アルカナ~切り札の騎士~   作:西本 悠

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第三期第十五話「迷える少女と偽りの現在」

アルカナ~切り札の騎士~

第三期第十五話「迷える少女と偽りの現在(いま)

 

 

 

 

『グオオオオオオオオオオオオッ!?』

 夕闇に染まる空の下、欠片の断末魔と共に周囲の闇が晴れて行きました。

 これで、もう何百匹目になるんでしょうか……もう、数えるのも馬鹿らしくなるくらい、私は終焉の欠片を消滅させてきました。

「……けど、本体は未だ現れない……もう、時間がないのに……!」

 焦る気持ち。

 とにかく、次の欠片を潰さなきゃ、と踵を返した私の視界に、意外な人物が写りこんできました。

「……光、お姉さん……」

 悲しげに顔を伏せた短髪の女性。それはあの時、私がセツの下から去ったあの日に、仲良くなったお姉さん。光お姉さんが口を開く。

「……無駄よ、アテナ……」

光お姉さんは、後ろ手に引き摺っていた『ナニカ』を私の前に放りだす。

「ッ欠片……!」

 それは無数の欠片。そのなれの果て。光お姉さんに放りだされたそれらは、あっさりと消滅する。

「……こんなもの、いくら潰したところで意味はないの。わかっているんでしょ?」

「……わかってます。でも、私にはこうするしか……本体を見つけ出すには、これくらいしか……」

「ウソね。貴女は知っているハズでしょう? 終焉の本体の居場所。希望が言っていたはずだもの」

「……あの人は、信用できません。あの人が本当のことを言っているのか、判然としませんから」

「それもウソね。希望が本当の事を言っていると、貴女は分かってる。だって、希望が言っていた言葉は全て、事実起こっていることだもの。そしてアテナ、貴女はそれを理解しているもの」

 お姉さんの言葉が、私の虚勢を次々と突き破ります。私は、ただ目を逸らすことしかできません。

「デュエルアカデミア。そこに本体はいる。希望は、そういうことを言っていたハズでしょう? 何故、貴女はアカデミアから遠く離れたこんな辺境で欠片狩りなんてしているの? そんなにセツに会いたくない?」

「……会いたくありません」

「それもウソ。じゃなきゃ、そんな痛みに塗れた顔で目を逸らすはずがない」

「っ……!」

「……ねえアテナ。なんでそこまで恐れるの? 貴女の犯した罪って本当にもう……」

『いい加減にしなさい!』

「シャルナ!?」

 シャルナは、光お姉さんに向けて杖を構えていた。憎しみの篭った、とまで言える凄まじい形相で、殺気すらも伴って。

「……何のつもり?」

『もう、やめなさい。この娘をこれ以上苦しめないで!』

「シャルナ……」

『最初は……あたしだって坊やたちの所に帰って欲しかった。そうすることがこの娘にとっての幸せだって、思ってた……』

「じゃ、今は?」

『……変わってない。今でも、坊やたちの所こそが、この娘にとっての安息だと……理想郷だと思ってる。でもね……』

 フッ、とシャルナの顔から表情が消えた。先ほどの、烈火のごとき怒りの表情とは打って変わり、冷徹な、氷雪のごとき怒り。

『あんたたちのやり口が、気に入らない』

「…………」

 光お姉さんは、ただ無言。こちらも表情を消して、私たちを静かに見据えています。

『散々この娘を追い詰めて……苦しめて苦しめて、もう駄目って所を坊やに救わせてハッピーエンドがお望み? 絶望の淵に置かれたこの娘を、救世主よろしく坊やが救う。こんな感じかしらね。あんたたちの描いた筋書きは。……反吐が出る』

 シャルナは淡々と、光お姉さんに言葉の矢を突き立てて行きます。

『……させないわよ。もうこれ以上、アテナを苦しめさせるもんですか。あたしは、もう……二度も(・・・)この娘を失っているんだから。三度も……失って溜まるもんですか』

 シャルナ……。

『アテナ……もういいから、もういいから休みましょう? 貴女はこれ以上、苦しまなくていいのよ。終焉のことも、貴女が罪と呼んでいるものも、全て忘れて休んで、元気になってから、あの坊やの所に帰りましょう。ね?』

