

 ムスッとした様子の希冴姫に苦笑して、俺はお茶を淹れるため、食堂に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「パワー・ウォール!!」

「カードを捨てるな!」

 デッキ構築を初めて小一時間ほどで、さだめがカードを投げ出した。

「あーもう! ダメ! さだめに儀式は合わない!」

「あっさり諦めたな」

「だって手札に儀式魔法と儀式モンスターと生贄揃えて……とかまどろっこしいんだもん。全然来ないし」

「……ま、確かにお前が使うと『マンジュ・ゴット』も来てくれない始末だしな。それも仕方ないか」

 とことん天使族に縁がないんだな。コイツは。

「やっぱさだめはいつも通り、次元ダークで組むよ。ごめんねルイン。儀式魔人借りといて」

 さだめはルインに儀式魔人のカードを返しつつ謝る。

「別にいい。人それぞれに合ったデッキがある」

「ルインは、儀式魔人合うの?」

「……私は元々儀式モンスター」

「あ、な~る……」

 そりゃ、抜群のシナジーだろうな。

 頭を抱えるさだめに、俺は少し頭を捻って考えてみた。

「さだめ、仮想敵を作って構築してみればどうだ?」

「仮想敵?」

「ああ。相手の戦略を読み、メタメタのメタデッキで嫌がらせをして高笑いするのはお前の得意技だろう?」

「言葉を選んで!?」

「……ん? ああ悪い。相手の弱点を、ネチネチ生かさず殺さず執拗に攻撃して敵の戦意というか心を徹底的に蹂躙するのが、お前のデュエルだろう?」

「選べてないよ!? むしろ更に印象悪くなってるから!」

「……いや、他に言い回しが思い付かないというか、実に的確な表現ができたと我ながら感心しているところなんだが……」

「的確ならいいってもんじゃないよね!? オブラート!」

「さだめにだけは言われたくない単語の一つだよな。オブラート」

「そうだけど!」

「まあ兎も角、お前は基本的なデッキの構築能力は俺よりも高いんだよ。ただ、その能力がメタる方向に特化してる所為で、仮想敵なしだと構築できないだけで」

 事実、コイツは相手のデッキを見切ると一分足らずで即興のアンチデッキを組み上げる。それで事故を起こさないんだから、コイツのデッキビルダーとしての能力は相当なものだ。

「だから、最初にデッキを組む時から、誰かとデュエルすることを前提に組めば絶対に良いデッキが組めるさ」

「なるほど。つまり、アテナをボロクソのメッタメタに叩きのめして鼻で笑えるようなデッキを組めばいいと……」

「言葉を選べ!」

「……え? ああ、だからつまり、天使族や光属性を地の底に引きずり込んで背中の羽をむしり取って犯し尽くすイメージで組めばいいと」

「選べてねえよ! むしろ残虐性が増しているよ!」

「よし、大体の構想は固まった。ククク、待ってるといいよアテナ。アンチやメタを作らせたらさだめの右に出る者はいないということを思い知るといいよ」

「速えよ! 今までの苦労は何だったんだよ!」

 ったくコイツは……。

「……似た者兄妹」

「ですわね……」

「えーっとこれをこうしてああして……よっし出来た!」

「速えよ! さっきの小一時間何だったんだよ!」

 残像が見える程のスピードでデッキを組み上げたさだめに思わず突っ込む。

「……まあいいか。じゃあ、試しにそのデッキでルインとデュエルしてみろ」

「私?」

「ルインも出来てるんだろ? デッキの調整も、使ってみなきゃ出来ないからな」

「わかった」

「えーと、ルインのデッキか。じゃあこれを入れて……よし、アンチデッキ構築完了!」

「だから速えよ!」

 ものの数秒でアンチデッキを組むその手腕は脱帽に値するが……何だかなぁ。

「……あまり気が進まない」

「気持ちはわかるが……まあ頑張ってくれ」

「……わかった」

「「デュエル!」」

 さだめLP4000

 ルインLP4000

「私のターン、ドロー。私は『終末の騎士』を召喚。効果により、デッキから『儀式魔人リリーサー』を墓地に送る」

 『終末の騎士』ATK1400

 ルインは定石通り、儀式魔人を墓地に送ったか。

「私はこれでターンエンド」

「さだめのターン、ドロー! さだめは『霊滅術師カイクウ』を攻撃表示で召喚するよ!」

 『霊滅術師カイクウ』ATK1800

「げ……」

 俺は思わず呻いた。

「セツ様? あのモンスターは……」

「カイクウは……儀式魔人の天敵だ」

「そうなんですの?」

「ああ。儀式魔人は、墓地から除外することで、儀式召喚のリリース源として扱える効果を持っているんだが、カイクウは相手プレイヤーが墓地からカードを除外する効果を阻害する効果を持つ」

