アルカナ~切り札の騎士~   作:西本 悠

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第四期第二十三話「もう、やめろ」

アルカナ~切り札の騎士~

第四期第二十三話「もう、やめろ」

 

 

 

 

「デュエル続行不可能……いや、対戦者死亡につき、俺の勝ちだ」

 俺の言葉に、少女は動かない。微動だにしないその身体には、既に生命の息吹を感じなかった。

「呼吸はない。心臓も……ああ、止まったな。終わりだ」

 自慢じゃないが、俺は目も耳もいい。心臓の鼓動や息遣い程度は多少離れていても聞き取れる。

 ――だから、それはあり得ない筈だった。

「…………ぅ」

「っ」

『凛っ!』

 背を向けて、今にも去ろうとしていた俺は、背後から聞こえたその声に、信じられないと思いつつも振り向いた。

「っ……!?」

 あろうことか、その声の主は立ち上がろうとしていた。あり得ない。例え奇跡的に蘇生したとしても、一度心臓と呼吸が止まった娘が、すぐに意識を取り戻して立ち上がるなど。

「馬鹿な……」

「っ……っふ」

「なんだ……?」

 様子がおかしい。いや、おかしいと言えば立ち上がること自体が不自然だが、それよりも。

「くふっ……くふふふ」

 嗤っている。どうにも堪え切れない。そんな様子で。

「くふふふっ! くふっ」

 不気味。その一言に尽きる。死にかけて狂ったか。そう思わなくもないが、それよりも納得できそうな理由に今、気がついた。

「まさか……死して覚醒したのか? 終焉としての己に……」

 凛の腹部が、ドクン、ドクンと不気味に脈動していた。まるで、動かぬ心臓の代わりと言わんばかりに。

 思い返せば、わからない話ではない。死に瀕して蘇生した人間が、特殊能力を得ること自体も在り得る話だし、そもそも俺たちは終焉。元より特殊だ。俺だって、一度死にかけたからこそこうして記憶を失い、ここにいるのだ。……そして、エンヴィーも。

「ア、ああァああアああアあァああああァっ!!」

『凛っ!? 凛っ!』

『凛さん! どうしたんですか!?』

 彼女の精霊が声をかけているが、恐らくは無駄だろう。今の凛は意識もなく、ただ終焉……暴食(グラトニー)としての本能に支配されている、一種の暴走状態だ。

「……デュエルは、続行だな」

「くふっ」

 俺がそう言った瞬間、凛は笑いながら手札から魔法を行使した。

「手札から魔法カード『強欲なウツボ』。手札の水属性モンスター二体をデッキに戻し、三枚ドロー!」

 手札交換、か。手札が悪いのかそれとも気に入らない手札だったのか……いずれにせよ、利用させてもらう。

「リバースカードオープン。トラップカード『逆転の明札』! 相手がドローフェイズ以外でカードを手札に加えた場合、相手の手札と同じ枚数になるようにデッキからカードをドローする。お前の手札は五枚。俺の手札は一枚だから、デッキからカードを四枚ドロー」

 流石に、ハンデスによる弾(・)の不足は無視できない。が、逆を言えば弾さえ確保してしまえば残り1000しかないライフを削ることなど容易い。

「カードを二枚セットしてターンエンド……くふっ」

 異様な雰囲気のまま、凛はターンを終了した。さて……この手札なら、このターンで終わりか。

「俺のターン、ドロー」

「リバースカードオープン。『リチュア・アビス』をリリースして、トラップカード『水霊術―「葵」』を発動。手札を見せて」

「……いいだろう」

 また手札を晒すことになるとはな。コイツのデッキ、相当底意地の悪い覗き魔の変態の手が加わっているな。

 

 

 

「へっくしゅっ!」←相当底意地の悪い覗き魔の変態。

「うォっ!? どうしたンだ?」

「いや、今お兄ちゃんがさだめのことを噂していたような……」

「……噂されていることはおろか、個人まで特定できンのかオマエは」

「お兄ちゃん限定で」

 

 

 

 ……今、ヘンなヴィジョンが見えたような。兎も角、俺は凛に手札を晒す。どうせ焼け石に水。一枚程度捨てられた所でどうにかなる手札じゃない。俺は手札の『火炎地獄』二枚と『ファイヤー・トルーパー』『御隠居の猛毒薬』『マシュマロン』『テラ・フォーミング』の六枚。六枚中四枚が1000ポイントダメージ。更に内三枚は即効カード。一枚くらいであれば何の問題もない。