「……シャルナ、でも私は……」

『……また、貴女は死ぬの? あたしを置いて、一人責任を背負ったまま、幸せを放棄して? あたしはもう、貴女を守れないのは嫌』

「…………」

 シャルナ……。

「…………気に入らない、かぁ」

『っ!』

 ボソリ、と呟いた光お姉さんに、シャルナはまた鋭く睨みつけます。

「おあいにく様。私も気に入らないのよね。今のあなたたち」

『なんですって……!?』

「私はね、希望に言われてここに来た。それは認める。でも、あんたたちをどうこうしようなんて、欠片も思っちゃいない」

『何を……!』

「信じろ、とは言わない。けどね、アテナ。貴女が望むのなら、私は貴女に協力するわ。希望のこととか、終焉のこととか世界のこととか、そんなこと無視してね」

 光お姉さんは、優しげな瞳で私を見つめます。その瞳に、ウソは見当たりません。

 私は、その赤い瞳の魔性の輝きに、一瞬見惚れて、思わず手を伸ばしかけます。でも、そんな私の手は光お姉さんにスッ、とかわされてしまいました。

「……でも、今のアテナには協力できない」

「え……」

「……ねえアテナ。アテナは、セツにどうして欲しいの? 貴女はセツに、何を望んでいるの? 聞かせて。アテナ」

 私が、セツに望んでいること……? そんなこと……、

「……何も、望んでなんかいませんよ」

 私に、そんな権利はありませんから。

「…………はぁ。ダメね。これは」

 光お姉さんは、そう言ってやれやれと肩をすくめる。

「この期に及んでまだそれ? 呆れた。いいわ。もう一度ボコボコにして、ついでにあんたの本心を暴いてやるわ」

「え? え?」

 いきなりデュエルディスクを構える光お姉さん。反射的に私もデュエルディスクを構える。

「ま、待ってください! 今光お姉さんとデュエルする意味がありません!」

「意味を見出すのよ! このデュエルから! デュエル!」

「デュ、デュエル!」

 アテナLP4000

 光LP4000

 なし崩し的に、デュエルをすることに。光お姉さんの意図は読めませんが、デュエルをする以上……。

「本気で、行きます!」

「そうしなさい。じゃないと、すぐ終わっちゃうから。私のターン、ドロー!」

 光お姉さんのデッキは高攻撃力モンスター主体のパワーデッキ。そして、エースに『バーサーク・デッド・ドラゴン』を据えた完全なパワータイプ。

「私はモンスターを一体守備表示でセット。カードを二枚セットして、ターンエンドよ」

「私のターン、ドロー! 私は永続魔法『神の居城―ヴァルハラ』を発動します! 手札から『アテナ』を攻撃表示で特殊召喚!」

 『アテナ』ATK2600

『あんたたちの思い通りにはならないわ。あたしは、この娘を守る!』

「更に『聖なるあかり』を攻撃表示で通常召喚!」

 『聖なるあかり』ATK0

「……へえ、そう。『聖なるあかり』……ね」

 これが、光お姉さんの『バーサーク・デッド・ドラゴン』対策!『聖なるあかり』が表側表示で存在する限り、闇属性モンスターの召喚も特殊召喚もできません!

「『アテナ』の効果で600ポイントのダメージです!」

「ちっ……」

 光LP4000→3400

「更に、もう一枚永続魔法『コート・オブ・ジャスティス』を発動! フィールドにレベル1の天使族モンスターが存在する場合、手札から天使族モンスターを特殊召喚出来ます! 私は『光神テテュス』を攻撃表示で特殊召喚!『アテナ』の効果でダメージ!」

 『光神テテュス』ATK2400

 光LP3400→2800

 『バーサーク・デッド・ドラゴン』は出させません! 一気に決めます!

「まずは『光神テテュス』で守備モンスターに攻撃!」

「……目が曇っているわよ。アテナ。私の守備モンスターは『マシュマロン』。裏守備表示のこのカードが攻撃されたことで、1000ポイントダメージを与えるわ。知っているでしょう?」

 『マシュマロン』DEF500

「くっ……」

 アテナLP4000→3000

 失敗しました……てっきり、バルバロス妥協召喚のセットだと思っていましたが……リリース確保のための壁……。

「私はターンエンドします」

「私のターン、ドロー。リバースカード『メタル・リフレクト・スライム』。永続魔法『冥界の宝札』発動。二体のモンスターをリリースし、『火之迦具土』を攻撃表示で召喚。『冥界の宝札』の効果でカードを二枚ドロー!」

 『火之迦具土』ATK2800

 『火之迦具土』!? それは……マズイです!