「ということは……」

「今さっき墓地に送ったリリーサーの効果は使えない。更に、カイクウは……」

「バトル! カイクウで『終末の騎士』を攻撃!『霊滅独鈷杵』!」

「くっ……!」

 ルインLP4000→3600

「更にカイクウが相手プレイヤーにダメージを与えた時、墓地のモンスターを二体まで除外することが出来る! 墓地のリリーサーを除外するよ!」

「!?」

『~ハァッ!』

 カイクウが念じると、墓地にいたリリーサーの霊魂が消滅していった。

「あれが、カイクウのもう一つの効果だ。相手の墓地のモンスターを除外する」

「……確かに、基本墓地にあって除外してこその儀式魔人にとっては天敵ですわね」

「さだめはカードを一枚セット。ターンエンドだよ」

「……私のターン、ドロー。私は『マンジュ・ゴット』を守備表示で召喚」

 『マンジュ・ゴット』DEF1000

「『マンジュ・ゴット』の召喚に成功した時、デッキから儀式モンスターか儀式魔法一枚を手札に加える。私はデッキから『高等儀式術』を手札に……」

「カウンタートラップ発動!『強烈なはたき落とし』! 手札に加えたカードをそのまま墓地に落として貰うよ」

「っ!」

 アイツ……マジでアンチっていうかメタデッキだな。その内『ライオウ』とか出てきそうだ。

「……私はカードを一枚セット。ターンエンド」

 ルイン、苦しそうだな。まあ、とことんメタられているんだから気持ちはわかるが。

「……悪いことしたか」

 デッキ調整するためのデュエルには不適当な采配だった。どっかから三沢あたりでも連れてきてやればよかったか。

「さだめのターン! ドロー!」

 さだめの方はノリノリだな。

「さだめは『ライオウ』を攻撃表示で召喚!」

 『ライオウ』ATK1900

「うわ! マジで出しやがった!」

「セツ様、あれは?」

「ああ、『ライオウ』はメタビートの代表的なモンスターだ。下級のメリットモンスターとしては最高クラスの攻撃力、チェーンに乗らない特殊召喚を、自らをリリースして封じる効果、更にドロー以外の方法で、デッキから手札に加える効果を無効化する。例えばさっきの『マンジュ・ゴット』とかな」

