20XX年 ア■■■合■■某所
……自分が床に倒れている。
穴の空いた心臓から血が流れている。
私の前に立っている人達は……あぁこいつら……ついに私を殺したか。よくぞ、この不利な状況で。見事だ。
はぁ……この傷じゃすぐに死ぬだろうな。アイツらに、絶対に世界帝国を築いて世界から争いを無くすって……約束したんだけどな。
あと……あと少しだった……のに……な。
もしも……第二の生があるなら。今度こそ……。アイツらとの約束を。
新暦1096年6月17日 帝都
「……ん。ここは」
……懐かしい夢を見た気がする。
まぁ良いや。ここは自室のベッド……あ、そうか。昨日、変身魔法を使える暗殺者に。んで、ソイツを無力化して地下牢にぶち込んどけってアレックスに命じて……寝たんだ。
朝食の前に身支度整えたらあの少女に会いに行くか。アレックスには手を出すなって言ってるから話は出来るはず。
約1時間後
「よし、行こう」
身支度は終わった。さて、地下牢に行くとしようか。
お? 何やら行く途中に廊下で真剣に話し合っているベルタとアレックスがいる……何か問題でもあったのかな?
「ベルタにアレックス、そんなに真剣に話し合って……何かあったのか」
「「アレクシア様、おはようございます」」
「いや、別に問題は起きてないんっすけど……」
「なんと言いますか……逆に大人しすぎて。何かまだ切り札でも残してるのかどうかについて2人で議論していた次第であります」
ふむふむ、なるほど。
そういえばあの少女、倒れる前に何やら意味深なこと言ってたな。まぁあの発言的に……ここからさらに敵対とかは無い気がするけど。
「それはまあ本人に直接聞くことにするよ。ちょうど、今からあの子に会いに行こうと思ってたし」
「あ、なら俺が案内兼護衛として付いて行きますよ」
「私は……この後廊下を掃除する仕事があるので。今回は付いていけません。すみません」
「今回の付き添いはアレックスか。ベルタは仕事、頑張ってね」
「アレクシア様、では行きましょうか」
「あぁ、行こうか」
「アレクシア様、お気をつけて」
アレクシア親衛隊管轄下地下牢
「相変わらず私の親衛隊の管轄出来る地下牢は狭いわね……」
「親衛隊の規模が第一、二皇女より小さいから仕方ないですよ……それにこの思いをするのもあと一か月ですから」
「それもそうね」
「……ここですね、彼女が居るのは」
言われていた通り、私を殺したがってた割には大人しい。黙って冷たい牢屋の中の地べたに座っている。確かに不気味なほど静かすぎるように見える。
……この態度と彼女の発言から考えるに、ひょっとすると私を殺すって言うのは目的ではなく手段なのかも。カイン家への恨みは単純にやりたいことをことごとく邪魔されたからだろうな。
「アレクシア様、彼女は牢に入っていますが……お気をつけて。魔法も使えるようですし」
「あぁ、分かってる」
一応聖剣も腰に差してる。何があるか分からないからね。アレックスの言う通り、気をつけておこう。
「……アレクシア様、やはり来ましたか。待っていましたよ」
「ほう、私が来るのを読んでいたとはな。じゃあ、何故わざわざ私の親衛隊管轄の地下牢に君を入れたのかも分かるかな?」
「そうですね……後に起こす予定の革命のための戦力確保のために……私と交渉するため、とか?」
「……大正解だ。よく分かったものだ」
「まあ、実はこの推理にはタネがあるのですが……それは交渉が成功したらお教えします」
「ふむ、その発言からすると交渉の余地があると?」
「えぇ、あります」
……余地があるのは大きい。後は私を狙った理由と交渉する際の条件次第
だな。
「さて、早速条件を聞きたいところだが……まず、私を殺そうとした理由を教えてくれ。それが分からないと安心出来ない。あぁ、嘘はつかない方が良い。今から君の発言が嘘かどうかくらいなら魔法で判断出来るからな。もし嘘だったら……分かるよね?」
ちなみに嘘である。私はそんな便利な魔法は使えない……が、それは相手には分からない。恐らく、嘘を言うリスクを考えれば真実を語ってくれるはずだ。
「……あなたを狙った理由はお金です。どうしても必要だったので……皇族を心底嫌っている例の組織と契約しました。それに関しては誠に申し訳ありませんでした。……もちろん、謝ってすむ問題ではないのは分かってますが。あと、お金が欲しかった理由は……今は言えません」
「本来なら皇族を殺そうとしようものなら問答無用で死罪になるから今度からはどんなに美味しい契約があったとしても皇族を狙わないことだ。もっとも、そもそも犯罪で稼ごうとするなと言いたいところだが……まぁ何か理由があったんだろう。にしてもまた赤化思想の連中か。後で奴らの討伐案でも練るかな。それはさておき……交渉を始めようか。私は君に私の支配下に暗殺者として入って欲しい。さて、君が私の望み通りにしてくれるために私は何をすれば良いかな」
「そうですね……私がアレクシア様に提示する条件は」