よく分からないゴーレムが襲撃してきて数日。俺達は平穏な日々を過ごしていた……が。
「転校生が来ますよ~。しかも、二人!!」
副担任の山田先生が言う。何となくだが、六月に狂三が転校生として来た時の事を思い出す……この緩さがタマちゃん先生と重なって実に面白い。
「シャルル・デュノアです。こちらに同じ境遇の人が居ると聞いて……」
そこから先は聞いていない。どちらかと言うと”彼”じっくりと観察していたからである。決して、変態になったと言う訳ではない……なぜなら、彼ではなく彼女だからである。確か、指の長さで分かると本で呼んだことがあったので直ぐに分かった。精霊の視力はかなりいいらしい。
「自己紹介をしろ」
「はい教官……ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
織斑先生を教官と呼ぶ彼女は、ドイツの時の訓練生であることがすぐに分かる。そして、攻撃をしてくることが分かっているのでそれを”法”で受け止める。彼女は何が起こったか分からないと思うけど。
「なっ……」
「とりあえず、落ち着いて。俺に言いたい事とか、やりたい事とかあるのは分かるからさ。だから、今は落ち着いて」
その言葉で落ち着く……いや、”落ち着かせた”と言うべきか。無意識に
「……ホームルームは終了だ。次は実習だ。さっさと着替えを済ませてアリーナで待機していろ」
気づいたら終わっていた。とりあえずはシャルルと名乗っている彼女の手を引きながら窓から飛び降りる。
「えっ!?ちょっと待って……!!わけが分からないよ?」
「着替えるのに時間が無いしな。さっさと行くに限るよ。織斑先生に怒られたくないだろう?」
更衣室に入り、俺が着替えると彼女は顔を隠す。確実にクロだ。まあ、”彼女”の事情も知っているので仕方ないと言うしかない。
「そうだな。言い忘れてたことがあった……」
「何かな?」
俺は耳元で囁く。
「俺は、お前の味方だ。”どちら”のお前でも絶対に守ってやるから」
「えっ?……知ってるの?」
「ほら時間だ、時間。早く行くぞ?」
アリーナに出ると二組も居た。何か、合同訓練だとか何とかいっていた気がするなぁ。
「だーれだ?」
「はいはい、鈴さんです。後で構ってやるから。ついでに甘いものも食うだろ?」
「ナイス!!丁度食べたかったのよー」
後ろから飛び掛かる鈴に対しても琴里と勘違いしないようになってきた。流石にあれをやられてたのは言えない。
「ほれ、降りろ降りろ。先生と出席簿を喰らいたくなければな」
「はーい……ドイツの転校生には気を付けなさい」
「分かってる……何とかしてやってみるさ」
こそこそ話をしていると織斑先生がやってきて訓練の内容を話し始めているのだが……それよりも俺は素早くISを展開し、空中で悲鳴を上げる寸前の山田先生をキャッチし地上へ下ろす。危ない危ない。
「ありがとうございます、織斑君」
「いえいえ。ちょっと気を張ってただけですから」
そうしたら、模擬戦をやることになった。俺と、山田先生で。何でも俺が一番強いからと言う理由(織斑先生の圧で)らしい。
「じゃあ、山田先生。……本気で来てください」
「……?はい、分かりました」
始まると同時に無意識に音速を越える速度で接近し、
「はぁ……はぁ……織斑君、強いですね。完全敗北なんて久しぶりです」
「いえ、遠距離相手だとこれぐらいしか能が無いので」
音速を越える……難しい話ではないがエネルギーを多く消費する。しかし、俺はエネルギーが無限にあるので問題なく使える。
「……そうだな、とりあえずは訓練を始めるか」
訓練はシンプルな物でISに乗って、武器を振うと言った感じだ。俺の場合は自己流プラスアルファに彼女たちの癖が入っている。なので教えようがない。
「……………」
しかし、何故だか織斑先生によく見られる。やっぱりやり過ぎたかなぁ?
