「ん……もう22時か。明日は早いしもう寝ようかな」
私はとある計画書を書いていた。お風呂に入った後に少しだけ書こうと思ったのにいつの間にかかなりの時間に立っていたようだ。
私はベッドに入って、目を瞑る。しばらくすると私の意識は闇へと沈んで行った。
……私はたまに不思議な夢を見る。
私が見ているのは間違いなく、先程までいた私の部屋にいる私である。何故か視点が第三者視点だが、長い金色の髪に炎の如く赤い目……前世の見た目と違うせいで未だに自分の見た目という自覚が薄いものの、間違いなく今世の私である。
「クソッ! どうしてみんな、私の事を馬鹿にするの! 愚かなのはアイツらなのに!」
……性格が私とはかなり違うような気がするが。この性格の違いがある事からこの夢はただの夢ではなく"私"という紛い物がなかった、本来のアレクシアなのではないだろうか?
「……アレクシア様、お食事の時間です」
ベルタがアレクシアに言う。
「……分かったわ」
場面は移り変わる。
アレクシアは出された食事を一口食べると……皿をベルタにぶん投げてこう言う。
「何これ? 不味いんだけど……あなた達まで私の事をバカにするの?」
「い、いえ、そのようなことは……」
「いいえ、そんなことあるわ! どうせ、どうせあなたも……なんで無能な第三皇女なんかに仕えなきゃいけないんだって思ってるに決まってるわ!」
そう叫んで、アレクシアは自分の部屋へと走り去って行った。
「……ベルタさん、大丈夫ですか?」
別のメイドがベルタに言う。
「えぇ……私は大丈夫です。それよりも、アレクシア様の方が心配なのですが……」
「あぁ、アレクシア様は昔からあんな感じですよ……別に能力自体は低くないんだけど、どうしてもお姉さん達と比べられちゃうと、ね。なのにプライドは高いモンだからいっつもアレクシア様は荒れてるよ」
それから少し時がたったのか、大人っぽくなったアレクシアが反現皇帝派筆頭の貴族と話している。
「いよいよ明日ね、■■■■」
「そうですね、アレクシア様」
「あなたは膨大な土地を得て、私は皇帝になる……今まで私たちを見下していた無能な騎士や貴族共、そしてお姉様達を退けて……ふふっ、ようやく私たちがいるべき所に行けますわね」
「上機嫌ですね、アレクシア様。しかし、あまり調子に乗りすぎない方が良いですよ。古来より確実に成功する計画を失敗させるのは慢心と相場が決まってますから」
「それもそうね」
そして、その貴族としばらく話した後、アレクシアは帰路につく。そう、明日への期待で胸を膨らませながら。
だからか、アレクシアは気づかなかった。後ろから迫る"死"に。
彼女は背中から短剣を突き刺される。
心臓を貫通している。もう助からないだろう。
「……アレクシア様、あなたは皇帝の器ではありません。ビクトリア帝国のために死んでもらいます」
「ベル……タ。やっぱり……」
……終わりは呆気ないものである。彼女が何十年もかけて作った計画は、日の光を見ることなく潰えたのである。
そして突如映像が消えて、こんな声が聞こえた。
「あなたは私より上手く出来るかしら?」
あぁ、やってみせるさ。
だんだん、暗かった視界が明るくなっていく。
もうすぐ、私は夢から覚めるのだろう。
「そう……それなら安心しましたわ」