アルカナ~切り札の騎士~   作:西本 悠

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第三期第十三話「騎士の誇り」

アルカナ~切り札の騎士~

第三期第十三話「騎士の誇り」

 

 

 

 

「十代。既に運命のカウントダウンは始まった。お前はもう。敗北と言う運命から逃れることはできない」

 俺は、耐えていた。

「運命? そんなもんオレは信じないね。未来は常に、自分で、切り開くもんだろ!」

 十代は、エドの操る『D-HERO』に苦戦していた。

「エド・フェニックス……この男とD-HEROは、本当に未来を操るというのか……!?」

「……違うさ」

「セツ?」

「違う。間違っているぞ三沢。未来を操る? 違うよ。あれは、カードの効果を正しく理解して、相手の行動を先読みする。つまり、俺たちが普段のデュエルでやっていることと同じだ。未来は、操れなんかしない」

「お兄ちゃん。落ち着いて」

「……ああ。すまん」

 どうしても、堪え切れない怒り。エド・フェニックス……お前の過去に、何があったのかは知らない。だけど……。

「運命は、その瞬間になるまで決しない……!」

 ギリッ、と歯を食いしばり、十代とエドのデュエルを見る。デュエルは、エドが『D-HEROダイヤモンドガイ』の効果で、『ミスフォーチュン』の効果発動が決定したところだった。

「マズイな……『ミスフォーチュン』の効果は、相手モンスターの攻撃力の半分をダメージとして与える効果……次のターンには、『E・HEROシャイニング・フレア・ウイングマン』が戻ってくる……」

 俺の言葉通り、デビルガイの効果で除外されていたシャイニング・フレア・ウイングマンは、戻ってくるなり十代へのダメージを与えてまたデビルガイに除外されてしまう。

「オレはネクロイド・シャーマンの効果を発動! お前の場のダイハードガイを生贄に捧げ、フェザーマンを召喚!」

「上手いドン!」

「これなら、ネクロイド・シャーマンの攻撃は有効!」

「この攻撃で、十代の勝ちだわ!」

「……いや、ダメだ」

「え?」

「どうして? だってもうエドの場には……」

「時計塔の針が、既に……零時を指してしまった」

 俺は時計塔を見上げる。他の皆も、釣られて見上げる。

「アレがどうしたって……」

「時計塔が出現して、五ターン。今この時点を以て、十代からの戦闘ダメージは、決してエドに届かない」

 俺の言葉通りになった。

「セツ……さっきから思っていたんだが、お前は奴のD-HEROの事を知っているのか?」

「……ちょっとした事情でな」

「残念だったな。どんな攻撃を仕掛けようと、お前が敗北する運命は変えられない」

 ……くそ。

 そして十代は、『幽獄の時計塔』から『D-HEROドレッドガイ』の特殊召喚を許してしまう。

「確かに、お前は良い腕をしたデュエリストだ。だが、お前は絶対に、僕には勝てない。なぜなら、僕にはあるモノが、お前にはないからだ!」

「オレにないモノ……?」

「HEROを、渇望する理由さ!……僕は、このD-HEROの力を使い、父さんを殺した奴に復讐する!」

「復讐?」

 復讐……そうか。それが……。

「お前が、運命に縛られたきっかけか」

 I&I社のカードデザイナーだった父親を、強盗に殺された恨み。それが、今のエドを構成する要素となってしまっている。

「表の世界で裁けぬのなら、僕がD-HEROの力を使い、裏の世界で裁いて見せると!」

「けど! 折角お前の父さんが残してくれたカードを、復讐の道具に使うなんて!」

「わかったような口を利くな! 十代! ムカつくんだよ! お前のように、憧れだけでヒーローを使う奴が! 僕には必要なんだ! 奴に罰を与えるために、僕に力を与える本当のヒーローが! 僕のターン! これで最後だ! 行け! ドレッドガイ!」

