〜ドットール王国王都ジュマーン〜
この王都には25万人以上の人間や亜人が一緒になって暮らしていた。ヒュルム公国と同じく、ドットール王国の民達も平穏な生活を送っていた。そんな平穏な街の中で1人の若い男が走っていた。
「早くこれを報告しなければ王国に未来は無い‼︎」
右手に紙をぎゅっと握り締めながら男は王都の東に位置する海軍基地に向かって行った。
〜5分後〜
男は海軍基地に到着し、敷居を跨いだ。そしてそのまま艦隊司令官の部屋へと向かった。
コンコン
「ドットール王国海軍特別攻撃艦隊所属ガーミールです。急ぎの伝令を持って来ました‼︎」
因みに余談だがガーミールが所属する特別攻撃艦隊は連合艦隊を支援する為に作られた艦隊であり、主に工作活動、艦隊の護衛任務等を請け負っている。
「入れ。」
ガーミールは艦隊司令室の部屋の扉を開けて入室し、1拍置いて伝令を読み上げた。
「先日の第一、第二の連合艦隊による戦果を報告します‼︎」
「うむ。」
「単刀直入に言うと我が国の連合艦隊はヒュルム公国海軍によって事実上壊滅しました‼︎」
「何だと⁉︎奴らの3倍以上の戦力を投入したのにも関わらず壊滅だと⁉︎」
「生き残った兵士の証言によると戦列艦よりも3倍くらいの大きさの巨大船たった一隻にやられたと...。」
「巨大船...⁉︎あの噂は本当だったのか...。どうりで先日の竜騎士隊との連絡が取れなかった訳だ...。」
艦隊司令官のダングルクは頭を悩ませていた。巨大船に屈強な連合艦隊を壊滅させられたとなると対抗手段がほぼ無い。ダングルクは一旦心を落ち着かせ、冷静になった。
「この件に関しては軍法会議で話し合う事にする。対巨大船に対抗する為の案は上で話し合うからお前は一旦戻れ。」
「了解です!」
ガーミールは右手で敬礼し、部屋を去って行った。
「これは厳しい戦いになるかもしれないな...。」
誰も居ない艦隊司令室には何処か寂しさがあった。
......
〜ヒュルム公国海軍第三艦隊基地〜
基地の休憩室で2人の男が会話していた。
「しっかし、ミズーリさんがこのヒュルム公国に来てから公国は活気溢れる国になったよなぁ。」
「あぁ。それ程ミズーリさんが挙げた戦果は凄まじいものなんだろう。」
他愛も無い会話をしていた2人だったが基地に設置されている魔導スピーカーから声が聞こえてきた。
『第三艦隊に所属している全兵士に告ぐ。これより重大な話があるため直ちに軍港に集合せよ。繰り返す。これより重大な話があるため直ちに軍港に集合せよ。以上。』
「重大な話って何だ?」
「さぁな。取り敢えず行くぞ。」
最低限の荷物を持ち軍帽を被った2人は軍港に向かった。
〜3分後〜
軍港に集まると其処にはルーメン司令官がいた。少し遅れた2人の男は直ぐに並んだ。
「全員集まったな。それではこれより君達に重大な話をする。」
兵士達は皆ソワソワしていたが、ルーメン司令官はそれを無視する。
「それでは単刀直入に言わせてもらう。君達には指導員になってもらいたい!」
兵士達は「へっ⁉︎」とした顔で目を見開いていた。
「詳しく話そう。我が公国海軍に残っている艦隊は君達も知っていると思うが、ドットール王国の艦隊に殆どやられてしまった為、我々第三艦隊しか残っていない。上層部は艦隊増強計画を推し進める為、新型の戦列艦建造と兵士の育成に力を入れる方針を決定した。そこでだ。君達には若手兵士の指導をしてもらいたい。戦列艦の操縦、砲撃の仕方等の指導をしてもらう。」
「それは良いのですが期間はどれくらいなのですか?」
1人の兵士がルーメン司令官に尋ねた。
「3ヶ月だ。」
「3ヶ月ですか...。それなら何とか間に合いそうですね。」
「あぁ。本当は上の方が『1ヶ月で育成しろ‼︎』とうるさく言ってきたがそれを何とかねじ伏せて渋々3ヶ月の猶予を貰う事が出来た。それにミズーリだけにも任せるのはどうかと思うしな。ミズーリはあくまで援軍としての立場だ。この公国海軍の艦では無い。自分達の国は自分達で守れる様にしないといけないからな。」
ルーメン司令官の話を黙って聞いていた兵士達であったがまたもう1人の兵士が手を挙げた。
「何だ?」
「艦隊は最終的にどれくらい増強するのですか?」
「上は今までの艦隊の戦力を2倍に増やす方針を決めている。今までの艦隊の艦隊の数は第五艦隊までだったから、第十艦隊まで増やすそうだ。」
「なるほど。有難う御座います。」
「他に質問のある者はいるか?」
特に手を挙げる兵士はいなかった。
「若手兵士の育成は3日後に始める。それでは各員解散‼︎」
兵士達はゾロゾロと散らかって行った。
(戦争までに間に合うと良いが...。)
僅かな不安を抱えながらルーメン司令官は司令室に戻って行った。
......
一方ミズーリはボーっと空を見上げていた。空には3羽のカモメが鳴きながら飛んでいた。
(平和だ..。)
そんな風に黄昏れていたミズーリにメナードが近付いてきた。
「ミズーリさん。何しているのですか?」
「黄昏れていました。」
気力の抜けた声でミズーリは言った。それを聞いたメナードはフッと笑った。
「そうですか。それでは私も黄昏れてみましょう。」
メナードは青空を見上げながらミズーリと一緒に黄昏れ始めた。するとミズーリがメナードに話し掛けた。
「メナードさん。」
「何ですか?」
「こんな平和な日が続くと良いですよね〜。」
「私もそう思います。戦争がなければ今頃こうやってずっと綺麗な青空を見れるんですから。」
そして暫く黄昏れているとミズーリが言った。
「そう言えば何でヒュルム公国とドットール王国は戦争をしているんですか?」
「今更その質問しますか?」
メナードは高笑いした。そして急に真面目な顔になって話し始めた。
「事の発端はドットール王国突き出した我が公国に対する要求です。その要求の内容が、奴隷の差し出し、領土の割譲、貿易制限と言った屈辱的な要求だったのです。当然我が公国のリース陛下はお怒りになり、ドットール王国に宣戦布告しました。ですが、我が公国の艦隊はほぼ壊滅状態に陥り虫の息でした。そんな時にミズーリさん。貴方が現れたのです。ミズーリさんの支援が無かったら我々の公国は滅亡していたでしょう。だから今でも私達は常にミズーリさんへの感謝の気持ちを持っているのです。」
ヒュルム公国がドットール王国に抗っている事を知ったミズーリには冷たい怒りが湧いていた。
「メナードさん。この戦争絶対に勝ちましょう‼︎勝って平和を掴み取って皆んなが安心出来る世の中にしていくんです‼︎」
ミズーリの言葉を聞いたメナードは大粒の涙を流した。
「はい。絶対に勝って平和な国にしましょう‼︎」
こうしてミズーリとメナードの仲はより深まったのであった。
1日に4話投稿するのは大変ですねw流石に疲れて来ましたw。それでもなるべく面白い話が書ける様頑張っていきますのでこれからも宜しくお願いします‼︎