アルカナ~切り札の騎士~   作:西本 悠

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 前回の続きになります。


第三期第十四話「運命を切り開く剣」

アルカナ~切り札の騎士~

第三期第十四話「運命を切り開く剣」

 

 

 

 

「さあ行くぞ運命野郎! 騎士の力を思い知れ!」

 エースの攻撃力は2000。奴の……エドのドレッドサーヴァントの攻撃力は400。なら!

「俺は手札から装備魔法『アルカナソード スペード』をエースに装備する!」

『来たれ! 猛き剣よ!』

 エースの手に、美しい、しかし鋭い気を放つ神剣が握られる。

「攻撃力が変わらない……? エフェクトを付加する装備魔法か!」

「そんなところだ。行け! エース! ドレッドサーヴァントを攻撃!『スペード・フラッシュ』!」

『せぇいやああああああああ!』

「甘い! リバースカードオープン!『エターナルドレッド』! このカードは……」

「させん! リバースカードオープン! カウンタートラップ『トラップ・ジャマー』!『エターナルドレッド』の効果を無効にし、破壊する!」

「何っ!?」

「行けエース!」

『承知!』

 エースの剣が、ドレッドサーヴァントを細切れにする。

「っ!? ぐああああああああっ!?」

 想像していた以上の衝撃に、エドが思わず吹っ飛ばされる。

「な、なんだ今のは……」

「戦闘の時、『アルカナソード スペード』の効果が発動したのさ。スペードの剣は、装備モンスターの戦闘ダメージを倍にする。尤も、自分が受ける戦闘ダメージも倍になるんだけどな」

「くっ……」

 エドLP4000→800

「なら僕はトラップカード『デステニー・シグナル』を発動! デッキから『D-HEROダイハードガイ』を特殊召喚! ダイハードガイは、破壊されたD-HEROを次のターンに復活させる! ワンダーアライブ!」

 『D-HEROダイハードガイ』ATK800

 くそ……元の世界のダイハードガイじゃ、そんなコンボはできないんだが……。原作の、細かい効果の違いまでは想定できない。

「俺はカードを一枚セット。ターンエンドだ」

「くっ……僕のターン、ドロー! 僕はダイハードガイのエフェクトによりドレッドサーヴァントを蘇生! ワンダーアライブ!」

 エースに倒されたドレッドサーヴァントが再び特殊召喚される。

「そして僕は、カードを一枚セット。ドゥームガイを守備表示に変更し、ターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー!」

「この瞬間、『幽獄の時計塔』の針が進む!」

 時計塔が指し示すのは九時。あと一ターンか。

「行くぞ! 俺はエースでダイハードガイを攻撃!『スペード・フラッシュ』!」

『瞬光に散れ!』

「リバースカードオープン!『D-シールド』! ダイハードガイは破壊されない!」

 ……やるな。

「俺はターンエンドだ」

「僕のターン、ドロー! 僕は手札から魔法カード『強欲な壺』を発動! カードを二枚ドロー! 更に『D-HEROダイヤモンドガイ』を守備表示で召喚! エフェクトを使う!」