「……『ファイヤー・トルーパー』を選択」

「良いだろう」

 どちらにせよ、意味などない。これで……。

「俺は「更にトラップ発動。『マインドクラッシュ』」なに?」

 俺の手札から二枚の『火炎地獄』が叩き落とされる。ちぃ……。

「……そういうことか。暴食(グラトニー)」

 簡単な話だった。暴食(グラトニー)は、暴食(グラトニー)らしく俺の手札を貪った。ただ、それだけのこと。

「そうだとしても、気に食わないことには変わらないな」

 結局、即効カードは全て叩き落とされ、出来ることと言えば猛毒薬で800ダメージを与えることくらいか。

「……俺は速攻魔法『御隠居の猛毒薬』を発動。相手ライフに800ポイントのダメージを与える」

 凛LP1000→200

「っ……くふふっ」

 凛は一瞬顔を顰めるも、すぐに元の不気味な笑みに戻る。

「暴食(グラトニー)に毒は効かんか」

 勿論、ライフは減っている。が、俺の本来の目的である殺害には程遠い。終焉に覚醒した際に、与えてあったダメージからは回復してしまったようだし……面倒だ。

「俺はモンスターを守備表示でセット。カードをセットし、ターンエンドだ」

 伏せたのは『マシュマロン』と『テラ・フォーミング』。そんなことは向こうも承知しているだろうが、伏せない手はない。

「はァッ! はぁ、がぁああッ!」

 ドクン、ドクン、ドクンと暴食(グラトニー)の痣が脈打つ。完全に暴走しているようだ。本人の意識や人格が死にかけている以上、当然のことではあるが。

「はァ……っ! ゥ……ドロー!」

 ギラギラとした飢えた獣のような目をしている。

「醜いな……」

 所詮は本能……獣同然の大罪でしかない暴食(グラトニー)などこんなものか。

「ギッ!? ぐゥ……『リチュア・ビースト』を、召喚……効果発動」

 『リチュア・ビースト』ATK1500

 凛……いや、もう暴食(グラトニー)か。暴食(グラトニー)のフィールドに、立派な水かきをもった異形の獣が現れる。全く、今の暴食(グラトニー)に相応しい……怪物(モンスター)だ。

「ビーストの……召喚に成功した時、墓地からレベル4以下のリチュアを蘇生する。『リチュア・アビス』を蘇生……効果発動」

 『リチュア・アビス』DEF500

「またソイツか……」

 若干うんざりする。リチュアのエンジンとなっているあのモンスターを止めなければ、良い様にくるくると回されるだろう。が、俺のデッキにそれを成すことの出来るカードはない。

「デッキから『ヴィジョン・リチュア』を手札に加え……効果発動。手札から捨てることで、リチュアと名の付いた儀式モンスターを一体、手札に加える。『イビリチュア・マインドオーガス』を手札に」

 サーチカードからサーチカードをサーチする、か。本当に、大した回転力だ。

「手札から『シャドウ・リチュア』を捨ててデッキから『リチュアの儀水鏡』を手札に加え、発動。フィールドの『リチュア・ビースト』と『リチュア・アビス』をリリースして『イビリチュア・マインドオーガス』を儀式召喚」

 『イビリチュア・マインドオーガス』ATK2500

 ビーストとアビスが儀水鏡の中へと吸い込まれ、半人半魚のモンスターと化す。あの人型は……エリアルか。

『ゥ、うああああああっ!』

『エリアル!』

『だ、大丈夫……凛さんの痛みより、絶対マシだから……ッ』

 終焉の力とは大分決別したらしく、エリアルが正気を失うことはない。だが、それでも残る終焉の残滓はエリアルを蝕む。尤も……暴食(グラトニー)がそれを気にするかというと、そんなことはないようだが。

「効果発動。墓地の『サルベージ』『マインドクラッシュ』『水霊術―「葵」』『サイクロン』とそっちの『デス・メテオ』をデッキに戻してシャッフルする」

「なるほど。そう来たか」

 『デス・メテオ』は今となっては使い道がない。事故要因を抱え込まされたか。

「だが、それでもお前は攻撃することは出来ない」

 『マシュマロン』に攻撃すればそれで終わりだし、そうでなくてもミラーフォースが残っている。攻撃することは出来ないだろう。

「ターン、エンド……」

「俺のターン、ドロー……チッ」

 バーンカードではなかった。今となっては『火の粉』ですら倒せるのだが、そう上手くはいかないか。このデッキが本当に純粋なフルバーンであったなら兎も角、特殊な混成ビートバーンではこういうこともある。だが、まあ……。

