ドリンクバーやソフトクリームメーカーが併設されたスペースからやや離れた壁際で、夢芽は背中を預けながら人を待つ。蓬は友人の分のドリンクを届けに部屋へと戻っていったが、また抜け出してここに来てくれると約束してくれた。
彼を待ち侘びながら、両手にしたコップを見比べる。右手には夢芽のカルピスソーダ。左手には蓬のファンタメロン。夢芽は特にソーダが好みという訳ではないけれど、蓬と付き合っている間の一夏は、よく一緒にソーダ味のアイスを食べていたから、その影響だったりする。
涼やかな水色のアイスを齧った時、蓬に「ソーダ好きなの?」と訊かれたら「蓬の色だから」と返した時の彼の反応といったら可笑しくて仕方なかった。だから飲み物の色にだって、蓬を感じていたいのだけれど、カルピスソーダの色は何にでも染まれる白である。同じなのは名前だけだ。それを残念に思いながら、もう片方のドリンクを見つめる。
炭酸水の小さな気泡が浮かぶ澄んだ緑。蓬のヘアピンと同じ差し色。緑が好きなんだろうか――そんな想像で、彼の事を一つ発見した気になっていると、ミイラは約束通りやってきた。
「お待たせ、夢芽。飲み物ありがと。……打ち上げ、どう? 疲れた?」
夢芽の隣に着くなり気遣う口振りで、ドリンクを受け取る蓬。一口付けながら夢芽を横目にする彼に、土産話をする用意はあった。
「ううん。思ったよりかは、平気。……さっきゴルドバーン配ってきて、少し、クラスの皆と話してきた。割と好評だったよ。ちせちゃんとゴルドバーンに、頭上がらないかも、私」
「あ、やっぱそっち入ってたんだ。俺から配ろうって思ってたけど、なんか、すっかり馴染んでんね」
「でも人に合わせるのほんっと疲れる……」
「いいよ。ちょっとずつ慣れてこ? 俺がいる時は、俺が夢芽に合わせるから」
包帯の下から蓬が笑いかけた。夢芽はぷいっと顔を逸らす。おかあさんよりおかあさんじゃん――口の中で独り言ちて、カルピスソーダで喉を潤す。
鏡の様に夢芽と同じ仕草をして、傾けたコップを口から離すと、蓬はぽつぽつ話し出した。
「……でもやっぱ、一人でも、ちゃんと夢芽は合わせられるんだな、って。勝手だけど、ちょい複雑」
俯き気味にそう言った彼の横顔に漂う寂しさの訳。夢芽の人間関係の広がりを願いながら矛盾に満ちたその発言は、手を引いていた子供の独り立ちを見送るような、ちょっと大げさな落ち込みようが見て取れた。
――やっぱ私いないと駄目だな、この人
と考え直すのと同時に、彼のような人でも誰かに必要とされる事を必要としているのだと改めて思う。
それはダイナゼノンに乗った誰しもが経験した、心の隙間を埋めた拠り所。今はその場所が、夢芽にとっては蓬の隣で、蓬にとっては夢芽の隣。彼には格好のつかない弱音だったのかもしれないけれど、隠さないその本心が夢芽には嬉しかった。
「前はそういうの、言わなかったよね、蓬は」
「めんどくさいのは、自覚してます……」
苦笑で誤魔化す蓬と同じくらい顔を俯けて、夢芽も不格好な言葉を選ぶ。
「ううん。それくらいが丁度いいんだよ、私には」
空いた左手を横に滑らせていく。視界の端で蓬がそれに気付いたように、右手から左手にコップを持ち替えた。傷跡の付いたその手が、夢芽の掌に触れかけて、
軽快な通知音が二重に鳴って、二人の間を裂いた。
伸ばした手をピタリと止めて顔を合わせる。全く同じタイミングで重なった通知音は、蓬と夢芽が共通して入っているグループである証。アイコンタクトで認識したその瞬間、戦っていたあの頃のように優先事項を切り替える。蓬が取り出したスマートフォンの画面に表示されていたのは、やはりガウマ隊からの報せだった。