「それは……」

 二つもメリット効果を持っていながら1900の攻撃力は脅威だ。かなり卑怯と言ってもいい。

「バトルだよ!『ライオウ』で『マンジュ・ゴット』を攻撃!『ライトニング・キャノン』!」

「リバースカードオープン。トラップ発動『ドレイン・シールド』!『ライオウ』の攻撃を無効にしてライフを1900ポイント回復する」

 ルインLP3600→5500

「むぅ……ならカイクウで攻撃!『霊滅独鈷杵』!」

 カイクウの攻撃が『マンジュ・ゴット』に突き刺さる。今度はなんのトラップも発動せずに倒される。しかし、守備表示だったため、カイクウの効果は発動しない。

「やるね。さだめはターンエンドだよ」

「私のターン、ドロー。私はモンスターを一枚セット。カードを一枚セットしてターンエンド」

 ルインは淡々と、冷静にカードをプレイする。この辺りが優秀だな。ポーカーフェイスも崩れないし、読みにくい。俺みたいなパーミッション使いからすればやり難い相手だ。

「さだめのターン、ドロー! バトルだよ!『ライオウ』で守備モンスターに攻撃!『ライトニング・キャノン』!」

 『ライオウ』の放った雷の砲弾が、裏守備モンスターを貫く。ルインの守備モンスターは……。

「……私は『メタモルポット』の効果を発動する」

「んげっ」

 なんかさだめがヘンな声出したが、兎も角互いの手札がリセットされる。ルインの手札は三枚、さだめの手札は四枚だったため、さだめの方が損をしている。

「お、でも悪くないかも。とりあえずカイクウでダイレクトアタック!」

「リバースカードオープン。『ガード・ブロック』。ダメージを無効にしてデッキから一枚ドロー」

「むぅ、また防がれたか……さだめはメインフェイズ2に『霊滅術師カイクウ』をリリースして『|虚無魔人(ヴァニティー・デビル)』をアドバンス召喚!」

 『虚無魔人』ATK2400

「最悪だ……」

 ここに来て、お互いに特殊召喚を封じる『虚無魔人』。儀式召喚主体のルインにとっては最悪も最悪。さだめの手札を交換したのが仇となったか。

「むふふ~。更にカードを一枚セットしてターンエンドだよ!」

「……私のターン、ドロー。私は速攻魔法『禁じられた聖杯』を発動。『虚無魔人』を選択」

「んえっ!?」

 またヘンな声出した。

「禁断の聖杯に口を付けし者は、理性を失い暴走する。攻撃力を400ポイントアップする代わり、効果を無効にされる。これで、特殊召喚は可能」

 『虚無魔人』ATK2400→2800

「ぬぅ、流石にやるね……けど、これで『虚無魔人』の攻撃力は2800! ルインの攻撃力じゃ勝てないよ!」

「……なら、勝てるようにするだけ。私は手札から儀式魔法『エンド・オブ・ザ・ワールド』を発動。墓地の『儀式魔人プレサイダー』二体をゲームから除外して手札から『破滅の女神ルイン』を儀式召喚」

 『破滅の女神ルイン』ATK2300

 ルインを出せたか。とはいえ、ルインの攻撃力は素の『虚無魔人』にも敵わない2300。果たしてどうするか。

「私は装備魔法『ダグラの剣』を私に装備」

 『破滅の女神ルイン』ATK2300→2800

「……なるほど。『虚無魔人』の攻撃力が上がっているのはこのターンのみだから、次のターンまで耐えるつもりだね」

 しかも『ライオウ』を倒すには十分な攻撃力だ。

「バトル。『破滅の女神ルイン』で『ライオウ』に……」

「甘い! リバースカードオープン! 永続トラップ、発動!『超古代生物の墓場』!」

 げ……。

 さだめの罠が発動し、ルインの身体が凍りつく。

「『超古代生物の墓場』がある限り、特殊召喚されたレベル6以上のモンスターは攻撃することも、効果を発動することも出来ないよ!」

 なるほど。『虚無魔人』を突破されることは予想済みか。さだめらしい、えげつないアンチデッキだ。

「ま、ルインには相応しいカードだよね。超古代生物。ぷくくっ!」

「……カチン」

 あ。

「……なぁ希冴姫。何か今、キレちゃいけないモノがキレなかったか?」

「わたくしにも、聞こえましたわ」

 ……まあ、散々アンチされた挙句超古代生物呼ばわりされたら、いくらルインでもキレるか。

「……流石に、今のはカチンときた。イラっとした」

「ふふん。じゃあどうするの?」

「……全力で勝ちに行く。ターンエンド」

 『虚無魔人』ATK2800→2400

「さだめのターン、ドロー! さだめは『昇霊術師ジョウゲン』を守備表示で召喚! 効果発動! 手札をランダムに一枚捨てて、フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊するよ!」

 『昇霊術師ジョウゲン』DEF1300

 アイツまた特殊召喚メタを……。

「くっ……!」

「さあ、バトルだよ!『ライオウ』でダイレクトアタック!」

「っ!」

 ルインLP5500→3600

「続いて『虚無魔人』でダイレクトアタック!」

「くぁっ!?」

 ルインLP3600→1200

「さだめはカードを一枚セット。ターンエンドだよ」

「私のターン、ドロー」

 さあ、どうするルイン? 手札は三枚。逆転が不可能だとは、言わせないぞ。

「私は手札から魔法カード『ライトニング・ボルテックス』を発動。手札を一枚捨てて、全てのモンスターを破壊する」

「にゅあっ!?」

「お前、そのヘンな声マイブームなのか? さだめの中では奇声が来ちゃってるのか?」

「そ、そういうことじゃないけど! 思わず漏れた呻きと言うかなんというか……」

 兎も角、さだめの場のモンスターは全滅。勿論、それだけじゃまだルインに勝ち目はないわけだが……。

「魔法カード『命削りの宝札』。デッキからカードを五枚ドローする」

「いつも思うんだけど、そのカードずっこい!」

 同感だ。俺も使うけど。

「手札から儀式魔法『エンド・オブ・ザ・ワールド』を発動。手札の『マンジュ・ゴッド』と墓地の『儀式魔人デモリッシャー』と『儀式魔人ディザーズ』をリリースして『破滅の女神ルイン』を儀式召喚」