 ドレッドガイにより、十代のサンダー・ジャイアントが破壊され、十代のライフがゼロになった。

「フン。消えろ、雑魚が」

「あ、あぁ……」

『十代!?』

 明日香たちが、十代に駆け寄る。俺は……さだめと共に、エド・フェニックスの前に立ち塞がっていた。

「……なんだ? お前は」

「俺は、御堂切。デュエリストだ」

「同じく、御堂さだめ」

「フン。それがどうしたって……いや、待て。もしかしてお前たち、カイザーに勝ったというデュエリストか?」

「……それが?」

「丁度いい。お前も相手をしてやろう。どうせ、僕の勝利は運命に決められている」

 まさか、向こうから挑戦してきてくれるとは、な……。

「……手間が省けて、結構だ」

「お兄ちゃん」

「任せろ。絶対に勝つ」

「セツ!」

「明日香。お前は十代についていてやれ。こっちは任せろ」

「……わかったわ」

 エドが俺を見る目は、厳しい。だが、それは俺も同じこと。タダでさえ気に食わないのに、十代を雑魚と一蹴することなぞ、認めない。

「さあ、勝負だエド・フェニックス。運命って奴が、決して定まっていないことを、教えてやるよ」

「無駄だよ。お前も、運命に踊らされるがいい」

 そんなの……

「今更だ。デュエル!」

「デュエル!」

 セツLP4000

 エドLP4000

「俺のターン、ドロー! 俺は『切り札の騎士―テンス』を守備表示で召喚! カードを二枚セットし、ターンエンド!」

 『切り札の騎士―テンス』DEF2000

「フン。僕のターン、ドロー! 僕は魔法カード『テラ・フォーミング』を発動する! デッキからフィールド魔法『幽獄の時計塔』を手札に加え、発動する!」

 フィールドが、さっきの十代戦と同じく時計塔に変わる。

「時計塔のエフェクトはもう知っているな? あと、四つカウンターが乗れば、時計塔は僕を守る無敵のエフェクトを発動させる!」

「ああ、知ってるさ。無敵の時計塔を破壊すれば、幽閉され、怒りに狂ったプレデターが呼び覚まされる」

「そうだ! お前に勝ち目はない。僕は魔法カード『デステニー・ドロー』を発動! 手札のD-HEROと名のつくカードを墓地に送り、デッキからカードを二枚ドロー! 僕は『D-HEROダッシュガイ』を墓地に送る! ドロー!」

 ダッシュガイ……なるほど。墓地に居た方が都合のいいモンスターだ。

「僕は魔法カード『D-スピリッツ』を発動。手札から『D-HEROドゥームガイ』を攻撃表示で特殊召喚! 更に『D-HEROドレッドサーヴァント』を攻撃表示で召喚し、そのエフェクトを発動する!」

 『D-HEROドゥームガイ』ATK1000

 『D-HEROドレッドサーヴァント』ATK400

「っ!」

「その顔……知っているようだな。そう、『D-HEROドレッドサーヴァント』は、時計塔の針を一つ進める!」

 時計塔の針が三時を示す。これで、後三つ……。

「僕はカードを二枚セットし、ターンを終了する!」

 一ターン目から手札を全て使い切りやがった。よっぽどの自信って奴だな。あれは。

「俺のターン、ドロー!」

 ドローしたカードを見る。そうか、早速力を貸してくれるか。

「この瞬間、『幽獄の時計塔』の針がまた一つ進む!」

 カチカチと、針が六時を指すが、俺はもうそんな古びた塔に注目することはなかった。

「俺は『切り札の騎士―テンス』をリリースする」

 俺がテンスをリリースしたことで、周囲から意外そうな声が漏れる。

「リリース?」

「セツのデッキに、レベル5か6のモンスターなんて、ジャックくらいしか入ってなかったと思うのだけど……」

「力を貸してくれた子がいたんだよ。お兄ちゃんに。自分のトラウマを乗り越えて」

 頼むぞ……。

「俺は『切り札の騎士団長(トランプ・ナイト・リーダー)―エース』を攻撃表示でアドバンス召喚!」

 『切り札の騎士団長―エース』ATK2000

『推して参る!』

「トランプ・ナイト・リーダー!?」

「新たなトランプ・ナイトか!?」

 怪訝そうな表情のエドと、驚いているギャラリーのために、少しだけ解説をする。

「『切り札の騎士団長―エース』は、切り札の騎士と名の付くモンスターをリリースする場合、一体のリリースでアドバンス召喚することができる!」

 エースのレベルは7。通常なら二体のリリースを必要とするそのアドバンス召喚は、騎士の絆に導かれ、軽減される!