「どの道、お前に勝ちはない。お前の想うその男と共に、そろそろ眠るといい」

 ピクリ、と暴食(グラトニー)が反応した。

「……殺す」

「なに?」

「殺す。アノ人を傷つけた……アナタを殺す……ッ!」

「……ターンエンドだ」

 暴走していても尚、本人の持つ一番強い想いにだけは反応するか。それは……共感しなくもないな。

「殺す。殺す……! ああああああああァッ!」

「だが……その想いの強さ故に、暴走がより強まる、か。皮肉だな」

「あァっ! がぁあッ! ぅぐっ……がァあっ!」

『凛っ! 落ち着いて凛! ああもう、どうしてこんな……』

『凛さん……あたしたちの力が足りないばっかりに……ごめんなさい』

「ぐっ……うああアァッ! 許さ、ない……! アノ人を……剣士さん、を……! あああああああああッ!」

『『きゃああああっ!?』』

 ズァッ……! と暴食(グラトニー)を包むオーラが一層凶暴なものに変わる。あれの精霊だろう二人の少女も、堪らず吹き飛ばされる。

「これは……時間の問題だな」

 俺がどうこうするまでもなく、このままならいずれ暴走する力に耐え切れず、暴食(グラトニー)の力は自らを喰らう。そうなれば、待っているのはその身の終焉のみだ。

「案外、俺たちには相応しい末路なのかもしれんが、な」

 自らの罪に焼かれるのなら……それが一番良いのかもしれないな。俺はそう思い……次の瞬間、見えた光景に、目を見開いた。

 

 

 

 

 

「ア、ああァああアああアあァああああァっ!!」

 熱い……。お腹が燃えてるような感覚。その熱はお腹から全身に回って、今にも燃え尽きそうな、酷い激痛が体中を包んでいる。

「くふっ」

 でも……いいかな。燃え尽きちゃっても。それで、剣士さんの仇が取れるなら。剣士さんを傷つけた報いを受けさせられるなら。

「はァッ! はぁ、がぁああッ!」

 視界が霞む。目の前で誰かが何かを言っている。あれ……? そう言えば私、誰と戦ってたんだっけ……?

「殺す。アノ人を傷つけた……アナタを殺す……ッ!」

 そうだ……そんなこと、もう関係ない。

「ぐっ……うああアァッ! 許さ、ない……! アノ人を……剣士さん、を……! ああああああアアアッ!」

 私はただ……“敵”を倒すだけ……っ!

 

 

「やめろ」

 

 

「アア、ァ……?」

 ぐっ、と私の腕が誰かに掴まれた。

「もういい。やめろ」

 離せ。

「離セ……!」

「お前が……そんなことする必要なんてない」

「離セ……ッ!!」

 離せ、離せ、離せ! 私は、倒すんだ。勝つんだ。殺すんだ。私の大切な人を傷つけた……殺そうとした“敵”を……ッ!

「殺すんだ……! “敵”を……!」

「アイツは、“敵”じゃない。もう、やめろ」

「ウルサイッ!」

「ぐっ!?」

 何を言っても離そうとしないその手を、私は“暴食(グラトニー)”のオーラで跳ねのけた。跳ねのけようとした。

「ぐっ……離さねえ」

 その傷だらけの、包帯が巻かれ、今のダメージで出来たと思われる新たな傷口から血を滲ませたその腕は、私を離そうとはしなかった。

「だいじょうぶだ……オレは、もう大丈夫だから……目を、覚ませ」

 その声は、私が良く知るもので。

「お前がそんなになってまで……頑張る必要は、ねえんだ」

 その顔は、私が守りたかったもので。

「だから……もう、やめろ。凛」

 その目は、私が焦がれた強い目で。

「剣士……さん?」

 その名前は、私が何よりも大切なヒトのもの。

「ああ……おはよう、って言うには、まだ早いか?」

「遅すぎ……るよ」

「そうか、悪いな。寝坊したちまったらしい」

 笑い慣れてない剣士さんの笑顔は、包帯やガーゼの所為で更に不格好なものだったけど。

「無事で……良かった」

「お互い様だ」

 凄く、安心出来る笑顔だった。

「……お前たちは」

 ふいに、その声が響いた。

「お前たちは、どうして死なない?」

「……決まってんだろ」

 困惑した、何処か弱気にも見える先輩に、剣士さんはすっぱりと言い切った。

「まだ、死ねないからだ」

「……うん!」

 私も頷く。まだ、死ねない。こんなところで、死んでなんてやれない。だから、死なない。実にわかりやすい、生きる理由だ。

「剣士さん……」

「なんだ? 凛」

「もう少しだけ、支えててくれる?」

 剣士さんの体温が伝わって、凄く心地良い。今なら、何でも出来そうなくらいに。

「……ああ。アテナたちにゃ悪いが、あの馬鹿の目を、オレたちで覚ましてやろうぜ」

「……うんっ!」

 私は、デッキに手をかける。私の手札は、『シャドウ・リチュア』と『リチュアの儀水鏡』の二枚。これじゃ、勝てない。

「ッドロー!」

 このカードに……賭けるしかない!