 『破滅の女神ルイン』ATK2300

「私は、諦めない。諦めないことの強さも、その輝きも、貴方に教えてもらったから」

 ルインは、先ほどの得意げな笑みとも、普段の無機質な笑みとも違う、透明で綺麗な笑顔で俺に言う。

「更に手札から『デュナミス・ヴァルキリア』を攻撃表示で召喚」

「と、トラップ発動!『奈落の落とし穴』!『デュナミス・ヴァルキリア』には消えて貰うよ!」

「構わない。手札から魔法カード『死者蘇生』で、貴女の墓地の『霊滅術師カイクウ』を蘇生させるから」

 『霊滅術師カイクウ』ATK1800

「うあ~……ちょい、ちょい待ってよ。まださだめの場には『超古代生物の墓場』が……」

 頭を抱えつつ悪あがきしようとするさだめに、俺は苦笑しながら指摘した。

「……さだめ、わかってるんだろ? だからルインの儀式召喚に重ねて『奈落の落とし穴』を使わなかったんだろ?」

「うぅ……」

「どういうことですの?」

「……『儀式魔人ディザーズ』を儀式召喚に使った儀式モンスターは、罠の影響を受けなくなるんだ。つまり、墓場を素通り」

「ということは……」

「私の勝ち。ダイレクトアタック」

「ぅにゅあ~~~!!」

 さだめLP4000→0

 

 

 

 

 

「うあ~! 負けた~!」

「……さだめのアンチデッキ自体に問題は無かった筈だけどな」

 実際、さだめの使ったカードは最後の奈落に至るまで全てルインにとってはご遠慮願いたいカードばかりだった筈。

「よくもまぁ勝ったよな。ルイン」

「任せて」

 ルインはいつもの無表情ながら、何処となく気分が良さそうだ。

「何せ、初勝利」

「なに?」

「貴方と会ってから、初めて勝てた」

「そうだっけか?」

 そもそもルインがデュエルすること自体あまりなかったか。

「むぅ……何が悪かったかなぁ?」

「お前は油断し過ぎだ。伏せ除去くらいしてから突っ込め」

「うっ……それは、まぁ……」

「とはいえ、あの一瞬でアンチデッキとしては完璧な位に組み上げてはいたけどな」

 主に特殊召喚メタのデッキだったが。ルインに対してはこの上なく作用していた筈だ。

「ルインのプレイングが良かったってことか」

「……ぶい」

 得意げなルインに、さだめが憮然とした表情を見せる。

「さだめ、アンチデッキ使うと負ける気がしてきた」

「……そうかもな」

 俺も、なんとなくそんな気がしてきた。

「なにゆえ!? ホワイ!? 何故アンチデッキで勝てないの!? 今回のデッキだって、ルインのみならず、大半のデッキに互角以上に戦えるスタンダードなメタビートのつもりだったのに!」

 確かに、汎用性の高い強カードだったとは思うが。

「あー何と言うか、この世界のルール的に、アンチデッキは許容され難いんじゃないか?」

「なんて狭量な世界……! もっと寛容に、人に優しくならなきゃダメだと思う!」

「そうだな。言ってやるといい。鏡に」

「うにゃ~! さだめ最近勝率低い~!! いつかはアカデミアを恐怖の底に陥れるほどのボス的風格を醸し出してたのに~!」

「よくあるだろ。敵の時滅茶苦茶強かったのにパーティインすると全然使えないライバルキャラ」

「そんなキャラは嫌ぁ~!! 絶対、絶対もっと強くなって見返してやる~!!」

 日も暮れ始めたレッド寮に、さだめの叫びが響き渡るのだった。

 

 

 

 

 




 ボスキャラが仲間になると弱くなる法則(例外有り)。さだめは別に弱くないんですけど、メタデッキ主体な所為かどうしても勝たせにくいです。展開上の都合で。あ、覚えてらっしゃる方もいるかもしれませんが、改定前はこの話、ルインのオリカが出てんたんですけど、オリカ削減の結果削りました。ルインファンの皆様(悠含む)、申し訳ありません。
 それでは、悠でした!
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