 以前のエースは、団長とは付かず、レベルも4。攻守も1000だったが、トラウマを乗り越えたエースはその真の力を解放することに成功した。

 俺は、この間さだめと共に必勝を誓った時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

「――そうか。ならば、尚のこと我の力は欲しい筈だな?」

「お、お前は――!?」

 銀に輝くシャギー。輝く銀の胸当てと、同色の細剣。懐かしいその怜悧な瞳には、以前になかった自信が溢れている。

「エース!?」

「久しぶり、とでも言えばいいか? 人間」

「エース、なんで……」

「……ふむ」

 俺が尋ねると、何故かエースは困ったような顔で黙り込んだ。

「エース?」

「……実のところ、明確な“何故”は見つかっていない。そうだな。敢えて言うなら、決着がついていないから、だろうか」

「決着?」

「ケンカの決着だ」

「は?」

 思いがけない言葉に、俺は絶句する。

「まあ、そんなことはどうでもいい。今貴様が、やるべきことはなんだ? あるのだろう? 我を振るうに相応しい戦いが」

「我を振るうって……俺に、力を貸してくれるってこと、か?」

 信じられない、という感情をストレートに出し過ぎたのが気に食わなかったのか、エースは少々不機嫌そうになってしまう。

「それ以外にどう聞こえる。耳も腐ったか? クズめ」

 ……相変わらず、言葉は辛辣でした。

「だ、だがなんでだ? 前はあんなに……」

 デュエルに対する恐怖。精霊にとっての死。トラウマ。そう言ったしがらみを抱えていたエースは、俺と来ることを拒んだ。それなのに……。

「……気がついたことがある」

「気がついた、こと?」

「そうだ。我を、我たらしめるモノ。我にとって、何よりも尊いモノ。我は、それを守るため、剣を取り、ここに来た」

「何よりも尊いモノ……」

「そうだ。貴様にもあるのだろう? 貫き通すものが。我にも、それがあった。それに気がついた。ただそれだけのこと」

「……参考までに、聞いてもいいか? その、尊いモノって奴を」

 失礼かもしれないが、以前見たときとは何もかもが違うエースの顔に、聞かずには居られなかった。意外にもエースは渋ったり嫌な顔をしたりすることもなく、素直に答えてくれた。

「……プライド。騎士としての尊厳と誇り。持ち続けるべき矜持。そんなところか」

 騎士として。確か、以前にもエースは騎士としての誇りを口に出していた。しかし、その時と今では、明らかに違うものがあった。

 眼だ。

 以前の、昏い負の色は消え、希望に満ちた、言葉通りの誇らしい光だ。

「以前の我は、恐怖から、トラウマから逃れるために、誇りや矜持を口に出し、従属を否定してきた」

 エースは、隠せぬ憤りを滲ませた口調と表情で語る。

「……それが、真に騎士としての誇りや、矜持を裏切る行為とも知らずに、だ」

 誇り高き騎士は、壁やコスト、生贄だのと言った使われ方を厭う。だからこそ、人間に従属しない。

「しかし、それはただの逃げだ」

 恐怖から、トラウマから逃げるため、その言い訳に“誇り”や“矜持”を口に出していただけなのだ、と。

「……未だに、死は怖い。体が震えそうだ。だが……恐怖から逃げ、背を向けることだけは、もうしないと決めたのだ。己の……そう、プライドにかけて」

 結局、自分が最後に縋るのはそれしかなかった、とエースは自嘲する。

「だが逃避ではなく、立ち向かう覚悟の果ての誇りとは……プライドとは、これほど清々しいものだと、その時初めて知ったよ」

 だから、自分はもう逃げない。恐怖、トラウマに立ち向かい、いつか乗り越えて見せるのだと。

「……そのために、俺のところに?」

「我が最初に、乗り越えた姿を見せるのは、以前無様を晒した貴様意外におるまい。そうしなければ、疼くのだ。我の……」

 プライドが。

「……そっか」

 そんなエースに、俺は笑顔を向ける。

「……お前は、弱いな。弱くて、弱くて……でもだからこそ、とても強い」

「そうだ。我は弱い。だからこそ、強くなると決めた。その意志だけは、弱いつもりはない」

 一度目を閉じたエースは、一つ深呼吸して、キッ、と目を見開いた。

「御堂切!」

 ビッ! といきなり細剣を突きつけてくるエース。俺が戸惑っていると、エースは不敵な笑みで告げる。

「我は、貴様を主とは認めん!」

「な、なに?」

 力を貸してくれる、と言った傍からこの否定。意味がわからず硬直する俺に、エースは更に言葉を重ねる。

「その代わり……」

 ニヤリ、と笑みを更に濃くしたエース。

「その代わり、我が友となることを、認めよう。力を、貸してやる」

 剣をクルリ、と反転させて、柄を俺の方に差し出してくるエース。俺はその剣を受け取り、エースに習い、ビッ! とエースに突きつけた。

「よろしく頼む。我が友、『ガツッ!!』エー……ス……」

 徐々に、言葉尻が弱くなる。思わず、手元の細剣を、上から下までじっくりと見る。

 ……ガツ?