「私は『リチュア・ディバイナー』を召喚!」

 『リチュア・ディバイナー』ATK1200

「『リチュア・ディバイナー』の効果発動! 一ターンに一度、カード名を宣言して、デッキの一番上のカードをめくる。そのカードが宣言されたカードだった場合、手札に加えることが出来る!」

「……正気か? デッキトップの操作もせずに、当てられるとでも?」

「当たるよ」

 私は確信を持って言った。剣士さんと目を合わせ、コクリと頷く。

「ううん。違う。|当たる(・・・)んじゃない。|当てる(・・・)んだ!」

 脳裏に思い浮かべるのは、ずっと昔から、私を守って、支えてきてくれたその姿。私の名前のように、凛とした佇まいで、私に勇気をくれたエリアの姿。

「エリア……私に、力を貸して?」

『当たり前でしょう? ふふ。やっちゃいなさい。凛』

「うん! 私が宣言するのは……『リチュアルクィーン‐エル・アリア』!」

 ビッ、と私は力強くデッキからカードをドローした。私が思う、最強のカード。私の切り札。私の……力!

「私がドローしたのは『リチュアルクィーン‐エル・アリア』! よって手札に加える!」

「馬鹿な……!? 本当に……?」

『良くやったわ。凛』

『あたし、見つけられた気がします。|邪悪(イビル)を超えた、リチュアの本当の力』

「うん。行こう! 私は手札から儀式魔法『リチュアの儀水鏡』の効果を発動! 手札の『シャドウ・リチュア』をレベル分のリリースとして、儀式モンスター『リチュアルクィーン‐エル・アリア』を儀式召喚!」

 エリアが、儀水鏡をその胸に抱く。光が放たれ、その光の中からは、いつもよりずっと成長したエリアが、その手にエリアルと同じリチュアの杖を掲げている。

 『リチュアルクィーン‐エル・アリア』ATK2800

「なんだ、ソイツは……っ!?」

「『リチュアルクィーン‐エル・アリア』は、リチュアの持つ暗黒面を聖なる力へと転化させた女王……その効果は、イビリチュアを力に変える! 効果発動! フィールド上の『リチュアルクィーン‐エル・アリア』以外のリチュアと名の付いた儀式モンスター一体をリリースする度に、相手の手札・フィールド・墓地のいずれかからカードを一枚選択して、デッキに戻す!」

「なにっ!?」

「私は『イビリチュア・ガストクラーケ』と『イビリチュア・マインドオーガス』の二体をリリースして、伏せモンスターとそのカード、ミラーフォースをデッキに戻す!『流転の水鏡』!」

『さあ……戻りなさい! 在るべきところへ!』

「くっ……!?」

「これで……先輩のフィールドはガラ空きです!」

 エル・アリアとディバイナーの二体の攻撃力は合計で4000。丁度倒せる!

