アルカナ~切り札の騎士~
第三期第十四話「運命を切り開く剣」
「さあ行くぞ運命野郎! 騎士の力を思い知れ!」
エースの攻撃力は2000。奴の……エドのドレッドサーヴァントの攻撃力は400。なら!
「俺は手札から装備魔法『アルカナソード スペード』をエースに装備する!」
『来たれ! 猛き剣よ!』
エースの手に、美しい、しかし鋭い気を放つ神剣が握られる。
「攻撃力が変わらない……? エフェクトを付加する装備魔法か!」
「そんなところだ。行け! エース! ドレッドサーヴァントを攻撃!『スペード・フラッシュ』!」
『せぇいやああああああああ!』
「甘い! リバースカードオープン!『エターナルドレッド』! このカードは……」
「させん! リバースカードオープン! カウンタートラップ『トラップ・ジャマー』!『エターナルドレッド』の効果を無効にし、破壊する!」
「何っ!?」
「行けエース!」
『承知!』
エースの剣が、ドレッドサーヴァントを細切れにする。
「っ!? ぐああああああああっ!?」
想像していた以上の衝撃に、エドが思わず吹っ飛ばされる。
「な、なんだ今のは……」
「戦闘の時、『アルカナソード スペード』の効果が発動したのさ。スペードの剣は、装備モンスターの戦闘ダメージを倍にする。尤も、自分が受ける戦闘ダメージも倍になるんだけどな」
「くっ……」
エドLP4000→800
「なら僕はトラップカード『デステニー・シグナル』を発動! デッキから『D-HEROダイハードガイ』を特殊召喚! ダイハードガイは、破壊されたD-HEROを次のターンに復活させる! ワンダーアライブ!」
『D-HEROダイハードガイ』ATK800
くそ……元の世界のダイハードガイじゃ、そんなコンボはできないんだが……。原作の、細かい効果の違いまでは想定できない。
「俺はカードを一枚セット。ターンエンドだ」
「くっ……僕のターン、ドロー! 僕はダイハードガイのエフェクトによりドレッドサーヴァントを蘇生! ワンダーアライブ!」
エースに倒されたドレッドサーヴァントが再び特殊召喚される。
「そして僕は、カードを一枚セット。ドゥームガイを守備表示に変更し、ターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー!」
「この瞬間、『幽獄の時計塔』の針が進む!」
時計塔が指し示すのは九時。あと一ターンか。
「行くぞ! 俺はエースでダイハードガイを攻撃!『スペード・フラッシュ』!」
『瞬光に散れ!』
「リバースカードオープン!『D-シールド』! ダイハードガイは破壊されない!」
……やるな。
「俺はターンエンドだ」
「僕のターン、ドロー! 僕は手札から魔法カード『強欲な壺』を発動! カードを二枚ドロー! 更に『D-HEROダイヤモンドガイ』を守備表示で召喚! エフェクトを使う!」
『D-HEROダイヤモンドガイ』DEF1600
来たか。ダイヤモンドガイ。コイツの効果だけは、『天罰』でも使わないと防ぎようがない。次のターンに発動が決定した魔法カードの効果にはカウンターができない。
「僕が引いたのは『終わりの始まり』よってこの瞬間、次のターンにこのカードの発動が決定した! ターンエンド!」
「俺のターン、ドロー!」
「この瞬間、『幽獄の時計塔』の針は零時を指す! よって、僕を護る無敵のエフェクトが発動する!」
これで、ドレッドガイの召喚条件が整った、か……。
『無駄だ』
「エース?」
『彼奴らは既に、墜ちた
「……な、なんだ? 今の声は……」
『ほう。我が声が聞こえたか。心底の愚者ではないようだ』
「これは……ソリッドビジョンが……?」
『先ほど貴様は、あの者に言っていたな。お前にはないモノが、自分にはある、と』
「それが……どうしたと言うんだ」
