アルカナ~切り札の騎士~   作:西本 悠

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 七夕に、引き離されていた男女が(敵同士になって)再会する小説。……七夕に男女が引き離されるアニメとどっちがマシやら……。


第四期第十八話「天位の闇騎士」

アルカナ~切り札の騎士~

第四期第十八話「天位の闇騎士」

 

 

 

 

「セツ……?」

「お兄ちゃん……?」

 目の前に立った鎧姿の人物を見て、さだめたちは一様に絶句した。それは、あり得ない人間だったから。あり得ちゃいけない人だったから。

「一応、聞いておく。お前たちが、彼女たち……終焉に仇為す敵か?」

 その手に漆黒のデュエルディスクを構え、油断なく此方を見据えるその目に、狂気や虚無の気配は感じられない。信じたくない。でも、あれは……。

「セツ……! 貴様、正気か!?」

「正気? おかしなことを聞くな。俺が狂っているとでも言いたいのか?」

「でなければ何故!?」

「決まっている。俺にとっての守るべきモノ。それを守るため、俺はここに、こうして立っている。俺は昔から、守るために生きてきた」

「お兄ちゃん……」

 呆然と呟いたさだめに、お兄ちゃんはさだめを見て……眉を顰めた。

「|お前は誰だ(・・・・・)?」

「ッ!!」

 ぁ……。

「さだめさんっ!」

 力が抜けて、崩れ落ちる。隣で、アテナが崩れかかったさだめを支えてくれていた。

「貴様、冗談は程々にしろ!」

「……冗談? 俺が何時、冗談など言った? まあ……|そんなこと(・・・・・)はどうでもいい。俺と……デュエルしろ」

 お兄ちゃんが、その手のデュエルディスクを構える。

「待って」

「なんだ」

「貴方は……記憶がないの?」

「…………」

 お兄ちゃん……?

「セツ……今の、ルインさんが言っていたことは本当ですか?」

「……本当だ。だが、関係ない。記憶があろうとなかろうと、俺は俺だ。守るべきモノのため、ただ、ここに在る」

「貴方の守るべきは、彼女の筈。貴方の心、その拠り所は、妹の彼女だった筈」

 ルインが、さだめを指差して言う。

「……違うな。俺は、記憶をなくしても尚、覚えている。俺のこの魂に、守るべきモノを。俺の……終焉の花婿としての魂に」

「セツ……」

「セツ、お前は操られていたりするわけじゃ……ねえんだな?」

「想像に任せる。だが、操られていると思うのか?」

 ……思わない。さだめだけじゃなく、他のみんなもそれは同意見だったらしい。

「……恐らく、刷り込み」

「ルインさん?」

「記憶を失った後、終焉に刷り込みを受けた。過去の妹と酷似している終焉本体なら、刷り込みすることもできる筈」

「あ……昔のさだめは、そうか……」

 記憶を失って、さだめの雰囲気だけは忘れていなかったとしたら……。

「俺は、守るんだ。世界を敵に回してもいい。ただ一人、あいつだけ守れればそれでいい」

「……記憶がないから、仮面も被れていない。これが彼の……セツの真実」

「究極のエゴイズム……妹の事だけは、何としても守り抜こうというわけか……尤も、守るべき妹を勘違いさせられている奴を見ると、虚しいだけだな」

 エースさんが、さだめのことをチラリと見、その手にデュエルディスクを構えた。

「セツ! 我とデュエルしろ!」

「……いいだろう。裏切りの騎士」

「どちらが裏切りか……その身を持って知るが良い!」

「「デュエル!!」」

 エースLP4000

 セツLP4000

「我のターン! セツ、我は友として、貴様を倒す! ドロー!」

 エースさんは、お兄ちゃんから先攻を取り、カードをドローする。

「我は『切り札の騎士―テンス』を守備表示で召喚。カードを二枚セットし、ターンエンドだ」

 『切り札の騎士―テンス』DEF2000

「俺のターン、ドロー。俺は手札からフィールド魔法『ダーク・ゾーン』を発動する」

 お兄ちゃんはあくまで冷静にカードをドローし、珍しくフィールド魔法を使用した。

「セツがフィールド魔法……? 初めて見ます」

 さだめも、お兄ちゃんがフィールド魔法を使うところなんて久しく見ていない。それも、ただ攻撃力を上げるだけのフィールド魔法なんて、本当に珍しい。

「何を……」

「俺は融合デッキから『アルカナ ナイトジョーカー』を除外する」

「えっ……!?」

 この召喚方法は……まさか!?

