私は本来、皇族ならば絶対に来ない
もちろん、なるべくそこの人たちに皇族だとバレないように色々と細工はしている。敢えて汚した、そこら辺で売っていた最安値の服を着たり、髪を魔法で傷んでいるようにしたり。
まぁ、こんな姿になるのは……元のアレクシアなら無理だろうが
この程度は余裕でやれる。
ただ、ここまでしても元の見た目が良いからかすれ違った男たちからチラチラと見られるが。
少女の身体というのも不便なものだ。
あんまり噂とか広まるのダメなんだけど……大丈夫かな?
「アレクシア様、こちらを右です」
私の護衛を担当している親衛隊の4人の騎士のうちの1人が小声で私に言う。
ちなみに彼らもまたスラムの住人のフリをしてもらっている。
そして右に曲がり少し経った頃、今にも崩れそうなボロボロの外見をした宿屋の建物が見えて来た。
「ここ……か」
あの暗殺者の言っていることが本当ならここに目当ての少女が居るはずだ。にしても……まったく、世の中何があるか分からないものだ。まさか、暗殺者一人取り込むために下手をしたら国際問題になりかねないリスクを背負う羽目になるとはね。ただまぁ、上手くいけば……暗殺者一人と将来、私の夢を叶えるため確実に役立つ駒が手に入る。
ここからは一つのミスも許されない。
「親衛隊、作戦に従い行動せよ。間違っても現皇帝派の人間に我々の裏を知られるなんて事にならないように」
「「「「了解」」」」
4人の騎士のうち、3人は建物の外の物陰に隠れてこの建物に怪しいものが入らないか警戒、1人は私と共に建物の中に入る。
確か……3階の312号室、だったね。
310……311……312、ここだ。
「私が先に入ります。アレクシア様、私の後ろに」
騎士が312号室の扉をノックする。
……1、2、3、4。4回のノックがあの暗殺者……いや、あの護衛騎士と例の少女との間で決められた暗号。
そっと、扉が開かれる。
怯えたようにぼろぼろの、フード付きの上着を着た少女が顔を出す。
「……! 貴女達、まさか……!」
少女は私たちが彼女では無いと分かると、即座に扉を閉めようとする。
なるほど、良い判断だ。
だが……
ガンッと、私の騎士が自身の剣を少し歪んだ扉の間に入れて無理矢理こじ開ける。
「キャッ……や、やだ……わたくし……まだ……」
部屋の中に入ると、尻餅を付いて絶望感溢れる顔をした先程の少女がいる。
「安心しなさい、月
「あ……追手じゃない?」
さて、彼女も大人しくなった事だ。
私の