『勘違いするな。愚か者。ヒーローを渇望する理由? ふん。ふざけるなよ』
「なんだと……!?」
『貴様は、貴様こそ、ヒーローをなんだと思っているのだ? 復讐? 力? 真のヒーロー? 笑わせる』
「貴様!」
『貴様の眼には復讐しか映っていない。負の感情に支配された者が、ヒーローを語るなクズが』
エースは、エドに対しても全く変わらない態度で罵倒する。
『
「黙れ! 貴様に……貴様に何がわかる!?」
『貴様こそ黙れ。今は我のターンだ。貴様に発言の権利などない。我の話が終わってから、存分にわめけ。聞く耳は持たんが』
理不尽だ。相変わらず、基本的に取り付く島もないんだなコイツは。
「ヒーローが常に光に満ちていると思うな! ヒーローの真実は、闇に塗れている!」
『だが、ヒーローが子供たちに齎すモノは、常に希望だ。光だ。ヒーローがその背中に庇うもの。それらは全て、希望に満ちていなければならない。ヒーローは、相対した者にのみ闇を与える。護る者には、希望を。貴様は……ヒーローの背中に在りながら、絶望しか見ていない。そんな貴様が、ヒーローを語るな』
「くっ……」
エースの言葉は、俺の胸にも届いた。ヒーローが、その背中で語るモノ。それは……。
『それは我ら、騎士とも同じ。安堵を、憧れを、希望を。その背中で語るのだ。そこに、我らは誇りを、プライドを、名誉を感じて、更に猛る。真実が闇であろうとも、血に塗れていようとも、我らの力の源は、我らの護る者たちの希望。それだけは、変わらぬ』
「お前は……」
『忘れるな。貴様にも辛いことがあったのだろう。しかし、貴様のその絶望が、恨みが、悲しみが、彼らを……魔物にしている』
俺には……俺には見える。エースも、エドのD-HEROも……
「泣いてる……」
『我は騎士! 高潔なる切り札の騎士だ! 英雄ならずとも、同じく守護の剣! よって、魔物に負けることは許されん! セツ!』
「……ああ、任せろ。エド・フェニックス。俺は……お前を、運命を……超えるぞ」
「くっ……!?」
「バトルフェイズ!『切り札の騎士団長―エース』で、『D-HEROダイヤモンドガイ』を攻撃!『スペード・フラッシュ』!」
『瞬光輝刃……』
エースの持つ剣が煌めく。
『尖晶斬!』
一瞬の交錯。
『散れ。哀れな墜ちた英雄よ』
また一瞬の間を置き、ダイヤモンドガイが細切れになった。
「ぐうううっ! だが、『幽獄の時計塔』の効果でダメージはない!」
「わかってるさ。カードを一枚セット。ターンエンドだ!」
「僕のターン、ドロー! 僕だって、言われっぱなしではいられない!」
「ああ、来い!」
「この瞬間、『終わりの始まり』のカードエフェクトが発動する! 三枚ドロー!」
うわ……わかっちゃいたが、きっつい効果だぜ……。
「更に『D-HEROダイハードガイ』のエフェクト!『ダイヤモンドガイ』を蘇生!」
エドの手札は五枚。一気に手札が増えたな。流石だ。
「行くぞ! 僕はドレッドサーヴァントでその騎士を攻撃する!」
「攻撃力400のモンスターで攻撃!?」
「時計塔の効果でダメージを受けないからって……」
外野は困惑しているが、俺にはわかる。ドレッドサーヴァントのもう一つの効果、それは……。
「迎え討て! エース!」
『言われるまでもない!』
ドレッドサーヴァントはエースの持つ剣が煌めくと同時に霧散してしまう。だが……
「この瞬間、『D-HEROドレッドサーヴァント』のモンスターエフェクトが発動する! このモンスターが戦闘によって破壊された時、自分フィールドの魔法・罠を一枚破壊することができる!」
「自分のカードを破壊!? それって……」
「それって、『幽獄の時計塔』の効果が、発動するドン!」
「そうだ! 来い!『D-HEROドレッドガイ』!」
『オオオオオオオッ!』
『現れたか……殺戮の囚人』
『D-HEROドレッドガイ』ATK?
