……私たちは屋敷の中のパーティ会場に入った。
さてと、私の席はお姉様の隣である。階級順の並び順だね。私は皇族だからさっさと座れるけど、下級貴族とか自分より上の位の人達が座るのを待たなきゃいけないから絶対大変だよね。
ちなみにベルタの席はもちろん無い。私のメイドだから私の側に立たせて置かなければならない。元現代人の私的にはなんか申し訳ない気持ちになるけどこちらの世界では常識だから早く慣れた方が良いね。
第二皇女ディアナが席に着いたから私も座ろうか。
私はディアナ姉様の隣に座る。
「あ、アレクシアじゃん。元気にしてる?」
「はい、私は元気に過ごしております、ディアナ姉様」
「そう、それなら良かった。あなたは私の可愛い妹なんだから困ったことがあったら言ってね」
「ありがとうございます。いざという時はお願いします」
私とディアナ姉様はそこそこ仲がいい。第一皇女であるエルザとも別に仲は悪くは無いはずだ。……あの夢の中では私たちは仲が悪かったけどね。
多分、仲が悪かったのはアレクシア本来の性格のせいだろう。私なら問題ないはずだ。
「そうそう、アレクシア聞いてよ。この間、エルザ姉様がさぁ」
ちなみにエルザ姉様とディアナ姉様は仲が悪い。恐らく性格の違いだろう。エルザは慎重な性格でディアナは積極的な性格だ。それでどちらも皇帝としての能力は高い。だから、彼女達二人は陛下から一部の政治の仕事を任されている。その際、いつも言い争いになる……その性格の違いから。
「あらディアナ、私がなんだって?」
「しまった……横にいるの忘れてた。い、いえ、なんでも。ただ、やっぱりエルザ姉様は凄いなぁって言う話をしようとしただけで」
ディアナ姉様……エルザ姉様がいるのを忘れてたのね……
「ふーん、なら良いけど。アレクシアに変なことを吹き込まないでよ?」
「分かってますよ」
「さて、皆様が席に着いたようなので始めさせていただきます。さて、まずは今日、集まっていただきありがとございます……」
パーティーの主催者であるカール卿が話しを始めた。その空気を読んで私たちは話すのを止める。
パーティーは何事もなく無事に終了した。
今、私は馬車に乗って帰っている途中である。
私はお姉様方や貴族達と差し障りのない話をしただけなので成果や面白いことはなかった。
……途中、酒に酔ったエルザ姉様とディアナ姉様が乱闘騒ぎを起こしかけたが。
ちなみに私はギリギリ成人では無いためお酒は飲めない、残念。
あと1ヶ月で15歳(成人)になれるのに……ほんとびみょーに日数が足りなかった。
「あ、そうだベルタ。あなたご飯食べなかったわよね?」
馬車で移動する苦痛から目を逸らしたいので会話でもしよう。
「そうですね。飲み物くらいなら飲む機会がありましたが……結局、食べ物は食べませんでしたね。一応食べれたんですけど、メイドである私がアレクシア様の側にいないのは如何なものかと思いまして食事は取りませんでした」
うーん、この苦労しそうな性格。もうちょっと肩の力を抜いて仕事すれば良いのに。
「ご飯ぐらい食べても良いんだよ? まったく真面目なんだから。帰ったらちゃんとご飯を食べなさいよ?」
「はぁ、分かりました。……アレクシア様、馬車が止まりましたね」
「本当だ。家に着いたにしてはまだ早いし、何があったのかしら?」
御者さんに聞いてみよう。
「御者さん、どうしました?」
「アレクシア様、実は自警団の人に止められまして。アレクシア様が本物かどうか見せろと煩いもんで」
自警団か。まぁ一目見させてやれば帰るだろう。
「じゃ、ちょっとその自警団の人とやらに顔を見せてくるわ」
私はランタンを持って馬車から降りると目の前には自警団の服を着た男がいた。
「これで満足かしら、自警団さん」
「ふむ、あなたは本物のアレクシア様のようですね。手間を取らせて申し訳ありませんでした」
「いえ、問題ありません。あなた達はただ治安を守ろうとしようとしてるのは知っているので」
「そうですか。それはありがたいことです。これからより一層治安維持に努めてまいります」
「頑張って。では、私はこれで」
私は馬車に乗るために自警団の男に背を向けた。
だから、彼が短剣を手に取ったところを見ることは出来なかった。