発信者はちせ。〈ガウマ隊! エマージェンシーです!〉と、彼女の叫びが聴こえるかのような一文の後に続く、一枚の写真。
一目には何の変哲もない、ありふれた自撮り写真のように見えた。
コンビニの前を行き交う人混みを背景に並ぶ男女一組。夢の国から出てきたお姫様や王子様になりきった煌びやかなたコスプレ姿で、二人の世界に入り込むかのように肩を寄せ合う二人。夢芽と蓬のほっぺもくっつきそうだったが、彼が先に折れて身を離した。目の端の横顔はほんのり赤い。夢芽としては別にくっついても構わなかったけど、隈なく画面に目を凝らしていてそれでどころではなかった。
ちせから〈後ろに注目して下さい!〉とメッセージが届くのと、夢芽がその意図するものに気付いた瞬間が重なって「蓬っ、ここ!」と画面右端を爪先で指差す。
丁度画面に顔が見切れているが、ピンクにも近い派手な髪色は隠しようもない。一度目に飛び込めば誰もが意識せざるを得ない、金の包帯と黒のジャケットに装ったその出で立ち。蓬も気付き、食い入るように画面に顔を寄せた。
「これって……ガウマさん……⁉」
見紛うはずもない。ダイナゼノンに関わる全ての関係を作ってくれた男の人。身体の奥からじんわりと広がる熱が、唐突にいなくなってお別れらしいお別れも出来なかった彼の実在を、一欠片でも見つけられた喜びだとしても、あまりに実感が湧かなかった。
「駅周りってここからすぐじゃん! 夢芽! 今からでも抜け出して、ガウマさん探そう!」
飲みかけのドリンクを飲み干して、興奮気味に蓬が顔を向けてくる。頷き返そうと夢芽は身を傾けて、そうするとドリンクバーまで続く一本道を見渡せる。各部屋のドアが並ぶ景色。廊下の突き当りを曲がっていく長身の後ろ姿に、夢芽は目を見開いた。何せ陽炎の様に消えていったその背中もまた。見覚えのあるジャケットの下から包帯を覗かせていたのだから――夢芽が仮装でなく本物の幽霊だとしたら、今の衝撃で昇天していたと思う。それくらい驚いた
「……今、そっちにもガウマさん見えたんだけど」
狐に化かされた心地で奥を指差す。蓬は一旦顔を向けるも、かえって冷静に写真と夢芽を交互に見返した。
「……いやないでしょ。この写真送られてきたのさっきだよ?」
「そっくりさん、とか……?」
現実を処理しようにも明後日な想像ばかり膨らんでくる夢芽の代わりに、蓬は興奮と動揺にブレーキをかけて状況を整理する。
「それこそそんな訳ないって。……あんな顔色悪い人、そうそういる訳ないし、大体ガウマさんの格好する人何人もいたら流石に、」
言葉よりも先に蓬の思考が行き着いた可能性に、夢芽も同じタイミングで勘付いた。カラオケボックスの外で今も盛り上がり続ける仮装の祭典。日常の中の非日常を説明出来るその答えを、二人目を合わせて口にする。
「「――ハロウィンじゃん」」
声に出して共有すれば、突き動かされるように蓬が前に出た。
夢芽も同じ想いだったが。まだソーダが半分以上残ったコップのせいで早歩きを急停止。「ちょっと待って」と蓬に声を掛けて、両手にしっかりコップを持った。唇に飲み口を添えてくいっと顎を持ち上げる。「噎せないようにね?」と夢芽より下の目線で蓬は保護者モードになっていた。「ん」と返しながら無理に飲み切った炭酸の刺激が喉を通る。少々鼻がツーンとするのを我慢して、夢芽は蓬と頷き合う。