 『D-HEROダイヤモンドガイ』DEF1600

 来たか。ダイヤモンドガイ。コイツの効果だけは、『天罰』でも使わないと防ぎようがない。次のターンに発動が決定した魔法カードの効果にはカウンターができない。

「僕が引いたのは『終わりの始まり』よってこの瞬間、次のターンにこのカードの発動が決定した! ターンエンド!」

「俺のターン、ドロー!」

「この瞬間、『幽獄の時計塔』の針は零時を指す! よって、僕を護る無敵のエフェクトが発動する!」

 これで、ドレッドガイの召喚条件が整った、か……。

『無駄だ』

「エース?」

『彼奴らは既に、墜ちた英雄(ヒーロー)……エド・フェニックスという復讐鬼に取り憑かれ、誇りをなくした者どもだ。誇りなき剣に、我は倒せぬ』

「……な、なんだ? 今の声は……」

『ほう。我が声が聞こえたか。心底の愚者ではないようだ』

「これは……ソリッドビジョンが……?」

『先ほど貴様は、あの者に言っていたな。お前にはないモノが、自分にはある、と』

「それが……どうしたと言うんだ」

『勘違いするな。愚か者。ヒーローを渇望する理由? ふん。ふざけるなよ』

「なんだと……!?」

『貴様は、貴様こそ、ヒーローをなんだと思っているのだ? 復讐? 力? 真のヒーロー? 笑わせる』

「貴様!」

『貴様の眼には復讐しか映っていない。負の感情に支配された者が、ヒーローを語るなクズが』

 エースは、エドに対しても全く変わらない態度で罵倒する。

英雄(ヒーロー)とは……希望だ。幼子にとっての救い。護りの存在。敵を倒すのがヒーローではない。殺し、奪い、絶望させるヒーローの、何が真のヒーローだ』

「黙れ! 貴様に……貴様に何がわかる!?」

『貴様こそ黙れ。今は我のターンだ。貴様に発言の権利などない。我の話が終わってから、存分にわめけ。聞く耳は持たんが』

 理不尽だ。相変わらず、基本的に取り付く島もないんだなコイツは。

「ヒーローが常に光に満ちていると思うな! ヒーローの真実は、闇に塗れている!」

『だが、ヒーローが子供たちに齎すモノは、常に希望だ。光だ。ヒーローがその背中に庇うもの。それらは全て、希望に満ちていなければならない。ヒーローは、相対した者にのみ闇を与える。護る者には、希望を。貴様は……ヒーローの背中に在りながら、絶望しか見ていない。そんな貴様が、ヒーローを語るな』

「くっ……」

 エースの言葉は、俺の胸にも届いた。ヒーローが、その背中で語るモノ。それは……。

『それは我ら、騎士とも同じ。安堵を、憧れを、希望を。その背中で語るのだ。そこに、我らは誇りを、プライドを、名誉を感じて、更に猛る。真実が闇であろうとも、血に塗れていようとも、我らの力の源は、我らの護る者たちの希望。それだけは、変わらぬ』

「お前は……」

『忘れるな。貴様にも辛いことがあったのだろう。しかし、貴様のその絶望が、恨みが、悲しみが、彼らを……魔物にしている』

 俺には……俺には見える。エースも、エドのD-HEROも……

「泣いてる……」

『我は騎士! 高潔なる切り札の騎士だ! 英雄ならずとも、同じく守護の剣! よって、魔物に負けることは許されん! セツ!』

「……ああ、任せろ。エド・フェニックス。俺は……お前を、運命を……超えるぞ」

「くっ……!?」

「バトルフェイズ!『切り札の騎士団長―エース』で、『D-HEROダイヤモンドガイ』を攻撃!『スペード・フラッシュ』!」

『瞬光輝刃……』

 エースの持つ剣が煌めく。

『尖晶斬!』

 一瞬の交錯。

『散れ。哀れな墜ちた英雄よ』

 また一瞬の間を置き、ダイヤモンドガイが細切れになった。

「ぐうううっ! だが、『幽獄の時計塔』の効果でダメージはない!」

「わかってるさ。カードを一枚セット。ターンエンドだ!」

「僕のターン、ドロー! 僕だって、言われっぱなしではいられない!」

「ああ、来い!」

「この瞬間、『終わりの始まり』のカードエフェクトが発動する! 三枚ドロー!」

 うわ……わかっちゃいたが、きっつい効果だぜ……。

「更に『D-HEROダイハードガイ』のエフェクト!『ダイヤモンドガイ』を蘇生!」

 エドの手札は五枚。一気に手札が増えたな。流石だ。

「行くぞ! 僕はドレッドサーヴァントでその騎士を攻撃する!」

「攻撃力400のモンスターで攻撃!?」

「時計塔の効果でダメージを受けないからって……」

 外野は困惑しているが、俺にはわかる。ドレッドサーヴァントのもう一つの効果、それは……。

「迎え討て! エース!」

『言われるまでもない!』

 ドレッドサーヴァントはエースの持つ剣が煌めくと同時に霧散してしまう。だが……

「この瞬間、『D-HEROドレッドサーヴァント』のモンスターエフェクトが発動する! このモンスターが戦闘によって破壊された時、自分フィールドの魔法・罠を一枚破壊することができる!」

「自分のカードを破壊!? それって……」

「それって、『幽獄の時計塔』の効果が、発動するドン!」

「そうだ! 来い!『D-HEROドレッドガイ』!」

『オオオオオオオッ!』

『現れたか……殺戮の囚人』

 『D-HEROドレッドガイ』ATK?