「更にリバースカード『無力の証明』! アテナの場に居るレベル5以下のモンスターを纏めて消し去る!」

「きゃ……!」

 私の場のモンスターは『アテナ』を除いて全てレベル5以下。そんな……。

「行きなさい『火之迦具土』……! あの子に現実を思い知らせてやりなさい!『紅蓮滅殺拳』!」

『ぐ、ああっ!?』

「きゃああっ!?」

 アテナLP3000→2800

「私はメインフェイズ2に『アドバンスドロー』を発動!『火之迦具土』をリリースしてカードを二枚ドロー! 手札から速攻魔法『デーモンとの駆け引き』を発動。デッキから『バーサーク・デッド・ドラゴン』を特殊召喚してターンエンドよ」

 『バーサーク・デッド・ドラゴン』ATK3500→3000

 結局『バーサーク・デッド・ドラゴン』まで出されてしまいました。攻撃力は500下がるとはいえ……キツイです。

「くっ……私のターン……」

「ドローの前に、『火之迦具土』の効果で手札を全て捨てて貰うわよ。まあ、元々残りの手札は一枚しかなかったわけだけど」

「……ドローします。……! 私は『神の居城―ヴァルハラ』の効果で手札の『The splendid VENUS』を攻撃表示で召喚します!」

 『The splendid VENUS』ATK2800

「あら。いい引きしてるじゃない」

 『バーサーク・デッド・ドラゴン』ATK3000→2500

 攻撃力の下がった『バーサーク・デッド・ドラゴン』なら……倒せます!

「バトル!『The splendid VENUS』で、『バーサーク・デッド・ドラゴン』を攻撃!『ホーリー・フェザー・シャワー』!」

「く……」

 光LP2800→2500

「私はこれでターンエンドです」

「つつ……私のターン、ドロー。カードを一枚セット。ターンエンドよ」

「私のターン、ドロー!」

 行けます! 今なら!

「『The splendid VENUS』でダイレクトアタック!」

「リバースカード『サンダー・ブレイク』! 手札を一枚捨てて『The splendid VENUS』を破壊!」

「くっ……ターンエンドです」

「私のターン、ドロー! 私はモンスターを一体守備表示でセット。ターンエンドよ」

 光お姉さんのデッキは最上級軸。だからこそ、一度崩されれば立て直しに時間がかかるはずです!

「私のターン、ドロー! 私は『強欲な壺』を発動します! カードを二枚ドロー!」

 これなら……!

「私は手札から魔法カード『儀式の準備』を発動します!」

「! 儀式……ですって……!?」

「デッキから『神光の宣告者』を手札に加え、墓地から『宣告者の預言』を手札に戻します!」

「……『火之迦具土』の時か……!」

「私は手札の『光神機―桜火』をリリースし、『宣告者の預言』を発動します! 来てください、完全にして絶対なる宣告の神!『神光の宣告者』! 守備表示で特殊召喚!」

 『神光の宣告者』DEF2800

 私の、新しい切り札! 最強の宣告者!

「ちっ……面倒なのが出てきた……でも、これでわかった。確信したわ……アテナ」

「更に『宣告者の預言』の効果を発動します。儀式召喚に成功した時、このカードを墓地から除外することで召喚の贄となった『光神機―桜火』を手札に戻します。ターンエンドです」

「……私のターン、ドロー」

 光お姉さんは、どこか複雑そうな表情です。嬉しそうでもあり、腹立たしげでもある。そんな表情。

「……アテナ。やっぱり、貴女は間違ってるわ」

「な……どういうことですか」

「今のあんたは、ウソばっかりってことよ! ハリボテ同然の今のあんたが、私に勝てると思うな! 私のターン、ドロー!」

 無駄、です……例え光お姉さんが最上級モンスターを主軸としていても、私の手札には既に二体の天使族。二回までなら、どんな効果だって無効化して見せます!