「織斑、少しいいか」
「はい……」
まあ、案の定聞かれるよねぇ。少し嘘を交えながら言っていく。まあ、後言っておくことはISの意志でいろんな奴らが出てきますよって事を言っておけばいい。最初は驚いてはいたが規格外のお前に言われたらなと言われてしまった。
「一つ言うと、俺は一対多数でも普通に勝てます。もしかしたら戦争が起こるなんて……可能性も有るのであんまり使いたくはないんですけど。最低限は押えますんで」
話しているうちに授業は終わり……あっという間に放課後に。部屋に戻ると箒が隣の部屋に荷物を運んでいた。
「引っ越しか?と言う事は……」
「そういう事だ。一夏とルームメイト生活も悪くなかったんだがな……」
「大丈夫だろ。隣だしさ」」
で、ルームメイトは誰になるかって言うと……もちろん、シャルル君です。
「まあ、座ってゆっくりしてて」
辺りを見渡し監視カメラや盗聴器等の物が無いかを確認し、部屋のカギを閉める……それよりも強固なカギをかけておいたので開けることは俺にしかできない。
「さあ、シャルル・デュノアさん……いや、シャルロット・デュノアさんの方が良いか」
「やっぱり分かってたんだね。何をしようとしてたかも分かってるの?」
「もちろん。”知識”については俺に引けを取るものはこの世に居ないしな」
彼女の境遇。隠し子と言うよく聞く話だ。しかしそれは父親のせめてもの逃げて欲しいと言う愛情が籠っている。それを分かってもらうためにはどうすれば良いか。
「そうだな……シャルロットは此処に居たいか?IS学園は治外法権がある。だから、干渉することは出来ない……此処でやりたいことが出来る」
「やりたい事か……僕には無いな」
「それなら見つければいいじゃないか。俺がどうにかしてやるから……その決意を、目を見せてくれ」
彼女に近づいて、目をしっかりと見る。綺麗な目だなぁと思う……
「織斑君!?目が……」
「ん?……ああ、気にしないでくれ。俺のISの影響だからさ。じゃあ、狂三」
そうすると俺の影から狂三が出てくる。まあ、驚くよね。
「お呼びになりましたか?
「やめいやめい。美九になってどうするハニー?」
この会話はボケ合っているだけであってそういう意味ではない。
「え……あ、うぇ?」
「ちょっと待っててくれな。狂三、シャルロットの会社まで言って親父さんの気持ちを録音してきてくれないか?」
「承りましたわ。そうですわねぇ……報酬は、甘いものと士道さんが欲しいですわね」
はぁ……相変わらず変わらないな。そういう所が好きなんだけど。
「後で準備しておくよ。仕事頼んだ」
「では、失礼いたしましたわ」
するすると影に戻っていく狂三。これで本心が分かるはずだ。
「……………さっきの人って、織斑君の許嫁?」
「……許嫁ではないな。今からいう事を秘密にするんだったら関係性を言うんだが」
それに頷いた彼女に関係性を告げようとするが。どういえばいいんだ?
「最初は……命を取り合う仲?今は、愛し合う関係?」
「……!!……!?」
あたふたしているがこういった方が良いのだろうか?よく分からない。落ち着くまで少し待った。
「最近の人って進んでるね」
「そうでもない。はっきり言って狂三とは……えっと……4、5年の付き合いだな」
「結構長いね。他にもそういう人居たの?」
何故か恋愛話になってしまった。シャルロットもそういうお年頃なので興味があるのかもしれない。なので話を続けることにした。
「居たな……狂三以外にそのくらい付き合っているのが8人、いや9人か。それで家族づきあいが一人。後は……30年来の付き合いの奴が居るなぁ」
「30年!?織斑君って生まれてないよね?」
「前世の記憶みたいなもんだよ。その子が俺の初恋の人」
あの事件も壮絶なもんだったなと振り返る俺は老人の様だった。崇宮真士から五河士道、そして織斑一夏と変わった俺は人と言うものを知り過ぎているのかもしれない。
「……そっか。僕もそういう人に出会えるのかな」
「会えるさ。俺は命がけだったけどな……毎回、女の子に会いに行くのに殺され掛けなきゃいけないってどういう事なんだか」
そう笑って話す彼女は……”あいつ”に似ている。多分、声も似てるからだろうか。心酔するような声と考え方に俺は。
「……凜祢、か」
「……?誰の事?」
「いや、この話は聞いてると悲しくなるから言わないで置く」
彼から彼女になったシャルロットは明日から女として転校すると言った。そうして、翌日に女として転校してきた。もちろん深夜に狂三が持ってきたボイスレコーダーを聞いた彼女は覚悟を決めたようだった。
「ねぇ、一夏って呼んでもいいかな?」