「ドレッドガイが召喚された時、自分のD-HERO以外のモンスターを全て破壊し、墓地からD-HEROを二体まで蘇生することができる! ドレッド・ウォール!」

「マズイッス! これでモンスターが蘇生されたら、エドのフィールドにモンスターが五体も……」

『させん! セツ!』

「任せろ! カウンタートラップ『オーバーウェルム』! コイツは俺の場に、アドバンス召喚されたレベル7以上のモンスターが存在する場合にのみ発動可能! モンスター効果か罠の発動と効果を無効にし、破壊する!」

『闇に還るが良い……囚人よ』

 エースを中心にして描かれた魔法陣が、ドレッドガイを光で包み、消し去ってしまう。

「何!? ぐっ!?」

「更に、カウンタートラップにより、相手モンスターの効果を無効化したことで、手札の『冥王竜ヴァンダルギオン』第三の効果が発動する!」

『グオオオオオオオオオオオッ!!』

 『冥王竜ヴァンダルギオン』ATK2800

「冥王竜……ヴァンダルギオン!?」

「天冥流転!」

『主よ……俺も、戦おう!』

「頼むぞ……俺は墓地から『切り札の騎士―テンス』を守備表示で特殊召喚!」

 『切り札の騎士―テンス』DEF2000

『フン。また頼むぞ。守護騎士テンス』

『その名で呼ばれるのも……懐かしい。神殿騎士エース』

「『切り札の騎士―テンス』は、フィールド上に表側表示で存在する限り、自分の他の切り札の騎士と名のついたモンスターを攻撃する時、このカードにその攻撃を移し替えることができる!」

『守護は任せろ。団長』

『ああ……我は攻める。遅れるな』

「くっ……まだだ! 僕は手札から魔法カード『死者蘇生』を発動! 墓地からドレッドガイを……」

「させねえって言っただろ! カウンタートラップ『マジック・ジャマー』! 手札を一枚捨て、相手の魔法カードの発動と効果を無効にし、破壊する! 俺は手札から『ジャム・ウォリアー』を捨てて効果を無効にする!」

 ここから、俺の真骨頂!

「更に俺は墓地に捨てた『ジャム・ウォリアー』の効果を発動! このカードがカウンタートラップのコストとして墓地に送られた場合、自分はデッキからカードを二枚ドローする!」

 まだだ。まだ終わらない! 俺のターンは、まだ続く!

「そして『切り札の騎士団長―エース』の効果も発動! このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、一ターンに一度プレイヤーが手札を墓地に送った時、そのプレイヤーはデッキからカードを一枚ドローする!」

「馬鹿な……コストが……コストにならないだと!?」

 そうだ。エースが力を貸してくれたことで、俺のカウンターデッキは……手札消費の激しいカウンターデッキでありながら、手札を絶やさず、相手ターンでもいくらでもカードを展開できる形まで完成した!

「さあ、何やってる。お前のターンだろ」

「ぼ、僕のターン、ドロー……」

「違う違う! “まだ”お前のターンってことだよ!」

「あっ……」

 プロにあるまじきミスといっていいだろう。ターンの把握に失敗するなど。

「くっ……僕は、カードを二枚セット。ターンエンドだ……」

「なら、改めて行くぞ。俺のターン! ドロー!」

 このターンで決める!

「俺は速攻魔法『トラップ・ブースター』を発動する! 手札を一枚捨て、このターン一度だけ、俺は手札からトラップカードを発動することができる! 俺は……ッ!」

 捨てようとしたカードを見て、一瞬躊躇う。なぜならそのカードは……、

『捨ててくれ。セツ。我が……過去と決別するために』

 俺が捨てようとしたのは『切り札の騎士―エース』。以前の……俺に、死への恐怖を語ってくれた、あの時のエースだ。

「っ……! 俺は、『切り札の騎士―エース』を墓地に捨てる!」

『っ……! ぅ、ぁ……』

 エースが、辛そうな顔をする。だが、俺は謝らない。謝れない。エースの決意を、無駄にしたくないから。

「この瞬間、墓地の『切り札の騎士―エース』と、フィールドの『切り札の騎士団長―エース』の効果が発動! まずは『切り札の騎士―エース』の効果で、このカードを手札から墓地に捨てた時、カードを一枚ドローする!」