共に小走りで廊下を駆ける。突き当りを曲がったところで、角の部屋に消えていくあのド派手な髪色をすんでのところで目視出来た。先を行く蓬が内側に閉じていくドアをギリギリで掴んで、一気に開け放つと同時に彼は叫んだ。
「すい! ません!」
軽快な音楽が流れる室内の空気を突如現れたミイラとお化けが凍らせる。テーブルを真ん中にしてソファに腰掛けて対面する成人男性二名。片や夢芽のよく知るいかつい顔のあんちゃん改めただの良い人ガウマ――とは、背丈くらいしか合っていない、よく見れば身体も細くない。頬の傷もなく、ガウマ特有の目つきの鋭さよりも、眉が気弱に垂れ下がっている面立ちだった。全体的に、ガウマのパチモン臭い。本人を前にして心からそう思う夢芽の隣で、蓬も唖然としていた。
そして、二人が息を止めるくらい驚いた訳は、部屋の奥に座るもう片方の男性のせいでもあった。王族や貴族を想起させる白と金の華美な衣装に身を包み、黒髪マッシュヘアと眼鏡を掛けた、夢芽にとっても見覚えある特徴的な風貌。ガウマと機を同じくしてこの世界に混乱を招いた集団、怪獣優生思想の一人ジュウガの、これまたコスプレらしかった。
ジュウガ本人の服装を抜きにすれば顔のパーツはよく見る類で、こちらのジュウガ(仮)もガウマ〈仮〉同様引き締まらない顔をしている。それはそれは学生上がりたての若人が見映えだけ扮装したような、本人を知っている夢達には違和感しかない格好。
沈黙が続く中部屋からだだ洩れの音楽。誰にも見向きされぬままモニターに虚しく表示される『UNION』の文字。マイクを持ったジュウガ(仮)は、恐る恐る丁寧な物腰で震えた声をマイクに乗せた。
「……どちら様、ですか……?」
「えっと、俺達は、」
未だ動転の最中にある蓬が言葉を彷徨わせる。夢芽は一歩踏み込み彼と並ぶ。目の前の大人達のことはわからなくとも、ここに二人いれば、考えるまでもなく答えは同じだった。
「「――ガウマさんの、友達です」」
声を重ねてそう言えば、暫定(仮)の二人は困ったように顔を合わせ、ガウマ(仮)は気圧され気味に挙手すると、事情を飲み込んだように話し出した。
「俺も、ガウマさんのバイト仲間です……」
今度は、夢芽と蓬が顔を合わせる番。
示し合わせてたみたいにまた二人の通知音が鳴って、蓬がスマホに目を通す。写真が送信された旨と〈また隊長見つけましたぁ……〉というメッセージ。直接グループまで確認しなくてもその通知欄だけで点と線が繋がった。今夢芽と蓬の前に居る彼と、ちせが立て続けに発見した二人も、類友だとするばらば。
どちらともなく、夢芽と蓬は吹き出した。
室内に籠る笑い声に、大人達は困惑を深めている。
◇
交通整理のバイトでガウマと知り合ったのだと、彼は懐かしそうにに教えてくれた。
現役大学生が傍らに始めた、短期間の小遣い稼ぎ。夜勤で時間帯が重なること数回。ガウマはすぐに他のバイトに移っていったが、顔に似合わず世話焼きな人だったとしみじみ語った。何でも恋愛相談にも乗ってくれたらしい。世の中には守らないといけないことが三つあると熱弁して格好付けて職場を去った翌日には、駅近くでプラカードを持ち歩いていたのを見掛けるようになって、偶に話し掛けていたらしい。この仮装も、近頃会わなくなったガウマに見つけて貰えるようにとのことだった。
あの頃は怪獣で大変だったしね、と遠い目をする彼に「どっか行っちゃったんですよ、あの人」と蓬が伝えると「そっか」と寂しそうな声が返った。
世の中で守らないといけない大切なことの三つ目は、彼も聞かされていないようだった。