「来い。真なる天位騎士。『Sinアルカナ ナイトジョーカー』!」

 『Sinアルカナ ナイトジョーカー』ATK3800→4300

「なん……だと?」

 闇の衣を纏うアルカナが、お兄ちゃんのフィールドに現れる。

「『Sinアルカナ ナイトジョーカー』は、融合デッキから『アルカナ ナイトジョーカー』を除外することでのみ、手札から特殊召喚できる。『Sin』の名を持つモンスターは、フィールドに一体しか存在できず、『Sinアルカナ ナイトジョーカー』以外のモンスターは攻撃が出来なくなる」

 それでも、その攻撃力は『ダーク・ゾーン』の効果と合わせて破格の4300。一ターンで、しかも手札二枚から召喚するには、巨大過ぎるモンスターだ。

「エース……お前たちの力は、もう要らない。『Sinアルカナ ナイトジョーカー』で『切り札の騎士―テンス』を攻撃!『Sinロイヤルストレートスラッシュ』!」

「ッ! トラップ発動『和睦の使者』! このターン、我のモンスターは戦闘によっては破壊されず、ダメージも受けない!」

「……いいだろう。俺はカードを一枚セットし、ターンを終了する」

 一枚だけ? 唯でさえ用心深いお兄ちゃんが、フィールド魔法を除去するだけで自壊するSinモンスターを出して?

「エースさん、何かあるよ!」

「わかっている! 我のターン、ドロー! 我はテンスをリリースし、我自身をアドバンス召喚する!」

 『切り札の騎士団長―エース』ATK2000

「そしてトラップ発動!『サンダー・ブレイク』! 手札を一枚捨てることで、フィールド上のカードを一枚破壊する! 我が破壊するのは『ダーク・ゾーン』!」

「よし! これなら……」

「アルカナには耐性があったとしても、フィールド魔法は……」

 破壊できる? お兄ちゃんが、そんなにあっさりと?

「……違う。そんな筈ない」

「そうだ。違う」

「っ!?」

「俺は『Sinアルカナ ナイトジョーカー』の効果を発動する。手札を一枚捨てることで、フィールド上のカード一枚を対象とした魔法・罠・モンスター効果の発動と効果を無効にする!『ジャミング・アウト』!」

「なにっ!? ぐっ!」

 エースさんのフィールドから伸びた雷が、アルカナによって跳ね返される。

「……我は自身の効果で、カードを一枚ドローする。カードを二枚セット。ターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー。俺は手札からマジックカード『おとり人形』を発動する。俺から見て右側のカードを強制発動だ」

「くっ!? ミラーフォースが……」

「発動条件の正しくないミラーフォースは破壊され『おとり人形』はデッキに戻してシャッフルする。更に魔法カード『サイクロン』。もう一枚の伏せカードを破壊させてもらう」

「くっ……」

 エースさんの伏せカードは『激流葬』。

「なるほど。アルカナの効果を受けない罠を仕掛けていたか。だが、無駄だったな」

「……無駄ではない」

「どういう意味だ?」

「貴様の手札は消費された」

 お兄ちゃんの手札は一枚。あと、無効化出来るのは一回だけ。

「……なるほどな。だが、やっぱり無駄だ」

「!?」

「手札から魔法カード『命削りの宝札』を発動。デッキから手札が五枚になるようにカードをドローする」

「なっ……!」

「そんな、それじゃあ……!」

 手札を消費させた意味がない。それどころか、手札は更に増強された。

「手札から速攻魔法『トラップ・ブースター』! 手札を一枚捨てることで、このターン俺は一度だけ手札から罠カードを使うことが出来る」

 お兄ちゃんの得意技。このカードは、お兄ちゃんの勝ちパターンだ!

「そして、お前の効果でデッキからカードを一枚ドローする」

「クッ……」

 まんまと効果を利用され、歯噛みするエースさん。

「終わらせる。バトルだ。『Sinアルカナ ナイトジョーカー』でエースに攻撃する」

「っ! 手札から『オネスト』の効果を発動する!」

「上手い!『オネスト』の効果なら、対象を取りません!」

「無駄だ。カウンター罠『天罰』。手札を一枚捨て、モンスターの効果を無効にし、破壊する」

「なっ……!?」

 カウンタートラップ! やっぱり……。

「切り裂け騎士皇。『堕天の剣』!」

「がぁっ!?」

 エースLP4000→1700

 闇に染まった騎士の剣が、エースさんを切り裂いた。

「がっ、ぐっ……だ、だが我のライフはまだ残っている……まだ、終わっては……!」

「いや、残念だが終わりだよ。手札からトラップカード発動『連撃』! 自分のモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した時、続けて相手プレイヤーかモンスターに攻撃することが出来る」