「なら、シャルって呼んでもいいか?」
呼び方が変わった俺達は色々と噂が建てられているが箒やセシリア、鈴がそれを否定しまくっているので直ぐに噂が消えることになる。後は、ドイツの子だ。
「タッグトーナメント?これなら、行けるか?」
タイミングよくトーナメントが実施されるらしい。これならば戦う事も出来るし彼女のストレスを消すことが出来る。まさにウィンウィンの関係だ。
「誰と組むの?一夏?」
「もちろん、シャルだよ。今の所、しっかりと連携が出来る人を考えるとな」
箒は性格的な相性が良くて、セシリアは後方支援を任せればすぐに終わるし、鈴は俺とタイミングを合わせた攻撃が強い。これだと圧倒しすぎる為あまり戦ったことのないシャルになると言う訳だ。しかし、必要になったら秘密兵器を出すだけである。
「……そうと決まれば特訓だ。頑張ってアリーナの敵を殲滅するか」
「アリーナの敵?どういう事?」
それは3分で300のホログラムを撃破すると言う最高難易度の物である。ランキングは織斑先生、山田先生が1,2位を取っている。俺はそれに挑戦していないのでそれを目標に頑張ることにする。
「シャル、ちゃんとついて来いよ?早すぎて見失うなんてことは無いようにな」
そう走り出すと彼女は一瞬にして消えたので、案の定シャルの悲鳴が聞こえる。
「見えないよー!!援護のしようがないよ!!」
訓練終了後、整備室に向かうと簪がいつもの様にカチカチと画面と向き合っていた。
「お疲れ、簪。ジュースでも飲むか?」
「ん。飲む……」
俺も、空いている席に座って整備を始める。今日は、姉妹のボディを作ってしまおう。
「~~~♪~~~♪」
「……………?」
カチッとキーを押す音。とりあえずは完成であるが動くだろうか。
「……?……し、どう?」
「……きみ?」
「うん。士道だよ……姿は変わったけど。お帰り、鞠亜、鞠奈」
記憶や体の調整をして、異常が無い事を二人に確認した。その会話を興味深そうに簪は聞いていた。
「君ってば本当に神になったの?」
「あながち間違ってないな。でも、鞠奈を探すのには苦労したぜ……DEMのデータベースを全部漁ってようやく見つけたんだからさ」
「私の方はフラクシナスの物をコピーしている、と言う事でしょうか?」
そういうこと。と相槌を打つ。正常なことが分かったので電子化してもらい携帯へ入る。それを見た簪の顔はとても面白かった。
「私、疲れてるのかな?甘いもの食べて寝ようかな?」
「残念ながら現実だよ。俺の技術で出来ることだし……まあ、簪が望むのであればIS制作も手伝うよ?」
「……!?本当に?」
「後は簪の意志だよ。それまで待ってるからさ……後、マカロン」
彼女にお菓子を渡して部屋に戻るとシャルと狂三が談笑していた。狂三が此処まで心を許すとはどれだけの心を持っているんだ?
「あら、一夏さん。おかえりなさいまし」
「おう、お話は楽しかったか?」
「ええ、ええ。貴重なお話が出来ましたわ……でぇも。恋愛話をするのはよくありませんわよ?」
げっ。バレてたらしい。普通に話してしまったが知っているのは俺と精霊たちの身だからなぁと考える。
「まあ、一夏さんが話すのも珍しい事ですし。なかったことにしておきますわ」
「ありがたやぁ……報酬のパフェでございます、お嬢様」
ご機嫌取りも俺の役目である。好感度維持するのに俺もよく頑張ってたよなと思い返す……やはり、人の生活をしていない。
「ふぁぁ……勉強したいけど眠いなぁ。寝るかぁ」
「さっきは何処に行ってたの?」
「整備室。狂三は分かってると思うけど……あの双子を作ってきたって言えば分かるか?」
ああ……と言う顔をする狂三は理解したようだ。シャルは何を言っているのか分からない様子だがこれで良い。分からない方が世の中良い事もあるのだよシャルロット君。
「シャワー入って寝よ……シャルはもう、入ったのか?」
「入ったよ……僕もそろそろ寝ようかな」
シャワーから上がりベットを見ると熟睡しているシャルに毛布を掛けながらベランダに出る。そうすると影から狂三がうごめいて来た。
「では……これからの方針をお聞かせ願えますか?士道さん」
「……シャルは終わりかな。問題はドイツのラウラなんだよなぁ……もしかしたら狂三を使うかもしれない」
狂三はほぼ秘密兵器である。時を操るとなれば説明のしようが無いのであまり使いたくはないのだが。
「そこは士道さんの”法”でどうにかしてしまえばよいではありませんの?」
考えを読まれながらその言葉に答えを返す。
「そうだとしても”違和感”は残る。凜祢みたいに特定の人に対してとか、澪みたいに扱いに長けている人なら話は別だけど……俺の場合は扱いきれてないからさ」