「ドレッドガイが召喚された時、自分のD-HERO以外のモンスターを全て破壊し、墓地からD-HEROを二体まで蘇生することができる! ドレッド・ウォール!」
「マズイッス! これでモンスターが蘇生されたら、エドのフィールドにモンスターが五体も……」
『させん! セツ!』
「任せろ! カウンタートラップ『オーバーウェルム』! コイツは俺の場に、アドバンス召喚されたレベル7以上のモンスターが存在する場合にのみ発動可能! モンスター効果か罠の発動と効果を無効にし、破壊する!」
『闇に還るが良い……囚人よ』
エースを中心にして描かれた魔法陣が、ドレッドガイを光で包み、消し去ってしまう。
「何!? ぐっ!?」
「更に、カウンタートラップにより、相手モンスターの効果を無効化したことで、手札の『冥王竜ヴァンダルギオン』第三の効果が発動する!」
『グオオオオオオオオオオオッ!!』
『冥王竜ヴァンダルギオン』ATK2800
「冥王竜……ヴァンダルギオン!?」
「天冥流転!」
『主よ……俺も、戦おう!』
「頼むぞ……俺は墓地から『切り札の騎士―テンス』を守備表示で特殊召喚!」
『切り札の騎士―テンス』DEF2000
『フン。また頼むぞ。守護騎士テンス』
『その名で呼ばれるのも……懐かしい。神殿騎士エース』
「『切り札の騎士―テンス』は、フィールド上に表側表示で存在する限り、自分の他の切り札の騎士と名のついたモンスターを攻撃する時、このカードにその攻撃を移し替えることができる!」
『守護は任せろ。団長』
『ああ……我は攻める。遅れるな』
「くっ……まだだ! 僕は手札から魔法カード『死者蘇生』を発動! 墓地からドレッドガイを……」
「させねえって言っただろ! カウンタートラップ『マジック・ジャマー』! 手札を一枚捨て、相手の魔法カードの発動と効果を無効にし、破壊する! 俺は手札から『ジャム・ウォリアー』を捨てて効果を無効にする!」
ここから、俺の真骨頂!
「更に俺は墓地に捨てた『ジャム・ウォリアー』の効果を発動! このカードがカウンタートラップのコストとして墓地に送られた場合、自分はデッキからカードを二枚ドローする!」
まだだ。まだ終わらない! 俺のターンは、まだ続く!
「そして『切り札の騎士団長―エース』の効果も発動! このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、一ターンに一度プレイヤーが手札を墓地に送った時、そのプレイヤーはデッキからカードを一枚ドローする!」
「馬鹿な……コストが……コストにならないだと!?」
そうだ。エースが力を貸してくれたことで、俺のカウンターデッキは……手札消費の激しいカウンターデッキでありながら、手札を絶やさず、相手ターンでもいくらでもカードを展開できる形まで完成した!
「さあ、何やってる。お前のターンだろ」
「ぼ、僕のターン、ドロー……」
「違う違う! “まだ”お前のターンってことだよ!」
「あっ……」
プロにあるまじきミスといっていいだろう。ターンの把握に失敗するなど。
「くっ……僕は、カードを二枚セット。ターンエンドだ……」
「なら、改めて行くぞ。俺のターン! ドロー!」
このターンで決める!
「俺は速攻魔法『トラップ・ブースター』を発動する! 手札を一枚捨て、このターン一度だけ、俺は手札からトラップカードを発動することができる! 俺は……ッ!」
捨てようとしたカードを見て、一瞬躊躇う。なぜならそのカードは……、
『捨ててくれ。セツ。我が……過去と決別するために』
俺が捨てようとしたのは『切り札の騎士―エース』。以前の……俺に、死への恐怖を語ってくれた、あの時のエースだ。
「っ……! 俺は、『切り札の騎士―エース』を墓地に捨てる!」
『っ……! ぅ、ぁ……』
エースが、辛そうな顔をする。だが、俺は謝らない。謝れない。エースの決意を、無駄にしたくないから。
「この瞬間、墓地の『切り札の騎士―エース』と、フィールドの『切り札の騎士団長―エース』の効果が発動! まずは『切り札の騎士―エース』の効果で、このカードを手札から墓地に捨てた時、カードを一枚ドローする!」
『さあ、我を存分に振るえ! セツ!』
「ああ!『切り札の騎士団長―エース』の効果! 手札を捨てたことにより、デッキからカードをドロー!」
「くっ……!? なんてタクティクスだ……これが学生……!?」
「行くぞ! まずは邪魔なその盾をぶっ壊す! 速攻魔法『サイクロン』!『D-シールド』を破壊する!」
渦巻く風が、ダイハードガイの盾を吹き飛ばす。
「俺は更に、『豊穣のアルテミス』を攻撃表示で召喚する!」
『豊穣のアルテミス』ATK1600
アルテミスの本領はドロー加速。だが、アタッカーとしてもそこそこの能力を持つ。少なくとも、攻撃力の低めな下級D-HERO相手なら!
