皇帝陛下に条件を伝えたダンは悔しそうな顔をしながら、城グランブルから出て行った。
(この国は本当にイカれている‼︎上層部の人間達や皇帝は全員自分勝手な奴らばかりだ...‼︎)
だがこの怒りをダンは呑み込む。
(ハンバル君と巨大船には悪いが、皇帝の意向は言わず、条件を飲むとだけ言おう...。)
何も出来ない自分に対してダンは、悔しさと怒りだけが沸き上がった。そしてポケットから通信用の魔道具を取り出し、ハンバルに連絡した。
•••••••••
(ん?あっ、ダンさんから連絡だ。)
ハンバルの通信魔道具にダンの連絡が来た。
「もしもし、此方フュー帝国外務省所属のハンバル・グラースです。」
『ハンバル君か。皇帝陛下に巨大船の条件を伝えた所、条件を承諾して下さった。』
「条件を受け入れて下さったんですね!良かった...。」
だが、此処でハンバルはダンの様子が少しおかしく感じた。
「ダンさん、少し様子がおかしいですけど大丈夫ですか。」
ダンはハンバルの言葉に若干動揺しながらも、平静を保った。
「大丈夫じゃ、久しぶりに城に行ったから少々緊張しただけだわい。」
「そうですか..?それなら良いんですけど...。」
「心配してくれてありがとうな。じゃあワシはこれで。」
「はい、本当に有り難う御座いました。」
そうしてハンバルとダンの会話は終了した。
「ミズーリさん、皇帝陛下が貴方が提示した条件を承諾して下さいました。」
ミズーリは条件を呑んでくれた皇帝に心の中で感謝した。
「良かった〜。これで一先ずは安心ですね。」
「えぇ、それではこの帝国の軍港に案内します。着いてきて下さい。」
「分かりました。」
ミズーリはハンバル達に軍港へと案内されて行った。
•••••••••
〜ピリアス大帝国帝都オープ〜
この大帝都の中心に聳え立つ大きな城に向かって走る1人の男がいた。彼の名前はヴェルス•グラハルトと言う名前であり、海軍大臣である。そして城に駆け込んだヴェルスは城の会議室に向かった。
トントン....
ドアをノックし、扉を開ける。
「失礼します。海軍大臣ヴェルス・グラハルトです。今回は重要な海上侵攻作戦の報告に上がりました。」
「そうか、早速で悪いが作戦の概要を説明してくれ。」
部屋には3人の大臣達とピリアス帝国の皇帝、ユクラス1世がいた。
「それでは作戦概要を説明します。先ず、この海上侵攻作戦の最大の要は、全世界の国を支配し植民地化する事です。」
このピリアス大帝国の海軍力は一国で全世界の海軍と同等ぐらいのレベルであり、艦艇数も2000隻以上を超える。艦艇は戦列艦では無く、第一次世界大戦レベルの艦艇ばかりである。ミズーリ達がいた現実世界だと、歴史的な文化遺産レベルのものだが、この世界の主力海軍の艦艇は主に戦列艦、そして一部の国では装甲艦を有している所もあるが、ピリアス大帝国の艦艇には及ばない。
「そして先ず手始めに植民地化する国は我がピリアス大帝国から1番近い南方185kmに位置しているフュー帝国です。」
「フュー帝国の海軍力はどれくらいだ?」
外務大臣が手を挙げて質問した。
「フュー帝国に送った工作員の情報によると戦列艦300隻、竜母30隻ぐらいですね。」
「成る程、数では我が帝国の約6倍くらいの戦力差があるのか。」
「えぇ、数では我々の方が圧倒的に有利でしょう。しかし、僅かながらの不安ですが、どうやらフュー帝国は噂の巨大船と軍事同盟を結んだと言う噂がされてまして....。」
「巨大船か...。確かに今世界中で巨大船を味方に引き入れようと躍起になっているが、本当にフュー帝国と軍事同盟を結んだのか?」
外務大臣は更に質問する。
「詳しくは分かりません。唯、その可能性を考慮した上でこの作戦を必ず成功させたいと思っています。」
「確かに君の言う通りだ。念には念を入れて、今回の作戦では戦艦3隻、駆逐艦40隻、巡洋艦25隻を出撃させよう。」
此処で皇帝陛下が口を開く。皇帝以外の人間は全員驚いた。今まで少数の艦隊で出撃させていた皇帝が大艦隊を出撃させると言ったのだ。
「よ、宜しいので?皇帝陛下。」
今まであり得なかった大艦隊の出撃にヴェルスは皇帝陛下に聞いた。
「我は敵を過小評価するような人間ではない。それに我は敵の戦力を考慮した上で出撃させる艦艇の数を決めているのだ。慢心は絶対にしてはならんと我は心に誓っている。」
「そうだったのですか...。分かりました。今回の作戦では戦艦3隻、駆逐艦40隻、巡洋艦25隻を出撃させます。他に質問がある方はいらっしゃいませんか?」
全員、異論は無かった。ヴェルスは話を次に進める。
「それでは作戦の流れを説明します。」
机に大きな海図を開き、指し棒でさしながら説明する。
「先ず、我が帝国から大艦隊を出撃させ、フュー帝国の軍港を攻撃し、戦力を低下させます。そして此処からはもしもの場合ですが、軍港を攻撃した後は港に一部の艦艇を残し、残りの艦艇で巨大船を沈めます。」
「具体的な戦力は?」
財務大臣が手を挙げる。
「戦艦2隻、駆逐艦15隻、巡洋艦10隻で相手します。これ位の戦力であれば、恐らく撃沈は可能と思われます。」
「成る程。」
財務大臣は納得したような顔で理解した。ヴェルスは説明を続ける。
「巨大船撃沈後はフュー帝国の城。グランブルを砲撃し、指揮能力を大幅にに低下させ、その後陸軍が上陸してフュー帝国を占領すると言う形です。以上で説明を終わりますが、何か質問はありますか?」
大臣達とユクラス一世は黙っていた。そしてユクラス一世は椅子から立ち上がり、
「この作戦は我が大帝国の歴史的な作戦になるだろう。必ずこの作戦を成功させ、この世界の長はピリアス大帝国と言う事を思い知らせるのだ‼︎」
「はっ!!!!!」
こうして、ピリアス大帝国史上最大の海上侵攻作戦が始まろうとしていた。
久しぶりに書くと結構楽しいですねw