ウマ娘—Dreams continue!—   作:流星の民(恒南茜)

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凱旋門賞が書き終わる前に、キタちゃんの誕生日が来てしまったので…。
何とか間に合いました。
本編を読む上で支障はないので、読み飛ばしていただいても、大丈夫です。
最後に、キタちゃんとクラウンに、誕生日おめでとう、と。
あと、クラちゃん呼びではないです。


サイドストーリー第2R キタちゃんのお誕生日

「…どうしようかなぁ…。」

夕暮れの中、ポツリと漏れた呟きが、オレンジ色の空に溶け込んでいく。

 

明日は私の親友——キタちゃんの誕生日だ。

だというのに、未だ何を贈るかが決まっていない。

 

…いや、サトノグループの財力であれば、基本贈れぬものなどはないわけだけど…。

プレゼントというのはそういうものじゃないはず。

 

心がこもっていないと。

だからこそ、ずっと、ずっと、リサーチを重ねたりして、何を贈るか考えてきたわけだけど…。

 

「決まんない、なぁ…。」

その時、後ろから声が聞こえた。

 

「ドゥラメンテ…さん…?」

「おっ、ダイヤか。どうしたんだ?こんな時間に。」

 

すぐに隣に並ぶ、ドゥラメンテさん。

軽く会釈をし、そういえば、ドゥラメンテさんは、キタちゃんに何か贈るのかな…と、考える。

 

「…いえ、キタちゃんに贈るプレゼントを考えていたのですが…どうしても、なかなか決まらなくて…。」

「…なるほどな…わかる…わかるよ…その気持ち。」

 

頭を抱えながら、そう呟くドゥラメンテさんも、また何か悩み事を抱えているようだった。

「私も明日クラウンに贈るプレゼントを考えてたんだけど、どうしても今のあいつに贈って喜んでもらえるものがわかんなくてさ…。」

 

「クラウンお姉様に…ですか?」

「…ああ。ダイヤはもう決まったのか?」

 

「はい。クラウンお姉様の分は既に。…つかぬ事をお聞きしますが、ドゥラメンテさんも、キタちゃんに贈るプレゼントはもう…?」

「ん?そっちはもう用意したな。どうしよ…今から〈カノープス〉にでも殴り込みに行こうか?」

 

「…カ…カノープスに…?」

「どうせだったら、今あいつが所属してるチームの面子に聞いたほうがわかるかなって…。」

 

「…な…なるほど…?」

「そうだ、ダイヤもついてこいよ。何か、キタサンに贈るプレゼントのヒントがあるかもしれないぜ。」

確かに、このまま考えていても、決まらないものは決まらない。

 

だったら、体を動かしたほうが、何か見えてくるものもあるかもしれない。

「わかりました。私も行きます。」

 

◇ ◇ ◇

 

「…クラウンが喜びそうなもの…ねぇ…。」

二房の髪を揺らしながら、ネイチャさんは、顎に手を当てた。

 

「…でもいいの?アタシなんかにそんなこと聞いちゃって。」

「いや、全然構わないっ!だから、お願いだっ!知ってる情報を洗いざらい吐け!」

「ドゥラメンテさん…。それじゃ、尋問ですよ。」

 

あはは…と、ポリポリと頬を掻く、ネイチャさん。

「…だったら、いいけど…」

 

と、ネイチャさんが口を開いたその時だった。

「どうしたの!?ネイチャ〜!」

「…って、ターボ!?」

 

向こうの方から、小さいシルエットがこちらに駆け寄ってきた。

「トレーニングが終わったの!ねえ、教えて!ネイチャ!」

「今ね、クラウンの誕生日プレゼントを考えてるの。」

「…誕生日プレゼント!?そうだな〜…そういえば、ターボの誕生日の時のサプラーイズってやつ…とっても嬉しかったなぁ…。」

 

ピカリと、一瞬、頭の中で何かが光ったような気がした。

「あの、ターボさん…今言ったこと…もう一回お願いしてもいいですか?」

「…誕生日プレゼント!?」

「もっと後です。」

「そうだな〜?」

「もう少し後です。」

 

「ターボの誕生日の時のサプラーイズってやつ…」

 

「それです!ドゥラメンテさん!キタちゃんとお姉様のサプライズパーティーをやりませんか!?」

「...サプライズ…パーティー…と?」

 

「はい!これなら、心がこもったプレゼントになるはずですっ!」

「…確かにそれなら…いい…いいぞ…!」

「そうと決まれば早速準備ですっ!みなさん、早速トレーナーさんに相談しましょう!」

 

◆ ◆ ◆

 

「それで…カノープスにも協力してもらって、キタサンとクラウンを部室に連れてくる…と。」

「はい!」

 

…なるほど。

明日のキタサンとクラウンの誕生日に向けて、部室を飾り付けていく。

 

南坂トレーナーの許可も得たことだし、あとは準備をするだけ、と言ったところだろうか。

「それで…結局、プレゼントは何にすることにしたんだ?」

 

「…え?」

瞬間、固まるダイヤ。

 

「…完全にパーティーのことでいっぱいになってて…忘れてました。」

 

…なる…ほど…?