「行くぞ! テンスを攻撃表示に変更し、バトルフェイズ! テンスでダイハードガイを攻撃!『轟断剣』!」
『切り札の騎士―テンス』ATK1000
『おおおおおおおっ!』
テンスの持つ大剣が、ダイハードガイを一刀の下に両断する。
「次! ヴァンダルギオンでダイヤモンドガイを攻撃!『冥王葬送』!」
「ぐうぅ!」
「もう一つ!『豊穣のアルテミス』でドゥームガイを攻撃!」
天使の放つ光に耐えきれず、ドゥームガイが爆散する。
「ラストだ! エースでプレイヤーにダイレクトアタック!『スペード・フラッシュ』!」
「リバースカード『ドレインシールド』! この効果により僕は……」
「無駄だよ! カウンタートラップ『魔宮の賄賂』! 相手に一枚ドローさせる代わりに『ドレインシールド』の効果を無効にする!」
「まだだ!『トラップ・ジャマー』! これならどうだ!」
テレビで亮さんにやったコンボか……しかし!
「悪いな……少なくともカウンターなら、俺は亮さんの先を行く! 『トラップ・ブースター』の効果により、手札からカウンタートラップ『神の宣告』を発動! ライフを半分支払うことで『トラップ・ジャマー』の発動と効果を無効にする!」
セツLP4000→2000
「なんだと!?」
「カウンタートラップ二枚が発動したことにより、俺は『豊穣のアルテミス』の効果でカードを二枚ドロー!」
『終わりだ。我が友は、立派に使い手としての責務を果たした。ならば、次は我の番だ!』
「そんな……斎王の預言が、運命が外れると言うのか……? 御堂切……コイツ、一体……!?」
『兄の方は、運命(さだめ)を打ち破る男として有名だ、とな』
エドの脳裏に、カイザーの言葉が蘇る。
『運命に縛られし愚か者……我が剣にて浄化する! せえええええいっ!』
「僕が……父さんのD-HEROが……! ぐああああああああっ!?」
エドLP800→0
「エド……」
俺は膝を着いてしまったエドの傍により、手を伸ばす。
「運命って言葉に、逃げるな」
「っ!」
「逃げるための理由を探すことほど、無駄なことはないぞ」
「……認めない」
「エド」
「認めないぞ。僕は。斎王の預言は間違っていない。僕のプレイングが甘かっただけだ。D-HEROは……父さんの作ったヒーローは最強だ」
「……ああ」
わかっていた。俺が例えコイツに勝っても、コイツには届かない。コイツの心に届くのは……。
「また、いつか十代と再戦してくれ。エド」
同じHERO使いである、十代だけだ。
「なに……?」
「今は……無理だが、アイツはきっと、すぐに立ち直るから。だからその時は、またアイツとデュエルしてみな。きっと、何か見えるものがある筈だ」
HERO使いじゃない俺には、きっとエドや十代の心に届くメッセージはあげられない。
「エド・フェニックス」
「お前は、さっきの……!」
「ヒーローを使うなら、希望を持て。遊城十代のように。ワクワク、だったか。奴は、ヒーローの使い手として、お前よりも数段優れた資質があるぞ。今はまだ、未熟だがな」
「何を……」
「ヒーローは、誰かの希望でなくてはならん。ならばその使い手もまた、希望を胸に宿し、光を知れ。……騎士の使い手が、胸に誇りを持つように」
エースの言葉はエドだけじゃなく、俺にも向けられている。
「眼を覆い、耳を塞いだままでは、お前を護る精霊の鼓動も聞こえまい。貴様の曇った眼が晴れることを、祈っているぞ」
「…………」
エドは俺の手を無視して立ち上がり、デュエル場から出て行った。アイツにも、考える時間が必要だろう。
「お兄ちゃん」
「さだめか。なんだ?」
「勝ったね」
「ああ。約束、したしな」
「ん……」
さだめが嬉しそうに微笑む。少し頬を染めて、はにかむ様に。
最近のさだめは妙に殊勝だ。なんか逆に恐ろしく感じてしまう俺がダメだ。
「明日香、十代の方はどうだ?」
「……多分、気を失っているだけよ。少しすれば、眼を覚ますと思うけど……」
「そうか。なら良かった」
「セツ。何をボサッとしている。行くぞ」
「エース? 行くって……」