『さあ、我を存分に振るえ! セツ!』

「ああ!『切り札の騎士団長―エース』の効果! 手札を捨てたことにより、デッキからカードをドロー!」

「くっ……!? なんてタクティクスだ……これが学生……!?」

「行くぞ! まずは邪魔なその盾をぶっ壊す! 速攻魔法『サイクロン』!『D-シールド』を破壊する!」

 渦巻く風が、ダイハードガイの盾を吹き飛ばす。

「俺は更に、『豊穣のアルテミス』を攻撃表示で召喚する!」

 『豊穣のアルテミス』ATK1600

 アルテミスの本領はドロー加速。だが、アタッカーとしてもそこそこの能力を持つ。少なくとも、攻撃力の低めな下級D-HERO相手なら!

「行くぞ! テンスを攻撃表示に変更し、バトルフェイズ! テンスでダイハードガイを攻撃!『轟断剣』!」

 『切り札の騎士―テンス』ATK1000

『おおおおおおおっ!』

 テンスの持つ大剣が、ダイハードガイを一刀の下に両断する。

「次! ヴァンダルギオンでダイヤモンドガイを攻撃!『冥王葬送』!」

「ぐうぅ!」

「もう一つ!『豊穣のアルテミス』でドゥームガイを攻撃!」

 天使の放つ光に耐えきれず、ドゥームガイが爆散する。

「ラストだ! エースでプレイヤーにダイレクトアタック!『スペード・フラッシュ』!」

「リバースカード『ドレインシールド』! この効果により僕は……」

「無駄だよ! カウンタートラップ『魔宮の賄賂』! 相手に一枚ドローさせる代わりに『ドレインシールド』の効果を無効にする!」

「まだだ!『トラップ・ジャマー』! これならどうだ!」

 テレビで亮さんにやったコンボか……しかし!

「悪いな……少なくともカウンターなら、俺は亮さんの先を行く! 『トラップ・ブースター』の効果により、手札からカウンタートラップ『神の宣告』を発動! ライフを半分支払うことで『トラップ・ジャマー』の発動と効果を無効にする!」