 

「なあ…ダイヤが貰って1番嬉しいものはなんだ?」

「1番嬉しいもの…ですか。」

 

キタサンとダイヤ…二人はそっくりだ。

趣味嗜好とか、そういうところじゃなくて…恐らく、考え方自体が。

 

だからこそ…きっと、ダイヤ自身の選んだものなら、きっとキタサンは喜んでくれると。

 

何だか、そんな確信が胸の中にあった。

 

「…わかりました。考えてみます。」

 

◇ ◇ ◇

 

…初手、胴上げ…とな?

南坂トレーナーにお願いして、今日はカノープスとベガの合同トレーニング、ということにしてもらった。

 

というわけで、先に知らせた時間より先に他のメンバーに招集をかけて、二人を待っていたわけだが…。

 

「「キタサン、クラウン、誕生日おめでとう!」」

 

二人が部室に入ってきた瞬間に、唐突に始まったのは胴上げでした。

隣を見ると、南坂トレーナーも困惑している様子。

 

…てか困惑するよな、こんなの…。

まあ、とはいえ最初は驚いていた二人もだんだん表情が綻んできているので、多分これで正解なのだろう。多分。

 

安全面は大丈夫だと信じたいところ。

さてさて、つつがなくパーティーは進み、プレゼント授与式になった。

 

「おめでとう、クラウン!私からは…これを…」

「これは…」

 

ドゥラメンテがクラウンに贈ったのは蹄鉄だった。

それも、『今年はいい勝負をしようぜ!』というメッセージ入りの。

よく一晩でこの結論に至ったものだと感心せざるを得ないが…。

 

よく見ると、彼女の目の下にはクマができている。

恐らく、遅くまで作業をしていたのだろう。

 

「あ…ありがとうね…ドゥラメンテちゃん…。」

 

さて、クラウンはというと…だいぶ感極まったと言ったところだろうか。

 

ここは、そっとしておこうと言ったところで…次は、キタサンのプレゼント授与式になった。

 

さて、ダイヤは一体、どんな結論に至ったのか…というのが気になるところだったが…。

 

「…おめでとう、キタちゃん。」

 

◆ ◆ ◆

 

「…おめでとう、キタちゃん。」

その言葉を口にし、大ぶりな箱を手渡す。

 

「ありがとう、ダイヤちゃん。」

そうこちらに微笑みかけ、箱を受け取ってくれるキタちゃん。

 

早速リボンが解かれていく。

しかし、何なんだろう…この胸のドキドキは。

 

今まで、何度も、何度も、プレゼントを渡してきたはずなのに。

それでも、心臓の鼓動は止まない。

 

「…これって…ダイヤちゃんのぱかプチっ!?」

私が、キタちゃんの誕生日プレゼントに選んだのは、私自身のぱかプチだった。

 

“私自身が何をもらったら嬉しいか。“そう考えた時に、脳裏をよぎったのは、しばらく会えなくなる“キタちゃんとの繋がりを感じられるもの“、だった。

だからこそ、私の代わりとして…

 

「私、フランスに行ったら、しばらく会えなくなっちゃうから…その子をキタちゃんの隣に置いて置いてくれたら嬉しいなって…思って…」

 

何だか、言葉が尻すぼみになってしまう。

私自身の想いがこもった、大事なプレゼントのはずだった。

 

だけど…まだ少し、自身がなくて…。

 

その時、急に、キタちゃんが私の顔を覗き込んできた、かと思うと、満面の笑みを浮かべた。

 

「…ありがとう、ダイヤちゃん…あたし、すっごく嬉しい!これで、いつも一緒…だねっ!」

…良かった。

どうやら、喜んでもらえたみたい、だ。

 

胸の中に、安心感が広がる。

と同時に、キタちゃんの笑顔が、太陽のように眩しく、私の瞳に映る。

 

遠くで見ているトレーナーさんも頷いているし、どうやら上手くいったようだ。

 

「ふぅ」と、ゆっくり息を吐き、もう一度、キタちゃんの顔を見つめる。

 

…やっぱり、笑っているキタちゃんはとても可愛い。

 

と、その時だった。

「これから、とっても大事にするから!毎日、一緒に寝るね!」

 

急に、キタちゃんが宣言した。

 

言葉の意味を理解すると同時に、途端に熱くなってくる頬。

 

「大事にしてくれるのは嬉しいけど…」

 

何だか、それはそれで恥ずかしいような…。

 

目の前で、キョトンとしているキタちゃんの表情が妙に眩しい。

 

 

ぅぅ…それはずるいよ!キタちゃんっ!

 

 




ダイヤちゃん、無事に出ました。
運営様に深き感謝を…。
それでは、次こそ凱旋門賞です。
次回もよろしくお願いいたします。
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