最初の時も違和感はあっただろう。しかしそこで洗脳したことにより記憶が抹消されている……が軍人の為、体で覚えている可能性も有る。
「ぶっつけ本番でどうにかするか。今は寝るか……」
ベットに入ると狂三が身体を寄せるように入って来た。しかも寝間着で。いつの間に着替えたのだか。
「……狂三。起きた時に騒がないでくれよ?それだけ約束してくれればいい」
「ええ、分かっていますわ」
意識を手放し次の日。シャルが俺の毛布を取ると抱き合っている俺達を見てもう一度寝たシャルを起こしながらトーナメントに合わせての調整を行う。そして、トーナメント当日。
「……初戦から当たってるな。タッグは箒と?」
「何を考えてるんだろうね?見た感じ一夏にただならむ想いを抱いてるみたいだけど」
考え付くところだと……俺が誘拐されたから優勝できなかった、とかだろうか。ありえそうだ。
「それは本人に聞けば分かるさ。思ったより深刻そうだったら秘密兵器その1を使うけど」
「秘密兵器?何、それ?」
「内緒だよ。見てからのお楽しみさ」
そんな話をしながら試合を見ると鈴、セシリアも順調に勝ち進んでいるようだった。そして、俺達の番……奴は怒りを露わにした。
「お前さえいなければっ!!教官は優勝できたと言うのに!!ここで消えろっ!!」
思ったよりも深刻そうだったので秘密兵器は開放することにしよう。その前に会い方の箒には悪いが倒させていただこう。
「シャル!!少し引き付けてくれ!!」
「了解っ!!」
スピードを上げながら
「悪い、箒。後で話は聞いてやるから……」
「分かっている。後で聞くから行って来い!!」
そうして、秘密兵器を召喚する。アリーナは炎で包まれ俺の正面に見慣れた顔が見える。
「へぇ……士道ったらこんな時に女を出すクズ男だったのね」
「琴里だったら俺の事をよく分かってるから大丈夫かなって。久しぶりに戦うからなまってるとか言わないでくれよ?」
「はいはい、分かってるわよ。でも……ちょっと面白そうね」
斧を持ち上げる琴里。いつの間にか目の前から居なくなってラウラの
「ふん、こんなもの?思ったよりも弱いわよ?士道、どうしてくれるのよ」
「はいはい、後で構ってあげるから拗ねないでくれ。こっちが困る」
「まだだ……私は、まだやれるっ!!」
おお……気合で立ち上がるとはかなりやるようだ。流石、ブリュンヒルデの指導を受けたと言った方が良いか。
「なら、さっさと終わらせようか。琴里?」
「そうね……さあ、
「「私達の
このセリフにより会場は熱気に包まれる。あれ?こんなに盛り上がったっけ?
「舐めるなぁぁ!!」
単調な突進。分かりやすい。それを俺はバックステップで避ける……琴里は上へ逃げて
「ナイス琴里。流石、俺の世界一出来る可愛い妹だ」
「褒めても何も出ないわよ……ありがと」
その小さな言葉も聞き逃さないのが五河士道クオリティなのである。精霊をデレさせるために視力と聴力を鍛えなければならない。少しでもデレさせるために必要な事だと思う。
「私は、負けるのか……?」
ん?何か嫌な予感……
「私は……負けない。絶対に!!」
ISから金色の液体が溢れ出てきて人もどきを形作る。武器や見た目からして俺の姉、織斑千冬をトレースしているのだろう。そう思っていると通信によってそれは確信に変わる。
「……止めてもいいですか。俺に執着があるみたいなので」
「……お前なら、出来るかもな。行ってこい……後始末はこちらでやっておく」
戻すだけなら色々と手段はあるのだが……手っ取り早いのは
「近づいて話しかけるかぁ……琴里?チェンジだ」
「……まあ、適任は他にも居るか。後で構ってね、おにーちゃん?」
琴里を戻し一人で行くことを決める。危なくなったらどうにかしよう。
「一夏?大丈夫なの?」
「……大丈夫さ。俺は”死”という概念が存在しないからな。援護は頼んだ」
そのVTシステムを起動した
―心象世界ねぇ……あんまり好きじゃないな―
彼女にとって織斑千冬は救世主だった。あの時見せた笑顔が忘れられなかった……か。それが俺を執着する原因となってこうなったと。
―聞こえてるだろ。俺が原因でこうなったのは謝る。でも、違うんじゃないか?執着するのは分からなくもない……依存するだけじゃこの先進めないぞ?―
―……依存か。確かに、私は教官に依存していたのかもしれないな―
―ほら、手を出せ。教官に謝りに行くんだろ?―
ーふっ……そうだな。悪いが手を貸してもらうぞ―
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
.