「手札から魔法カード『ライトニング・ボルテックス』を発動! 手札の『レベル・スティーラー』を捨てて……」

「無駄です!『神光の宣告者』の効果を発動! 手札の『シャインエンジェル』を捨てて無効化!」

「なら私は守備モンスターの『神獣王バルバロス』を反転召喚。墓地の『レベル・スティーラー』の効果を発動するわ!」

 『神獣王バルバロス』ATK1900

 『レベル・スティーラー』? 一体どんな効果で……。

「『神獣王バルバロス』のレベルを一つ下げて、墓地から特殊召喚するわ!」

 『神獣王バルバロス』レベル8→7

「さ、させません! 手札の『光神機―桜火』を捨てて『神光の宣告者』の効果発動です!」

 『神光の宣告者』は、手札の天使族を捨てることで魔法・罠・モンスター効果のどれであっても無効化できる最強の宣告者。これなら……!

「あっそう。んじゃ、もう一度『レベル・スティーラー』の効果を発動するわ」

 『神獣王バルバロス』レベル7→6

「な……」

「別に、一ターンに一度しか発動できない効果じゃないのよ。残念だったわね」

「し……」

 しまった……余計なことを……これで私の手札はゼロ。『神光の宣告者』の効果が使用できない!?

「更にもう一体の『レベル・スティーラー』の効果を発動!『神獣王バルバロス』のレベルを更に一つ下げ、墓地から特殊召喚!」

 『神獣王バルバロス』レベル6→5

 『レベル・スティーラー』ATK600

「そんな……もう一体!?」

 まさか、『サンダー・ブレイク』!? あの時既に……。

「さあ、まとめてぶっ飛ばすわよ! 私は三体のモンスターをリリースし、二枚目の『神獣王バルバロス』を召喚! 効果発動! このカードが三体のモンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功したとき、相手フィールドのカードを全て破壊するわ!」

 『神獣王バルバロス』ATK3000

 そんな……また、私は……、

「目を、覚ましなさいよ。アテナ。『神獣王バルバロス』で、プレイヤーにダイレクトアタック!『トルネード・シェイパー』!」

「あ、ああああああああっ!?」

 負ける……の?

 アテナLP2800→0

 

 

 

『アテナ……っ!』

「あ……わたし……」

「気を失ってたのよ。大分、疲れが溜まってたんでしょうね」

「ひかり……お姉さん……」

「そ。光お姉さんよ。大丈夫?」

『あんた……よくも抜け抜けと……!』

「いきり立たない。ったく……」

 苛立たしげなシャルナに、光お姉さんもつられて不機嫌そう。

「……ねえ、アテナ。やっぱりアンタは、ウソだらけよ」

「…………」

「最後の『神光の宣告者』。あれではっきりわかった。アテナが、セツのことどうしようもないくらい大好きだってこと。助けて欲しいって思ってること」

「……なんで……」

「最後の最後に『神光の宣告者』が出てきた時点で、もう明らかよ。パーミッションの親玉みたいな天使。助けて欲しいんでしょ? セツに。伝わってきたわ。貴女の気持ち」

「私は……」

 セツと離れて、心細くて、辛くて……でも、セツには会うわけにはいかなくて……。

「その代替。パーミッションデッキ使いのセツに準えて、構築の難しい儀式召喚のギミックも組んで……もう、分からない方がどうかしてるわ」

「…………」

「アテナはウソつきね。そんなにセツの事好きなのに、ヘンな負い目を感じて一人離れて……ホント、馬鹿」

「だって、私はセツに酷いこと……謝ったって、許されることじゃなくて……きっと、光お姉さんみたいに嫌われて……」

「……私が、今のアテナが嫌いって言ったのはね……アテナ。今のアテナが、ウソつきだからなのよ」

「え……?」

「初めてアテナと会った時、なんて素直で健気で、真っ直ぐな娘なんだろうって思ったのよ。真っ直ぐ、正直に、自分の気持ちを大好きな相手に伝えられる、そんな貴女が、私は大好き。そんな貴女だから、お友達。でも、今のアテナは、ウソつき。だから、嫌い」

 それは、何も……何も知らなかっただけで……知っていたら……。

「そうかしらね。例え、最初から知っていたとしても、アテナなら告白してたんじゃないかしら。それくらいじゃなきゃ、初対面でいきなり告白なんてしないと思うわ」

 あの時……セツと初めて会った時、殆ど衝動的に告白しました。断られるかも、とか、ヘンな子だと思われるかも、とか、そんな危惧、あって然るべきだったのに。

「ウソじゃないって……わかったんでしょ? セツへの気持ちが、本物だって、わかったんでしょう? なら、戻ればいいじゃない。自分の心に正直に、さ」

 でも……でも私は!

