ウマ娘—Dreams continue!—   作:流星の民(恒南茜)

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今回、本筋とは一切、関係ありません。
ただただ作者がバレンタインによって増幅されたキタサト書きたい症候群に襲われて書いた怪文書です。
時系列的には16Rと17Rの間です。


サイドストーリー
サイドストーリー第1R ダイヤちゃんとのバレンタイン


「ねぇ…キタちゃん、最近、私に隠してることあるよね?」

「…え!?そ、そんなことないよ!?」

 

2月14日のこと。

あまりにも、唐突なダイヤの質問に対して、キタサンは思わず慌ててしまっていた。

 

「ほんと?」

「う、うん!ほんとほんと!それじゃ、あたしはそろそろ出かけるから…」

 

そう、誤魔化すかのように返すと、そそくさと部屋を出ていくキタサン。

その後ろ姿を見ながら、

 

「…ふーん」

と、ダイヤは何かしら思索に耽っていた。

 

◇ ◇ ◇

 

「あ、危なかった…。」

登校して早々、ベガの部屋に赴き、息を吐くキタサン。

 

そわそわとした様子で、棚の方をチラリと見ると、再び息を吐く。

「よかったぁ…まだバレてな…」

 

「どうしたんだ?キタサン。」

 

その時だった。ガラリと、ドアが開くと、何やら人影が入ってきた。

 

「ドゥラメンテ先輩!?」

 

「ああ。それで何がバレてな…」

 

「何でもないですっ!」

 

そう大声をあげると、キタサンは慌てて部屋を出ていった。

 

◇ ◇ ◇

 

何とか、家庭科室に逃げ込むことができたことに安堵し、息を吐く。

 

それにしても、ダイヤにバレてはいけない今回の計画。

敵を騙すには、まず味方から、ではないが…ドゥラメンテにもできればバレては欲しくない。

 

それでも、この計画のためには、まず、部室に置いてきたモノが必要だ。

 

「…どうしようかなぁ…。」

 

と、思わず、ため息を吐いた時だった。

 

「お前が欲しいのはこいつだろ?」

 

突如、頭上から声が響いた。

「ドゥ…ドゥラメンテ先輩!?」

「だから一々反応がでかいなぁ…。それで、これを使って何をするつもりだったんだ?」

 

悪戯っぽく微笑むドゥラメンテの表情。

 

(もう…隠せなさそうだなぁ…。)

堪忍したキタサンは、大人しく全てを話すことにした。

 

「なるほどなぁ…。大丈夫だって、話さないから。それに…私も作ろうと思ってたしな。」

「誰に…ですか?」

 

「…いや…その…だな。」

急に挙動不審になるドゥラメンテ。

 

「あたしも教えたんですから、教えてくださいよ!」

 

「あぁ、わかったから!教えるから!だから、そんなに近づくなぁぁ!!」

 

家庭科室中にドゥラメンテの絶叫が響き渡った。

 

◇ ◇ ◇

 

「…クラウンさんに、ですか?」

 

「…ああ、昔からの付き合いなんだよ…てかそれより早く手を動かそうぜ?間に合わなくなっちまう。」

 

「了解ですっ!」

 

そう、声をあげると、さらに力を込めて、チョコをかき混ぜ出すキタサン。

 

「あぁ、こらぁ!チョコが飛ぶだろ!?」

 

「あ、ドゥラメンテ先輩のエプロンにチョコが…。ごめんなさい。」

 

「落ち着いて、早く…な?ほら、急ぐぞ!」

 

…前途多難ではあったが、二人のチョコレート作りは、着実に進んでいった。

 

◆ ◆ ◆

 

◆ ◆

 

 

待ちに待った放課後。

 

遂にやって来たこの時。

今日まで立ててきた計画は、全てこの時のためだ。

 

「ダイヤちゃん、ちょっといい?」

 

緊張のあまり、震える声を、何とか抑えつつ、ダイヤちゃんの袖を引っ張る。

 

「ん?どうしたの、キタちゃん…?」

 

いつになく、あたし自身、真剣な表情になっているからか、ダイヤちゃんの表情も少し固い。

それでも、タイミングを逃したら、渡せなくなってしまう。

 

思い出すのは、いつぞやのありがとう。

日頃の感謝を伝えるだけだというのに、緊張したのを今でも覚えている。

 

…ここで…渡さないと…。

 

少し震える手で、コートのポケットから、チョコを取り出し、ダイヤちゃんに差し出す。

 

「…キタちゃん…これ…。」

 

心なしか、ダイヤちゃんの表情もこわばっている様だった。

 

そのまま、そっと、受け取ってくれるダイヤちゃん。

 

「…もしかして、チョコレート…?…嬉しい。」

 

そして、ダイヤちゃんの表情が緩み、浮かぶ笑み。

 

「…ありがとうね、キタちゃん。」

 

渡せたという安心感に包まれたその時、

 

「それでね…キタちゃん…私からも…渡したいものがあるの。」

 

ダイヤちゃんが呟くように、小さく口を開いた。

 

「…これ。いつも、ありがとう。」

 

そうして、そっと彼女があたしに差し出してきたのもまた、チョコレートだった。

 

◇ ◇ ◇

 

「おいしいよ、ダイヤちゃん!」

「そう?だったら、手作りしたかいがあったよ。」

 

チョコを頬張りながら、ダイヤちゃんと言葉を交わす。

 

口いっぱいに広がる甘さと、渡せたという安心感が、胸いっぱいに広がっていた、その時だった。

 

「キタちゃん、ほっぺたにチョコレートついてるよ?」

 

あたしの頬を細い指がつっとなぞった。

 

「ほらこれ、私も少し味見していいかな?」

 

と聞いてくると、答える間も無く、指についたチョコレートをなめとるダイヤちゃん。

 

その時のあたしは、どんな表情をしていただろう?

 

顔が段々と火照ってくるのを感じる。

 

 

「…どうしたの?キタちゃん?」

 

 

——ダイヤちゃんには、いっつもドキドキさせられるなぁ…。

 

 

満足感と、ちょっぴり敗北感に包まれたバレンタインだった。




というわけで、次回、おそらくフォワ賞です。
また、これからサイドストーリーと称して、たまに、番外編的な立ち位置での連載も開始していこうと思います。
よろしくお願いします。
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