その時、私におびただしい量の情報が流れ込んできた。
――君、は…… ……名、か。そんなものは、ない ――だっておまえも、私を殺しに来たんだろう? 俺は……ッ、おまえと話をするために……ここにきたッ 俺は――おまえを、否定しない 私に名を付けろ ――――と、十香 知った事か……っ!今は俺とのお話タイムだろ。あんなもん気にすんな。――この世界の情報、欲しいんだろ?俺に答えられることなら何でも答えてやる で、デート……しないか? 私は……いつも現界するたびに、こんなにも素晴らしいものを壊していたんだな 知った事かそんなもん……ッ!!ASTだぁ!?他の人間だぁ!?そいつらが十香!お前を否定するってんなら!それを超えるくらい俺が!お前を肯定するッ! 握れ!今は――それだけでいい……ッ! <
これは……あいつの記憶?それにしては”違う”気がする。
俺は自分の意志で精霊を救いたいんだ……だから、俺は。この命が潰えようとも、十香、四糸乃、狂三、琴里、耶倶矢、夕弦、美九、七罪、折紙、二亜、六喰……澪だって!!俺が救ってやるッ!!
其処からは恐ろしいほどの後悔と絶望だった。私も感じたことのない感情。これに触れたくないと思う拒絶。わ、たし……だ、れ
不味いと思い、そこからは意識を閉ざした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「戻って来たか……さっさと戻してシャワーに入りたいぜ」
「一夏ー!!大丈夫ー!!」
離れた所から叫んでいるシャル。問題ないと相槌を打ちながら彼女を出す。
「出番だ!!狂三!!」
「はい、一夏さん。準備は出来ておりますわ」
殺気の会話で戻ってこれるはずだ。なら、俺達が戻すだけである。
「「
それを撃てば全ては元に戻る。人もどきは液状化し、ISに戻った。そこから落ちた彼女を拾い上げ医務室に連れていく。少し、疲れたな。
「ん……早く戻りたい」
「お疲れ様。ちょっとひやひやしたかな」
其処からは先生たちが全てどうにかしてくれた。ラウラが戻ってきたときにお前を嫁にする発言を取り消すのに色々揉めたのだが……俺がキレすぎて一方的な話だったようだ。
「……ふっ。懐かしい」
そのひとりごとを聞いていたのはISの中の少女たちとごく一部の先生のみだったという。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ねぇ、私達
「ああ、それか。簡単だ……澪の力を使って、だよ。俺は……お前たちに会いたかった……それと士道として在る為に必要だったのかもしれないな。無意識に感じている何かがあるんだろうな」
その会話を聞いて、私は。何を思っただろうか。私も人間ではない……だけどそれよりも人間じゃない?
「誰に似たんだろうね?士道?」
「うるせ、お前らが俺に好意的なのが悪い。どうした?……一緒に寝てくれ?分かった、分かった」
会話を聞く限り、三人。一人は嫁。一人は私達と同年代の女。もう一人は……子供?しかも女。奴は結婚でもしていたのか?
「……怖いんだ。俺が俺でなくなりそうで。五河士道が織斑一夏にすり替わりそうで。前も体験したけどどうにも慣れそうにないんだ」
これ以上効くのは野暮だと思い、盗聴を止める。私にできることは支えることだ。
記憶を垣間見たラウラ。この記憶を持った後に起こる出来事が関係してくるとは分からず。