「罰を受けたいの? セツたちに酷いことをした罰を? だからセツに会わずに、自分を追い込んでいるの? さっきシャルナが言っていたけど、ホントにアテナを追い込んでいるのはアテナ自身よね?」

「そう……です」

「だったら、いい方法があるでしょうが。罪を償い、罰を受ける、最善の方法が」

「え……?」

 思わず顔を上げる。あっさりと、罪を償う方法があると言いだした光お姉さんに目を向ける。

「殺人者が罪を償えないのは、犯した罪の対象が既にいないから。既に死んだ人には、どう足掻いたって罪を償えない。でも、アテナは違うでしょ。セツも、さだめも、普通に生きてるんだから。あの二人の前まで行って、正直にゴメンナサイしてくればいいの」

「そんな……そんなこと……」

「できないって? そう思うアテナだからこそ、これが一番なのよ。罪悪感で潰されそうになるくらい酷い罰を、受けられるんだから。一番酷い罰よね」

 あ……。

「このままここに居れば、罪を償うこともできず、世界は、滅びるわよ」

「わ、たし……」

「それでも罰を受け足りないなら、セツを誰かに譲っちゃいなさいな。目の前でラブシーンでもして貰うといいわ」

「それはダメです! あ……」

 思わず、といったように口から出た言葉に、私は呆然とする。でも、光お姉さんは笑顔を浮かべる。

「ほら、正直な娘。舞台から降りたーだの、私には資格がないーだの言ってても、結局アテナの望みはそういうことでしょ。なら、素直になっちゃえばいいのよ」

 私の、望み……。

「……もう少し、もう少しだけ、時間をください」

 例えそうだとしても、すぐには無理。勇気が、足りない。

「……いいえ、待たない」

「え?」

「力尽くで、引っ張ってってあげるわ。いつまでもウジウジ悩むな!」

「や、ちょ、ちょっと……待ってください!」

「あんたに勇気をくれるのは何!? セツでしょ! だったらここでいくらウジウジしてても勇気なんざ湧いて来ないわよ! セツに会えば勇気も貰えて罪も償えて一石二鳥! 違う!?」

「ご、強引すぎます! 無茶苦茶な理屈です!」

「ちょっとでも前向きになった今行くのが一番いいのよ! また一人で勇気が湧くまで……なんて言ってたら、また延々悩み続けて落ち込んで行くだけよ!」

「そ、それは……でも!」

「デモもストもない! 無理矢理、力尽くで、セツの所まで速達よ!」

「や、やあああああっ!?」

『ちょ、ちょっと!』

「セツに会えば全部解決すんのよ! 私は希望みたいに、心理的に操ってセツの下に連れ返すようなことはしないわ! 私は! 最終的には! 力尽く!」

『力強く言うな!』

「でも、これが手っ取り早いでしょうが! 私の見たとこ、アテナみたいなのは、ここ一番で度胸があるの! 追い詰められたら夜這いだってするタイプと見たわ! 自分から押し倒すタイプよきっと!」