「決まっている。希冴姫の見舞いだ。三銃士とルイン殿に戦果報告もせねばなるまい」
「ああ、そうだな。けど、十代は……」
「十代のことなら心配するな。俺が責任持って保健室に送り届けよう」
「そっか。なら、頼む。三沢」
「アニキの看病は、オレたちに任せるザウルス!」
「むっ! アニキの看病をするのは僕! 剣山君はただの運び屋!」
「何言ってるドン! アニキを背負うこともできない丸藤先輩は引っ込んでるドン!」
「はは……」
問題なさそうだな。なら、お言葉に甘えて、俺たちは部屋に戻りますか。
「エース」
「? なんだ」
「ありがとう。今回は、お前のおかげで勝てたよ」
「……フン。希冴姫の代理だ」
「だとしても、だよ。それに、お前いつから希冴姫のこと、名前で呼んでくれるようになったんだ?」
「……そんなこと、どうでもよかろう」
エースの顔が、微妙に赤い。
「照れなくても……」
「照れてない!」
思い切り照れてますがな。
「素直じゃな……」
「ええい黙れ! それ以上言うなら貴様をそこの妹への貢物として捧げるぞ!」
「待て! それはシャレでは済まん!」
そんなことになったら……。
「そんなことになったら、さだめ、エースさんに全財産あげてもいい!」
「貢がれる側が金払ってどうする!? って、そうじゃなくて……」
「ふ、フフフ……なるほど、貴様の弱点がわかったぞ。その妹か!」
「しまったバレた!」
エースの奴、これは面白いモノを見つけたとばかりに嗤っていやがる! くそ、ならこっちも……。
「はん、高潔な騎士様が随分と腹黒い、卑怯な真似をするな? そりゃ人質と大して変わらんぞ!」
「な、なにぃ……?」
「誇りだプライドだと言っておいて人質とは……片腹痛い!」
「き、貴様……」
「いや、人質でも何でもない気が……」
さだめが至極最もなツッコミをしていたが、既に頭に血が上っているエースには聞こえなかったらしい。
「ええいやはり貴様とは直接決着をつけねば気が済まん! そこに直れ!」
「だが断る!」
「な、なんだと!?」
「今は一刻も早く、戦果報告に行くべき時だ! よって俺は帰る!」
「くっ……お、おのれ、後で覚えているがいい! 必ず泣かせてやる!」
「その言葉、そっくりそのまま返してやろう。石頭ひんぬー小娘」
「なぁっ!? き、キサマ……」
エースが顔を真っ赤にしてプルプル震えている。引きつった顔で、今にも腰のレイピアに手を伸ばしそうだ。
「……ははっ!」
俺は、思わず笑った。
「な、何がおかしい!」
「いや……やっぱいいなぁ。お前は」
「なっ!?」
こんな風に、嫌味ったらしくケンカ出来て、こんなに楽しい友人を、俺は持ったことがない。
「やっぱりお前とは、こういう関係がしっくりくるよ。エース」
希冴姫たちのような、異性の感情はなく、かといって剣士や十代たちのような、男同士の友情、といったものでもない。純粋にケンカし、笑いあえる。そんな友人。
「俺は、お前の親友になりたいよ。エース」
それは、俺の偽らざる気持ちだった。
「……フン。貴様なぞ、精々が悪友止まりだ」
顔を逸らしてそんなことを言うエースの頬は、隠しきれない喜色に染まっていた。そんな、予想通りの表情に、また笑う。
「エースさん顔真っ赤~」
「頬が緩んでるぞ。エース」
「く……ええいもう黙れ! そ、それ以上は言うな! ジグソーパズルにしてくれるぞ!」
「ははっ! バラバラにされちゃ敵わないな。逃げるぞ、さだめ!」
「オッケー!」
「ま、待て! 置いて行くな! 我一人では道がわからんだろうが!」
慌てたようなエースの声が背後から聞こえてきて、やっぱり、笑う。
アテナは、未だ帰って来ないし、希冴姫は寝込んでしまっている。だが、今この場においては、俺も、さだめも、エースも。皆、笑顔だった。
「待てこのっ……待たんかー!」
「うおっ!? ちょ、おま!? 剣投げるな!」
「全力で投げた剣を普通に白刃取りするあたり、底が知れないよね。お兄ちゃんって」
「全部お前関係で培った生存本能だけどな!」
言い争い、でも笑顔。そんな、俺たちの関係が嬉しい。