「これが、通れば……! お願い!『リチュアルクィーン‐エル・アリア』で、ダイレクトアタック!」

「行けぇっ!」

『吹き飛んで反省しなさい!』

「『クィーンズ・ミラー・ストリーム』!」

 エル・アリアの杖から噴き出した水流が、先輩を呑み込んで行く。

「よっしゃ! これで……!」

「私たちの勝ちだ!」

 私たちが勝利を確信した、次の瞬間。

「…………いや」

「えっ!?」

 水流が割れて、その中から無傷の先輩が現れる。

「ど、どうして……」

「アイツは……!?」

 剣士さんが先輩の上を睨みつけて戦慄する。

「……俺はお前の攻撃宣言時に、手札から『バトルフェーダー』の効果を発動した。特殊召喚することで、ダイレクトアタックを無効にし、バトルフェイズを終了させる」

 『バトルフェーダー』DEF0

「そ、そんな……」

「通らなかった、のか……?」

「もう一体……リチュアの儀式モンスターがいれば、やられていた。あと一手……足りなかったな」

「わ、私は……ターン、エンドです」

 私にもう手札はない。先輩にもないけど……。

「お前は……言ったな」

「…………」

「当たる、じゃなく……引き当てるのだと」

「まさか……」

「暴食(グラトニー)。お前に出来て……この俺に、出来ない筈がないだろう……!?」

 ガッ、と先輩は鋭い目でデッキトップに手を添える。

「これが……俺の、お前たちの運命だ! ドロー!」

 バーンカードを引かれたら負ける。そしてその確率は、先輩のデッキ構成から言って低くない。けど……それ以上に。

「もしかして……」

 先輩が口元に笑みを浮かべる。己の傲慢(プライド)に歪んだ、壮絶な笑み。

「俺はセットされた『テラ・フォーミング』の効果を発動。デッキからフィールド魔法『ダークゾーン』を手札に加え、発動する」

 フィールドが、闇のゲームの闇を更に増幅させる。その光景に、私たちは嫌な予感が止まらない。

「おい……まさか」

「私、一ターン目に、デッキに戻しただけだった……。何度もシャッフルやドローをする内、また引いてもおかしくは……」

 でも、まさかそんな、そんなことって……!?

「俺はエクストラデッキから『アルカナ ナイトジョーカー』をゲームから除外し……」

 先輩の……大罪(Sin)!

「『Sinアルカナ ナイトジョーカー』を特殊召喚!」

 『Sinアルカナ ナイトジョーカー』ATK3800→4300

「あ、ああ……っ!?」

「暴食(グラトニー)……憤怒(ラース)……獣の本能レベルでしかない貴様らが、この俺に……傲慢(プライド)の終焉に勝てると思うな! バトル!『Sinアルカナ ナイトジョーカー』で、『リチュアルクィーン‐エル・アリア』を攻撃! 切り裂け騎士皇!『堕天の剣』!」

『くっ……あああっ!?』

「きゃああああああああああっ!?」

「凛っ! ぐぁああっ!?」

 凛LP200→0

 エル・アリアを切り裂いた黒の剣圧に、私たちは吹き飛ばされた。

「その身に刻め……傲慢(プライド)の騎士は、嫉妬(エンヴィー)を必ず守り抜くと!」

 そう言い残して、先輩はその場から消え去った。

「ゴメン。さだめ、アテナ……やっぱり私じゃ、無理だったよ」

 最後にそれだけ呟いて、私は意識を失った。

 

 

 

 

 




 凛、敗北。相変わらず、悠の出すオリカは出てきてすぐはやられるなぁ……。以下、そのオリカ紹介です。

・『リチュアルクィーン‐エル・アリア』 星8 水属性 魔法使い族 攻/守2800/3000
 儀式・効果
 「リチュア」と名の付いた儀式魔法により降臨。
 フィールド上に存在する『リチュアルクィーン‐エル・アリア』以外の「リチュア」と名の付いた儀式モンスターをリリースする度に、(1)~(3)の効果から一つを選んで発動する。
(1)相手フィールド上のカード一枚を選択し、持ち主のデッキに戻してシャッフルする。
(2)お互いの墓地からカードを一枚選択し、デッキに戻してシャッフルする。
(3)相手の手札を一枚ランダムに一枚選択し、デッキに戻してシャッフルする。
 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手はこのカード以外の「リチュア」と名の付いたモンスターを攻撃することは出来ない。
 このカードが破壊され、墓地に送られた場合、自分の墓地に存在する『リチュアルクィーン‐エル・アリア』以外の「リチュア」と名の付いたモンスター一体を選択し、フィールド上に特殊召喚することが出来る。


 効果自体は強そうですが、実は実際にあっても採用するかどうかは微妙なところ。儀式リチュアをリリースしないといけないので重く、効果も強そうに見えて実は他のリチュアで代用、どころかもっと強い効果を使えます。フィールドバウンスはソウルオーガの方がディスアドの少ない形で使えますし、墓地はマインドオーガスが更に多くのカードをノーコストで戻せますし、手札はガストクラーケが二枚だけとはいえピーピングした上に選んで戻せます。一応、フィールドのバウンスだけは裏側表示でも戻せる分優れていますが、それ以外は下位互換。効果が選べる点も、そもそもリチュアは儀式召喚に特化したテーマであり、複数のイビリチュアを使い分けることに長けている上、その儀式モンスターをコストとして要求しているのでこのモンスターの効果を活用できるようになる頃には必要なくなってることが多いです。攻撃抑制効果もこのカード自体に何の耐性もないので長くは持たず、蘇生効果は一応使えますが後ろ向きですしね。……多分、アニメだったら全ての効果を一体のリリースで使える実質トリシューラの相互互換みたいな効果で出てきてOCG化の際にこんな風に弱体化されて登場するんでしょうね。
 何故だかよくわかりませんが、現在遊戯王Wikiが利用不能になっているようです。ウィキに頼りきりの悠にはきっつい。そしてユーザーネーム変えました。皆様には今までどおり悠とお呼びいただければ幸いです。
 それでは、悠でした!
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