 恐る恐る、と言った感じでエースを見る。

 眉間に、剣が、突き刺さっていた。そりゃもう、ぶっすりと。だ、だいじょうぶかな~? し、死んでないよね~? とか、さだめが心配するくらい、思いっきり。

「あ、あー……エース、その……大丈夫か?」

 ブツッ! と、ナニか、大事なものがキレたような気がした。

「き……」

「き……?」

「キリマンジャロ?」

「きぃ~さぁ~まぁ~!!」

「うわっ!?」

 や、やっぱり怒った!?(※当たり前です)

 俺の手から剣をはぎ取り、自分の眉間からズブッと抜くと、エースはその剣を構えて一目散に俺の方へ切りかかってきた!

「このっ……! この剣が儀礼剣だったから良かったようなものの! し、素人が思い切り剣を突き出すな戯けがぁ~!!」

「す、すまん! 今回は全面的に俺が悪かった! 男女の手足の長さの違いを考えてなかった!」

「!!? き、貴様それは我が短腕短足とでも言いたいか!?」

「い、いや決してそんなつもりは!? というか、儀礼剣だったとしても思いっきり突き喰らって良く無事だったな!? 随分と頑丈な頭をしていらっしゃ……」

「こ、今度はまた石頭呼ばわりするつもりか!? ど、何処までコケにすれば……ええい! もう許さん! やっぱり貴様は、この場で精肉売り場に送ってやるわ!」

「精肉売り場!?」

 脳裏に、『セツ右腕二の腕グラム100円』とかいう嫌なテロップが流れた。

「あ、それさだめが買う! 全身丸ごと!」

「おまっ!? 今そんなふざけたこと言ってる場合か!? 愛しの兄が、今ここで解体ショーの見世物にされそうになってるんだぞ!?」

「お兄ちゃん……さだめ、お兄ちゃんなら例えひき肉でもブロック肉でも骨付きカルビでも、美味しく頂く自信があるよ!」

「この上なく嫌な自信!」

 ……最後に、とんでもなくアホなオチがついてしまったが、ともかく、エースが力を貸してくれるようになった経緯はこんな感じだった。

 

 

 

 

 

「頼むぞ。エース」

『ふん。気に食わんが、貴様の事は希冴姫からも頼まれたのでな。不本意ながら、力を貸してやろう』

 希冴姫、という言葉に、俺は少し顔を曇らせる。今このデッキに、三銃士は入っていない。理由は、希冴姫が体調を崩したまま、かなり辛そうにしていたからだった。

 

 

 

 

 

 エースとのすったもんだを終え、ブチブチと文句を言われながらも、とにかく希冴姫にも報告しなければ、と希冴姫とルインの部屋に行った俺たちは、相変わらず……いや、どう見ても以前より酷そうな病状の希冴姫と、看病するルインに出くわしたのである。

「希冴姫!? る、ルイン、希冴姫は……」

「……平気。少しひどい風邪のようなもの」

 そうは言うが、それにしたってもう寝込んでから大分経つというのに、快復するどころか悪化して行く一方だ。どうしたって心配になる。

「……ふん。なるほどな。セツ、ルイン殿。少し、こやつと二人きりにさせよ」

「え?」

「……わかった」

「―――――な……」

 ルインはあっさりと頷き、俺の手を引いて部屋から出る。部屋には、希冴姫とエースが残された。部屋を出る直前、エースが何か呟いたような気がしたが、それを聞き返す間もなく俺は部屋を追い出された。

 

 

 