俺たちはただ笑いあった。終焉の影が、すぐ傍に迫っていることにも気付かずに。
再会と、そして別れが、すぐ傍に迫っていた。
さ「な~っにっかな~な~っにっかな?」
ル「今回は、これ」
『切り札の騎士団長―エース』
さ「とうとう登場したエースさんの真の姿だね」
ル「吹っ切れた?」
さ「開き直ったとも言えるかな? 兎も角、その効果は強力。まず切り札の騎士限定のリリース軽減効果だね。最上級としてはステータスが低いから、基本的にこれか特殊召喚を狙っていくことになるよ」
ル「そして、手札補充効果」
さ「こっちが目玉だね。一ターンに一度、手札を捨てたプレイヤーはデッキからカードを一枚ドローできる効果。手札コストをすぐさま補充できるから、ディスアドバンテージの軽減になるよ」
ル「リリース軽減と合わせて、コストパフォーマンスに優れたカード」
さ「今回はフル活用だったね。何しろ召喚されてから一度もフィールドを離れることなく大活躍だもん」
ル「羨ましい限り」
と、言うわけで真・エースになります。詳しい効果はさだめたちの解説通り。その他のステータスは以下の通りです。
・『切り札の騎士団長―エース』 光属性戦士族 星7 攻/守 2000/2000
効果
『切り札の騎士団長―エース』の(3)の効果は一ターンに一度しか発動できない。
(1):このカードは、『切り札の騎士―エース』としても扱う。
(2):このカードをアドバンス召喚する際、切り札の騎士と名のつくモンスターをリリースする場合、一体のリリースでアドバンス召喚することができる。
(3):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、手札が墓地に送られた場合、そのカードのコントローラーはデッキからカードを一枚ドローする。
・『アルカナソード スペード』 装備魔法
効果
(1):『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターにのみ装備することができる。このカードを装備したモンスターが行う戦闘によって発生する戦闘ダメージは倍になる。
あ、それと以前登場したアルカナソードの効果です。
・『アルカナソード ハート』 装備魔法カード
・効果
(1):このカードは『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターにのみ装備することができる。装備モンスターの攻撃力を500ポイントダウンさせる。
(2):装備モンスターは戦闘によっては破壊されず、その際に発生する戦闘ダメージは無効になり、その分だけ自分はライフポイントを回復する。装備モンスターは攻撃宣言を行うことができない。
・『アルカナソード クローバー』 通常罠カード
・効果
(1):自分フィールド上の『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターが破壊され、墓地に送られた場合墓地から破壊されたモンスター以外の『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターを一体選択して特殊召喚し、このカードを装備カード扱いで装備する。
(2):このカードを装備したモンスターの攻撃力は700ポイントアップする。装備モンスターが破壊された場合、このカードを破壊する。装備されたこのカードが破壊された場合、装備モンスターを破壊する。
・『アルカナソード ダイヤ』 装備魔法カード
・効果
(1):『アルカナ ナイトジョーカー』または『切り札の騎士』モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップし、装備モンスターが相手モンスターを戦闘によって破壊した場合、自分はデッキからカードを一枚ドローする。
(2):装備モンスターが戦闘によって破壊され、墓地に送られた場合自分はデッキからカードを一枚ドローする。
それでは、悠でした!