 セツLP4000→2000

「なんだと!?」

「カウンタートラップ二枚が発動したことにより、俺は『豊穣のアルテミス』の効果でカードを二枚ドロー!」

『終わりだ。我が友は、立派に使い手としての責務を果たした。ならば、次は我の番だ!』

「そんな……斎王の預言が、運命が外れると言うのか……? 御堂切……コイツ、一体……!?」

『兄の方は、運命(さだめ)を打ち破る男として有名だ、とな』

 エドの脳裏に、カイザーの言葉が蘇る。

『運命に縛られし愚か者……我が剣にて浄化する! せえええええいっ!』

「僕が……父さんのD-HEROが……! ぐああああああああっ!?」

 エドLP800→0

「エド……」

 俺は膝を着いてしまったエドの傍により、手を伸ばす。

「運命って言葉に、逃げるな」

「っ!」

「逃げるための理由を探すことほど、無駄なことはないぞ」

「……認めない」

「エド」

「認めないぞ。僕は。斎王の預言は間違っていない。僕のプレイングが甘かっただけだ。D-HEROは……父さんの作ったヒーローは最強だ」

「……ああ」

 わかっていた。俺が例えコイツに勝っても、コイツには届かない。コイツの心に届くのは……。

「また、いつか十代と再戦してくれ。エド」

 同じHERO使いである、十代だけだ。

「なに……?」

「今は……無理だが、アイツはきっと、すぐに立ち直るから。だからその時は、またアイツとデュエルしてみな。きっと、何か見えるものがある筈だ」

 HERO使いじゃない俺には、きっとエドや十代の心に届くメッセージはあげられない。

「エド・フェニックス」

「お前は、さっきの……!」

「ヒーローを使うなら、希望を持て。遊城十代のように。ワクワク、だったか。奴は、ヒーローの使い手として、お前よりも数段優れた資質があるぞ。今はまだ、未熟だがな」

「何を……」

「ヒーローは、誰かの希望でなくてはならん。ならばその使い手もまた、希望を胸に宿し、光を知れ。……騎士の使い手が、胸に誇りを持つように」

 エースの言葉はエドだけじゃなく、俺にも向けられている。

「眼を覆い、耳を塞いだままでは、お前を護る精霊の鼓動も聞こえまい。貴様の曇った眼が晴れることを、祈っているぞ」

「…………」

 エドは俺の手を無視して立ち上がり、デュエル場から出て行った。アイツにも、考える時間が必要だろう。

「お兄ちゃん」

「さだめか。なんだ?」

「勝ったね」

「ああ。約束、したしな」

「ん……」

 さだめが嬉しそうに微笑む。少し頬を染めて、はにかむ様に。

 最近のさだめは妙に殊勝だ。なんか逆に恐ろしく感じてしまう俺がダメだ。

「明日香、十代の方はどうだ?」

「……多分、気を失っているだけよ。少しすれば、眼を覚ますと思うけど……」

「そうか。なら良かった」

「セツ。何をボサッとしている。行くぞ」

「エース? 行くって……」

「決まっている。希冴姫の見舞いだ。三銃士とルイン殿に戦果報告もせねばなるまい」

「ああ、そうだな。けど、十代は……」

「十代のことなら心配するな。俺が責任持って保健室に送り届けよう」

「そっか。なら、頼む。三沢」

「アニキの看病は、オレたちに任せるザウルス!」

「むっ! アニキの看病をするのは僕! 剣山君はただの運び屋!」

「何言ってるドン! アニキを背負うこともできない丸藤先輩は引っ込んでるドン!」

「はは……」

 問題なさそうだな。なら、お言葉に甘えて、俺たちは部屋に戻りますか。

「エース」

「? なんだ」

「ありがとう。今回は、お前のおかげで勝てたよ」

「……フン。希冴姫の代理だ」

「だとしても、だよ。それに、お前いつから希冴姫のこと、名前で呼んでくれるようになったんだ?」

「……そんなこと、どうでもよかろう」

 エースの顔が、微妙に赤い。

「照れなくても……」

「照れてない!」

 思い切り照れてますがな。

「素直じゃな……」

「ええい黙れ! それ以上言うなら貴様をそこの妹への貢物として捧げるぞ!」

「待て! それはシャレでは済まん!」

 そんなことになったら……。

「そんなことになったら、さだめ、エースさんに全財産あげてもいい!」

「貢がれる側が金払ってどうする!? って、そうじゃなくて……」

「ふ、フフフ……なるほど、貴様の弱点がわかったぞ。その妹か!」

「しまったバレた!」

 エースの奴、これは面白いモノを見つけたとばかりに嗤っていやがる! くそ、ならこっちも……。

「はん、高潔な騎士様が随分と腹黒い、卑怯な真似をするな? そりゃ人質と大して変わらんぞ!」

「な、なにぃ……?」

「誇りだプライドだと言っておいて人質とは……片腹痛い!」

「き、貴様……」

「いや、人質でも何でもない気が……」

 さだめが至極最もなツッコミをしていたが、既に頭に血が上っているエースには聞こえなかったらしい。

「ええいやはり貴様とは直接決着をつけねば気が済まん! そこに直れ!」

「だが断る!」

「な、なんだと!?」

「今は一刻も早く、戦果報告に行くべき時だ! よって俺は帰る!」

「くっ……お、おのれ、後で覚えているがいい! 必ず泣かせてやる!」

「その言葉、そっくりそのまま返してやろう。石頭ひんぬー小娘」

「なぁっ!? き、キサマ……」

 エースが顔を真っ赤にしてプルプル震えている。引きつった顔で、今にも腰のレイピアに手を伸ばしそうだ。

「……ははっ!」

 俺は、思わず笑った。

「な、何がおかしい!」

「いや……やっぱいいなぁ。お前は」

「なっ!?」

 こんな風に、嫌味ったらしくケンカ出来て、こんなに楽しい友人を、俺は持ったことがない。