「……希冴姫」

「はぁ、はぁっ……エース、ですの……?」

「そうだ。ジャックとキング。テンスも居る」

『希冴姫……いつの間にこんなことに……私がついて居ながら……』

『なんということを……お主、そこまで……』

『……くっ!』

「……まったく、何処まで惚れこんでいるのだ。クレイジーに過ぎる」

「あ、なたに……何が……大体、なぜここに……」

「ふん。代理だ代理。貴様がそんな調子では、奴を護る者がおらんだろう。我は、少しだけの代理に過ぎぬ」

「そう……ですの。良かった……」

「……何がだ」

「ふふ……エースも、やっとわかりましたのね……騎士の心が」

「……貴様に言われるのは、大層不本意だ」

「相、変わらず……素直じゃ、ありません、ゴホッ!? ゴホッ!」

 希冴姫は、まともにしゃべる体力も怪しいらしく、すぐにせき込んでしまう。

「……まったく。今から貴様の主は、己の信念を、意志を貫く戦場に赴こうと言うのに、なんだ貴様のそのナリは」

「な……それでは、騎士装束を……」

 ベッドから這い出ようとする希冴姫を、テンスとジャックが慌てて止めた。

『行けません希冴姫。流石に、今無理すれば……』

『ならん。大人しくしていろ』

「ですが……」

「アホか貴様は。そんなナリで、剣など振れるか。構えるどころか立つことすらも危うい癖して。足手まといだ」

「し、かし……!」

「……ジャック。希冴姫の看病。キングも、そのサポートだ」

『わかりました』

『承知じゃ。団長』

「テンスは、我と来い。貴様はこちらだ」

『承知』

「え、エース何を……!?」

「わからぬか? 病人は大人しくベッドに縛り付けられているがよい、と言うことだ。貴様の主は、不本意だが、我が任された」

「エース……」

 意外そうな目でエースを見る希冴姫。

「我らは……騎士だ。騎士の本分は主君を護り抜くこと。だが……」

 エースは、希冴姫と、他の三人を見渡してから告げる。

「我は、騎士団長。団長であるからには、貴様ら団員も護り通す義務がある」

 特に、前に騎士団をバラバラにしてしまった我には、な……と自嘲気味にエースは呟く。

「それに、貴様は主を、どうしてもその身で護りたいようだが……忘れるな」

 エースはまたこの場にいるメンバーと、この場にいない、セツを取り巻く精霊たちを想い浮かべる。

「貴様の主は、貴様にしか護って貰えないような奴ではない。ジャックも、キングも、テンスも、先のルイン殿も、冥界の者たちも、皆が奴を護っているのだ。思い上がるな。貴様一人が奴を想ってなどいない」

「エース……貴女……」

「ふ……心配するな。我は奴に惚れたりなどしていない。ただ……」

 友として、背中くらいは護ってやる。

「行くぞ。テンス」

『ああ』

「我らの……誉れ高き戦場が待っている!」

『……ああ!』

 エースは、テンスを引き連れて部屋から出て行ってしまう。

「……まったく、なんですのもう。言うだけ言って、さっさと……」

『照れ臭かったのでしょう。彼女らしい』

『ほっほ。しかし、まあ……よくも団長らしくなりおって』

『今の彼女なら……主様を任せることができますね』

「ええ……まったく、口惜しいですわ……こんな時に、こんなザマとは……」

『今は、ゆっくり休みなさい。希冴姫。また、共に……』

『うむ。また、五人揃って主を護ろうぞ。希冴姫よ』

「……ええ。必ず」

 

 

 

 

 

「さっきから何を惚けている? さっさとデュエルを続けろ。それとも臆したか!?」

「……慌てるな。ちょっと思い出話に耽っていただけだろ」

 俺はエースと顔を見合わせ、コクリと頷く。

「さあ、行くぞ運命野郎! 騎士の力を思い知れ!」

 

 

 

 

 

 




さ「な~っにっかな~な~っにっかな?」
ル「今回は、これ」
『幽獄の時計塔』
さ「フィールド魔法だね。ターン経過でカウンターを貯めていって、貯まりきったら戦闘ダメージを無効にする効果と、破壊されたらドレッドガイを特殊召喚する効果だね」
ル「効果自体は、強そう」
さ「だけど効果を発揮するまでが悠長に過ぎるよ。時計カウンターが四つ貯まるまでに破壊されたら意味ないし」
ル「可及的速やかな対処が求められるカード」
さ「カウンターを貯めるためのカードもあるけど、そこにデッキスロットを割くのも非効率的だよね」

 次回、エドフルボッコ回。お楽しみに!
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