「な、に……?」

「『Sinアルカナ ナイトジョーカー』で、プレイヤーにダイレクトアタック。終わりだ」

「くっ!? ああああああっ!?」

 エースLP1700→0

「エースさん!」

 慌ててアテナがエースさんに駆け寄る。

「すぐに治療を!」

「ぐ……大丈夫だ。心配いらん」

「でも……」

「怪我はしていない筈だ。これは、闇のゲームでもなんでもない」

「セツ……」

「これは、警告だ。これ以上、俺たちに干渉するというのなら……今度は、容赦しない」

「……セツ、それでも私は、私たちは……」

「敵対するのか。わかった。なら、とことんやろうか」

「はい。今度は私が「待って」さだめさん?」

 立ち上がろうとするアテナを制して、さだめはお兄ちゃんの前に立つ。

「お兄ちゃん」

「……何故、お前は俺を兄と呼ぶ。俺に、妹がいた記憶はない」

「忘れているだけだよ。まさかお兄ちゃんに忘れられるなんて、思ってもいなかった。でも……すぐに思い出させてあげる。お兄ちゃんが、さだめを忘れるなんて、出来るわけないから」

「そこまで言うなら、いいだろう。デュエルしようか」

「さだめさん……」

「ごめんアテナ。ここは譲れない。お兄ちゃんが守るべきはなんなのか、しっかり思い出して貰わないとね」

 さだめは速攻で自分のデッキを改造し、今見た限りでのメタを構築する。

「「デュエル!!」」

 さだめLP4000

 セツLP4000

「俺のターン、ドロー。俺は手札からマジックカード『テラ・フォーミング』を発動。デッキから『ダーク・ゾーン』を手札に加え、発動する」

 再び、フィールドが闇に囚われる。

「行くぞ。俺は融合デッキの『アルカナ ナイトジョーカー』を除外し、手札から『Sinアルカナ ナイトジョーカー』を特殊召喚する」

 『Sinアルカナ ナイトジョーカー』ATK3800→4300

「いきなり来たね……」

「俺はこれでターンエンドだ。さだめ……といったか」

「……なに?」

「お前は……いや、何でもない。お前のターンだ」

「……さだめの、ターン。ドロー!」

 大丈夫。お兄ちゃんは全てを忘れてなんかいない。お兄ちゃんは、やっぱり……。

「さだめの、味方でいなきゃダメだよ。さだめは『終末の騎士』を守備表示で召喚。効果により、デッキから『ネクロ・ガードナー』を墓地に送るよ」

「……なるほどな」

 『終末の騎士』DEF1200

 対象を取る効果じゃない『ネクロ・ガードナー』なら、あのアルカナ相手でも守りきれる。でも、守ってばかりじゃ勝てないのも確か。

「さだめはカードを二枚セット。ターンエンドだよ」

「……お前は、どうやら相手の戦術を見切る力に長けているらしい。このアルカナでは抗し切れないか」

「お兄ちゃんの妹だからね」

 さだめが自信を持ってそう言うと、お兄ちゃんは少し表情を歪めた。

「……まあ、いい。俺のターン、ドロー。カードを二枚セットして、バトルだ。『Sinアルカナ ナイトジョーカー』で『終末の騎士』を攻撃する」

「トラップ発動『聖なるバリア―ミラーフォース―』!」

 伏せカードの破壊もせずに突っ込んできたことに違和感を覚えたけれど、発動しないという選択肢は無かった。

「ふっ……」

 その笑みに、やっぱりダメか? と思ったけれど、意外とあっさりアルカナは破壊されてしまう。

「なんで……」

「お前にこのアルカナでは勝てないと分かったからな。無駄な手札の使用はやめておこうと思っただけだ。何しろ……」

 お兄ちゃんは手札の中から一枚、カードを抜き出す。

「まさか……」

「アルカナには、更に上がいるんだからな」

 ガシャアアアアアアアアアアアン!! と凄まじい雷鳴がとどろき、お兄ちゃんのフィールドが一瞬見えなくなる。

「このカードは、手札が二枚以上の時、『Sinアルカナ ナイトジョーカー』が破壊された場合に、ライフを100にすることと、他の手札全て、そして融合デッキの『|切り札の騎士帝(トランプ・ナイト・ロード)―アルカナ ロイヤルジョーカー』をゲームから除外することでのみ特殊召喚することが出来る」