ちなみジュウガ(仮)は友人らしかった。約束と愛に背を押されアプローチを仕掛けにいった結果、無残にも届かなかったところ同じ相手に振られた同士で傷を舐め合うように友となったらしい。コスプレの経緯は何でも『ラウンドワンを一日遊び倒した謎のバンド』がモチーフだとか。一部SNSでは彼ら――怪獣優生思想の噂や目撃情報が残っていたそうだ。
誰から見ても人目を引く彼らの格好はコスプレ向きと言えばその通りで、殺し合う勢いで殴り合っていたガウマとジュウガを知っているだけに蓬は心中複雑と言えば複雑である。五千年前、まだ〝怪獣〟の何たるかが定まっていない頃ならば、こんな風景もあったのだろうかと、ガウマとジュウガに扮して楽し気にカラオケに興じる二人の部屋を後にして、蓬と夢芽は先程のドリンクバー脇に戻っている。
「いてもいなくても人騒がせなんだよなぁ、あの人……」
ぼやかずにはいられない蓬の隣で、夢芽も同様にしみじみと、
「ただの良い人だよね。私達以外にも、お節介してたなんてさ」
夢芽が太腿に残った傷跡をさする。蓬も右手の甲を見つめながら、五千年の時を経て蘇った怪獣使いのことを思い出す。通り過ぎる風の様にこの街を去ったあの人は、現代ですれ違った誰にとっても、何かを与えていなくなった人だから、彼を取り巻く特別な関係性を印す傷跡も、バイトで関わって来た人達も、きっと現代を生きたガウマの世界の一部で、ガウマ隊の外でも憎からず思われていた彼と仲間だったことが蓬には誇らしくて、自分達だけでも良かったのに、なんて思いもある。それでも知れて良かったと、そう思う。
「でも。ガウマさんらしいよ」
「うん。ガウマさんっぽい」
感慨に耽って、同じ言葉を繰り返す一時。ガウマが帰って来たのかもしれないという淡い期待を裏切られた筈なのに、思い浮かぶのは彼の快活な笑顔ばかりだった。彼が関わった誰の記憶にも、同じ絵が残っているんだろう。ガウマ隊に向けて真相を説明しようにも、過去と現在に気持ちが揺れて定まらず、蓬は纏まらない言葉を夢芽と交わしていく。
「さっきちせちゃんが見つけた人も、ガウマさんの知り合い、なんだよね、たぶんだけど」
「愛されてるよね、あの人」
「そもそも忘れられる人じゃないし、インパクトだけはあるから、ガウマさん。……でも、」
笑みを作っても、蓬の気分はどこか晴れない。ガウマは遠くに行ったと伝えた時に動いた感情が、まだ胸に貼り付いている。ガウマとお別れできなかったのは、蓬とて同じだ。時と共にその心持は変わっても、ガウマと関わりながら、未だ彼が同じ世界に生きていると信じてる人達もいる。希望はあっていい。蓬も心のどこかでそう信じている。
でも折り合いをつける最中の自分と違って、遠くの知り合いという距離のまま、ガウマの顛末を知らずにいる数少ない人達を、このまま無下にはしたくなかった。
きっとその人達も、ガウマの事をふと思い出したり、忘れたりするんだろう。
記憶だけの存在が知り合いから赤の他人になるまで、そう時間はかからないかもしれない。彼らの一人一人に、さっきの仕事仲間と同じことを伝え回っても、それをしなくても、行き着くところは同じだろう。余計な真似だと頭でわかっていても、蓬はその事を考えずにいられなかった。
そう。
〝余計な真似〟だ。
ガウマに巻き込まれた誰もが、彼に対してそう思っていたのに、いつの間にか絆されていた。だから蓬の中で蠢く情動は、ただの納得を求めているに過ぎない。自己満足と変わらない。前の父親と住んでいた地域が怪獣に壊されたと知った時だって、そこまで背負おうとは思えなかったのに。自分は等身大に、この手で夢芽と手を繋ぐことが出来れば、それだけで良かったのに。守れるものは、守りたかった。