「やっぱりお前とは、こういう関係がしっくりくるよ。エース」

 希冴姫たちのような、異性の感情はなく、かといって剣士や十代たちのような、男同士の友情、といったものでもない。純粋にケンカし、笑いあえる。そんな友人。

「俺は、お前の親友になりたいよ。エース」

 それは、俺の偽らざる気持ちだった。

「……フン。貴様なぞ、精々が悪友止まりだ」

 顔を逸らしてそんなことを言うエースの頬は、隠しきれない喜色に染まっていた。そんな、予想通りの表情に、また笑う。

「エースさん顔真っ赤~」

「頬が緩んでるぞ。エース」

「く……ええいもう黙れ! そ、それ以上は言うな! ジグソーパズルにしてくれるぞ!」

「ははっ! バラバラにされちゃ敵わないな。逃げるぞ、さだめ!」

「オッケー!」

「ま、待て! 置いて行くな! 我一人では道がわからんだろうが!」

 慌てたようなエースの声が背後から聞こえてきて、やっぱり、笑う。

 アテナは、未だ帰って来ないし、希冴姫は寝込んでしまっている。だが、今この場においては、俺も、さだめも、エースも。皆、笑顔だった。

「待てこのっ……待たんかー!」

「うおっ!? ちょ、おま!? 剣投げるな!」

「全力で投げた剣を普通に白刃取りするあたり、底が知れないよね。お兄ちゃんって」

「全部お前関係で培った生存本能だけどな!」

 言い争い、でも笑顔。そんな、俺たちの関係が嬉しい。

 俺たちはただ笑いあった。終焉の影が、すぐ傍に迫っていることにも気付かずに。

 

 

 

 再会と、そして別れが、すぐ傍に迫っていた。

 

 

 

 

 

 




さ「な~っにっかな~な~っにっかな?」
ル「今回は、これ」
『切り札の騎士団長―エース』
さ「とうとう登場したエースさんの真の姿だね」
ル「吹っ切れた?」
さ「開き直ったとも言えるかな? 兎も角、その効果は強力。まず切り札の騎士限定のリリース軽減効果だね。最上級としてはステータスが低いから、基本的にこれか特殊召喚を狙っていくことになるよ」
ル「そして、手札補充効果」
さ「こっちが目玉だね。一ターンに一度、手札を捨てたプレイヤーはデッキからカードを一枚ドローできる効果。手札コストをすぐさま補充できるから、ディスアドバンテージの軽減になるよ」
ル「リリース軽減と合わせて、コストパフォーマンスに優れたカード」
さ「今回はフル活用だったね。何しろ召喚されてから一度もフィールドを離れることなく大活躍だもん」
ル「羨ましい限り」

 と、言うわけで真・エースになります。詳しい効果はさだめたちの解説通り。その他のステータスは以下の通りです。
・『切り札の騎士団長―エース』 光属性戦士族 星7 攻/守 2000/2000
 効果
『切り札の騎士団長―エース』の(3)の効果は一ターンに一度しか発動できない。
(1):このカードは、『切り札の騎士―エース』としても扱う。
(2):このカードをアドバンス召喚する際、切り札の騎士と名のつくモンスターをリリースする場合、一体のリリースでアドバンス召喚することができる。
(3):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、手札が墓地に送られた場合、そのカードのコントローラーはデッキからカードを一枚ドローする。

・『アルカナソード スペード』 装備魔法
 効果
(1):『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターにのみ装備することができる。このカードを装備したモンスターが行う戦闘によって発生する戦闘ダメージは倍になる。

 あ、それと以前登場したアルカナソードの効果です。
・『アルカナソード ハート』 装備魔法カード
・効果
(1):このカードは『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターにのみ装備することができる。装備モンスターの攻撃力を500ポイントダウンさせる。
(2):装備モンスターは戦闘によっては破壊されず、その際に発生する戦闘ダメージは無効になり、その分だけ自分はライフポイントを回復する。装備モンスターは攻撃宣言を行うことができない。

・『アルカナソード クローバー』 通常罠カード
・効果
(1):自分フィールド上の『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターが破壊され、墓地に送られた場合墓地から破壊されたモンスター以外の『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターを一体選択して特殊召喚し、このカードを装備カード扱いで装備する。
(2):このカードを装備したモンスターの攻撃力は700ポイントアップする。装備モンスターが破壊された場合、このカードを破壊する。装備されたこのカードが破壊された場合、装備モンスターを破壊する。

・『アルカナソード ダイヤ』 装備魔法カード
・効果
(1):『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップし、装備モンスターが相手モンスターを戦闘によって破壊した場合、自分はデッキからカードを一枚ドローする。
(2):装備モンスターが戦闘によって破壊され、墓地に送られた場合自分はデッキからカードを一枚ドローする。

 それでは、悠でした!
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