 セツLP4000→100

 間違いない。コストに使ったカードといい、間違いなくあれは……。

「さあ、お前たちに見せてやろう。究極のアルカナ。その真なる姿を。遠き深淵の裡より出でよ!『Sinアルカナ ロイヤルジョーカー』!」

 雷鳴を貫く闇が、剣を形作る。雷光が闇色に染まり、漆黒の鎧を組み上げる。

 『Sinアルカナ ロイヤルジョーカー』ATK4500→5000

「やっぱり、最強のアルカナの『Sin』……。攻撃力5000……」

「さあ、行くぞ。『Sinアルカナ ロイヤルジョーカー』で『終末の騎士』を攻撃!」

「きゃ……!」

 流石に、ダメージを受けるわけでもないのに『ネクロ・ガードナー』の効果は使わない。でも、流石にあれを突破するのは厳しい。

「……でも、相当なライフコストを要求して、手札もゼロなら勝機は……」

「悪いが、それは対策済みだ。リバースカードオープン。魔法カード『命削りの宝札』を発動。手札が五枚になるようにデッキからカードをドローする」

「そんな……っ!」

 これじゃあ、手札コストが五枚も……。

「俺はこれでターンを終了する」

 あのアルカナの上位種であるなら、手札をコストにパーミッションする系統の効果の筈。効果の詳細は分からないけど……。

「さだめのターン、ドロー!」

 お兄ちゃんの手札は五枚。伏せカードが一枚。あれだけの手札コストを払っておきながら、手札は余裕。でも、ライフは風前の灯!

「さだめは『ダーク・グレファー』を守備表示で召喚。効果発動! 手札の闇属性モンスターを墓地に送って、デッキから闇属性モンスターを墓地に送るよ! さだめは手札の『ネクロ・ガードナー』を墓地に送って……」

「悪いが……このアルカナの召喚を許した時点で、お前に勝機はない。『Sinアルカナ ロイヤルジョーカー』の効果発動! 手札を一枚除外し、魔法・罠・モンスター効果の発動と効果を無効にし、破壊する!」

「なぁっ……!?」

 ちょ、ちょっと待って! なにその反則効果っ!?

 さだめのフィールドから『ダーク・グレファー』がアルカナの剣に貫かれて消滅していく。一応『ネクロ・ガードナー』を墓地には送れたけれど、これじゃあ……。

「更に言っておくと、この効果はルール上スペルスピード3として扱われる。カウンター罠以外でのチェーンは組めない上、そのカウンター罠に対してもカウンターは可能だ」

「それじゃ対抗策がないじゃない!」

「召喚条件は、その分厳しい。『Sinアルカナ ナイトジョーカー』が破壊された時限定で、手札はこのカードの他に二枚必要。全て除外するから再利用も難しい。ライフコストも凄まじい。『火の粉』一枚で負ける程にな」

「そんなの……!」

 たったの二ターンで召喚されたら、厳しいと思うこともできない! それに、そんな効果があったらバーン効果なんて……!