『……確かに』

「ちょ!? シャルナ!?」

「……あれ? もしかしてもう押し倒しちゃった?」

『……ノーコメントにしておくわ』

「……なら尚更! 無理矢理強引に力尽くでセツの前に叩きだせば上手く行くわ!」

『……ホントに、それが良いかもしれないわ』

「シャルナ~!?」

 ひょい、と軽々と片手で抱えられ、光お姉さんのものと思われる車に放りこまれる。

「さあ! デュエルアカデミアに向けて……全速前進!」

「ちょ、まっ……いやあああああああああああああああああああっ!?」

 ……追記、光お姉さんの運転は、酷く豪快かつ荒っぽかったです。

「し、死ぬっ! 死んじゃいます! セツに会う前に死んじゃいますってばぁ~!?」

「大丈夫! 私は車が木っ端微塵になっても無傷で助かったことあるから!」

「私は死にます!」

「アテナなら大丈夫!」

「何を根拠に!?」

「シャルナが守る!」

『無茶言わないで!』

「やっぱり死にます! セツ! セツ! 助けてくださいぃぃぃぃ!」

「やっと本音が出たわね!」

「あからさまに死を目前にしてますからね! 死ぬ前に一目会いたいですよ! 悪いですか!?」

 キキィィィィィッッ!! とか物凄い音を立てて車がドリフトします。……住宅地で。

「っと! あっぶねー子供轢くとこだったわ」

「なんで免許持ってるんですか! 取り消しです取り消し!」

「持ってないわよ?」

「論外じゃないですかぁ~!?」

「ゲーセンで散々練習したから!」

「だからなんだっていうんですかぁ!?」

「同じくクルージングも練習だけはしてあるから。……ゲームで!」

「殺される!?」

「ヘリの方が良い? 練習してないから面白そうね」

「希望さんを! 希望さんを呼んでください! あの人ならなんでもこなしそうです!」

「ジャンボジェットとかなら予習バッチリよ!……コナンの映画で」

「いやああああああああ!?」

「野暮な悩みなんか吹っ飛ぶでしょう?」

「物理的に吹っ飛びそうです! って前! 前見てください! 崖です!」

「近道なのよ」

「あの世への!?」

「ジャーンプ!」

「ぅきゃああああああああああっ!?」

「エーキサイティング!」

「デンジャラスですよ極めて!」

 セツ……ここまで来たらもう素直になります! 会いたいです! 物凄く会いたいです!……死ぬ前に!

『荒療治にも程があるわね……良かったーあたし、精霊で。実体なくて』

「私を失いたくないんじゃなかったんですか!?」

『いや、多分大丈夫よ』

「だから何を根拠に!」

『ギャグ補正かかってるから、吹っ飛んでも無傷よ。きっと』

「現実にギャグ補正なんてものはありません! シャルナはもっと現実と向き合ってください!」

『え? そうなの?』

「あああああああああああああああ!」

「ニトロ!」

「なんでそんなものがついてるんですかこの車!」

「希望が面白がって付けてくれたわ」

「あああああの人は!」

「ぶっ飛ばせー!」

「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「空を舞え! 重力制御、ウイング起動!」

「オーバーテクノロジー過ぎます!」

「変形ぇぇぇぇ合体!」

「最早意味不明!」

「アカデミアまでひとっ飛び!」

「せめて……せめて遺書だけでも……」

「死なない死なない……あら? 燃料切れ? もーちゃんと給油しといてよ希望ー」

「……さよならです、セツ。どうか、お幸せに……」

「脱出ポット起動! 目標、アカデミア!」

「って脱出ポットっていうかこの形状はミサイル……っていやあああまた飛んだー!?」

「ってこれ、着地どうすんのかしら……ま、いっか」

「何処がですか!」

「ちぃ……流石に遠くて届かないわね……海中に不時着よ」

「どう考えても墜落ですが!?」

「落ちても生きてりゃ不時着なのよ」

「私は生きていられそうにありません!」

「この脱出ポットの硬度なら問題ないわ」

 セツ……もし、生きて再会出来たら……その時は……。

「あ、もしもし希望? 私だけど、船で迎えに来てくれない? いやーアテナも一緒なんだけど、海中に不時着しちゃって……場所はわかるでしょ? よろしくー」

「いやあああ!? 墜ち……!? くぁwせdrftgyふじこlp」

 生きて……会えたら……。

 どばっしゃああああああああああああん!!

 

 

 

 

 

 




さ「な~っにっかな~な~っにっかな?」
ル「今回は、これ」
『神光の宣告者』
ル「天使族の儀式モンスター。私の仲間」
さ「反応が速い!?」
ル「ナカーマ\(^o^)/」
さ「顔文字まで使って喜びを表現してる!?」
ル「手札の天使族の枚数分、相手の効果をシャットアウトできる最高の妨害カード」
さ「解説役まで取られた!」
ル「使うときは事前に手札を光神あたりで増やしておくといい」
さ「さだめの仕事!」
ル「このカードを出した上でウィジャ盤や波動キャノンの効果を守りつつ、このカードの戦闘破壊はオネストを始めとした戦闘補助やヴィーナス+リバースカードの無効にされない組み合わせで守り切るといい」
さ「無口設定どこいったの!?」
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