虐待少女が転生するそうです   作:雪白(´・ω・`)

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 本当なら早くに投稿できてた筈が、まさかのデータ飛ぶという事件が発生してました。申し訳無いです。
 本編は前半を少女よりの三人称で書いていますが感情移入や他の小説投稿者を見る中で後半は一人称視点にしております。
 


暴風竜との出会い

「へ?」

 

 少女の消え入るような麗しい声は非常に粋美であった。

洞窟の中で反響しやがて溶けいるように消えていく。

彼女が間抜けな声を上げたのも無理はない。目の前には己の何倍もの体を持つ竜が一体。

鱗は黒く、目は赤く煌めき、背中に立派な翼を携えている。

前世では、幽閉状態だった少女にとって今の概況でも恐怖心が体を満たすというのに、この竜を前にして堂々としろと言うにが無理がある。

 

「おい、何を突っ立っておる」

 

 不思議そうに竜は少女の方を見る。

実の所此の竜、少し抜けている部分があり自分が如何に少女に恐怖を与えるかを今一度理解できていない。

 対して少女は自分は尽く付いていないのだろう。きっと此処で殺されるに違いない、と半ば諦めたかのような目でボーっと明後日の方向を見つめている。

その死んだ様な目から察してか、竜は自分の存在が少女にとって危険ではない事を説明する。

 

「まて、別にお前をどうこうするつもりはない!」

「た、食べないの?」

「食べるものか!!」

 

 若干語気が強くなる。

仕方のないことだ。自分が悪者の様に言われて気分の良い者等居ない。

少女に目をやると彼女は少しばかり考える素振りを見せた後、胸を撫でおろす仕草を見せる。

 恐らくは竜に危険性が無い事を理解したのだろう。

勿論、涙目であるが・・・・・・

 

「ほ、本当に何もしない?」

「当たり前であろう・・・そもそもの話、我は此処から一歩も動くことが出来ぬ上、此のままだと消えて行く運命にある」

 

 竜の予想外の答えに、え?どういう事? と少女は心配そうな目で竜を見つめる。其れもその筈である。少女にとって初めの話し相手は此の竜であり、紛れもない事実なのだ。

 完全とは言えないが、一定の信頼を置けると思っていた相手が突然消えるというのだから心配になるのも無理はない。

 

「ど、どうにか救う方法はないの?」

「我の周りに結界が張られてるであろう。此奴を如何にか出来れば良いのだがそれが又厄介でな」

 

 結界という言葉に聞きなれないと言った表情を少女が見せる。

ひょっとして此処は元居た世界とは別の世界?と今更ながらも徐々に自分の置かれている状況を理解し始めた少女を余所に竜は説明を続ける。

 

「この結界は、かつて我が勇者と戦った際に掛けられたものよ」

 

 クァーッハッハと高笑いする竜。

 

「この結界って凄いものなの?」

「並大抵の者では解くことは愚か、触ることさえ出来ぬだろうな」

 

 嘗て、勇者と戦った時の事を思い出しているのか竜の目はより一層其の赤く光る眼を輝かせた。

 何方にせよ、今自分の状況すらも完全に理解できていない少女に今直ぐにこの結界をどうこうすることは出来ない。その事は竜も充分承知している。

では、何故少女に声を掛けたのか。

 

「実はな、長らく続く牢獄生活の中で日々詰まらぬ時を過ごしていてな」

 

 我の話相手になる役目を与えてやってもよいぞ!と竜が言う。

本来なら結界を解くのが一番だが、自分には如何せん力が無い。ならせめて、話し相手になろうではないか。少女はにっこりと笑い、返答する。

 

「私でよければいくらでも!」

 

 少女が答えるのに時間が少々空いたせいか、竜は少女を伺うような形でソワソワしていた。

その姿に少女は少し、カワイイと感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暫くたち、先ずはお互いのことを知ろうではないか!

と竜の提案で今更だがお互いに自己紹介をする事にする。

 

「我は暴風竜ヴェルドラであろうぞ!クァーッハッハ」

 

 自己紹介を自信満々にした後に高笑いする竜ヴェルドラ。

高笑いだけで地響きが起きる程の声量に耳を塞ぎたくなるのを我慢し、今度は少女が自己紹介をする。

 

「自分に名前はない。お父さんとお母さんは自分が産まれた時には他界していた」

 

 少女の言葉の後に鉛のような重い空気が流れる。

 

「自分は、元々殴られたり・・・・・・蹴られ、た」

 

 少女は少しづつ、今まで自分の身に起こって来た事を説明しようとするがその記憶を思い出したのか

体が小刻みに震え、涙を流す。ヴェルドラは少女の変わりようにどうしていいか分からず、取り合えず落ち着けと励まし始める。

 ———暫くたち、呼吸を整えた少女がゆっくりだが言葉を紡ぎ始める。

 内容は余りにも酷く、聞いているだけで少女への心配と共に此れだけの事をした人非人に怒りが芽生える。

 が、しかし。今は少女を元気付けようではないか。

ヴェルドラはある提案した。

 

「では、我が名を授けてやろうか?」

「な、まえを?自分に?」

「何、これも何かの縁であろう」

 