「だが、その分制圧力は圧倒的だ。元々の攻撃力に加え、効果の一切をスペルスピード3でパーミッション出来る、最強の騎士。これが、俺の切り札だ」

「く……」

 マズイ。マズイマズイマズイ! さだめは既に召喚権を使い、フィールドはガラ空き。墓地には一応ネクロが二体いるけど、お兄ちゃんの手札枚数的に無効化される。

「マジックカード『闇の誘惑』!」

「手札一枚を除外し、無効だ」

「くっ……『おろかな埋葬』!」

「無効だ」

 これで、さだめに手札はもうない。さだめの……負けか。

「……一つ聞かせてもらいたい」

「なに?」

「お前たちは何故、彼女を……終焉を敵視する?」

「決まってるじゃん。お兄ちゃんをぶんどったかr「違いますさだめさん」……さだめ的にはそれが一番なんだけど」

「セツこそ、どうして終焉の味方を? 世界を終焉に導く意志が、セツにあるんですか?」

「……お前たちが滅ぼそうとしている終焉が、何も知らない、無垢な少女であったとしても、お前たちは終焉を滅ぼすのか?」

「何も知らなかった、で済まされるものではないだろう。我は、間接的にとはいえ仲間を殺されて黙っていられるほどお人好しではない」

「……そうか。そうだろうな」

 エースさんの返答を聞いて、お兄ちゃんは少しの間痛々しい表情で黙り込む。

「……お互いに事情持ちとはいえ、俺はアイツを……エンヴィーを守るため、お前たちを打ち負かす。俺のターン」

 さだめには、もう打つ手がない。二枚のネクロじゃ、アルカナの攻撃は受け切れない。

「バトルだ」

 アルカナが、さだめに向かって剣を振る。もう、終わりかな。でも……。

「せめて、足掻く! さだめは墓地の『ネクロ・ガードナー』の効果発動! 墓地のこのカードを除外することで、戦闘を無効にする!」

「無駄だ。『Sinアルカナ ロイヤルジョーカー』の効果発動。手札を一枚捨て、モンスター効果を無効にする」

「二枚目!『ネクロ・ガードナー』!」

「無効だ」

「…………」

 もう、防ぐ手立てはない。

「まあ、いっか……」

 お兄ちゃんに、殺されるなら。

「今まで、ごめんね……お兄ちゃん」

 迫りくる剣を感じながら、さだめは静かに目を閉じた。

 

 

 

「……あれ?」

 何時まで経っても、ダメージが来ない。さだめはゆっくりと目を開く。

「……あ」

 剣が、目の前で止まっていた。

「……くっ」

 お兄ちゃんが一言呻き、デュエルディスクを仕舞った。

「……今日は、ここまでだ」

「セツ! 待ってください!」

「……俺たちに、もう関わるな」

 アテナとルインが手を伸ばすも、お兄ちゃんは唐突にその場から姿を消した。

「転移術……あんなにあっさりと」

「オイ、マスター。大丈夫か?」

「う、うん……何ともない」

 お兄ちゃんは、さだめを殺せなかった。

「なら、完全に忘れちゃいないんだ」

 エースにだって、怪我をさせなかった。きっと、忘れていても心のどこかで覚えてる。さだめたちのことを。なら……。

「……方針に変更はなし」

「だね」

 顔を見合わせて頷く。

「セツを取り返す。その方針に変わりはありませんね」

「記憶ごと、な」

 さだめたちは、そう言って頷き合う。

「お前ら……大丈夫なのか?」

 剣士さんが、複雑そうな顔で聞いてくる。

「ええ。むしろ、セツが元気そうで安心しました」

「お兄ちゃんは死んでなかった。記憶を失っていても、さだめたちを傷つけなかった」

「……なら、落ち込むことは何もない」

 そう。今回は負けちゃったけど、お兄ちゃんを倒して、目を覚まさせてやればいい。お兄ちゃんは無事に生きてる。顔も見れた。今は、それでいい。

「なに、取り返す対象が、セツ本人とその記憶になっただけのことだ」

「そのためにも、まずは希冴姫さんを蘇生しましょう」

 アテナはそう言って、お兄ちゃんの襲撃によって中断していた儀式を再開するのだった。

 

 

 

 

 




 オリカ紹介です。
・『Sinアルカナ ナイトジョーカー』 星9 闇属性 戦士族 攻/守3800/2500
 効果
 このカードは通常召喚できない。
 自分のエクストラデッキから『アルカナ ナイトジョーカー』一体をゲームから除外した場合にのみ特殊召喚できる。このカードが表側表示で存在する限り、自分の他のモンスターは攻撃宣言できない。フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する。
(1)このカードの特殊召喚に成功した場合、自分フィールド上に存在するこのカード以外のモンスターを全て墓地に送る。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分はモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚することは出来ない。
(2)相手がフィールド上のカード一枚を対象にする魔法・罠・モンスター効果を発動した場合、手札を一枚捨てて、その効果を無効にする。

・『Sinアルカナ ロイヤルジョーカー』 星11 闇属性 戦士族 攻/守4500/3800
 効果
 このカードは通常召喚できない。
 このカード以外の手札が二枚以上存在し、自分フィールド上に表側表示で存在する『Sinアルカナ ナイトジョーカー』が破壊された場合に、ライフが100ポイントになるように支払い、このカード以外の手札を全て捨てた場合のみ特殊召喚できる。
 このカードの特殊召喚に成功した場合、自分フィールド上に存在するこのカード以外のモンスターを全て墓地に送る。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分はモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚することは出来ない。このカードが表側表示で存在する限り、自分の他のモンスターは攻撃宣言できない。フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する。
(1)相手が魔法・罠・モンスター効果を発動した時、手札一枚を除外して発動と効果を無効にし、破壊する。この効果は、ルール上スペルスピード3として扱われる。


 改定前からあったアルカナのsinです。相変わらず、酷い効果ですね(ぁ 尚、エース戦で最後に使った『連撃』は遊戯王Rで城之内が使ったチートカードです。
 それでは、悠でした!
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