その手の範囲には、蓬の知らないガウマを知っている人達も含まれる。ガウマとの思い出も、蓬の一部から。。その一部を抱えている人達が、それぞれの理由で彼を探し、彼に扮して街を彷徨い歩いているのなら――蓬は返した掌を握り込む。俺にしか出来ないことは、俺がやらなきゃいけないことだから、
「ね、夢芽」
呼び掛ける。今は恋人同士だけど、それより前から、ずっと肩を並べて共に戦った人へ。
夢芽と顔を合わせて、蓬は続ける。
「これから、付き合ってくれる?」
「……もう付き合ってるじゃん」
案の定お化けがむくれて蓬を睨んだ。言い方一つで地雷を踏みかねないのは承知の上で、あえて口にした彼女の決まり文句。これから蓬がなしたいことは、彼女についていったあの頃の再現に近い。
不機嫌を露わにする夢芽に向けて、蓬は言葉を組み立てながらお願いする。
「そうだけど。そうじゃなくて。……たぶん、これまでガウマさんと関わってきた人、ガウマさんが世話になってきた人達ばかりだから、厄介になった分、また余計な真似とかしたのかもしれないけど……あの人が遠くに行ったこと、俺達しか知らないの、なんか、フェアじゃないなって。だからせめて、挨拶だけでもって、思って。一人で探しても、見つかるかなんて、わかんないけどさ」
前置きは思ったよりも長くなって、耳を傾ける夢芽の顔から険しさが引いていく。
蓬は突き詰めた思いの丈をそのまま、彼女へと伝えた。
「俺だけじゃ、心許ないから。
夢芽にも、来て欲しいんだ」
宝石の様に澄んだ緑が見開かれて、時が止まったみたいに静止する。思わず固まってしまったかのような夢芽の反応は予想外で、蓬は目線を下げる。
「……夢芽?」
下から覗き込もうにも、夢芽は口を噤んで、深く俯いていた。揺蕩う感情を身の内で抑え込むかのように。そんな彼女の様子に、蓬は見覚えがあった。
彼女が抱えていた癒えない傷。振り返っても取り戻せない、姉を失った過去の真相を探る過程で、夢芽が涙を流した夕暮れを、覚えてる。
姉の恋人にぶつけるしかなかった当て所のない感情が頬を伝う夢芽の姿は痛々しくもあって、蓬はそれに寄り添えなかった。まだ夢芽との間にあった距離に、遠慮があったのだと思う。叶うなら、自分が側に居る限り、あんな風に泣く彼女をまた見たくはなかった。
けれど、夢芽は目尻を自分で拭うと、蓬の肩に寄りかかった。俯いたままの口元は、涙を堪えて引き結ばれていたりはしなかった。
微かに赤い眦で、夢芽は途切れ途切れに胸の内を零す。
「……何でもない。何でもないんだよ。……ただ、蓬が、香乃と……お姉ちゃんと、同じ事言うから……」
蓬はその先を訊かなかった。彼女の心が落ち着くまで、ただ寄り添う。
「……ここ、いとくから」
「……うん。ありがとう」
彼女の頭が肩に乗りかかる。今はその重さが大切だった。これから外に出ようとしていたのに、ここから離れたくないと思う。触れ合う肩。近付く手。かけがえのない不自由で、互いの掌を塞ぐ。
そのまま、永遠に時が流れたように思う。
過ぎ去れば、一瞬だったようにも思う。
ぎゅっと蓬の手を強く握り込んで、夢芽は顔を上げると、
「――行こう。二人で」
曇りの晴れた微笑みで、力強くそう言った。
「うん、行こう」
同じ力加減で、蓬はその手を握り返す。
カラオケボックスを出る際、『バトル・ゴー』と冗談っぽく夢芽が微笑った。