 産まれてから少女には名前がなかった。

ひょっとしたら両親が付けていてくれていたのかも知らないが、少女が物心つく頃には既に祖父母に引き取られた後であった。

 祖父母は少女の事を一度も名前では呼ばず、常にお前やおいと呼んでいたた為、少女にとって名前を貰えるという事はかなりの幸せであった。

 

「あ、ありがとう!ヴェルドラ」

「フン!我から名前を貰えるのだ!光栄に思うがよいぞ!」

 

 自慢げにといった様子のヴェルドラではあるが、少女には何処か照れているように思えた。

初めて名前を貰えるんだ!とかなり楽しみである少女の心にはもう影一つなど残ってはいない。

 

「では、サンドラと言うのはどうだ?」

 

 意気揚々と名前を提案するヴェルドラ。

その脳裏には少女が満面の笑みで嬉しそうに感謝を述べるのを想像して。

 

「却下」

 

 悲しきことにヴェルドラの望みは叶わなかった。

当人の少女にとっては楽しみにしていただけにその心境の落差は激しい。

 いくら何でもその名前はダサいと少女は心の中で叫ぶ。

 対して、却下された側のヴェルドラは完全に口を開いたまま固まっていた。

 

——————何十回、いや何百回の末にようやく名前が決まる。

 

「フィノラ。これがお前の名だ!」

「ふぃ・・・・・のら」

「うん!フィノラ」

 

 長い時間が掛かった所為でお互いゼー、ハーッ!

と息を上げながらも笑いあう。

 少々の遠回りをしたもののこうして少女は前世では決して叶うことがなかったであろう名前を貰う

事が出来たのだった。

 

 

 ヴェルドラから名前を貰った日から、3日程が経過した。

その間、私はヴェルドラにこの世界の事について教わっていた。

先ずは種族。元の世界と違いこっちの世界は竜種、悪魔、人間、巨人族。他にも色々あるが取り敢えずは、大体は魔物かそうで無いかで分けれる事が分かった。精霊なども居る為、必ずしもそれで分けれるというわけだも無いのだが。

 

「それでヴェルドラ」

「どうしたのだ?」

「我は人間って事でいいんだよね?」

 

 私は目の前のヴェルドラしか他種族を見たことがない為、自己の種族が分からないのだが自分で見る限りでは前世と特に体に変化は無かった。と言う事は人間なのでは?と思っているのだが。

 因みにだけど、前世では普通の会話をする機会が無かったからかヴェルドラと三日も雑談をする頃には一人称が移ってしまっていた。

 

「我も全種族を見たわけではないから何とも言えぬが、見た目は確かに人間であろう。だが、人間は魔素を必要とせぬがゆえ」

「人間とはまた別と言うこと?」

「うむ」

 

 確かに此処に来た日の事を思い出すと、初めは五感が全く使えなかった。

 自分の体の感覚が無かった所をヴェルドラ手助けの元、魔素を循環させる事によって今みたいに普通の生活ができるようになったから良かったが。恐らくだが、初めの方は魔素の使い方を知らないが故に生命活動のみに魔素が使われていた為、五感がなかったのではないか。それが使い方を知り、体全体に行き渡らせることが可能になったから動かせるようになったと言うのがヴェルドラの見解だった。

 

「まぁ、分かるまでの間は種族不明(アンノウン)でも問題あるまい」

「でも、種族が分からないと何が得意とか分からない気もするんだけど」

「何方にせよ、人間の様な見た目なのだから良かったではないか」

「そうなの?」

「うむ、話せば長くなるが」

 

 ヴェルドラの話を纏めると、この世界では人間は文明を持ち、便利性のあるものを作っているが故に人間の商品は他種族も欲しいらしい。エルフ等の人間の姿に近い者は良いが、ヴェルドラのような竜種族等の非人間の姿をしている者たちは人間の街へ行っただけで兵士が動く。人間の姿で魔素の流出をゼロに抑えてなら問題ないらしいが。

 何方にせよ、ヴェルドラは結界に閉じ込められているのでそもそも一歩も動けないのだ。

だからこそ私はヴェルドラに色々と恩があるので提案をした。

 

「では、我が買ってきてあげるね!」

 

 笑顔で言うと、ヴェルドラは何処か嬉しそうな表情を浮かべる。

 

「では、人間の食べ物を適当に買ってきて貰おうか」

「我に任せて!」

 

 胸を張りやる気満々の私。

今まで沢山教えてもらった恩返しがやっとできる!と意気込んでいたのだったが、ここである重大な事を思い出す。

 

「ごめんヴェルドラ」

「どうかしたのか?」

「我、人間の街の場所分からない」

 

 正直、凄く恥ずかしい。あんなに意気込んでいただけに余計に。

余りの恥ずかしさに手で顔を覆う。恐らく耳まで真っ赤になっているだろう私は少し指の隙間から

ヴェルドラをチラ見する。そこには高笑いをする竜が一匹。

 初めてヴェルドラに対して殺意が芽生えた瞬間であった。

 

 

 

 




 フィノラ「そう言えば他に何か名前の案とかあったの?我知りたい!」
 
 主「他にシエラとかガヴリールとか考えていたけど全部没になりましたね。」
 
 フィノラ「我、此の名前で本当に良かった、、、」


追記
大体の流れは書き終えたので後は見直し作業に入ります。
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