ウマ娘—Dreams continue!—   作:流星の民(恒南茜)

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今回、かなり短いです。
ご了承ください。


第27R 輝くダイヤモンド

「私ね、凱旋門賞に出たいんだ。」

そうキタちゃんに伝えたのが凄く遠く感じる。

…それでも、考えてみると、凱旋門賞を目指し始めたのはいつだっただろう。

天井を見つめながら、ふとそんなことを考え出す。

 

◇ ◇ ◇

 

私が育ってきたのは、狭い箱庭の中だった。

お父さまも、お母さまも、とても、私を可愛がって育ててくれたけれど…。

 

それでも、何かが足りないような。

そんな日々を過ごしてた私に、世界を見せてくれた女の子がいた。

 

キタちゃん。

 

彼女と出会ったことで、私の日々は、きっと人生は変わった。

キタちゃんが見せてくれたのはどこまでも広い広い世界。

 

きっと、私一人じゃ、怖くて行けなかったような世界を、どこまでも手を引いて、彼女は見せてくれた。

だから…だから、きっと家族みんなの悲願だった、G1勝利という夢を叶えられるって、そう思えたんだ。

 

 

関係性は、憧れのトレセン学園に入学した後も変わらなかった。

世間知らずなウマ娘…と、そう形容されていた私といつも一緒にいてくれた。

時は流れて、遂にデビューした私たちを待っていたのは、苛烈な世界だった。

 

勝利を求めて、ぶつかり合うウマ娘たちの世界——そんな世界でやっていけるか不安な時だって、夢を懸けて、G1戦戦に挑んだ時だって、それでも隣で走っていてくれた。

 

 

一緒に彼女と駆け抜けている中で、私の好奇心はどんどんと刺激されていった。

「もっと広い世界を見てみたい。」

 

いつしか、そう思うようになっていた。

そうやって大きくなっていった夢はいつしか私をここに——フランスの地へと誘った。

「凱旋門賞で勝ちたい。」

 

それは、きっと——家族みんなの夢だから、叶えたいんじゃくて…私の夢だから、叶えたいもの。

キラキラに輝くダイヤモンドのような夢——

 

——そうだ。キタちゃんがいたから…私はここにいる。

 

だったら、今の私にできることは…

 

◇ ◇ ◇

 

もう一度、スマートフォンを手に取り、電話帳を開く。

視界に映るのは、1番上に表示されている「キタちゃん」の文字。

 

その隣に表示されている受話器のマークを押して、待つこと数秒。

ガチャリと通話が始まったことを示す音がし、彼女が電話に出た。

 

「ごめんね、朝早くに。それでも…どうしても、キタちゃんの声が聞きたくて…。」

 

「ううん、大丈夫だよ。それで…ダイヤちゃん、今日のレース…」

 

私を気遣うように、暖かなキタちゃんの声。

 

「ううん、もう大丈夫…。それよりも、キタちゃんとお話ししたいな。」

 

それからの時間はあっという間だった。

 

今までのこと、最近起きたクスッと笑えるような出来事…。

 

キタちゃんの明るい声で紡がれる言葉は、とても心地よかった。

やっぱり、キタちゃんと話していると、胸がぽかぽかしてくるような気がする。

 

——そうだ。

 

遠く離れていても、私は繋がっている。

あの時、マックイーンさんに教えてもらったこと。

 

その繋がりは、何度も経験してきたつもりだった。

 

それでも…きっと、いつしかそれを忘れていた。

 

だからきっと…私は焦りだしていたんだ。

 

——大丈夫、私はキタちゃんと一緒だ。

 

「ねぇ、キタちゃん。」

 

「ん?どうしたの?」

 

「私…」

 

だから、きっと…

 

 

「凱旋門賞、絶対に勝ってくる。夢を叶えてくるよ。」

 

 

今の私には、はっきりとそう、断言できた。

 

焦りの代わりに、胸に湧いてきたのは、何だか満たされていく感覚。

 

 

天皇賞・春の時。

 

 

あの時、最後に感じた温もりが、まだ胸に残っていた。




キタちゃん引けました。
マジで感謝です。
それでは、次回、凱旋門賞。
よろしくお願いします。
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